上 下
34 / 61

33.里の子供達と最初の情報

しおりを挟む
 と、色々心配していたけれど、俺の周りはいつも通りの1日が過ぎていき。ミルバーンが出ていったのと、シャイン達が何処かへ行った時はバタバタしていたけれど。それから少し経てば、レイナさんの鼻歌と、まったりの時間が過ぎていった。

 ただ、まったりしているのは俺だけで、他のみんなは今頃、忙しく動きているかもしれない。それだけミルバーンを呼びに来たエリノアさんの声な緊張していたし。シャイン達もちょっと慌てていたからな。

 動けない俺、そしてシャイン達がいないおかげで、レイナさんとも話しができなくて、全然情報が得られない。一体何が起きたのか。

 なんて考えていたら、お昼頃になってある人達が俺の家にやって来た。人達っていうか、たくさんのエルフの子供達が来たんだよ。

「レイナさん、こんにちは!!」

「「「こんにちは!!」」」

「はい、こんにちは」

「お母さん達が順番を決めたんだけど、レイナさんは赤ちゃんで忙しいから、順番には入れないって。それから時々ご飯を届けに来ますって」

「そう、ありがとう。お母さんに分かりましたって伝えてくれるかしら」

「はい!!」

「ねぇねぇ、レイナさん。赤ちゃんはぁ?」

「さっきお昼寝から起きて、今は向こうの部屋でゴロゴロしているわ」

「僕達会っても良いですか?」

「ええ、良いわよ。でもまだ生まれたばかりの赤ちゃんで、とっても弱い存在だから、触るのは私が良いって言った時だけにしてね。少しのことでもすぐに怪我をしてしまうの」

「赤ちゃん、弱い?」

「もう少し体がしっかりしてくれば、まだ大丈夫なのだけれど、今はね。さぁ、じゃあ赤ちゃんに会う前に、みんな手を洗って」

 バタバタと台所へ行く音がして、それからキャッキャと騒ぐ声と水の音が。たぶん手を洗っているんだろう。エルフの子供達か。ここへ来て移動した時に、少しだけ子供を見たっけ。
 その後は外にもあんまり出ていないし、出たとしても周りにエルフはいなかったしな。隣の家まで離れているから、余計見かけなかったのかもしれないけど。

 と、水の音が止まって、こちらへ歩いてくる音が。ちょっとドキドキして待つ俺。今俺はソファーじゃなくて、床の上でゴロゴロしていた。レイナさんがずっと籠の中じゃ窮屈でしょうって。

 そうして何とか目でドアの所を見ていると、レイナさんの後に、人影が5人分見えて。とっても小さい子から、そこそこ大きい子までが部屋の中に入って来た。5歳くらいから10歳くらいだろうか。
 
 レイナさんは俺を抱き上げると、みんなが見えやすいようにその場に座る。

「さぁ、みんなも座って」

「「「は~い!!」」」

 みんなが俺を囲んで座り、俺をじっと見てくる。

「みんな座ったわね。この子がティニーよ。とっても小さいでしょう?」

「赤ちゃん!! 可愛い!!」

「本当に小さいねぇ」

「ぼくよりちいさい」

「当たり前だよ、赤ちゃんだもん」

「全部が小さいねぇ」

 俺を見て、それぞれ感想を言うみんな。最初の子、君は分かってるね。うん、俺可愛いだろう? なんてな。良いじゃないか、可愛いって言われて喜んだって。地球じゃこんなモテ期はなかったんだよ。今は俺に会う人のほとんどが可愛いって言ってくれるんだから。

「レイナさん、触ってもいい?」

「良いわよ。でも本当にそっとよ。頭をそっと撫でてあげて。それから手なら、ちょんと触っても良いわ」

 最初に話した子から順番に俺の頭を撫でていく。そして1番最後に、1番小さい子が撫でてきたんだけど。その子は1番大きな子が一緒に撫でてくれた。どうやら兄弟のようで、お兄ちゃんはしっかりと弟の世話をしていたよ。

 頭を撫でるのが終わると。次はみんなで手を触ってきて。俺はサービスをすることに。みんな人差し指で、そっとツンとしてきたんだけど。みんなの指を握ってあげたんだ。赤ちゃんの体だから、力の加減が難しくて、でも握り過ぎないように何とか握ったよ。

 そうしたらこれが大好評で、かなりみんな喜んでくれた。大騒ぎするほどに。それでもう1回だけ手を触りたいと。あんまり喜んでくれたからか、レイナさんが後1回だけよと言って。
 だから俺ももう1回握ってあげて、それだけで俺は体力の半分以上使ってしまった。まぁ、みんなが喜んでくれたから良いけど。

 そんなことをしていると、外から声が。みんなを迎えにきたんだ。

「ほら、いつまでお邪魔しているの? 帰るわよ。今お母さん達忙しいんだから」

「「「は~い!!」」」

 みんなが俺にバイバイをして部屋から出て行った。そして聞こえてきた声は。。

「レイナはこのままティニーの世話を」

「ありがとう。でも、もしもの時は頼むわね。私も出ないといけなくなるかもしれないから」

「そうならないのが1番良いんだけどねぇ。久しぶりだねぇ、こんな騒ぎは。それに奴らも久しぶりか」

「こんなに一気に来たのはね」

「それに今回は、他の魔物達も集まっているみたいだし」

「そうなのよね。いつもと違う行動をとっているから、それが少しね」

「まぁ、今回は戦力になるみんなが、里にいてくれて良かったよ。なにしろオークジェネラルだからね」

 は? 今なんて言った? オークジェネラルって言わなかったか?

「前みたいに、被害が大きくならないと良いけど」

「そうね」

「さぁ、準備に戻ろうかしら。もし出ることがあればティニーは任せて!」

 そこで会話が終わり、家の中は途端に静かになった。戻ってきたレイナさんは俺を抱き上げるとリビングの方へ。そしてミルクを用意してくれて、それをいつも通り俺に飲ませてくれたんだけど。

「これからの事が決まって、この子もここでの生活に慣れようとしているのに、どうして今なのかしら。別に今じゃなければ良いってことでもないけれど。オークジェネラルなんて面倒な。……本当、このまま何処かへ行ってくれないかしらね」
 
 やっぱりオークジェネラルって言ったよな? オークジェネラルってあの? 小説に出てくるとやつと同じやつか? え? それがどうしたって?
しおりを挟む
感想 26

あなたにおすすめの小説

召喚魔法使いの旅

ゴロヒロ
ファンタジー
転生する事になった俺は転生の時の役目である瘴気溢れる大陸にある大神殿を目指して頼れる仲間の召喚獣たちと共に旅をする カクヨムでも投稿してます

幼少期に溜め込んだ魔力で、一生のんびり暮らしたいと思います。~こう見えて、迷宮育ちの村人です~

月並 瑠花
ファンタジー
※ファンタジー大賞に微力ながら参加させていただいております。応援のほど、よろしくお願いします。 「出て行けっ! この家にお前の居場所はない!」――父にそう告げられ、家を追い出された澪は、一人途方に暮れていた。 そんな時、幻聴が頭の中に聞こえてくる。 『秋篠澪。お前は人生をリセットしたいか?』。澪は迷いを一切見せることなく、答えてしまった――「やり直したい」と。 その瞬間、トラックに引かれた澪は異世界へと飛ばされることになった。 スキル『倉庫(アイテムボックス)』を与えられた澪は、一人でのんびり二度目の人生を過ごすことにした。だが転生直後、レイは騎士によって迷宮へ落とされる。 ※2018.10.31 hotランキング一位をいただきました。(11/1と11/2、続けて一位でした。ありがとうございます。) ※2018.11.12 ブクマ3800達成。ありがとうございます。

俺とシロ

マネキネコ
ファンタジー
【完結済】(全面改稿いたしました) 俺とシロの異世界物語 『大好きなご主人様、最後まで守ってあげたかった』 ゲンが飼っていた犬のシロ。生涯を終えてからはゲンの守護霊の一位(いちい)として彼をずっと傍で見守っていた。そんなある日、ゲンは交通事故に遭い亡くなってしまう。そうして、悔いを残したまま役目を終えてしまったシロ。その無垢(むく)で穢(けが)れのない魂を異世界の女神はそっと見つめていた。『聖獣フェンリル』として申し分のない魂。ぜひ、スカウトしようとシロの魂を自分の世界へ呼び寄せた。そして、女神からフェンリルへと転生するようにお願いされたシロであったが。それならば、転生に応じる条件として元の飼い主であったゲンも一緒に転生させて欲しいと女神に願い出たのだった。この世界でなら、また会える、また共に生きていける。そして、『今度こそは、ぜったい最後まで守り抜くんだ!』 シロは決意を固めるのであった。  シロは大好きなご主人様と一緒に、異世界でどんな活躍をしていくのか?

やっと買ったマイホームの半分だけ異世界に転移してしまった

ぽてゆき
ファンタジー
涼坂直樹は可愛い妻と2人の子供のため、頑張って働いた結果ついにマイホームを手に入れた。 しかし、まさかその半分が異世界に転移してしまうとは……。 リビングの窓を開けて外に飛び出せば、そこはもう魔法やダンジョンが存在するファンタジーな異世界。 現代のごくありふれた4人(+猫1匹)家族と、異世界の住人との交流を描いたハートフルアドベンチャー物語!

チート幼女とSSSランク冒険者

紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】 三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が 過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。 神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。 目を開けると日本人の男女の顔があった。 転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・ 他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・ 転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。 そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語 ※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。

田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。

けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。 日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。 あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの? ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。 感想などお待ちしております。

異世界転生!俺はここで生きていく

おとなのふりかけ紅鮭
ファンタジー
俺の名前は長瀬達也。特に特徴のない、その辺の高校生男子だ。 同じクラスの女の子に恋をしているが、告白も出来ずにいるチキン野郎である。 今日も部活の朝練に向かう為朝も早くに家を出た。 だけど、俺は朝練に向かう途中で事故にあってしまう。 意識を失った後、目覚めたらそこは俺の知らない世界だった! 魔法あり、剣あり、ドラゴンあり!のまさに小説で読んだファンタジーの世界。 俺はそんな世界で冒険者として生きて行く事になる、はずだったのだが、何やら色々と問題が起きそうな世界だったようだ。 それでも俺は楽しくこの新しい生を歩んで行くのだ! 小説家になろうでも投稿しています。 メインはあちらですが、こちらも同じように投稿していきます。 宜しくお願いします。

余命半年のはずが?異世界生活始めます

ゆぃ♫
ファンタジー
静波杏花、本日病院で健康診断の結果を聞きに行き半年の余命と判明… 不運が重なり、途方に暮れていると… 確認はしていますが、拙い文章で誤字脱字もありますが読んでいただけると嬉しいです。

処理中です...