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第59話.父さん母さん、どうか無事に

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『もうすぐ奴らの国につく。準備は良いな』

『問題ございません』

『俺の方も大丈夫だ』

『私の方も問題ないわよ』

『デール、お前も良いな』

『ああ、問題ないぜ。最初はボスの言う通りに動くさ。だが状況によっては、勝手に動いて良いんだろう?』

『ああ、やることさえやれば』

『ジェフィリオン様、1つ報告が』

『奴の部隊にことか。それならばすでに把握している。そして奴らが結界を重ねたことも。お前達の方は問題はない。関係があるのは私とデールの所だ。お前達は何も気にせず予定通りに進めろ』

『はっ』

『ああ、やっぱりあの人の部隊が来ていたのね』

『シードラゴンが目覚めてからすぐにな。だがそんなもの、私達には関係ない。奴らが何をしようが、私達は止められないのだから』

 そう。シードラゴンが変異種と目覚めてからすぐに、奴の、ブレンデンの影の部隊が、私の所へやってきたのは分かっていた。そして私が集めた者達がどういう者達なのか、しっかりと報告をしているはず。

 そしてそれ以外にも、赤ん坊のことも報告に含まれているだろう。奴の部隊の能力が高いのは、私も分かっているからな。どの辺まで潜り込んできたかは分からないが、私の所へは無理でも、おそらくガヴァン達よりも下の者達の所へまでは入ってきたはずだ。

 そうして奴は自分の周りの結界に結界を重ね。そして赤ん坊がいる街にも結界をかさせるように言ったはず。だが。

 そこまでは私計画通りで、何も問題はない。私がそのことを踏まえずに計画を立てるなど。それに結界など、1箇所でも消すことができれば、後は問題な中へと入れる。後はどれだけ中の壁を早く破壊することができるかだが。それも少々時間がかかるだろうが、シードラゴンがいれば……。

 もっとも使えいない半端者を最前線へ。そこそこの者を中間に置き、とりあえず使える者は後ろの方へ。攻撃を始めれば、前線の半端者達は全滅するだろうが、そのための前線だ。これも問題はない。

 前線にいる馬鹿者達は、自分達には能力があると、勘違いしている者ばかり。役に立たない能力で、どうしてそんな思考になるのか分からないが。こういう時は役に立つ。中間に置く者達は、一応は話を聞く分、指示を出しやすい。

 まぁ、おそらく中間の者達も、結局のところやられるだろう。が、ここまで計画が問題なく進めば、後はデール達がやれば良いこと。そして奴らを抑えられれば。

『ジェフィリオン様、後2の時ほどで見えてくるかと』

『分かった。ではここからは各方角へと向かうことにする。ザッカリー、ガヴァン、オズボーン、キャロル、デール。必ず街を落とせ。それが我々の第1歩となるのだ!』

 ザッカリーとガヴァン、オズボーンが頭を下げ、それぞれの部隊の元へ。キャロルは自分の人形に自分を運ばせ自分の部隊へ。私の元にはデールだけが残り。デールとはギリギリまで方角は同じだ。

『さぁ、これから楽しい時間の始まりだ。早く着きたいぜ』

『ふん、しくじるなよ』

『分かってるって。指示は守るさ。それをどうやって早く終わらせるかを、考えているところだ』

「……」

 向こうがどれだけの戦力を集めようとも、我々の勝利は変わらない。

      *********

「うにょお」

『ぷぴぃ!!』

『ぷうぅ!!』

『くうぅ!!』

『きゃあぁぁぁ!!』

 俺達は今、俺達の様子を見にきた父さんに、高い高いをされている。父さんの気晴らしになるらしい。一緒に遊んでいれば心が休まるとも。

『さて、じゃあ、お茶でももらおうか』

 そして高い高いが終われば、久しぶりにゆっくりとお茶を飲んで。だけど、そのゆっくりも長く続かなかった。一瞬だけ険しい表情をした父さん。母さんもユースタスさんも神妙な表情をしていて。

『あそこでズレてくれればと思ったが』

『ええ、そうね』

『やはり目的はここで間違いはないな』

『後2の時といったところか。私はこれから街の中心へ、そこから指揮を。シェリアーナはどうする』

『私も本来決まっている所へ』

『最前線だぞ。良いんだな』

『私だけ決められた場所を、離れるわけにはいかないでしょう? でもみんなが気を遣ってくれて、子供がいる家は交代で後ろに下がることになっているのよ。全員であそこで戦うわけではないし。その間をぬってね。だから大丈夫よ』

『そうか』

「私の方も予定通りに。直接連絡が取れるように、それ専用の者を用意した。何かあればその者を使って連絡を」

『それは助かる。よし、この紅茶をゆっくりのんで、動くとするか。しっかりとケニーシャとグレンヴィルを堪能しておこう』

 俺も姉さんも、静かに父さんと母さんに抱っこされた。いつもは元気に騒いでいる姉さんが、たぶん父さん達の様子で、これから始まるだろうことを、子供ながらに理解しているんだろう。いつもよりもベッタリと父さん達にくっ付いていた。

 そういう俺もだが。何もできない俺は、父さん達の無事を祈ることしかできないからな。しっかりと、ここはしょうがないと思いながら、連絡が取れなくなったバカ神に、父さん達の無事を祈り。

 おい、バカ神。俺の時のことはしょうがないって納得したが、もし両親を俺と同じような目に合わせてみろ。絶対に許さないからな。

 そうしてゆっくりとお茶を飲んだ父さん達。最後にそれぞれが俺達を1人ずつ、ギュッと抱きしめて部屋から出て行った。しっかりとした表情で、でも俺達に笑顔を向けて。父さん、母さん、本当に気をつけて。

 父さん達がいなくなると、姉さんが俺を抱きしめてきた。

『あのねぇ、おねえちゃんつよいよ。だから、グレンヴィルのこと、あたしがまもってあげる。だからこわくないよ』

 姉さん……。ありがとう!!

「ねぇ! ぐぅ、ちょお!!」

 今のは、姉さん! 俺も、姉さんを守る!! って言ったんだ。言っただけになると思うけど……。でもほら、姉さんを前の時みたいに、元気づけられるかもしれないし。
 な! 姉さん、ここで父さん達の帰りを待っていよう!!
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