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29.変わりのない俺、ミルバーンの進化
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「だぁぶ?」
今は、今日は大丈夫だろうか? って言ったんだ。
『どうだろうな、昨日はダメだったもんな』
『ティニー、またゴホゴホ咳しちゃったもんね』
『鼻の方にはいかなかったぁ。でも前の日の方が、もう少し上手くできてたのぉ』
やっぱりそうだよな。一昨日の方が上手くできてたよな。俺とシャインとフラフィーとラピーが話せるようになっれから2週間。あれか変わったことといえば……、うん、これと言って何もないな。
本当にみんなと話しができるようになった以外、何の変化はなく。ただ、きちんと言葉が分かるようになった事で、暇ではなくなったかな。
今までなんとなくで話していた俺達。なんとなくだとやっぱり長い会話ができなくて。ちょっと話せば黙る。ちょっと話せば黙る、って感じで、話していない事の方が多かったけど。今は寝ていないほとんどの時間、みんなで話しをしている。
おしゃべりの内容としては、そんなに難しい話しじゃなくて、自分の好きな果物は何だとか、あのご飯はまずいから、食べられるようになっても食べない方が良いよとか。
後は自分が好きな色で、もし何か自分達にプレゼントしてくれるなら、その色の物が欲しいなぁなんて、時々要求も入ってくる。これには笑ってしまった。
と、他にも色々と、たくさん話しをしたんだが、森のことも少し分かった。エルフの里があるこの森だけど、かなり広いらしくて。みんなが魔法を使わないでフラフラと端から端まで移動すると、数日かかるらしい。10日くらい。魔法を使えば半分の5日だと。
ただ使う魔法にもよるって。一瞬で移動できる魔法もあるけど、それを使うとかなり疲れるらしくて、あまり使いたくないようだ。前に使った時は元々住んでいた場所に戻ってから2日間も寝ていたらしい。
小さいみんなの魔法を使わないで移動だから、そりゃあ時間がかかるだろうけど、でも魔法を使っても3日。どれだけこの森は広いのか。
それと元々この森に住んでいる魔獣は、強い魔獣が多いいんだけど。同じ森に住んでいて、同じ種類の魔獣なのに、向こうに住んでいる魔獣は仲良くなれて、あっちに住んでいる魔獣は問答無用に攻撃してくるなんて魔獣達もいるらしく。
僕が最初にいた場所は、その中でも攻撃してくる魔獣が多い場所だったって。俺、よく生きてたな。
魔獣については、後でレイナさんやミルバーンが教えてくれることになっているから、きちんと勉強して気をつけないといけないな。
と、まぁ、色々な話しをした俺達だけど。情報を得られても、他は何も変わらなかった俺。でもある人物が、ついに進化する時がやってきた。
「さぁ、ご飯にしましょうね」
レイナさんに抱かれて1階のリビングへ。そうしてソファーに座るレイナさん。ミルクがテーブルに置かれているのに、ミルバーンがいない。今日家にいるのはミルバーンとレイナさんとエレノアさんだ。
「これは予備のミルクなの。もう少し待っていて」
レイナさんにそう言われて待つこと数分。エプロン姿のミルバーンがミルクの入っているお椀を持って入ってきた。
「ミルバーンがミルクを作ったのよ。今から私が確かめて、大丈夫ならミルバーンの作ってくれたミルクを飲みましょうね」
何だって!? ミルバーンがミルクを作った!!
『ミルバーンが作った!!』
『大変、何か変なこと起こる!?』
『逃げないとだめぇ?』
地球には、ある人がこんな珍しい行動をした、似合わない事をした、なんて時に、明日は槍が降るんじゃないか、っていうか言葉があるけど。こっちの世界でも、同じような感じで、何かとんでもない事が起こるんじゃないかって。
ミルバーンがミルクを作ってきたもんだから、それでみんなが騒ぎ始めたんだよ。いや、ミルバーンがミルクを作ってくれただけで、逃げるような事は起こらないよ。たぶん?
ミルバーンが少しムスッとしながら、ミルクをレイナさんの前に置く。レイナさんが俺をミルバーンに渡した。ミルクチェックをするためだ。
ふむ、今日の抱きかたは、今までで1番良いんじゃないか? どこも苦しくないし、痛くもない。なかなか良いんじゃないかい、ミルバーン君。
なんてふざけているけれど、ちゃんとお礼だって言っているよ。ミルバーンが夜な夜なぬいぐるみを使って、俺を抱っこする練習をしているのを知っているからな。
夜中に来て独り言を言って帰っていくやつ。あれが毎日続いていて。それをバレないように見ている俺。
ある時ミルバーンのぬいぐるみを抱く姿勢が、ピシッとなってきたんだ。そうしたらその次の日から、ミルバーンの俺を抱く時の感覚が変わった。今までは俺の体をおっかなビックリって感じで落としそうになって。その後は強く抱きすぎて、俺は締め付けられ苦しいし痛いし。
そんな感じだったのが、その姿勢が良くなった日から、だんだんと改善されてきたんだよ。そうして今日は、ほとんど不快な感じはしていない。
『ティニー、大丈夫か?』
『苦しくない? 痛くない?』
『苦しかったら言ってぇ。ぼく達が魔法でふわふわ浮かせてあげるよぉ~』
「ばぶう!!」
今のは、今日は今までで1番バッチリ、と言ったんだ。
『本当か?』
『ねぇ、やっぱり何か起こるんじゃ?』
『危ないのぉ』
だから何も起こらないよ、これくらいじゃあ。それにこれは頑張ってくれた成果なんだから。
「あら、今日は今までで1番抱きかたね。この抱きかたが毎回できるようになれば、抱く訓練は終了よ」
ほら、レイナさんもそう言ってるし。ミルバーン、毎日訓練お疲れ様。
抱くのをチェックしながら、ミルクに手を伸ばしていたレイナさん。さぁ、ミルクはどうだろう? ミルクは今までに成功した事ないんだよな。昨日は後少しって言われてたけど。このままミルクも合格を貰おう!!
今は、今日は大丈夫だろうか? って言ったんだ。
『どうだろうな、昨日はダメだったもんな』
『ティニー、またゴホゴホ咳しちゃったもんね』
『鼻の方にはいかなかったぁ。でも前の日の方が、もう少し上手くできてたのぉ』
やっぱりそうだよな。一昨日の方が上手くできてたよな。俺とシャインとフラフィーとラピーが話せるようになっれから2週間。あれか変わったことといえば……、うん、これと言って何もないな。
本当にみんなと話しができるようになった以外、何の変化はなく。ただ、きちんと言葉が分かるようになった事で、暇ではなくなったかな。
今までなんとなくで話していた俺達。なんとなくだとやっぱり長い会話ができなくて。ちょっと話せば黙る。ちょっと話せば黙る、って感じで、話していない事の方が多かったけど。今は寝ていないほとんどの時間、みんなで話しをしている。
おしゃべりの内容としては、そんなに難しい話しじゃなくて、自分の好きな果物は何だとか、あのご飯はまずいから、食べられるようになっても食べない方が良いよとか。
後は自分が好きな色で、もし何か自分達にプレゼントしてくれるなら、その色の物が欲しいなぁなんて、時々要求も入ってくる。これには笑ってしまった。
と、他にも色々と、たくさん話しをしたんだが、森のことも少し分かった。エルフの里があるこの森だけど、かなり広いらしくて。みんなが魔法を使わないでフラフラと端から端まで移動すると、数日かかるらしい。10日くらい。魔法を使えば半分の5日だと。
ただ使う魔法にもよるって。一瞬で移動できる魔法もあるけど、それを使うとかなり疲れるらしくて、あまり使いたくないようだ。前に使った時は元々住んでいた場所に戻ってから2日間も寝ていたらしい。
小さいみんなの魔法を使わないで移動だから、そりゃあ時間がかかるだろうけど、でも魔法を使っても3日。どれだけこの森は広いのか。
それと元々この森に住んでいる魔獣は、強い魔獣が多いいんだけど。同じ森に住んでいて、同じ種類の魔獣なのに、向こうに住んでいる魔獣は仲良くなれて、あっちに住んでいる魔獣は問答無用に攻撃してくるなんて魔獣達もいるらしく。
僕が最初にいた場所は、その中でも攻撃してくる魔獣が多い場所だったって。俺、よく生きてたな。
魔獣については、後でレイナさんやミルバーンが教えてくれることになっているから、きちんと勉強して気をつけないといけないな。
と、まぁ、色々な話しをした俺達だけど。情報を得られても、他は何も変わらなかった俺。でもある人物が、ついに進化する時がやってきた。
「さぁ、ご飯にしましょうね」
レイナさんに抱かれて1階のリビングへ。そうしてソファーに座るレイナさん。ミルクがテーブルに置かれているのに、ミルバーンがいない。今日家にいるのはミルバーンとレイナさんとエレノアさんだ。
「これは予備のミルクなの。もう少し待っていて」
レイナさんにそう言われて待つこと数分。エプロン姿のミルバーンがミルクの入っているお椀を持って入ってきた。
「ミルバーンがミルクを作ったのよ。今から私が確かめて、大丈夫ならミルバーンの作ってくれたミルクを飲みましょうね」
何だって!? ミルバーンがミルクを作った!!
『ミルバーンが作った!!』
『大変、何か変なこと起こる!?』
『逃げないとだめぇ?』
地球には、ある人がこんな珍しい行動をした、似合わない事をした、なんて時に、明日は槍が降るんじゃないか、っていうか言葉があるけど。こっちの世界でも、同じような感じで、何かとんでもない事が起こるんじゃないかって。
ミルバーンがミルクを作ってきたもんだから、それでみんなが騒ぎ始めたんだよ。いや、ミルバーンがミルクを作ってくれただけで、逃げるような事は起こらないよ。たぶん?
ミルバーンが少しムスッとしながら、ミルクをレイナさんの前に置く。レイナさんが俺をミルバーンに渡した。ミルクチェックをするためだ。
ふむ、今日の抱きかたは、今までで1番良いんじゃないか? どこも苦しくないし、痛くもない。なかなか良いんじゃないかい、ミルバーン君。
なんてふざけているけれど、ちゃんとお礼だって言っているよ。ミルバーンが夜な夜なぬいぐるみを使って、俺を抱っこする練習をしているのを知っているからな。
夜中に来て独り言を言って帰っていくやつ。あれが毎日続いていて。それをバレないように見ている俺。
ある時ミルバーンのぬいぐるみを抱く姿勢が、ピシッとなってきたんだ。そうしたらその次の日から、ミルバーンの俺を抱く時の感覚が変わった。今までは俺の体をおっかなビックリって感じで落としそうになって。その後は強く抱きすぎて、俺は締め付けられ苦しいし痛いし。
そんな感じだったのが、その姿勢が良くなった日から、だんだんと改善されてきたんだよ。そうして今日は、ほとんど不快な感じはしていない。
『ティニー、大丈夫か?』
『苦しくない? 痛くない?』
『苦しかったら言ってぇ。ぼく達が魔法でふわふわ浮かせてあげるよぉ~』
「ばぶう!!」
今のは、今日は今までで1番バッチリ、と言ったんだ。
『本当か?』
『ねぇ、やっぱり何か起こるんじゃ?』
『危ないのぉ』
だから何も起こらないよ、これくらいじゃあ。それにこれは頑張ってくれた成果なんだから。
「あら、今日は今までで1番抱きかたね。この抱きかたが毎回できるようになれば、抱く訓練は終了よ」
ほら、レイナさんもそう言ってるし。ミルバーン、毎日訓練お疲れ様。
抱くのをチェックしながら、ミルクに手を伸ばしていたレイナさん。さぁ、ミルクはどうだろう? ミルクは今までに成功した事ないんだよな。昨日は後少しって言われてたけど。このままミルクも合格を貰おう!!
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