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227.嫌な予感(コースタスク視点)
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一体何が起こっている? 私は急ぎ、今呼べる者達を呼んだ。ビルトルートとミランダ、ジェルロウだ。
ピロートとはしばらく前から連絡がつかないでいる。おそらくやられたのだろう。やられていなくとも、連絡ができないほどの状態だということだ。
異変を感じたのは少し前。エンシェントドラゴンが子供を捕まえに行った後、私はずっとエセルバードと戦っていたが、どうにも決着はつかず。今の私ならばもう少しエセルバードと戦えると思っていたのだが、予定よりも時間が過ぎてしまっていた。
そこに各地点から、私の所だけではなく、他も予定よりも進みが遅いと連絡が入り。どうしたものかと、ピロート達の方はどうなっているかなど、考えて戦っていたのだが。そして戦いは続き、1日で決着はつかず、時間だけが過ぎていき。
そんな事をしていれば、後半日か1日程度で、エンシェントドラゴンの強制送還の魔法が発動する頃合いまでになっていた。
これはエンシェントドラゴンが私の命令を無視して勝手な行動をとっているのか、それとも子供をまだ奪うことができずにいるのか。どちらにしろ後少しで戻ってくる。こうなれば戻って来てから次の行動を考えるか。
などと考えていれば、それは突然だった。突然私とエンシェントドラゴンの奴隷契約の繋がりが切れたのだ。もちろん完璧にではない。
私は奴隷契約の抵抗の罰として、鎖で奴を苦しめるようにしていた。そしてその罰には、奴隷契約が切れないようにするための魔法もかけており。
が、その鎖が、切られたのだ。私があの魔法を使ったとき、鎖は何本だったか、数え切れぬほどの鎖を奴に巻きつけたが、そのうちの数本の鎖が切れたのを感じ。そして数分もすればさらに数本の鎖を切られ。
この時の私は、まさかこんなことができるとは、さすがのエンシェントドラゴンだ、とただそう思っていた。そう、エンシェントドラゴンが抵抗して数本、鎖を切ったと思っていたのだ。数本だけでこれ以上は切られないと。
しかし私の考えは間違っていた。鎖はその後も切られ続け、その切られるスピードも上がっていき、あっというまに半分ほどの鎖が切られてしまったのだ。
これは本当のエンシェントドラゴンがやっているのか? 他の何者かが手を貸しているのではないか? しかし誰が? 私の奴隷契約の鎖は、その辺の者に簡単に切ることはできないはずだ。
…まさかあの子供が? しかしあの子供は確かに魔力は物凄いものではあるが、あの子供自体が何かできると報告は受けていない。エセルバード達に魔法を習ってはいたが、魔法を成功させたという報告は。だからあんな小さな子供に、鎖を切ることは。だが…。
私は一旦エセルバードとの戦いを止め、こちらの対応にあたることに。私が攻撃を止め後ろに下がると、エセルバードも攻撃を止め、こちらの様子を伺いながらも、奴も一旦後ろへ下がり。
その後私はすぐにビルトルート達を呼んだのだ。このまま鎖が切り続けられたら。エンシェントドラゴンが私の元へ強制的に戻ってくる前に、私との奴隷契約を解除される可能性も。
「私はこれからエンシェントドラゴンの元へ行く。このまま強制的に戻ってくると考えていたが、そう簡単にもいかないらしい」
「はっ、やはりそう簡単にはいかねぇか。流石エンシェントドラゴンってところか。それとも他に何かあるのか。で、あんたはこれから慌ててエンシェントドラゴンの元へ行くって?」
「そういえば子供はどうしたのかしら?」
「お前達、勝手に話すのではない。コースタスク様が説明されているのだぞ。この時間に何かあればどうするのだ」
「そんなこと言ったってな。これはあんたにとっても予想外のことなんだろう? まぁ、でも時間がないっていうのは確かだな。で、どうするって?」
「私はこれからエンシェントドラゴンの元へ行き、なるべく元の状態にまで、奴隷契約をし直す。が、向こうの様子によっては…」
あちらにいるのはエンシェントドラゴンだけなのか、それとも子供も共にいるのか。それ以外の人物もいる可能性も。向こうで何が起きているのか分からない今、それを考えた行動をしなければ。
「私がいない間、ここの事はお前達に任せる。ビルトルート、お前が指揮を取れ。エセルバードの相手はジェルロウお前が。ミランダ、お前は周囲を」
「了解いたしました」
「分かったわ。そういえば向こうに私好みの男が居たわね。ふふ、楽しくなりそうね」
「俺がエセルバードの相手か、腕がなるぜ!」
「お前達、今の段階で計画が遅れている事を、しっかり分かっているのか? 少しでも時間を取り戻さなければ、これからの計画に支障が出るのだぞ」
「分かってるさ。だがな、あのドラゴンと戦えるんだぞ。こんなに楽しい事はあるか」
「遊びではないと…」
「奴を止めるならば何でいい。いいか、私が向こうへ行っている間…。何だ!? お前達、あとは任せるぞ!!」
私は急いでドラゴンの森の、邪魔が入らない場所、誰も居ない場所まで移動した。何だこの感覚は!? 確かに奴隷契約の鎖は切られていたが、それだけではない他の、何か不味いものを感じた途端、鎖が完全に切られそうに。
強制帰還期間の魔法はもうすぐだ。しかし嫌な予感しかしない。このまま全ての鎖を切られてしまい、奴隷契約解除される、そんな嫌な予感。
強制帰還の魔法が完璧に発動するのが先か、それとも私の嫌な予感が先か。今すぐ奴の元へ行かなければ。
私はすぐに、エンシェントドラゴンの元へ向かうため、あの装置を作動させる。一瞬でこの装置が作動すれば良いのだが、完璧に作動するまで数分。絶対に止めてやる。
ピロートとはしばらく前から連絡がつかないでいる。おそらくやられたのだろう。やられていなくとも、連絡ができないほどの状態だということだ。
異変を感じたのは少し前。エンシェントドラゴンが子供を捕まえに行った後、私はずっとエセルバードと戦っていたが、どうにも決着はつかず。今の私ならばもう少しエセルバードと戦えると思っていたのだが、予定よりも時間が過ぎてしまっていた。
そこに各地点から、私の所だけではなく、他も予定よりも進みが遅いと連絡が入り。どうしたものかと、ピロート達の方はどうなっているかなど、考えて戦っていたのだが。そして戦いは続き、1日で決着はつかず、時間だけが過ぎていき。
そんな事をしていれば、後半日か1日程度で、エンシェントドラゴンの強制送還の魔法が発動する頃合いまでになっていた。
これはエンシェントドラゴンが私の命令を無視して勝手な行動をとっているのか、それとも子供をまだ奪うことができずにいるのか。どちらにしろ後少しで戻ってくる。こうなれば戻って来てから次の行動を考えるか。
などと考えていれば、それは突然だった。突然私とエンシェントドラゴンの奴隷契約の繋がりが切れたのだ。もちろん完璧にではない。
私は奴隷契約の抵抗の罰として、鎖で奴を苦しめるようにしていた。そしてその罰には、奴隷契約が切れないようにするための魔法もかけており。
が、その鎖が、切られたのだ。私があの魔法を使ったとき、鎖は何本だったか、数え切れぬほどの鎖を奴に巻きつけたが、そのうちの数本の鎖が切れたのを感じ。そして数分もすればさらに数本の鎖を切られ。
この時の私は、まさかこんなことができるとは、さすがのエンシェントドラゴンだ、とただそう思っていた。そう、エンシェントドラゴンが抵抗して数本、鎖を切ったと思っていたのだ。数本だけでこれ以上は切られないと。
しかし私の考えは間違っていた。鎖はその後も切られ続け、その切られるスピードも上がっていき、あっというまに半分ほどの鎖が切られてしまったのだ。
これは本当のエンシェントドラゴンがやっているのか? 他の何者かが手を貸しているのではないか? しかし誰が? 私の奴隷契約の鎖は、その辺の者に簡単に切ることはできないはずだ。
…まさかあの子供が? しかしあの子供は確かに魔力は物凄いものではあるが、あの子供自体が何かできると報告は受けていない。エセルバード達に魔法を習ってはいたが、魔法を成功させたという報告は。だからあんな小さな子供に、鎖を切ることは。だが…。
私は一旦エセルバードとの戦いを止め、こちらの対応にあたることに。私が攻撃を止め後ろに下がると、エセルバードも攻撃を止め、こちらの様子を伺いながらも、奴も一旦後ろへ下がり。
その後私はすぐにビルトルート達を呼んだのだ。このまま鎖が切り続けられたら。エンシェントドラゴンが私の元へ強制的に戻ってくる前に、私との奴隷契約を解除される可能性も。
「私はこれからエンシェントドラゴンの元へ行く。このまま強制的に戻ってくると考えていたが、そう簡単にもいかないらしい」
「はっ、やはりそう簡単にはいかねぇか。流石エンシェントドラゴンってところか。それとも他に何かあるのか。で、あんたはこれから慌ててエンシェントドラゴンの元へ行くって?」
「そういえば子供はどうしたのかしら?」
「お前達、勝手に話すのではない。コースタスク様が説明されているのだぞ。この時間に何かあればどうするのだ」
「そんなこと言ったってな。これはあんたにとっても予想外のことなんだろう? まぁ、でも時間がないっていうのは確かだな。で、どうするって?」
「私はこれからエンシェントドラゴンの元へ行き、なるべく元の状態にまで、奴隷契約をし直す。が、向こうの様子によっては…」
あちらにいるのはエンシェントドラゴンだけなのか、それとも子供も共にいるのか。それ以外の人物もいる可能性も。向こうで何が起きているのか分からない今、それを考えた行動をしなければ。
「私がいない間、ここの事はお前達に任せる。ビルトルート、お前が指揮を取れ。エセルバードの相手はジェルロウお前が。ミランダ、お前は周囲を」
「了解いたしました」
「分かったわ。そういえば向こうに私好みの男が居たわね。ふふ、楽しくなりそうね」
「俺がエセルバードの相手か、腕がなるぜ!」
「お前達、今の段階で計画が遅れている事を、しっかり分かっているのか? 少しでも時間を取り戻さなければ、これからの計画に支障が出るのだぞ」
「分かってるさ。だがな、あのドラゴンと戦えるんだぞ。こんなに楽しい事はあるか」
「遊びではないと…」
「奴を止めるならば何でいい。いいか、私が向こうへ行っている間…。何だ!? お前達、あとは任せるぞ!!」
私は急いでドラゴンの森の、邪魔が入らない場所、誰も居ない場所まで移動した。何だこの感覚は!? 確かに奴隷契約の鎖は切られていたが、それだけではない他の、何か不味いものを感じた途端、鎖が完全に切られそうに。
強制帰還期間の魔法はもうすぐだ。しかし嫌な予感しかしない。このまま全ての鎖を切られてしまい、奴隷契約解除される、そんな嫌な予感。
強制帰還の魔法が完璧に発動するのが先か、それとも私の嫌な予感が先か。今すぐ奴の元へ行かなければ。
私はすぐに、エンシェントドラゴンの元へ向かうため、あの装置を作動させる。一瞬でこの装置が作動すれば良いのだが、完璧に作動するまで数分。絶対に止めてやる。
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