55 / 111
第54話.息吹のパルはバッチリ!!
しおりを挟む
『さぁ、とりあえず、これで一息ついたわね。あとはどうなるか分からないけれど、あの人が帰ってくれば、計画に変更があるかもしれないし』
『私共はいつも通りに』
『ええ、頼むわね。それとカータレット、あれはどう?』
『全ての物に、しっかりと』
『グレンヴィルはこれが1番大切だものね』
『毎日3か所におつけする予定です』
『そうね、それが良いわね。そしてもしその全てが何かで外れることになっても、あれがあれば、大丈夫なはずよ』
『息吹のパルか?』
『ええ』
なんだかんだ、色々バタバタしているうちに、夕食の時間はとっくに過ぎていて、俺も姉さんもいつもより遅いご飯を食べた後。寝るまでゆっくりする部屋で、遊んだりゴロゴロしていたら、やっと仕事がひと段落した母さん達が戻ってきた。
ご飯はどうしたのかと思ったけど、仕事をしながら食べたって。結界のチェックもしてきたみたいで、そっちも問題がないようで良かった。
今母さん達が話していた俺の息吹のパルだけど。今日から俺は必ず息吹のパルを3つは身につけることになった。もし何かで、切れたり外れたりしたら大変だからな。
1つ外れても2つ。もう1つ外れても、後1つは身につけているから大丈夫だって。
それからもう1つ、別に対策が。カータレットさんが母さんに言われて、毎日洋服を着替えるって考えて、7着分の洋服の裏地に、息吹のパルを縫い付けてくれたんだ。
絶対大丈夫ってことはないけれど。でも直接、首や耳や洋服に付けているよりも、中に付けている方が、もっと大丈夫だろうからって。だからどの洋服を着ても良いように、7着分に付けてくれたんだ。
息吹のパルはピレンターさんが、海の中かがバタバタし始めた頃に、少し持ってきてくれて。パル達が避難してくると、パルが俺にくれたんだ。俺の事をピレンターさんに聞いて、急いで作ってくれたらしい。
いつもは少しずつ魔力を使って作るみたいなんだけど、今回は一気に魔力を使ってくれて、2日で5個も作ってくれたんだよ。だから魔力が少し足りなくなっちゃって、急いで回復してもらったんだ。
もちろん俺は、パル達にお礼を言ったよ。それからパル達が好きだっていう果物を持っていって。
今俺に出来ることはお礼と、今ある物を渡すことくらいだから、これしかできなかったけど。でももう少し大きくなったら、この時はありがとうって、他にも何かお礼をするつもりだ。
それで、パル達が一生懸命作ってくれた息吹のパルを、洋服に付けてもらって。残った息吹のパルは、ピレンターさんがネックレスにして、父さんや母さん、アトウットさん達が2個ずつ持つことに。これで俺の息吹のパルな大丈夫なはずだ。
『あなたにもこれを。これからあの子と一緒に居てもらうのに必要だから』
『人も我らと同じ魔法が使えれば問題ないのだが。いや、もし使えたとしても、この歳では。1歳にもなっていない子供には、どの魔法も無理だからな』
母さんがエルフのユースタスさんに、2個の息吹のパルを渡す。この頃俺の知らないところで、色々な事が決まるけど。ユースタスさんのことも、いつの間にか決まっていた。
今のドタバタが終わるまで、ユースタスさんが、ずっと俺といてくれる事になったんだ。
でもこれは父さんと母さんが頼んだ事じゃなかった。ユースタスさんの方から提案してくれたらしい。俺が心配だから側に居るって。父さん達は街を守る仕事があるから、ずっと俺に付いていられないだろうと。
『本当は私の。エルフの里へ避難させようと思ったのだ。だがここまでお前達が家族としての絆が強いならば、なるべく離さない方が良いだろうと。この子もお前達といてとても幸せそうだったからな。ならば避難させずに、ここに残った方が、この子も安心する』
『本当に助かるわ。この子は私達の大切な子。あなたが一緒にいてもらえれば、私たちはとても安心よ』
『しかし、本当に良いのか? 命を助けるにはそれしか方法はないが』
『……ええ。本当にもうダメだと思った時には、グレンヴィルとケニーシャを連れてエルフの里へ。私だって離れたくはないけれど、2人は生きてもらいたいから』
この国に何かがあって、本当に俺がここには居られないとなったら。最終手段、俺と姉さんを、ユースタスさんがエルフの里へ連れて行くって。
『それに、本当にそれは最終手段よ。私達が力を合わせれば、きっと大丈夫』
『そうだな』
『さぁ、そのことも2人に教えてなくちゃ』
母さんがしっかりとした顔つきになって。その後はいつも通りの元気で明るい母さんに戻ると。姉さんと俺に絵本を見せながら、今、海で起きていることを教えてくれた。
『良いかしら。この魔獣さんは悪いドラゴンさん? 良いドラゴンさん?』
母さんが俺達に見せてきた絵本のページには、小説で見たことがある生き物が描かれていて。見た感じは海竜だった。本当にそっくりな姿で、もし同じような生き物なら、かなり大きくて、凶暴だった気がするんだけどな。
『うんと、どっちもいる!!』
『ええ、そうね。良いドラゴンさんも悪いドラゴンさんも居るわね。よく覚えていたわね偉いわ』
『えへへへ』
そうなのか。この世界には良いやつと悪い奴がいると。
『それでね、今悪い方のドラゴンさんが、ここへ近づいてきているの』
『わるいドラゴン、こっちきてる!』
『そう。それでね、その悪いドラゴンさんをやっつけるために、みんないっぱい準備をしているの。だからみんなとっても忙しいし、周りがバタバタしているのよ』
『パパとママが、わるいドラゴンやっつける?』
『みんなでやっつけるのよ』
『たいへん?』
『どうかしら。でもみんなでやっつけるから、きっとすぐにやっつけちゃうわ!』
『パパ、ママ強い!! ママの方が強い!! だからすぐ、わるいドラゴンやっつけちゃう!』
『そうよ。でもやっつける時、とっても忙しくなるから、ママやみんなの言うことを聞いて、静かにしていられるかしら』
『うん!! あたししずか! しずかにおうたうたう!!』
『たぁ!!』
とりあえず俺も返事をしておく。
『2人とも良い子ね。ママ頑張るわ!!』
『私共はいつも通りに』
『ええ、頼むわね。それとカータレット、あれはどう?』
『全ての物に、しっかりと』
『グレンヴィルはこれが1番大切だものね』
『毎日3か所におつけする予定です』
『そうね、それが良いわね。そしてもしその全てが何かで外れることになっても、あれがあれば、大丈夫なはずよ』
『息吹のパルか?』
『ええ』
なんだかんだ、色々バタバタしているうちに、夕食の時間はとっくに過ぎていて、俺も姉さんもいつもより遅いご飯を食べた後。寝るまでゆっくりする部屋で、遊んだりゴロゴロしていたら、やっと仕事がひと段落した母さん達が戻ってきた。
ご飯はどうしたのかと思ったけど、仕事をしながら食べたって。結界のチェックもしてきたみたいで、そっちも問題がないようで良かった。
今母さん達が話していた俺の息吹のパルだけど。今日から俺は必ず息吹のパルを3つは身につけることになった。もし何かで、切れたり外れたりしたら大変だからな。
1つ外れても2つ。もう1つ外れても、後1つは身につけているから大丈夫だって。
それからもう1つ、別に対策が。カータレットさんが母さんに言われて、毎日洋服を着替えるって考えて、7着分の洋服の裏地に、息吹のパルを縫い付けてくれたんだ。
絶対大丈夫ってことはないけれど。でも直接、首や耳や洋服に付けているよりも、中に付けている方が、もっと大丈夫だろうからって。だからどの洋服を着ても良いように、7着分に付けてくれたんだ。
息吹のパルはピレンターさんが、海の中かがバタバタし始めた頃に、少し持ってきてくれて。パル達が避難してくると、パルが俺にくれたんだ。俺の事をピレンターさんに聞いて、急いで作ってくれたらしい。
いつもは少しずつ魔力を使って作るみたいなんだけど、今回は一気に魔力を使ってくれて、2日で5個も作ってくれたんだよ。だから魔力が少し足りなくなっちゃって、急いで回復してもらったんだ。
もちろん俺は、パル達にお礼を言ったよ。それからパル達が好きだっていう果物を持っていって。
今俺に出来ることはお礼と、今ある物を渡すことくらいだから、これしかできなかったけど。でももう少し大きくなったら、この時はありがとうって、他にも何かお礼をするつもりだ。
それで、パル達が一生懸命作ってくれた息吹のパルを、洋服に付けてもらって。残った息吹のパルは、ピレンターさんがネックレスにして、父さんや母さん、アトウットさん達が2個ずつ持つことに。これで俺の息吹のパルな大丈夫なはずだ。
『あなたにもこれを。これからあの子と一緒に居てもらうのに必要だから』
『人も我らと同じ魔法が使えれば問題ないのだが。いや、もし使えたとしても、この歳では。1歳にもなっていない子供には、どの魔法も無理だからな』
母さんがエルフのユースタスさんに、2個の息吹のパルを渡す。この頃俺の知らないところで、色々な事が決まるけど。ユースタスさんのことも、いつの間にか決まっていた。
今のドタバタが終わるまで、ユースタスさんが、ずっと俺といてくれる事になったんだ。
でもこれは父さんと母さんが頼んだ事じゃなかった。ユースタスさんの方から提案してくれたらしい。俺が心配だから側に居るって。父さん達は街を守る仕事があるから、ずっと俺に付いていられないだろうと。
『本当は私の。エルフの里へ避難させようと思ったのだ。だがここまでお前達が家族としての絆が強いならば、なるべく離さない方が良いだろうと。この子もお前達といてとても幸せそうだったからな。ならば避難させずに、ここに残った方が、この子も安心する』
『本当に助かるわ。この子は私達の大切な子。あなたが一緒にいてもらえれば、私たちはとても安心よ』
『しかし、本当に良いのか? 命を助けるにはそれしか方法はないが』
『……ええ。本当にもうダメだと思った時には、グレンヴィルとケニーシャを連れてエルフの里へ。私だって離れたくはないけれど、2人は生きてもらいたいから』
この国に何かがあって、本当に俺がここには居られないとなったら。最終手段、俺と姉さんを、ユースタスさんがエルフの里へ連れて行くって。
『それに、本当にそれは最終手段よ。私達が力を合わせれば、きっと大丈夫』
『そうだな』
『さぁ、そのことも2人に教えてなくちゃ』
母さんがしっかりとした顔つきになって。その後はいつも通りの元気で明るい母さんに戻ると。姉さんと俺に絵本を見せながら、今、海で起きていることを教えてくれた。
『良いかしら。この魔獣さんは悪いドラゴンさん? 良いドラゴンさん?』
母さんが俺達に見せてきた絵本のページには、小説で見たことがある生き物が描かれていて。見た感じは海竜だった。本当にそっくりな姿で、もし同じような生き物なら、かなり大きくて、凶暴だった気がするんだけどな。
『うんと、どっちもいる!!』
『ええ、そうね。良いドラゴンさんも悪いドラゴンさんも居るわね。よく覚えていたわね偉いわ』
『えへへへ』
そうなのか。この世界には良いやつと悪い奴がいると。
『それでね、今悪い方のドラゴンさんが、ここへ近づいてきているの』
『わるいドラゴン、こっちきてる!』
『そう。それでね、その悪いドラゴンさんをやっつけるために、みんないっぱい準備をしているの。だからみんなとっても忙しいし、周りがバタバタしているのよ』
『パパとママが、わるいドラゴンやっつける?』
『みんなでやっつけるのよ』
『たいへん?』
『どうかしら。でもみんなでやっつけるから、きっとすぐにやっつけちゃうわ!』
『パパ、ママ強い!! ママの方が強い!! だからすぐ、わるいドラゴンやっつけちゃう!』
『そうよ。でもやっつける時、とっても忙しくなるから、ママやみんなの言うことを聞いて、静かにしていられるかしら』
『うん!! あたししずか! しずかにおうたうたう!!』
『たぁ!!』
とりあえず俺も返事をしておく。
『2人とも良い子ね。ママ頑張るわ!!』
9
お気に入りに追加
1,112
あなたにおすすめの小説

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈


悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。
向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。
それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない!
しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。
……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。
魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。
木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので
sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。
早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。
なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。
※魔法と剣の世界です。
※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分
かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。
前世の分も幸せに暮らします!
平成30年3月26日完結しました。
番外編、書くかもです。
5月9日、番外編追加しました。
小説家になろう様でも公開してます。
エブリスタ様でも公開してます。

魔力∞を魔力0と勘違いされて追放されました
紗南
ファンタジー
異世界に神の加護をもらって転生した。5歳で前世の記憶を取り戻して洗礼をしたら魔力が∞と記載されてた。異世界にはない記号のためか魔力0と判断され公爵家を追放される。
国2つ跨いだところで冒険者登録して成り上がっていくお話です
更新は1週間に1度くらいのペースになります。
何度か確認はしてますが誤字脱字があるかと思います。
自己満足作品ですので技量は全くありません。その辺り覚悟してお読みくださいm(*_ _)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる