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8あの日の出来事とこれからの話
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エリアス達がエンシェントドラゴンから離れ、花壇の方へと、ムーちゃんと名付けられたドラゴンの子供と手を繋ぎながら歩いて行く。人間の姿へと変身したエシェットドラゴンが我々の方に歩いて来た。
すぐに私はドラゴンに対する挨拶をした。もちろんそこにいた全員だ。
『頭を上げろ。今回は我が自ら話をしに来たのだ。そんなにかしこまらないでも良い。が、お前達の子供達はきちんとお前達を見習い、ちゃんと挨拶ができている。とても良いことだ。と、ちなみに我のことはエンと呼べ。呼び方があった方が楽であろう』
エンシェントドラゴン改めエン様は、子供達の方を見ながらニコニコと笑っている。ちょうどラッセル達がムーに挨拶をしているところだった。
『さて、話を始めるか』
皆で席に着き、エン様が静かに話し始めた。
『まず初めに言っておくが、あの子供エリアスは、おそらく今この世界の中で1番きれいな魔力を体に宿している。エリアスがこの世界に生まれた事で、私の世界は何千ぶりに動き始めたのだ』
エン様の言葉にグロリアが息を呑みエリアスの方を見た。そしてそのあとエン様が話す話に、私達は驚く事しか出来なかった。
エン様はエリアスが生まれた瞬間から、エリアスの存在を感じ、人間にバレないようにエリアスのことを見守っていたというのだ。そしてあの事件現場にも隠れて様子を見ていたと。
『エリアスはケイルトンという街の、確かフーバーという名前の騎士の子供として生まれた』
ケトルトンのフーバー…あの騎士団長か!? 皆も気づいたらしい。ケトルトンのフーバーといえば騎士から絶大な信頼を得ていた騎士団長だった。だったというのは彼は4年前に死んでいるからだ。フーバーだけではない。屋敷の人間全員が4年前、不自然な死を遂げていた。
彼が死んだ時、あれだけ騎士から信頼を受けていた彼の屋敷から、犯罪組織の闇ギルドとの繋がりを示す証拠がたくさん出てきたため、首都トラッシュから調査が入った。
たしかに証拠だけならば彼が黒と言えるのだが、その証拠が隠されていた場所や、わざわざ見つかるように隠されていたため、本当に彼が犯罪に関わっているのか断定できなかった。そう、彼は誰かにはめられたのでは、という可能性も残っていた。
長く行われた調査は結局、証拠不十分で真実がわからないまま、調査は打ち切られてしまったのだ。
だが彼は結婚していなかったはず。結婚していないのになぜエリアスが?
『確かなんと言っていたか? 相手の女の名前はタニアと言ったか? タニアはフーバーの屋敷で働く召使だ』
そうか。確かフーバーの父親は世間体をかなり重要視する親だったはず。召使とそういう事になったとなれば。父親が黙っていなかっただろう。それで表向きは独身のフリをしていたか?
まぁそんな事は良いのだが、と続けるエン様。どうでも良い訳ではないのだが…。
『ある日の夜中。我はいつものように屋敷にエリアスの様子を見に行っていた。しかしその日はいつもと違ってフーバー達は寝ておらず、旅の格好をしたタニアがエリアスを抱き、フーバーと何かを話していた』
話によると、何かを解決したすぐに迎えに行くと、タニアに話していたらしい。それまではフーバーの頼れる、その人物は誰だか忘れたらしいが、その人物の所に身を隠せと。
フーバーが2人にキスをし、タニアとエリアスを乗せた馬車は走り出した。
『我も様子がおかしいと思い、エリアスを追おうとしたのだが、我の方で身問題が起きてな。それで少しの間エリアス達から離れてしまった。そしてあの事件は起こった。タニア達が向かった先に、たまたま盗賊達が待ち伏せをしていたのだ』
エン様が気がついたときには、エリアス達が盗賊に襲われた後で、エン様はエリアスの所へと急いだ。そして奇跡的に生きていたエリアスを回復させた。
そして回復が終わったとき、私が部下を引き連れて、エリアスの元へと現れた、という事らしい。
「じゅあ、あの時、エリアスがほとんど怪我もなく元気だったのは」
『盗賊に襲われて気絶し、奴らに見つからなかったのは本当に運が良かった』
「しかしなぜ、エン様はエリアスを」
少しの間黙ったエン様は、チラリとエリアスとムーの方を見た。そしてまた静かに話し始めた。
『これは他言無用だ。話せばお前達が、いやこの国がなくなると思え。ふむ、この世界を全て消してしまうか』
エン様の言葉に全員に緊張が走る。そんなに大変な話なのか?
『まずは話さないと約束しろ。それが出来なければ、我は今すぐエリアス達を連れ、ここから離れる。育てるのには苦労するかもしれんが仕方がない』
そう言ったエン様の言葉にすぐに反応したのはグロリアだった。
「私は約束いたします。絶対に他言いたしません。エリアスのためならばなんだってします!」
それに続き私も約束する。
「私も同様です。エリアスは私達の大事な大事な息子です。エン様のいう通りにいたします」
エン様が頷き、それから陛下や他の皆を見渡す。皆が頷きもう1度頭を下げた。
『よし、では話すとしよう。我の命はもうそう長くはもたん。とは言ってもお前達の感覚からすれば、まだあと10年くらいは大丈夫だが。我からしたら10年はとても短いものだ』
まさかの衝撃的な言葉から始まった。
何千年と生きてきたエン様の寿命が近づいてるというのだ。それに気がつきした時、エン様は魔力を集め、そしてそれは成功し1つの卵が生まれた。それがムーの卵だったらしい。
そして卵が生まれて数年後、ある街で1人の子供が生まれた。それがエリアスだった。エリアスが誕生した瞬間、太陽のように暖かかく輝く光が、エリアスを中心に世界へと広がったらしい。
それに気づいたエン様は、これからどれくらい生きられるか分からない自分よりも、エリアスに自分の子供ムーを託そうと決めた。エリアスならばムーを導いてくれると。
それからはちょくちょくエリアスの様子を屋敷に見に行っていたのだが、あのエリアスが屋敷から何故か逃げた日、卵の中のムーの様子があまり良くなく、すぐに卵の所に戻り世話をしていた所に、あの事件が起きてしまった。
『あの時はただでさえ少ない寿命がさらに縮んだ気がしたぞ』
私のもとで暮らし始めたエリアスの様子を、変わらずに確認しに来ていたエン様。
あの事件から何事もなく育ったエリアスの3歳の誕生日の日、エン様はこれから生まれてくるムーが最初の契約魔獣となるのは流石に無理かと、慣れてもらおうとプレゼントを用意した。それがぷるとウルだった。
エン様は自分の魔力とエリアスのまだ芽生えていない魔力を混ぜ、エリアスにぷるとウルと契約を行ったのだ。
「あの日突然ルーファスが魔獣が現れたと騒いだのは」
「途中まで我が結界を張っていたからな。解いた瞬間、突然現れたように感じたのだろう」
まさかそんな事をしていたとは。驚く私の隣をグロリアが前に出てくると、突然エン様を怒り始めた。
「なんて危ない事をなさるのですか! エリアスはまだ魔力が使えるとされる年齢になっていないのですよ。それを無理やり魔力を使わせるなど、エリアスに何かあったらどうするおつもりだったのですか!!」
『いや、それは我がやるのだから危険は…』
「そんなの分からないではありませんか! エンシェントドラゴンともあろうお方が、何をなさっているのです! だいたいあなたは…」
グロリアの説教が止まらなくなってしまった。最初はいろいろ言い訳をしていたエン様だったが、次第に声が小さくなり、最後にはしょんぼりと肩を落とし、グロリアの説教を聞いていた。
流石に止めに入ったが、エン様は小さな声でグロリアに謝り、はぁとため息をついていた。
『話を戻すが、ここからが本題だ。この後ムーが育ち、エリアスと共にドラゴン騎士になるのも、冒険者になるのも、自由に暮らすのも、それはムー達に任せようと思っている。が、お前達の考えで国を守らせようと、ムー達を誘導するような真似はするな』
それから国に縛り付ける事もするなと。必ずムーやエリアス達の自由にさせるように。おそらくムー達が大きくなり、将来の事を決めるまでには、エン様も生きておられるため、もし約束を違えれば先程言ったと同様、国を滅ぼすと。
ならば大きくなってからムーが大きくなってから、エリアスと引き合わせても良かったのでは? と思った。エリアスのその1番綺麗だという魔力が、完全に目覚めてからでも良かったはず。子供は7歳になれば自然と魔力が目覚めるのだから。
そうエン様に聞けば、
『ムーは我の初めての息子。育て方がイマイチ分からん。お前達の所にいるドラゴン達に教育を頼みたいのだ』
それが2番目の理由だと。自分で育てる自信がないと聞いて、グロリアの視線がエン様に突き刺さる。その視線にエン様は少し慌てながら、1番の理由を話てきた。
エリアスの近くにいるだけでムーは、まだエリアスが力に目覚めていなくても、自然とその内に秘めた力を受け取る事ができ、その力はムーにとって素晴らしい物になるのだと。
『教育とはどのような?』
陛下のケイトルスがそう聞いた時だった。後ろの方で大きな炎が上がった。
すぐに私はドラゴンに対する挨拶をした。もちろんそこにいた全員だ。
『頭を上げろ。今回は我が自ら話をしに来たのだ。そんなにかしこまらないでも良い。が、お前達の子供達はきちんとお前達を見習い、ちゃんと挨拶ができている。とても良いことだ。と、ちなみに我のことはエンと呼べ。呼び方があった方が楽であろう』
エンシェントドラゴン改めエン様は、子供達の方を見ながらニコニコと笑っている。ちょうどラッセル達がムーに挨拶をしているところだった。
『さて、話を始めるか』
皆で席に着き、エン様が静かに話し始めた。
『まず初めに言っておくが、あの子供エリアスは、おそらく今この世界の中で1番きれいな魔力を体に宿している。エリアスがこの世界に生まれた事で、私の世界は何千ぶりに動き始めたのだ』
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エン様はエリアスが生まれた瞬間から、エリアスの存在を感じ、人間にバレないようにエリアスのことを見守っていたというのだ。そしてあの事件現場にも隠れて様子を見ていたと。
『エリアスはケイルトンという街の、確かフーバーという名前の騎士の子供として生まれた』
ケトルトンのフーバー…あの騎士団長か!? 皆も気づいたらしい。ケトルトンのフーバーといえば騎士から絶大な信頼を得ていた騎士団長だった。だったというのは彼は4年前に死んでいるからだ。フーバーだけではない。屋敷の人間全員が4年前、不自然な死を遂げていた。
彼が死んだ時、あれだけ騎士から信頼を受けていた彼の屋敷から、犯罪組織の闇ギルドとの繋がりを示す証拠がたくさん出てきたため、首都トラッシュから調査が入った。
たしかに証拠だけならば彼が黒と言えるのだが、その証拠が隠されていた場所や、わざわざ見つかるように隠されていたため、本当に彼が犯罪に関わっているのか断定できなかった。そう、彼は誰かにはめられたのでは、という可能性も残っていた。
長く行われた調査は結局、証拠不十分で真実がわからないまま、調査は打ち切られてしまったのだ。
だが彼は結婚していなかったはず。結婚していないのになぜエリアスが?
『確かなんと言っていたか? 相手の女の名前はタニアと言ったか? タニアはフーバーの屋敷で働く召使だ』
そうか。確かフーバーの父親は世間体をかなり重要視する親だったはず。召使とそういう事になったとなれば。父親が黙っていなかっただろう。それで表向きは独身のフリをしていたか?
まぁそんな事は良いのだが、と続けるエン様。どうでも良い訳ではないのだが…。
『ある日の夜中。我はいつものように屋敷にエリアスの様子を見に行っていた。しかしその日はいつもと違ってフーバー達は寝ておらず、旅の格好をしたタニアがエリアスを抱き、フーバーと何かを話していた』
話によると、何かを解決したすぐに迎えに行くと、タニアに話していたらしい。それまではフーバーの頼れる、その人物は誰だか忘れたらしいが、その人物の所に身を隠せと。
フーバーが2人にキスをし、タニアとエリアスを乗せた馬車は走り出した。
『我も様子がおかしいと思い、エリアスを追おうとしたのだが、我の方で身問題が起きてな。それで少しの間エリアス達から離れてしまった。そしてあの事件は起こった。タニア達が向かった先に、たまたま盗賊達が待ち伏せをしていたのだ』
エン様が気がついたときには、エリアス達が盗賊に襲われた後で、エン様はエリアスの所へと急いだ。そして奇跡的に生きていたエリアスを回復させた。
そして回復が終わったとき、私が部下を引き連れて、エリアスの元へと現れた、という事らしい。
「じゅあ、あの時、エリアスがほとんど怪我もなく元気だったのは」
『盗賊に襲われて気絶し、奴らに見つからなかったのは本当に運が良かった』
「しかしなぜ、エン様はエリアスを」
少しの間黙ったエン様は、チラリとエリアスとムーの方を見た。そしてまた静かに話し始めた。
『これは他言無用だ。話せばお前達が、いやこの国がなくなると思え。ふむ、この世界を全て消してしまうか』
エン様の言葉に全員に緊張が走る。そんなに大変な話なのか?
『まずは話さないと約束しろ。それが出来なければ、我は今すぐエリアス達を連れ、ここから離れる。育てるのには苦労するかもしれんが仕方がない』
そう言ったエン様の言葉にすぐに反応したのはグロリアだった。
「私は約束いたします。絶対に他言いたしません。エリアスのためならばなんだってします!」
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「私も同様です。エリアスは私達の大事な大事な息子です。エン様のいう通りにいたします」
エン様が頷き、それから陛下や他の皆を見渡す。皆が頷きもう1度頭を下げた。
『よし、では話すとしよう。我の命はもうそう長くはもたん。とは言ってもお前達の感覚からすれば、まだあと10年くらいは大丈夫だが。我からしたら10年はとても短いものだ』
まさかの衝撃的な言葉から始まった。
何千年と生きてきたエン様の寿命が近づいてるというのだ。それに気がつきした時、エン様は魔力を集め、そしてそれは成功し1つの卵が生まれた。それがムーの卵だったらしい。
そして卵が生まれて数年後、ある街で1人の子供が生まれた。それがエリアスだった。エリアスが誕生した瞬間、太陽のように暖かかく輝く光が、エリアスを中心に世界へと広がったらしい。
それに気づいたエン様は、これからどれくらい生きられるか分からない自分よりも、エリアスに自分の子供ムーを託そうと決めた。エリアスならばムーを導いてくれると。
それからはちょくちょくエリアスの様子を屋敷に見に行っていたのだが、あのエリアスが屋敷から何故か逃げた日、卵の中のムーの様子があまり良くなく、すぐに卵の所に戻り世話をしていた所に、あの事件が起きてしまった。
『あの時はただでさえ少ない寿命がさらに縮んだ気がしたぞ』
私のもとで暮らし始めたエリアスの様子を、変わらずに確認しに来ていたエン様。
あの事件から何事もなく育ったエリアスの3歳の誕生日の日、エン様はこれから生まれてくるムーが最初の契約魔獣となるのは流石に無理かと、慣れてもらおうとプレゼントを用意した。それがぷるとウルだった。
エン様は自分の魔力とエリアスのまだ芽生えていない魔力を混ぜ、エリアスにぷるとウルと契約を行ったのだ。
「あの日突然ルーファスが魔獣が現れたと騒いだのは」
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まさかそんな事をしていたとは。驚く私の隣をグロリアが前に出てくると、突然エン様を怒り始めた。
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『話を戻すが、ここからが本題だ。この後ムーが育ち、エリアスと共にドラゴン騎士になるのも、冒険者になるのも、自由に暮らすのも、それはムー達に任せようと思っている。が、お前達の考えで国を守らせようと、ムー達を誘導するような真似はするな』
それから国に縛り付ける事もするなと。必ずムーやエリアス達の自由にさせるように。おそらくムー達が大きくなり、将来の事を決めるまでには、エン様も生きておられるため、もし約束を違えれば先程言ったと同様、国を滅ぼすと。
ならば大きくなってからムーが大きくなってから、エリアスと引き合わせても良かったのでは? と思った。エリアスのその1番綺麗だという魔力が、完全に目覚めてからでも良かったはず。子供は7歳になれば自然と魔力が目覚めるのだから。
そうエン様に聞けば、
『ムーは我の初めての息子。育て方がイマイチ分からん。お前達の所にいるドラゴン達に教育を頼みたいのだ』
それが2番目の理由だと。自分で育てる自信がないと聞いて、グロリアの視線がエン様に突き刺さる。その視線にエン様は少し慌てながら、1番の理由を話てきた。
エリアスの近くにいるだけでムーは、まだエリアスが力に目覚めていなくても、自然とその内に秘めた力を受け取る事ができ、その力はムーにとって素晴らしい物になるのだと。
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