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第18話.ウォーターホースのプレゼント
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ウォーターホースでの移動は、かなり快適だった。まぁ、俺は母さんに抱っこしてもらっていたせいもあると思うけど。揺れをほとんど感じず、見た感じも、そんなに揺れているようには見えなかった。
外の景色が揺れずに見えていたし。姉さんが途中から、あの父さんが荷物をしまっていた白い丸から、小さな人形を何個か出してもらって、その人形を椅子に並べて遊んでも全然平気なくらいだ。
そうして最初は起きて、窓の外の景色を見ていた俺だったが、途中で眠くなってしまい。気づいたのは、馬車が俺の家に到着した時で。せっかくの景色を楽しもうと思っていた俺は、ちょっと寂しい気分に。
だけどまぁ、これからここで暮らすんだから、ゆっくり楽しんでいけば良いだろう。
『今日は向こうの道が空いていて良かったですね。いつもより早めに着くことができました』
『ああ。あそこからゆっくり進めば4時間間かかるからな』
外から父さんと馬車の人の声が聞こえる。4時間? この世界の時間だろうけど、この国だけなのか、それともこの世界の共通なのか。
話しながらドアが開かれて、先ずは姉さんが。それから母さんが父さんにモコモコ達と俺を渡して、最後に母さんが馬車から降りた。降りてからはまた母さんに抱かれる俺。
そのまま母さんと姉さんと一緒に、先程話していた通り、ウォーターホースを見せてもらうことになった。
『あなたの所のウォータホースは大人しい子ばかりだから、子供達に魔獣を見せる時、安心して見せられるわ』
『それぞれ性格がありますからね。うちはなるべく大人しい子を選んでいるので。さぁ、どうぞ』
最初に姉さんが、父さんに抱っこされて、ウォーターホースの首の辺りを撫でる。撫でているとウォーターホースの表情がまったりとしてきて、最後は自分から姉さんの頬に、すりすりとすり寄ってきた。
姉さんはそれが嬉しかったらしく、あのヘンテコな歌を歌い出し。その途端ウォーターホースが驚いた顔をしていたような気がしたが、ちょっと後ろに下がった気がしたが、まぁ、気のせいだろう。
そして次はいよいよ俺の番だ。母さんはウォーターホースに近づくと、俺の手をそっと包み込んで、そのまま一緒にウォーターホースの体の方へ。触ればとても不思議な感覚がした。
水に手を入れているような、水を触っているような、何とも言えない感覚で。でもとても気持ちが良かった。なるほど、これは暑い時に触らせてもらえたら、とっても気持ちいだろう。
それに他にも不思議なことが。他も触らせてもらったんだけど。触る場所によって、ウォーターホースの体温が違っていた。背中の方は少し冷たく、お腹の方はとても暖かく、首の辺りはぬるま湯っていう感じだった。もしかしたら他も触れば、みんな違うかもしれない。
最後に俺は頬を撫でさせてもらうことに。そっとそっと撫でれば、姉さんの時と同様、まったりの表情に。馬車の人曰く、これはとっても喜んでいる時の表情らしい。
撫で終わると、俺は通じないながらもお礼を言うことにした。
「ばぶぅ!!」
『ヒヒヒ~ンッ!!』
大きな声でウォーターホースが鳴いた。と、今まで静かだったウォータホースが、ヒヒンヒヒンと、馬車の人に何かを訴えて、馬車の人はウォータホースの言っていることが分かったらしい。『ああ』と言って、ウォーターホースの馬車に繋げていたロープを外した。
すると俺達から離れて、円を描くようにジャンプしながら回り始めた。これは喜びのジャンプで、何か嬉しいことがあると、ああしてジャンプするって、母さんが教えてくれた。
そして数分ジャンプして回っていたウォーターホースが止まると、思いきり体をブルブルさせて。と、ウォータホースから何かが2つ飛んだ。それを上手にキャッチするウォーターホース。そうして俺達の所まで来ると、それを差し出してきた。
『これは珍しい。ウォータホースが羽を渡すなんて。この子は始めてか?』
『ええ、今まで誰にも渡そうとしたことは』
『貰って良いのかしら?』
『もちろんです!!』
母さんはウォーターホースから何かを受け取り、1つを俺の胸のところに、1つを姉さんに渡した。その後よく見せて貰えば、何とそれは水の羽だった。水色の透明な羽。
ウォータホースの立て髪は、地球の馬と違い毛というよりも、たくさんの羽が立て髪の代わりになっている。その綺麗な立て髪の羽を、ウォーターホースが俺達にくれたんだ。
『これはお馬さんの羽よ。お馬さんが大切な人や、認めた人にしか、この羽はくれないの。とってもとっても珍しいことなのよ。貰えて良かったわね』
そんなに珍しい羽を貰ったのか。俺は手を動かして感謝を伝える。
「ばぶぅ!! ありゃ!!」
『さぁ、ケニーシャも、ちゃんとお礼を言おうな』
『うん!! ありがとう!! ありがとうのおうた…』
お歌って言ったところで、父さんが姉さんを止めた。うん、今は止めておこう。さっきビックリした表情をしていたし。
そして父さんがウォータホースと馬車の人にお礼を言い。その後馬車の人が俺と姉さんに、俺達が馬車に乗った場所でいつも仕事をしているから、時々ウォーターホースに会いにきてくださいと言ってから帰って行った。
この世界へ来てモコモコもふもふ、そして不思議なウォーターホースにと。すでに楽しいことばかりだ。まぁ、生まれた瞬間は別として……。あの家族のことはなかったことにしたい。
『旦那様』
俺達が馬車を見送ると、突然後ろから声をかけられた。さっきは馬車を降りてからはすぐに、ウォータホースの方へ行ったから、周りをまったく見ていなかった事に気づく。そういえば俺の家は?
みんなで振り返るとすぐ側に、お爺さんと父さんより少し若い男の人、それから若い女の人が数人。その人達の後ろにも、何人もの男の人と女の人が立っていて。そしてそのまた後ろには、大きな大きな家が建っていた。
外の景色が揺れずに見えていたし。姉さんが途中から、あの父さんが荷物をしまっていた白い丸から、小さな人形を何個か出してもらって、その人形を椅子に並べて遊んでも全然平気なくらいだ。
そうして最初は起きて、窓の外の景色を見ていた俺だったが、途中で眠くなってしまい。気づいたのは、馬車が俺の家に到着した時で。せっかくの景色を楽しもうと思っていた俺は、ちょっと寂しい気分に。
だけどまぁ、これからここで暮らすんだから、ゆっくり楽しんでいけば良いだろう。
『今日は向こうの道が空いていて良かったですね。いつもより早めに着くことができました』
『ああ。あそこからゆっくり進めば4時間間かかるからな』
外から父さんと馬車の人の声が聞こえる。4時間? この世界の時間だろうけど、この国だけなのか、それともこの世界の共通なのか。
話しながらドアが開かれて、先ずは姉さんが。それから母さんが父さんにモコモコ達と俺を渡して、最後に母さんが馬車から降りた。降りてからはまた母さんに抱かれる俺。
そのまま母さんと姉さんと一緒に、先程話していた通り、ウォーターホースを見せてもらうことになった。
『あなたの所のウォータホースは大人しい子ばかりだから、子供達に魔獣を見せる時、安心して見せられるわ』
『それぞれ性格がありますからね。うちはなるべく大人しい子を選んでいるので。さぁ、どうぞ』
最初に姉さんが、父さんに抱っこされて、ウォーターホースの首の辺りを撫でる。撫でているとウォーターホースの表情がまったりとしてきて、最後は自分から姉さんの頬に、すりすりとすり寄ってきた。
姉さんはそれが嬉しかったらしく、あのヘンテコな歌を歌い出し。その途端ウォーターホースが驚いた顔をしていたような気がしたが、ちょっと後ろに下がった気がしたが、まぁ、気のせいだろう。
そして次はいよいよ俺の番だ。母さんはウォーターホースに近づくと、俺の手をそっと包み込んで、そのまま一緒にウォーターホースの体の方へ。触ればとても不思議な感覚がした。
水に手を入れているような、水を触っているような、何とも言えない感覚で。でもとても気持ちが良かった。なるほど、これは暑い時に触らせてもらえたら、とっても気持ちいだろう。
それに他にも不思議なことが。他も触らせてもらったんだけど。触る場所によって、ウォーターホースの体温が違っていた。背中の方は少し冷たく、お腹の方はとても暖かく、首の辺りはぬるま湯っていう感じだった。もしかしたら他も触れば、みんな違うかもしれない。
最後に俺は頬を撫でさせてもらうことに。そっとそっと撫でれば、姉さんの時と同様、まったりの表情に。馬車の人曰く、これはとっても喜んでいる時の表情らしい。
撫で終わると、俺は通じないながらもお礼を言うことにした。
「ばぶぅ!!」
『ヒヒヒ~ンッ!!』
大きな声でウォーターホースが鳴いた。と、今まで静かだったウォータホースが、ヒヒンヒヒンと、馬車の人に何かを訴えて、馬車の人はウォータホースの言っていることが分かったらしい。『ああ』と言って、ウォーターホースの馬車に繋げていたロープを外した。
すると俺達から離れて、円を描くようにジャンプしながら回り始めた。これは喜びのジャンプで、何か嬉しいことがあると、ああしてジャンプするって、母さんが教えてくれた。
そして数分ジャンプして回っていたウォーターホースが止まると、思いきり体をブルブルさせて。と、ウォータホースから何かが2つ飛んだ。それを上手にキャッチするウォーターホース。そうして俺達の所まで来ると、それを差し出してきた。
『これは珍しい。ウォータホースが羽を渡すなんて。この子は始めてか?』
『ええ、今まで誰にも渡そうとしたことは』
『貰って良いのかしら?』
『もちろんです!!』
母さんはウォーターホースから何かを受け取り、1つを俺の胸のところに、1つを姉さんに渡した。その後よく見せて貰えば、何とそれは水の羽だった。水色の透明な羽。
ウォータホースの立て髪は、地球の馬と違い毛というよりも、たくさんの羽が立て髪の代わりになっている。その綺麗な立て髪の羽を、ウォーターホースが俺達にくれたんだ。
『これはお馬さんの羽よ。お馬さんが大切な人や、認めた人にしか、この羽はくれないの。とってもとっても珍しいことなのよ。貰えて良かったわね』
そんなに珍しい羽を貰ったのか。俺は手を動かして感謝を伝える。
「ばぶぅ!! ありゃ!!」
『さぁ、ケニーシャも、ちゃんとお礼を言おうな』
『うん!! ありがとう!! ありがとうのおうた…』
お歌って言ったところで、父さんが姉さんを止めた。うん、今は止めておこう。さっきビックリした表情をしていたし。
そして父さんがウォータホースと馬車の人にお礼を言い。その後馬車の人が俺と姉さんに、俺達が馬車に乗った場所でいつも仕事をしているから、時々ウォーターホースに会いにきてくださいと言ってから帰って行った。
この世界へ来てモコモコもふもふ、そして不思議なウォーターホースにと。すでに楽しいことばかりだ。まぁ、生まれた瞬間は別として……。あの家族のことはなかったことにしたい。
『旦那様』
俺達が馬車を見送ると、突然後ろから声をかけられた。さっきは馬車を降りてからはすぐに、ウォータホースの方へ行ったから、周りをまったく見ていなかった事に気づく。そういえば俺の家は?
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