60 / 111
第59話.父さん母さん、どうか無事に
しおりを挟む
『もうすぐ奴らの国につく。準備は良いな』
『問題ございません』
『俺の方も大丈夫だ』
『私の方も問題ないわよ』
『デール、お前も良いな』
『ああ、問題ないぜ。最初はボスの言う通りに動くさ。だが状況によっては、勝手に動いて良いんだろう?』
『ああ、やることさえやれば』
『ジェフィリオン様、1つ報告が』
『奴の部隊にことか。それならばすでに把握している。そして奴らが結界を重ねたことも。お前達の方は問題はない。関係があるのは私とデールの所だ。お前達は何も気にせず予定通りに進めろ』
『はっ』
『ああ、やっぱりあの人の部隊が来ていたのね』
『シードラゴンが目覚めてからすぐにな。だがそんなもの、私達には関係ない。奴らが何をしようが、私達は止められないのだから』
そう。シードラゴンが変異種と目覚めてからすぐに、奴の、ブレンデンの影の部隊が、私の所へやってきたのは分かっていた。そして私が集めた者達がどういう者達なのか、しっかりと報告をしているはず。
そしてそれ以外にも、赤ん坊のことも報告に含まれているだろう。奴の部隊の能力が高いのは、私も分かっているからな。どの辺まで潜り込んできたかは分からないが、私の所へは無理でも、おそらくガヴァン達よりも下の者達の所へまでは入ってきたはずだ。
そうして奴は自分の周りの結界に結界を重ね。そして赤ん坊がいる街にも結界をかさせるように言ったはず。だが。
そこまでは私計画通りで、何も問題はない。私がそのことを踏まえずに計画を立てるなど。それに結界など、1箇所でも消すことができれば、後は問題な中へと入れる。後はどれだけ中の壁を早く破壊することができるかだが。それも少々時間がかかるだろうが、シードラゴンがいれば……。
もっとも使えいない半端者を最前線へ。そこそこの者を中間に置き、とりあえず使える者は後ろの方へ。攻撃を始めれば、前線の半端者達は全滅するだろうが、そのための前線だ。これも問題はない。
前線にいる馬鹿者達は、自分達には能力があると、勘違いしている者ばかり。役に立たない能力で、どうしてそんな思考になるのか分からないが。こういう時は役に立つ。中間に置く者達は、一応は話を聞く分、指示を出しやすい。
まぁ、おそらく中間の者達も、結局のところやられるだろう。が、ここまで計画が問題なく進めば、後はデール達がやれば良いこと。そして奴らを抑えられれば。
『ジェフィリオン様、後2の時ほどで見えてくるかと』
『分かった。ではここからは各方角へと向かうことにする。ザッカリー、ガヴァン、オズボーン、キャロル、デール。必ず街を落とせ。それが我々の第1歩となるのだ!』
ザッカリーとガヴァン、オズボーンが頭を下げ、それぞれの部隊の元へ。キャロルは自分の人形に自分を運ばせ自分の部隊へ。私の元にはデールだけが残り。デールとはギリギリまで方角は同じだ。
『さぁ、これから楽しい時間の始まりだ。早く着きたいぜ』
『ふん、しくじるなよ』
『分かってるって。指示は守るさ。それをどうやって早く終わらせるかを、考えているところだ』
「……」
向こうがどれだけの戦力を集めようとも、我々の勝利は変わらない。
*********
「うにょお」
『ぷぴぃ!!』
『ぷうぅ!!』
『くうぅ!!』
『きゃあぁぁぁ!!』
俺達は今、俺達の様子を見にきた父さんに、高い高いをされている。父さんの気晴らしになるらしい。一緒に遊んでいれば心が休まるとも。
『さて、じゃあ、お茶でももらおうか』
そして高い高いが終われば、久しぶりにゆっくりとお茶を飲んで。だけど、そのゆっくりも長く続かなかった。一瞬だけ険しい表情をした父さん。母さんもユースタスさんも神妙な表情をしていて。
『あそこでズレてくれればと思ったが』
『ええ、そうね』
『やはり目的はここで間違いはないな』
『後2の時といったところか。私はこれから街の中心へ、そこから指揮を。シェリアーナはどうする』
『私も本来決まっている所へ』
『最前線だぞ。良いんだな』
『私だけ決められた場所を、離れるわけにはいかないでしょう? でもみんなが気を遣ってくれて、子供がいる家は交代で後ろに下がることになっているのよ。全員であそこで戦うわけではないし。その間をぬってね。だから大丈夫よ』
『そうか』
「私の方も予定通りに。直接連絡が取れるように、それ専用の者を用意した。何かあればその者を使って連絡を」
『それは助かる。よし、この紅茶をゆっくりのんで、動くとするか。しっかりとケニーシャとグレンヴィルを堪能しておこう』
俺も姉さんも、静かに父さんと母さんに抱っこされた。いつもは元気に騒いでいる姉さんが、たぶん父さん達の様子で、これから始まるだろうことを、子供ながらに理解しているんだろう。いつもよりもベッタリと父さん達にくっ付いていた。
そういう俺もだが。何もできない俺は、父さん達の無事を祈ることしかできないからな。しっかりと、ここはしょうがないと思いながら、連絡が取れなくなったバカ神に、父さん達の無事を祈り。
おい、バカ神。俺の時のことはしょうがないって納得したが、もし両親を俺と同じような目に合わせてみろ。絶対に許さないからな。
そうしてゆっくりとお茶を飲んだ父さん達。最後にそれぞれが俺達を1人ずつ、ギュッと抱きしめて部屋から出て行った。しっかりとした表情で、でも俺達に笑顔を向けて。父さん、母さん、本当に気をつけて。
父さん達がいなくなると、姉さんが俺を抱きしめてきた。
『あのねぇ、おねえちゃんつよいよ。だから、グレンヴィルのこと、あたしがまもってあげる。だからこわくないよ』
姉さん……。ありがとう!!
「ねぇ! ぐぅ、ちょお!!」
今のは、姉さん! 俺も、姉さんを守る!! って言ったんだ。言っただけになると思うけど……。でもほら、姉さんを前の時みたいに、元気づけられるかもしれないし。
な! 姉さん、ここで父さん達の帰りを待っていよう!!
『問題ございません』
『俺の方も大丈夫だ』
『私の方も問題ないわよ』
『デール、お前も良いな』
『ああ、問題ないぜ。最初はボスの言う通りに動くさ。だが状況によっては、勝手に動いて良いんだろう?』
『ああ、やることさえやれば』
『ジェフィリオン様、1つ報告が』
『奴の部隊にことか。それならばすでに把握している。そして奴らが結界を重ねたことも。お前達の方は問題はない。関係があるのは私とデールの所だ。お前達は何も気にせず予定通りに進めろ』
『はっ』
『ああ、やっぱりあの人の部隊が来ていたのね』
『シードラゴンが目覚めてからすぐにな。だがそんなもの、私達には関係ない。奴らが何をしようが、私達は止められないのだから』
そう。シードラゴンが変異種と目覚めてからすぐに、奴の、ブレンデンの影の部隊が、私の所へやってきたのは分かっていた。そして私が集めた者達がどういう者達なのか、しっかりと報告をしているはず。
そしてそれ以外にも、赤ん坊のことも報告に含まれているだろう。奴の部隊の能力が高いのは、私も分かっているからな。どの辺まで潜り込んできたかは分からないが、私の所へは無理でも、おそらくガヴァン達よりも下の者達の所へまでは入ってきたはずだ。
そうして奴は自分の周りの結界に結界を重ね。そして赤ん坊がいる街にも結界をかさせるように言ったはず。だが。
そこまでは私計画通りで、何も問題はない。私がそのことを踏まえずに計画を立てるなど。それに結界など、1箇所でも消すことができれば、後は問題な中へと入れる。後はどれだけ中の壁を早く破壊することができるかだが。それも少々時間がかかるだろうが、シードラゴンがいれば……。
もっとも使えいない半端者を最前線へ。そこそこの者を中間に置き、とりあえず使える者は後ろの方へ。攻撃を始めれば、前線の半端者達は全滅するだろうが、そのための前線だ。これも問題はない。
前線にいる馬鹿者達は、自分達には能力があると、勘違いしている者ばかり。役に立たない能力で、どうしてそんな思考になるのか分からないが。こういう時は役に立つ。中間に置く者達は、一応は話を聞く分、指示を出しやすい。
まぁ、おそらく中間の者達も、結局のところやられるだろう。が、ここまで計画が問題なく進めば、後はデール達がやれば良いこと。そして奴らを抑えられれば。
『ジェフィリオン様、後2の時ほどで見えてくるかと』
『分かった。ではここからは各方角へと向かうことにする。ザッカリー、ガヴァン、オズボーン、キャロル、デール。必ず街を落とせ。それが我々の第1歩となるのだ!』
ザッカリーとガヴァン、オズボーンが頭を下げ、それぞれの部隊の元へ。キャロルは自分の人形に自分を運ばせ自分の部隊へ。私の元にはデールだけが残り。デールとはギリギリまで方角は同じだ。
『さぁ、これから楽しい時間の始まりだ。早く着きたいぜ』
『ふん、しくじるなよ』
『分かってるって。指示は守るさ。それをどうやって早く終わらせるかを、考えているところだ』
「……」
向こうがどれだけの戦力を集めようとも、我々の勝利は変わらない。
*********
「うにょお」
『ぷぴぃ!!』
『ぷうぅ!!』
『くうぅ!!』
『きゃあぁぁぁ!!』
俺達は今、俺達の様子を見にきた父さんに、高い高いをされている。父さんの気晴らしになるらしい。一緒に遊んでいれば心が休まるとも。
『さて、じゃあ、お茶でももらおうか』
そして高い高いが終われば、久しぶりにゆっくりとお茶を飲んで。だけど、そのゆっくりも長く続かなかった。一瞬だけ険しい表情をした父さん。母さんもユースタスさんも神妙な表情をしていて。
『あそこでズレてくれればと思ったが』
『ええ、そうね』
『やはり目的はここで間違いはないな』
『後2の時といったところか。私はこれから街の中心へ、そこから指揮を。シェリアーナはどうする』
『私も本来決まっている所へ』
『最前線だぞ。良いんだな』
『私だけ決められた場所を、離れるわけにはいかないでしょう? でもみんなが気を遣ってくれて、子供がいる家は交代で後ろに下がることになっているのよ。全員であそこで戦うわけではないし。その間をぬってね。だから大丈夫よ』
『そうか』
「私の方も予定通りに。直接連絡が取れるように、それ専用の者を用意した。何かあればその者を使って連絡を」
『それは助かる。よし、この紅茶をゆっくりのんで、動くとするか。しっかりとケニーシャとグレンヴィルを堪能しておこう』
俺も姉さんも、静かに父さんと母さんに抱っこされた。いつもは元気に騒いでいる姉さんが、たぶん父さん達の様子で、これから始まるだろうことを、子供ながらに理解しているんだろう。いつもよりもベッタリと父さん達にくっ付いていた。
そういう俺もだが。何もできない俺は、父さん達の無事を祈ることしかできないからな。しっかりと、ここはしょうがないと思いながら、連絡が取れなくなったバカ神に、父さん達の無事を祈り。
おい、バカ神。俺の時のことはしょうがないって納得したが、もし両親を俺と同じような目に合わせてみろ。絶対に許さないからな。
そうしてゆっくりとお茶を飲んだ父さん達。最後にそれぞれが俺達を1人ずつ、ギュッと抱きしめて部屋から出て行った。しっかりとした表情で、でも俺達に笑顔を向けて。父さん、母さん、本当に気をつけて。
父さん達がいなくなると、姉さんが俺を抱きしめてきた。
『あのねぇ、おねえちゃんつよいよ。だから、グレンヴィルのこと、あたしがまもってあげる。だからこわくないよ』
姉さん……。ありがとう!!
「ねぇ! ぐぅ、ちょお!!」
今のは、姉さん! 俺も、姉さんを守る!! って言ったんだ。言っただけになると思うけど……。でもほら、姉さんを前の時みたいに、元気づけられるかもしれないし。
な! 姉さん、ここで父さん達の帰りを待っていよう!!
4
お気に入りに追加
1,112
あなたにおすすめの小説

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く


三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈

悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。
向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。
それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない!
しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。
……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。
魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。
木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので
sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。
早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。
なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。
※魔法と剣の世界です。
※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分
かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。
前世の分も幸せに暮らします!
平成30年3月26日完結しました。
番外編、書くかもです。
5月9日、番外編追加しました。
小説家になろう様でも公開してます。
エブリスタ様でも公開してます。

魔力∞を魔力0と勘違いされて追放されました
紗南
ファンタジー
異世界に神の加護をもらって転生した。5歳で前世の記憶を取り戻して洗礼をしたら魔力が∞と記載されてた。異世界にはない記号のためか魔力0と判断され公爵家を追放される。
国2つ跨いだところで冒険者登録して成り上がっていくお話です
更新は1週間に1度くらいのペースになります。
何度か確認はしてますが誤字脱字があるかと思います。
自己満足作品ですので技量は全くありません。その辺り覚悟してお読みくださいm(*_ _)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる