水の中でも何処でももふもふ!! あたらしい世界はもふもふで溢れていました

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第92話.男の人と双子シードラゴンの関係は?

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 入って来た男の人。散々俺達を見てきた後に、ようやく部屋に入って来て。俺達の檻をさっさと通り過ぎて行った。1回も俺達の方を振り向く事なく。そしてスカーレットさんの所へ着くと、双子について聞き始め。

『どうだ? しっかりと食事はとっているか? 睡眠も取っているか? 奴らが何かしてきたことは?』

『何もありませんよ。あなたがここから離れてから、1度も私とあれ以外は、長くここへは来ていません。来てもほとんどここに止まらずに、出て行っています。食事と睡眠も問題ありません』

『そうか』

 そんな短い会話をした2人。また男の人が歩く出すと、今度は双子シードラゴンが入っている檻の方へ。その間双子シードラゴンはかなりの喜びようで、今では檻の中で何回も宙返りをする程になっていた。
 そして男の人が檻の前に立てば、ユースタスさんと同じ、俺には分からない魔獣の言葉で話し始めたんだ。

 たぶん魔獣の言葉にも色々あるんだろうけど、俺にはその違いは分からないからな。そんな難しい魔獣の言葉を話すなんて、本当に何者なんだ?
 
『⚪︎△◻︎⭐︎*』

『きゅうぅぅぅ!!』

『くきゅうぅぅぅ!!』

 ああ、ああ、双子シードラゴンの喜びがさらに激しくなった。

『⚪︎△◻︎⭐︎*』

『きゅう!!』

『くきゅう!!』

『⚪︎△◻︎⭐︎*』

 あっ? 男の人の表情が柔らかくなった? 俺達のことは散々無表情で見てきて、その後もその表情を崩すことはなかったのに。今はかなり優しい顔をしている。と、あっ! また変わったぞ。また元の難しい顔に戻ってしまった。

 それからも男は、俺達を無視したまま、双子シードラゴンと会話を続け。それは次のご飯の時間がやってくるまで続いたんだ。
 その間俺達はクッションに座り、スカーレットさんは色々な用意。広間の中を行ったり来たりして、色々やっていた。

 時々俺達の様子を見にきてくれたが、その時チラッと話しをしてくれたんだけど。俺達がここへ来たことで、1回に準備する物が増え。そのため毎回必要になる物は、ここに常備しておこうと考えていると。

 さっき1度、広間から出たスカーレットさん。数秒で戻ってきたんだけど、その手には小さい棚といくつか箱を持っていて、俺達の檻の横にそれを設置。今はその棚の整理をしているところだ。

『⚪︎△◻︎⭐︎*』

『きゅう!!』

『くきゅう!!』

『ぷぴ?』

『ぷう?』

『くう?』

 と、さっきから双子シードラゴンと男の人を、交互に見ていたモコモコ達と小さいフルフルが、何かの話し合いを始めた。3匹で丸を作り顔を見合わせ、だけどチラチラ双子達を見ながら。声を聞いていた感じ、何か疑問があるようだ。

 これまで一緒に、ずっと過ごしてきたんだ。いくら言葉が分からないとはいえ、みんなが今どんな気持ちで話しているかくらいは分かる。言葉じゃなく表情でも。
 特に、何だこいつ、何言ってんだ、どうしてくれるんだ。などの自分達にとって、良くないことに関してする表情の違いを、見間違うことはなくなった。あまり嬉しくないが。

 それで今のみんなだけど、ずっと疑問だらけといった感じだ。何をそんなに疑問に思っているのか。確かに双子シードラゴンとこの男の人との関係は気になるし、男の人がどういう人なのか気になるけど、そんなに難しい顔をして話さなくても。

 そんな中、俺の肩から降りたユースタスさんがみんなの中心へ。そして何かを説明した途端。みんなが一斉にバッ!! と双子シードラゴン達の方を見て。その表情は、かなり驚いた表情をしている。今までに見たことないくらいに。

 なんか俺だけ仲間はずれのようで、しかも俺だけが置いていかれているようで、どうにも釈然としない。バカ神は、この世界のどんな種族の言葉も分かるようにしておいてくれたけど、ついでに魔獣達の言葉も、分かるようのしておいてくれたら良かったのに。

 そうすれば今も、話すことはできなくても、みんなの話しから状況を知ることはできたし、こんな仲間はずれの感覚を味わうこともなかった。というか、バカ神は何をしているだろう? しっかりと自分の力が、うまく使えなくなった原因を調べているだろうな? 

 いや、それだけじゃない。今の俺の状況。もし見ているなら、どうにかしてくれよ。俺はここで新しい生活をするはずだろう? 何で初っ端と良い、こうも事件が起こるんだ。

『ぷぴ!?』

『ぷう!?』

『くう!?』

『ぷぴぷぴ!!』

『ぷいぷう!!』

『くうくう!!』

『きゅうきゅ、きゅきゅ』

 ユースタスさんの魔獣言葉。キュキュキュと喋るんだ。みんな違う言葉でよく話しができるよな。

 驚きの表情がなかなか治らないみんな。どれだけ衝撃的な事を聞いたのか。ただ、ずっと驚いているわけではなかった。途中でみんなが驚いたままでも威嚇の格好をしそうになったんだ。慌てて止めに入る俺とユースタスさん。

 みんなさっきのユースタスさんの話しを忘れたのか!? 何があっても威嚇はするなって、静かにしていろって言われただろう。

『きゅきゅきゅ!! きゅきゅ!!』

『ぷ、ぷぴ……』

『ぷ、ぷう……』

『くうぅ……』

 ユースタスさんが強く何かを言うと、皆が静かになり、しまったという表情に。でもその後すぐにしっかりとした表情になると、ユースタスさんに何か文句を言い始めた。

 なんで文句なんか。ユースタスさんがかなり詰め寄られている。あ~あ~、ユースタスさんが押されて、後ろに下がっちゃったよ。俺は急いてみんなの間に入って、みんなにユースタスさんから離れるように言った。

「だっ!!」

『ぷぴ!』

『ぷう!』

『くう!』

「だ! はにゃあ!!」

『……ぷぴ』

『……ぷう』

『……くう』

 ちょっと不貞腐れながら、みんながユースタスさんから離れた。本当に一体何なんだ。
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