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「おじしゃ!!」
『我は……』
エンシェントドラゴンおじさんが、できる範囲で目だけを動かして、周りを確認します。エンシェントドラゴンおじさん、今まで気を失っていたんだよ。
奴隷契約の魔法が発動しちゃって、大きな苦しい声をあげていたエンシェントドラゴンおじさん。でも僕達が近づいた頃から声が聞こえなくなって。どうしてかなって確認したら、気を失っていたんだ。
気を失ったことは、とっても心配だったけど、でもあの苦しそうな声を聞きながらだと、きっと僕達慌てちゃって、今までのことが上手くいっていなかったと思うんだ。だからそれは良かったかもしれないんだけど。
それでも気にはしていたんだよ。そうしたら今エンシェントドラゴンおじさんが起きたの。おじさん、苦しい? そうだよね。でもなんとか鎖を切るから、もう少し待っていて。
「いま、くしゃり、きっちぇりゅ。だかりゃ、まっちぇ」
『鎖?』
「私が説明する」
僕の代わりに、アルフォンスさんが今までのことを説明してくれました。それからエンシェントドラゴンおじさんの今の様子も聞いてくれて。そうしたらそういえばって。魔法が発動した時ほどの苦しみを、今は感じていないみたいです。
ふぅ、それだけでも良かったよ。もしかして鎖が切れたからかな? 今は3分の1が切り終わって、後少しの所まできていたから。もちろんまだ、奴隷契約の苦しみは続いていると思うけど、鎖だけでも苦しみが取れたなら。
「後少しで鎖を切り終わる。その後どうなるか分からんが、その魔法陣から逃げることができるのなら、すぐにここから移動するぞ。おそらく全ての鎖を切れば、いやその前に…」
アルフォンスさんによると、こちらでの異変を、別の場所、たぶんドラゴンの里に居るコースタスクも気づくはずだって。
奴隷契約は強い契約をすればするほど、奴隷契約をした相手に色々できるでしょう? 今エンシェントドラゴンおじさんを苦しめている、この強制的に戻すことも。奴隷は契約違反をしたときに与える苦しみを強くできるのもそうだし。
そしてその他にも。奴隷に何かあった場合、契約主にそれが分かるようにもなっているんだって。奴隷契約主の力が弱いほど、僕が思っていたよりも、奴隷は色々と行動ができて。でもエンシェントドラゴンおじさんの場合は?
少しの異変とかなら問題はないけど、強制的に戻そうとしているエンシェントドラゴンおじさんの鎖を切れば? そしてその奴隷契約をしているのはコースタスクで。
コースタスクがエンシェントドラゴンおじさんの異変に気づいて、何かの魔法でここへすぐに移動して来ちゃったら? エンシェントドラゴンおじさんの奴隷契約はさらに強いものに変えられちゃう可能性も。そして僕も捕まる可能性が。
だからもし全ての鎖を切ることができたら、なんとか魔法陣から退いて、すぐに何処かへ逃げないといけないって。
『よく、この鎖を』
「私にも何故、カナデ達の武器で攻撃できるのかは分からない。だが、それでもこれはチャンスだ。上手くいけばエンドラ、お前を救うことができるかもしれん。お前は鎖を切る間、静かに待っていろ」
『ああ、本当に助かる。カナデ、フィル、クルクル、ありがとう。アルフォンス達も助かる』
「気にするな」
なんて話しを、アルフォンスさんはあっちこっち動きながら、息を切らさずに話していました。
そうそう、アルフォンスさんの言う通り。頑張って全部の鎖を切るから、エンシェントドラゴンおじさんは静かに待っていてね。動かない方が苦しみも、少しは和らぐかも知れないし。
エンシェントドラゴンおじさんとの話しが終わり、それからもどんどん鎖を切っていった僕達。少しして、なんとかほとんどの鎖を切ることの成功しました。でも、あと10本が大変だったんだ。
他の鎖は細くて、太くても少しだけ太かっただけだから、ささっと切れることもあったんだけど。でも残りの鎖は全部とっても太くて。アルフォンスさん達でも、すぐに切ることができなかったの。
それでもやれる限り、どんどん鎖を攻撃して、僕とフィルとクルクルと3人で、2本の鎖を切っているうちに、他の鎖をアルフォンスさん達が切ってくれてね。ついに1番太い鎖、1本だけになりました。
この1番太い鎖は、おじさんの胴体に1番しっかりと巻きついている鎖で、体に食い込んでいるんだ。
『我も寝てばかりはいられないな。お前達が力を貸してくれているのだ。我も共に』
1番太い鎖以外、全ての鎖が切れて、やっぱり鎖のせいで、いつもみたいには動けないけれど、それでも少しは動けるようになったエンシェントドラゴンおじさんが、一緒に鎖を切り始めました。
そしてアルフォンスさんとカーライルさんは、おじさんが噛み砕こうとしている近くを。僕達は僕達でみんなの邪魔にならないように、同じ場所を。攻撃しやすい場所を攻撃して。
『がんばれなの!!』
『もう少し!!』
「あと、ちょっちょ!!」
そして何回も攻撃しているうちに。ピシッ!! エンシェントドラゴンおじさんの方も、僕達の方も。ついにヒビが入りました。
「ひび、できちゃ!!」
「そうだな、よし後少しだ。後少しで」
そしてヒビが入ればその後はどんどんヒビが入り始めて。でも…。
それは一瞬、何かね、みんなが止まったんだ。全員だよ。周りを見る僕達。先に気づいたのはエンシェントドラゴンおじさんでした。
『間に合わなかったようだ』
エンシェントドラゴンおじさんが下を見ています。つられて下を見ると、僕達の下にある魔法陣が、今までで1番光っていました。
『アルフォンス、行け!!』
「くっ、後少しなのに!」
え? 何々?
『我は……』
エンシェントドラゴンおじさんが、できる範囲で目だけを動かして、周りを確認します。エンシェントドラゴンおじさん、今まで気を失っていたんだよ。
奴隷契約の魔法が発動しちゃって、大きな苦しい声をあげていたエンシェントドラゴンおじさん。でも僕達が近づいた頃から声が聞こえなくなって。どうしてかなって確認したら、気を失っていたんだ。
気を失ったことは、とっても心配だったけど、でもあの苦しそうな声を聞きながらだと、きっと僕達慌てちゃって、今までのことが上手くいっていなかったと思うんだ。だからそれは良かったかもしれないんだけど。
それでも気にはしていたんだよ。そうしたら今エンシェントドラゴンおじさんが起きたの。おじさん、苦しい? そうだよね。でもなんとか鎖を切るから、もう少し待っていて。
「いま、くしゃり、きっちぇりゅ。だかりゃ、まっちぇ」
『鎖?』
「私が説明する」
僕の代わりに、アルフォンスさんが今までのことを説明してくれました。それからエンシェントドラゴンおじさんの今の様子も聞いてくれて。そうしたらそういえばって。魔法が発動した時ほどの苦しみを、今は感じていないみたいです。
ふぅ、それだけでも良かったよ。もしかして鎖が切れたからかな? 今は3分の1が切り終わって、後少しの所まできていたから。もちろんまだ、奴隷契約の苦しみは続いていると思うけど、鎖だけでも苦しみが取れたなら。
「後少しで鎖を切り終わる。その後どうなるか分からんが、その魔法陣から逃げることができるのなら、すぐにここから移動するぞ。おそらく全ての鎖を切れば、いやその前に…」
アルフォンスさんによると、こちらでの異変を、別の場所、たぶんドラゴンの里に居るコースタスクも気づくはずだって。
奴隷契約は強い契約をすればするほど、奴隷契約をした相手に色々できるでしょう? 今エンシェントドラゴンおじさんを苦しめている、この強制的に戻すことも。奴隷は契約違反をしたときに与える苦しみを強くできるのもそうだし。
そしてその他にも。奴隷に何かあった場合、契約主にそれが分かるようにもなっているんだって。奴隷契約主の力が弱いほど、僕が思っていたよりも、奴隷は色々と行動ができて。でもエンシェントドラゴンおじさんの場合は?
少しの異変とかなら問題はないけど、強制的に戻そうとしているエンシェントドラゴンおじさんの鎖を切れば? そしてその奴隷契約をしているのはコースタスクで。
コースタスクがエンシェントドラゴンおじさんの異変に気づいて、何かの魔法でここへすぐに移動して来ちゃったら? エンシェントドラゴンおじさんの奴隷契約はさらに強いものに変えられちゃう可能性も。そして僕も捕まる可能性が。
だからもし全ての鎖を切ることができたら、なんとか魔法陣から退いて、すぐに何処かへ逃げないといけないって。
『よく、この鎖を』
「私にも何故、カナデ達の武器で攻撃できるのかは分からない。だが、それでもこれはチャンスだ。上手くいけばエンドラ、お前を救うことができるかもしれん。お前は鎖を切る間、静かに待っていろ」
『ああ、本当に助かる。カナデ、フィル、クルクル、ありがとう。アルフォンス達も助かる』
「気にするな」
なんて話しを、アルフォンスさんはあっちこっち動きながら、息を切らさずに話していました。
そうそう、アルフォンスさんの言う通り。頑張って全部の鎖を切るから、エンシェントドラゴンおじさんは静かに待っていてね。動かない方が苦しみも、少しは和らぐかも知れないし。
エンシェントドラゴンおじさんとの話しが終わり、それからもどんどん鎖を切っていった僕達。少しして、なんとかほとんどの鎖を切ることの成功しました。でも、あと10本が大変だったんだ。
他の鎖は細くて、太くても少しだけ太かっただけだから、ささっと切れることもあったんだけど。でも残りの鎖は全部とっても太くて。アルフォンスさん達でも、すぐに切ることができなかったの。
それでもやれる限り、どんどん鎖を攻撃して、僕とフィルとクルクルと3人で、2本の鎖を切っているうちに、他の鎖をアルフォンスさん達が切ってくれてね。ついに1番太い鎖、1本だけになりました。
この1番太い鎖は、おじさんの胴体に1番しっかりと巻きついている鎖で、体に食い込んでいるんだ。
『我も寝てばかりはいられないな。お前達が力を貸してくれているのだ。我も共に』
1番太い鎖以外、全ての鎖が切れて、やっぱり鎖のせいで、いつもみたいには動けないけれど、それでも少しは動けるようになったエンシェントドラゴンおじさんが、一緒に鎖を切り始めました。
そしてアルフォンスさんとカーライルさんは、おじさんが噛み砕こうとしている近くを。僕達は僕達でみんなの邪魔にならないように、同じ場所を。攻撃しやすい場所を攻撃して。
『がんばれなの!!』
『もう少し!!』
「あと、ちょっちょ!!」
そして何回も攻撃しているうちに。ピシッ!! エンシェントドラゴンおじさんの方も、僕達の方も。ついにヒビが入りました。
「ひび、できちゃ!!」
「そうだな、よし後少しだ。後少しで」
そしてヒビが入ればその後はどんどんヒビが入り始めて。でも…。
それは一瞬、何かね、みんなが止まったんだ。全員だよ。周りを見る僕達。先に気づいたのはエンシェントドラゴンおじさんでした。
『間に合わなかったようだ』
エンシェントドラゴンおじさんが下を見ています。つられて下を見ると、僕達の下にある魔法陣が、今までで1番光っていました。
『アルフォンス、行け!!』
「くっ、後少しなのに!」
え? 何々?
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