38 / 72
36話し合い(ヱン様視点)
しおりを挟む
「まさかそんな!?」
「ワイバーンたちだけではない。もうすぐ他の地上の生き物達もやって来る」
我が話をすると、広間に大きな騒ぎが起こった。あちこちで、そんなはずはない、他の街からの報告は!どうして今までで誰も気づかなかった!
煩いことといったら。まぁ、その気持ちも分からなくないが、何故他人任せな言葉ばかりなのだ。
騒いでいる間に少々観察してみる。すると騒いでいる人間達の中に、静かに部下だろうか、指示を出している者達がいた。そして隣を見ると、静かに立ち、しかしこれからの事を考えているのだろう、戦う意思が感じる、国王を見つめるグロリアの姿が。
さらに国王の方を見れば、国王も騒いでいる者達には目もくれず、数人の者達に指示を出している。
なるほど、使える人間がこれで分かった。騒いでいる人間はあまり役にたたんという事だな。
しっかりと状況を把握している者達は反応が違う。今自分がやらなければいけない事が分かっていて、そのために行動している。
「静まれ!!」
国王が大きな声で叫ぶと、一瞬で広間の中が静かになった。
「これから呼ばれた者はここに残れ!後の者達は呼ばれるまで各自の仕事に専念せよ!!」
国王の隣に立っていた男が、次々に名前を呼んでいく。やはり我の考えは間違っていなかったようだ。呼ばれた人間たちが頭を下げるのだが、その者達は先程、静かに部下に指示していた者たちだった。
「今呼ばれた者以外はすぐにここから退場せよ!!」
名前を読み上げた男がそう言うと、不安そうな表情をした者達が広間から出ていく。
「では移動いたしましょう」
我らが次に行った部屋は、そうだな、エリアス達が今使っている部屋と同じくらいの部屋だった。大きなテーブルと椅子が何個も置いてあり、各自椅子に座って行く。我とグロリアはテーブルの狭い方、椅子が3つ置いてある所へ。
少しすると、国王が部屋へ入ってきた。それと同時に皆が立ち上がりお辞儀をする。我は座ったままだが、何故この者達は、立ったり座ったりするのだ?
不思議に思っていると、国王が反対のテーブルの狭い方の、3つ置かれている椅子の真ん中に座り、国王が手を上げると皆が座った。だから何故すぐに座るのだ?今立ったではないか。
そしてここから話し合いが始まった。今奴らがどの辺りにいて、どの位の規模なのか。それを止めるために戦力がどの位必要なのかなど。我が話している間、皆何も言わずに静かに我の話を聞いていた。
「そんな規模のオークとトロールの群れが」
「知らせがなかたのは、逃げられた者達が居なかったからか」
皆が我の方を見る。
「奴らが通ったあとには何も残らん。おそらく誰も何も生きていないだろう。生きていたとしても、今どうなっているか。もちろん街もなくなっておろう」
我がそう言った瞬間、グロリアの体がぴくっと動いた。そんなグロリアをチラッと見た後、また話を進める。
今外に居るワイバーンやアースドラゴ達はこれから我と一緒に戦う事。おそらくこれからここに来る、地上の者達とも話し合い一緒に戦う事になる事。
そしてまだ完全に分かったわけではないが、おそらく我でも考えられな、予想外のことが起きているであろうことを話す。
「それはとてもありがたい。が、それならば、魔獣達を攻撃しないように兵達に言わなければ」
「大丈夫だろう、今頃ドラゴン達が上手くやっているはずだ。ドラゴン騎士を使ってな」
国王は頷くと、後で地上の者達が来たときに、戦略については話し合おうという事になった。下手に人間が我らの周りで戦えば、我らが動くのに邪魔になり、本来の力が出せないことがあるかもしれない。何しろ我々と人間では、力も動きも全然違うからな。
もし我が本気で攻撃したとき、近くに人間がいたら、オーク達と一緒に遥か彼方まで飛ばしてしまうか、一緒に殺してしまうかもしれん。
後は我と一緒に戦うのはここに居るドラゴン達や、人間か契約した魔獣ではない。我のいう事は聞いてくれるだろうが、人間とは上手く動けるか。そこでもめ事が起こる可能性もある。戦いが始まれば、そんなもめ事をしている場合ではない。まぁ、エリアスなら、どんな魔獣でも仲良くなれそうだがな。
今頃、フラワーバードと仲良くしているころだろう。ふむ、お互いが魅かれ合っているのならば、契約に手を貸そうか。
それからも話し合いは続き、いったん皆が部屋を後にすることになった。皆が外へ出ていくなか、部屋には我とグロリア、国王と国王の側に1人の男が残る。男の名前はテオリウス。ライオネルと同じような存在らしい。
「ヱン様が居てくださり、何と運の良かったことか」
「私が守りたいのは息子のムーとエリアスとその家族だ。それだけは覚えておけ。守るのはついでだ。ムー達が好きな場所を守ろうとしているだけだ。それと、地上の者達と話をしたあと、少々出かけてくる。何半日もあればすぐに帰って来る。奴らの進むスピードは遅いからな。ああ、お前達も準備をする時間はたっぷりあるぞ」
我はそれだけ言うと、グロリアを連れて部屋を出た。そして、
「グロリア、話をしたらヴィック達の様子を見てこよう」
そう言うと、グロリアは驚いた顔をしていた。
「ワイバーンたちだけではない。もうすぐ他の地上の生き物達もやって来る」
我が話をすると、広間に大きな騒ぎが起こった。あちこちで、そんなはずはない、他の街からの報告は!どうして今までで誰も気づかなかった!
煩いことといったら。まぁ、その気持ちも分からなくないが、何故他人任せな言葉ばかりなのだ。
騒いでいる間に少々観察してみる。すると騒いでいる人間達の中に、静かに部下だろうか、指示を出している者達がいた。そして隣を見ると、静かに立ち、しかしこれからの事を考えているのだろう、戦う意思が感じる、国王を見つめるグロリアの姿が。
さらに国王の方を見れば、国王も騒いでいる者達には目もくれず、数人の者達に指示を出している。
なるほど、使える人間がこれで分かった。騒いでいる人間はあまり役にたたんという事だな。
しっかりと状況を把握している者達は反応が違う。今自分がやらなければいけない事が分かっていて、そのために行動している。
「静まれ!!」
国王が大きな声で叫ぶと、一瞬で広間の中が静かになった。
「これから呼ばれた者はここに残れ!後の者達は呼ばれるまで各自の仕事に専念せよ!!」
国王の隣に立っていた男が、次々に名前を呼んでいく。やはり我の考えは間違っていなかったようだ。呼ばれた人間たちが頭を下げるのだが、その者達は先程、静かに部下に指示していた者たちだった。
「今呼ばれた者以外はすぐにここから退場せよ!!」
名前を読み上げた男がそう言うと、不安そうな表情をした者達が広間から出ていく。
「では移動いたしましょう」
我らが次に行った部屋は、そうだな、エリアス達が今使っている部屋と同じくらいの部屋だった。大きなテーブルと椅子が何個も置いてあり、各自椅子に座って行く。我とグロリアはテーブルの狭い方、椅子が3つ置いてある所へ。
少しすると、国王が部屋へ入ってきた。それと同時に皆が立ち上がりお辞儀をする。我は座ったままだが、何故この者達は、立ったり座ったりするのだ?
不思議に思っていると、国王が反対のテーブルの狭い方の、3つ置かれている椅子の真ん中に座り、国王が手を上げると皆が座った。だから何故すぐに座るのだ?今立ったではないか。
そしてここから話し合いが始まった。今奴らがどの辺りにいて、どの位の規模なのか。それを止めるために戦力がどの位必要なのかなど。我が話している間、皆何も言わずに静かに我の話を聞いていた。
「そんな規模のオークとトロールの群れが」
「知らせがなかたのは、逃げられた者達が居なかったからか」
皆が我の方を見る。
「奴らが通ったあとには何も残らん。おそらく誰も何も生きていないだろう。生きていたとしても、今どうなっているか。もちろん街もなくなっておろう」
我がそう言った瞬間、グロリアの体がぴくっと動いた。そんなグロリアをチラッと見た後、また話を進める。
今外に居るワイバーンやアースドラゴ達はこれから我と一緒に戦う事。おそらくこれからここに来る、地上の者達とも話し合い一緒に戦う事になる事。
そしてまだ完全に分かったわけではないが、おそらく我でも考えられな、予想外のことが起きているであろうことを話す。
「それはとてもありがたい。が、それならば、魔獣達を攻撃しないように兵達に言わなければ」
「大丈夫だろう、今頃ドラゴン達が上手くやっているはずだ。ドラゴン騎士を使ってな」
国王は頷くと、後で地上の者達が来たときに、戦略については話し合おうという事になった。下手に人間が我らの周りで戦えば、我らが動くのに邪魔になり、本来の力が出せないことがあるかもしれない。何しろ我々と人間では、力も動きも全然違うからな。
もし我が本気で攻撃したとき、近くに人間がいたら、オーク達と一緒に遥か彼方まで飛ばしてしまうか、一緒に殺してしまうかもしれん。
後は我と一緒に戦うのはここに居るドラゴン達や、人間か契約した魔獣ではない。我のいう事は聞いてくれるだろうが、人間とは上手く動けるか。そこでもめ事が起こる可能性もある。戦いが始まれば、そんなもめ事をしている場合ではない。まぁ、エリアスなら、どんな魔獣でも仲良くなれそうだがな。
今頃、フラワーバードと仲良くしているころだろう。ふむ、お互いが魅かれ合っているのならば、契約に手を貸そうか。
それからも話し合いは続き、いったん皆が部屋を後にすることになった。皆が外へ出ていくなか、部屋には我とグロリア、国王と国王の側に1人の男が残る。男の名前はテオリウス。ライオネルと同じような存在らしい。
「ヱン様が居てくださり、何と運の良かったことか」
「私が守りたいのは息子のムーとエリアスとその家族だ。それだけは覚えておけ。守るのはついでだ。ムー達が好きな場所を守ろうとしているだけだ。それと、地上の者達と話をしたあと、少々出かけてくる。何半日もあればすぐに帰って来る。奴らの進むスピードは遅いからな。ああ、お前達も準備をする時間はたっぷりあるぞ」
我はそれだけ言うと、グロリアを連れて部屋を出た。そして、
「グロリア、話をしたらヴィック達の様子を見てこよう」
そう言うと、グロリアは驚いた顔をしていた。
1
お気に入りに追加
1,557
あなたにおすすめの小説
絶望?いえいえ、余裕です! 10年にも及ぶ婚約を解消されても化物令嬢はモフモフに夢中ですので
ハートリオ
恋愛
伯爵令嬢ステラは6才の時に隣国の公爵令息ディングに見初められて婚約し、10才から婚約者ディングの公爵邸の別邸で暮らしていた。
しかし、ステラを呼び寄せてすぐにディングは婚約を後悔し、ステラを放置する事となる。
異様な姿で異臭を放つ『化物令嬢』となったステラを嫌った為だ。
異国の公爵邸の別邸で一人放置される事となった10才の少女ステラだが。
公爵邸別邸は森の中にあり、その森には白いモフモフがいたので。
『ツン』だけど優しい白クマさんがいたので耐えられた。
更にある事件をきっかけに自分を取り戻した後は、ディングの執事カロンと共に公爵家の仕事をこなすなどして暮らして来た。
だがステラが16才、王立高等学校卒業一ヶ月前にとうとう婚約解消され、ステラは公爵邸を出て行く。
ステラを厄介払い出来たはずの公爵令息ディングはなぜかモヤモヤする。
モヤモヤの理由が分からないまま、ステラが出て行った後の公爵邸では次々と不具合が起こり始めて――
奇跡的に出会い、優しい時を過ごして愛を育んだ一人と一頭(?)の愛の物語です。
異世界、魔法のある世界です。
色々ゆるゆるです。
悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。
向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。
それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない!
しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。
……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。
魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。
木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
亡国の系譜と神の婚約者
仁藤欣太郎
ファンタジー
二十年前に起こった世界戦争の傷跡も癒え、世界はかつてない平和を享受していた。
最果ての島イールに暮らす漁師の息子ジャンは、外の世界への好奇心から幼馴染のニコラ、シェリーを巻き込んで自分探しの旅に出る。
ジャンは旅の中で多くの出会いを経て大人へと成長していく。そして渦巻く陰謀、社会の暗部、知られざる両親の過去……。彼は自らの意思と無関係に大きな運命に巻き込まれていく。
☆本作は小説家になろう、マグネットでも公開しています。
☆挿絵はみずきさん(ツイッター: @Mizuki_hana93)にお願いしています。
☆ノベルアッププラスで最新の改稿版の投稿をはじめました。間違いの修正なども多かったので、気になる方はノベプラ版をご覧ください。こちらもプロの挿絵付き。
【完結】もう結構ですわ!
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
恋愛
どこぞの物語のように、夜会で婚約破棄を告げられる。結構ですわ、お受けしますと返答し、私シャルリーヌ・リン・ル・フォールは微笑み返した。
愚かな王子を擁するヴァロワ王家は、あっという間に追い詰められていく。逆に、ル・フォール公国は独立し、豊かさを享受し始めた。シャルリーヌは、豊かな国と愛する人、両方を手に入れられるのか!
ハッピーエンド確定
【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/11/29……完結
2024/09/12……小説家になろう 異世界日間連載 7位 恋愛日間連載 11位
2024/09/12……エブリスタ、恋愛ファンタジー 1位
2024/09/12……カクヨム恋愛日間 4位、週間 65位
2024/09/12……アルファポリス、女性向けHOT 42位
2024/09/11……連載開始
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
ひめさまはおうちにかえりたい
あかね
ファンタジー
政略結婚と言えど、これはない。帰ろう。とヴァージニアは決めた。故郷の兄に気に入らなかったら潰して帰ってこいと言われ嫁いだお姫様が、王冠を手にするまでのお話。(おうちにかえりたい編)
転生することになりました。~神様が色々教えてくれます~
柴ちゃん
ファンタジー
突然、神様に転生する?と、聞かれた私が異世界でほのぼのすごす予定だった物語。
想像と、違ったんだけど?神様!
寿命で亡くなった長島深雪は、神様のサーヤにより、異世界に行く事になった。
神様がくれた、フェンリルのスズナとともに、異世界で妖精と契約をしたり、王子に保護されたりしています。そんななか、誘拐されるなどの危険があったりもしますが、大変なことも多いなか学校にも行き始めました❗
もふもふキュートな仲間も増え、毎日楽しく過ごしてます。
とにかくのんびりほのぼのを目指して頑張ります❗
いくぞ、「【【オー❗】】」
誤字脱字がある場合は教えてもらえるとありがたいです。
「~紹介」は、更新中ですので、たまに確認してみてください。
コメントをくれた方にはお返事します。
こんな内容をいれて欲しいなどのコメントでもOKです。
2日に1回更新しています。(予定によって変更あり)
小説家になろうの方にもこの作品を投稿しています。進みはこちらの方がはやめです。
少しでも良いと思ってくださった方、エールよろしくお願いします。_(._.)_
「本当に僕の子供なのか検査して調べたい」子供と顔が似てないと責められ離婚と多額の慰謝料を請求された。
window
恋愛
ソフィア伯爵令嬢は公爵位を継いだ恋人で幼馴染のジャックと結婚して公爵夫人になった。何一つ不自由のない環境で誰もが羨むような生活をして、二人の子供に恵まれて幸福の絶頂期でもあった。
「長男は僕に似てるけど、次男の顔は全く似てないから病院で検査したい」
ある日ジャックからそう言われてソフィアは、時間が止まったような気持ちで精神的な打撃を受けた。すぐに返す言葉が出てこなかった。この出来事がきっかけで仲睦まじい夫婦にひびが入り崩れ出していく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる