エリアスとドラゴンともふもふは、今日も元気に遊んでいます!?

ありぽん

文字の大きさ
上 下
59 / 72

57アスールの話

しおりを挟む
 オーク達の力は、我の思っている以上のものだった。もう少し奴らを消せると思っていたのだが。しかも一瞬のスキを突かれ、城に攻撃され、ムーとエリアス達が遠くへ飛ばされることに。まったく我としたことが。

 やはりシューを付けておいて良かった。気配からムー達が無事なのが分かり、そして少ししてムー達の気配が、城の方へと動き始めホッとした。それと同時に、奴の気配がムー達の方へ向って行き。

 やつの気配は我が良く知っているものだった。奴とはまだムーが生まれるずっと前、もう何百年と前からの知り合い。大地の精霊アスール。森に住んでいた時はよく奴のイタズラに悩まされたが、良き友人だった。ムーの命を授かってからは、我もムーに付きっきりだったため、会えていなかったが。

 逃げて来た魔獣達の話と、オーク達が現れた方角から、我の住んでいた森に何か原因があり、オーク達が暴れだしたのは分かっていた。しかしアスールは小さいといえ、大地の精霊。そこら辺の魔獣達になどレベルが違う。きっと逃げて無事だと思っていたが。

 戦いが始まり何となくだが、オーク達が集まっている中心、闇の力の中からアスールの気配を感じ、なぜ奴らの所にと。早く助けてやらねばと、周りの敵を倒しながら、アスールの周りの敵も倒していった。

 するとアスールの周の敵が減ってくると、闇の力の中からアスールの力が強く感じられるようになり、もう1回闇の力を攻撃すれば、アスールが闇の中から飛び出してきた。飛び出したと同時に、また一瞬で闇の力が戻ってしまったが、アスールを助けることが出来て良かった。

 そのうちオーク達の攻撃により、城は破壊されムー達が飛ばされてしまったのだが。それを追いかけるアスールの気配が。アスールはシューのことも知っていたからな。安全な方のシューの方へ行ったのだろう。
 
 そしてすれ違うアスール。まったく何をやっているんだと思っていれば、シューが戻りそして合流した。
 城まで戻り、中に入ったのを確認すると、我は周りの確認をしてから城に戻った。話をするなら、オーク達の攻撃が止まっている、このわずかな時間しかない。なるべく大事な話だけ、まとめて話してもらわなければ。

 そして今この状況だ。アスールに何故ここに居るのか、森で何があったのか。すると奴は確実とは言えないが、止める方法があるかもしれないと。

「森でそんな事が?」

「俺は気づかなかったぞ」

「まぁ、近くに居た僕だからね。一瞬だったもん。シュー達は闇の力が突然溢れだしたって、感じただけだと思うよ。原因まで分かる時間なかったよ」

 何千年前、俺が知る前からそこにあった、石に刻まれた陣が原因だったとは。

 我が住んでいた森には、我が住み着く前から、勿論アスール達が住み着く前から、ある物が森の湖の近くに建てられていた。それは大きな石で、その古さから何千年も前から、そこにあったと分かるくらいの石で。

 そしてその石には、ある模様が刻まれていた。模様というか、陣と言った方が良いだろう。誰もその陣について知る者はおらず、ずっと監視していても何も起きなかったため、そのうち誰も気にしなくなった。
 それでも我とシュー、アスール、その他に何匹か魔獣が時々、陣を確認しに行ってたのだが、それも何百年もたてばやらなくなってしまったのだが。

 ところがあの日、闇の力が溢れだした時、たまたまその石の近くに居たアスール。オーク達が集まって来ていたのが気になり様子を見に行っていたらしいのだが。石の前にはただのオークだけではなく、オークキングまでもがいて、石に向って何かしていたと。
 そしてオークキングの動きが止まったとたん、石の魔法陣が光りだし、闇の力が溢れ出て、オーク達に力を与えたらしい。それはオーク達を追いかけて来たトロール達にも広がり。

 そのことを見たアスール。我に知らせに来ようとしたらしいのだが、すぐに溢れだした闇に捕まり、奴らに囚われたまま、ここまで連れてこられてしまった。だが、何か不思議な力と、我が攻撃したことで闇の力が薄くなり、それで逃げる事が出来たらしい。

 不思議な力…。その力を追ってムー達の所まで向かったアスール。その不思議な力はエリアスのものだった。

『それでさ、僕の考えなんだけど。僕の考えがあってたら、エリアスとムー達で、あの石破壊できると思うんだよね』

「どういう事だ?」

『僕が闇から助けてもらったとき、闇の力がとっても嫌がっているように感じたんだ。こう避けるような、近づきたくないっていうような』

 だからムー達にあの石の所へ行き、石を破壊してほしいと。そうすれば闇の力は止まり、石から力を受け取って暴れているオーク達を元の奴らに戻し、倒すことができるのではないか、と話してきた。

『もし破壊できなくても、あれだけ闇の力が嫌がってるんだもん。これ以上力を溢れさせないようにするくらい、出来ると思うんだよね。まぁ、僕の考えだから、本当にそれが出来るか分かんないけど。でも何もしないままよりは良いでしょう?』

 なるほど、アスールの考えは当たっているかもしれない。どちらにしろ原因を排除しなければ、戦いが長引き犠牲が増え、そして最後には…。

 我はシューとヴィック達と話をすることにした。石の所へ向かうのならば早く話をまとめ、すぐにでもここを出発しなければ。
しおりを挟む
感想 72

あなたにおすすめの小説

元捨て子の新米王子様、今日もお仕事頑張ります!

藤なごみ
ファンタジー
簡易説明 転生前も転生後も捨て子として育てられた少年が、大きく成長する物語です 詳細説明 生まれた直後に病院に遺棄されるという運命を背負った少年は、様々な境遇の子どもが集まった孤児院で成長していった。 そして孤児院を退寮後に働いていたのだが、本人が気が付かないうちに就寝中に病気で亡くなってしまいす。 そして再び少年が目を覚ますと、前世の記憶を持ったまま全く別の世界で新たな生を受ける事に。 しかし、ここでも再び少年は生後直ぐに遺棄される運命を辿って行く事になります。 赤ん坊となった少年は、果たして家族と再会する事が出来るのか。 色々な視点が出てきて読みにくいと思いますがご了承ください。 家族の絆、血のつながりのある絆、血のつながらない絆とかを書いて行く予定です。 ※小説家になろう様でも投稿しております

聖女として召還されたのにフェンリルをテイムしたら追放されましたー腹いせに快適すぎる森に引きこもって我慢していた事色々好き放題してやります!

ふぃえま
ファンタジー
「勝手に呼び出して無茶振りしたくせに自分達に都合の悪い聖獣がでたら責任追及とか狡すぎません? せめて裏で良いから謝罪の一言くらいあるはずですよね?」 不況の中、なんとか内定をもぎ取った会社にやっと慣れたと思ったら異世界召還されて勝手に聖女にされました、佐藤です。いや、元佐藤か。 実は今日、なんか国を守る聖獣を召還せよって言われたからやったらフェンリルが出ました。 あんまりこういうの詳しくないけど確か超強いやつですよね? なのに周りの反応は正反対! なんかめっちゃ裏切り者とか怒鳴られてロープグルグル巻きにされました。 勝手にこっちに連れて来たりただでさえ難しい聖獣召喚にケチつけたり……なんかもうこの人たち助けなくてもバチ当たりませんよね?

簡単に聖女に魅了されるような男は、捨てて差し上げます。~植物魔法でスローライフを満喫する~

Ria★発売中『簡単に聖女に魅了〜』
ファンタジー
ifルート投稿中!作品一覧から覗きに来てね♪ 第15回ファンタジー小説大賞 奨励賞&投票4位 ありがとうございます♪ ◇ ◇ ◇  婚約者、護衛騎士・・・周りにいる男性達が聖女に惹かれて行く・・・私よりも聖女が大切ならもう要らない。 【一章】婚約者編 【二章】幼馴染の護衛騎士編 【閑話】お兄様視点 【三章】第二王子殿下編 【閑話】聖女視点(ざまぁ展開) 【四章】森でスローライフ 【閑話】彼らの今 【五章】ヒーロー考え中←決定(ご協力ありがとうございます!)  主人公が新しい生活を始めるのは四章からです。  スローライフな内容がすぐ読みたい人は四章から読むのをおすすめします。  スローライフの相棒は、もふもふ。  各男性陣の視点は、適宜飛ばしてくださいね。  ◇ ◇ ◇ 【あらすじ】  平民の娘が、聖属性魔法に目覚めた。聖女として教会に預けられることになった。  聖女は平民にしては珍しい淡い桃色の瞳と髪をしていた。  主人公のメルティアナは、聖女と友人になる。  そして、聖女の面倒を見ている第二王子殿下と聖女とメルティアナの婚約者であるルシアンと共に、昼食を取る様になる。  良好だった関係は、徐々に崩れていく。  婚約者を蔑ろにする男も、護衛対象より聖女を優先する護衛騎士も要らない。  自分の身は自分で守れるわ。  主人公の伯爵令嬢が、男達に別れを告げて、好きに生きるお話。  ※ちょっと男性陣が可哀想かも  ※設定ふんわり  ※ご都合主義  ※独自設定あり

【完結】政略結婚をしたらいきなり子持ちになりました。義娘が私たち夫婦をニヤニヤしながら観察してきます。

水都 ミナト
恋愛
私たち夫婦は祖父同士が決めた政略結婚だ。 実際に会えたのは王都でのデビュタントだけで、それ以外は手紙で長らく交流を重ねてきた。 そんなほぼ初対面にも等しき私たちが結婚して0日目。私たちに娘ができた。 事故で両親を亡くした遠い親戚の子を引き取ることになったのだ。 夫婦としてだけでなく、家族としてもお互いのことを知っていかねば……と思っていたら、何やら義娘の様子がおかしくて――? 「推しカプ最高」って、なんのこと? ★情緒おかしめの転生幼女が推しカプ(両親)のバッドエンド回避のため奔走するハイテンション推し活コメディです ★短編版からパワーアップしてお届け。第一話から加筆しているので、短編版をすでにご覧の方も第一話よりお楽しみいただけます!

髪の色は愛の証 〜白髪少年愛される〜

あめ
ファンタジー
髪の色がとてもカラフルな世界。 そんな世界に唯一現れた白髪の少年。 その少年とは神様に転生させられた日本人だった。 その少年が“髪の色=愛の証”とされる世界で愛を知らぬ者として、可愛がられ愛される話。 ⚠第1章の主人公は、2歳なのでめっちゃ拙い発音です。滑舌死んでます。 ⚠愛されるだけではなく、ちょっと可哀想なお話もあります。

転生することになりました。~神様が色々教えてくれます~

柴ちゃん
ファンタジー
突然、神様に転生する?と、聞かれた私が異世界でほのぼのすごす予定だった物語。 想像と、違ったんだけど?神様! 寿命で亡くなった長島深雪は、神様のサーヤにより、異世界に行く事になった。 神様がくれた、フェンリルのスズナとともに、異世界で妖精と契約をしたり、王子に保護されたりしています。そんななか、誘拐されるなどの危険があったりもしますが、大変なことも多いなか学校にも行き始めました❗ もふもふキュートな仲間も増え、毎日楽しく過ごしてます。 とにかくのんびりほのぼのを目指して頑張ります❗ いくぞ、「【【オー❗】】」 誤字脱字がある場合は教えてもらえるとありがたいです。 「~紹介」は、更新中ですので、たまに確認してみてください。 コメントをくれた方にはお返事します。 こんな内容をいれて欲しいなどのコメントでもOKです。 2日に1回更新しています。(予定によって変更あり) 小説家になろうの方にもこの作品を投稿しています。進みはこちらの方がはやめです。 少しでも良いと思ってくださった方、エールよろしくお願いします。_(._.)_

野草から始まる異世界スローライフ

深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。 私ーーエルバはスクスク育ち。 ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。 (このスキル使える)   エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。 エブリスタ様にて掲載中です。 表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。 プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。 物語は変わっておりません。 一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。 よろしくお願いします。

次は幸せな結婚が出来るかな?

キルア犬
ファンタジー
バレンド王国の第2王女に転生していた相川絵美は5歳の時に毒を盛られ、死にかけたことで前世を思い出した。 だが、、今度は良い男をついでに魔法の世界だから魔法もと考えたのだが、、、解放の日に鑑定した結果は使い勝手が良くない威力だった。

処理中です...