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第50話.その時は近い(ジュフェリオン視点)

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『ぐぎゃあぁぁぁ!!』

『よし、こっちの準備も問題はない。そろそろか』

『ぎゃあぁぁぁ!!』

『お前は私と共に来るんだ。しっかりと働いてもらうぞ。私の命をお前にどれだけ渡したことか。まぁ、後の事を考えれば、それも問題はないが』

『ぐるるるるるッ』

『睨んだところで、お前は私に何もできない。そのままただ私に従っていれば良いのだ。そうだな、もし子供が手に入れば、お前との契約を、もっと強力なものへと変えらるかもしれん。そうなればお前の意識を封印する事も……』

『ぐぎゃあぁぁぁ!!』

 騒ぐ奴をそのままに、私は急ぎ、私が拠点としている場所へ戻る。皆にこれからの作戦について知らせ、皆の準備が整えば、明後日には動き出すことができるだろう。

 私はもちろん、人間の子供の居る街へと行く予定だ。そして人間の子供が住んでいる街から、大きい街として1番近い。やつ、ブレンデルが住んでいる街へは、デールに行かせる予定だ。他の街へは、街の戦力にあっている者達を行かせる。

 もちろんデールだけに任せるつもりはない。確かにデールはかなりの力を持っていて、奴1人でも、奴らをかなり消すことはできるだろう。だがそれで終わりだ。
 かなり消したところで、奴らが生き残ってしまえば、なんの意味もない。奴の力に恐怖を感じ、皆が抵抗を止めれば別だが、それは絶対にないからな。

 また今後の事を考えると、奴らの戦力は少しでも多く残しておきたい。私は海を支配したら、すぐに陸へと進出するつもりだ。海で起こっている事を陸の連中に知られる前に、奴らが防御を強くする前に。できるだけ早く動き、陸の国を征服しなければ。

 今頃奴らと仲の良いエルフ共が、海の異変を感じ取って奴らに頼まれて、こちらに来ている頃だろう。そしてエルフ達は陸に住む者達に、今海で何か起きているようだと、気をつけるべきだと伝えているはずだ。しかし人間はバカな者ばかり。

 初めはエルフの言葉など信じず、何もしないのがほとんどのはず。まぁ、中には今の状態をしっかりと考え、動く国もあるだろうが。その国は大体把握しているため、そこを避けて他から襲ってしまえば。

 それのためにも、なるべくこちらの戦力を多く残し、私のための動いてもらわなければ。デールによる攻撃で、半分奴らが消えても、その他半分を他の者達と捉えて、その後は奴隷の首輪をつけて従わせれば良い。

 この事はデールにもきちんと説明しておかなければ。奴は少々やり過ぎるところがある。殺されすぎては困るのだ。

 それに他にも、奴にとって何か喜ぶような要素があれば、奴は命令を無視して、そちらに行きかねない。そうなれば作戦はなかったものに。そして私の方の計画も狂う可能性がある。
 そうならないためにも、デールにある人物を付けている。まぁ、見張りのようなものだ。これで一応は大上品だろう。

 拠点へと戻ると、すぐに皆を集める。そしてこの間話した事ももう1度確認し、他の報告を聞いてから、これからのことについて話し始める。

『良いか。失敗した場合は分かっているな』

『私は失敗なんかしないわよ。せっかく私の人形が増えるのに、後でその人形で遊べないなんて、そんなの絶対に嫌だもの』

『おい、本当にこれは遊びではないのだぞ、ジュフェリオン様の、そして我々の未来がかかっているのだ』

『それももちろん分かっているわよ。でもその未来で、私が人形で遊ぶ事も大事なのよ』

『お前の趣味はどうなんだろうな。俺はお前の趣味はよく分からねぇよ。あれの何が楽しいんだ。それに男ばっかり。やっぱり女だろう』

『それはあんたの好みでしょう? 私には私の好みがあるのよ』

『お前達いい加減にしろ。今はここで最後の、大事な話しをしているんだぞ』

『ザッカリーではないが……』

 私が話し始めると、皆が話すのを止める。

『お前達の趣味が何だろうが、私には関係ない。私の計画が進んだ後、お前達が何をしようともな。だがそれでもし、私の邪魔を、足を引っ張るようなことがあれば、分かっているな? これは私達にとって、これからこの世界を支配するための、大事な初戦になる。ここで全てが決まると言ってもいい。もしそこで何かあれば』

『分かってるって、その辺は俺はあんたに従うぜ』

『私だって、人形さえもらえれば、他はあなたに従うだけよ』

 デールとキャロルが話すのを止めたので、話しを再開する。そして話しが終われば、皆がそれぞれ、残りの準備をするために、部屋から出て行き。

『ジェフィリオン様、奴らは大丈夫でしょうか』

 部屋にザッカリーが残った。ザッカリーは私が最初に見つけて来た男で、それからはずっと、私の指示に従い、そしてその指示を1度も失敗することなくこなしてきた。

 今回は戦闘に直接関わらせず、私の代わりに、私やデール達が指示を出せない場所は、全てザッカリーに指示を出すように言ってある。奴は戦闘よりもそっちの能力が高いからだ。

『奴らは色々と問題もあるが、その力は本物。そして自分のためには、どんなことがあっても計画を遂行するだろう。もし逆らえばどうなるかもよく分かっているはずだ』

『ですが、デールの態度やキャロルは。あまりにも自分の主張が強すぎます』

『奴らの力は必要だ。お前はお前の仕事に集中しろ』

『………』

 お辞儀をし、ザッカリーが部屋から出ていく。私も残りの準備を進めなければ。
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『ジェフィリオン様はなぜ、あのような連中を。もしもの事があれば、我々の望みを叶えるどころか、ジェフィリオン様が奴らに……。ジェフィリオン様も完全に奴らを信用はしていないだろうが。……私がジェフィリオン様をお守りせねば。お守りせねば……』

『あいつは何をブツブツ言って歩いているんだ?』

『さぁ? それよりも、良い人を残しておいてよね』

『そんなの知るか。俺は俺のやり方でやらせてもらうだけだ』

『……ジェフィリオン様をお守りしなければ』


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