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220.突然の発動

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 出入り口も塞がれちゃって、アルフォンスさんもカーライルさんも、まだしっかり動けないし。そんな中エンシェントドラゴンおじさんは、変なモヤモヤに包まれて、とっても苦しんでいて。

 どうしよう、今動けるのは僕達だけ。僕達に何か出来ることある? うん、そうだよ! ただ突っ立っているだけじゃ、少しでも何か出来ることがあるか調べなくちゃ! まずはもう1度周りの確認から。

 だってあの見えない敵、気配がしっかり分かるアルフォンスさん達でも、ムハンマドさん達みたいに気付けなかったら? エンシェントドラゴンおじさんはそれどころじゃないだろうし。ならしっかり僕達が確認しないと。

「みにゃ、まわりをもかい、かくにん! てきがいにゃいか、ちっかりみりゅ! まじゅはしょりぇかりゃ!」

『了解!』

『りょうかいなの!!』

 僕はエンシェントドラゴンおじさんの周りを、フィルはアルフォンスさん達の周りを。そしてクルクルはそれ以外を、手分けして確認します。見逃さないように、端から端まで。ちょっと移動して、エンシェントドラゴの後ろも確認して。

 確認が終わって元の位置に戻ると、フィルとクルクルも戻ってきて、やっぱり敵はいなかったって。うん、とりあえずは安心かな? 安心? 色々起こって、素手の安心じゃないけど。でも次の行動をしないとね。

 クルクルが確認してきてくれるって、すぐのアルフォンスさん達の所へ。そして何か話した後、アルフォンスさんがまだ話している最中に、僕達の所へ戻ってきたクルクル。
 やっぱりアルフォンスさんの怪我が酷いみたい。今カーライルさんが、回復魔法を使っているけど、カーライルさんも怪我をしているから、上手く回復魔法が使えないみたいで。

『まだまだ、時間がかかるかも』

「わかっちゃ!」

『ほかにもまだ、なにかおはなししてるなの』

『危ないから、アルフォンス達の後ろに隠れてろって。でも今は隠れるよりも、色々調べないとダメ。隠れるのは後で』

「しょ、まじゅはしらべりゅ!」

 よし、次はエンシェントドラゴンおじさんの方だ。苦しいから話せないかな? でももし話せるようなら、こうなった原因を教えてもらえれば、僕達に何か出来るかもしれないし。

 僕達はそっと、エンシェントドラゴンおじさんに近づきます。とりあえずおじさんを覆っているモヤモヤが、届かないところまでね。
 でも、近寄っている時でした。エンシェントドラゴンおじさんが叫んだ後、深呼吸をして、僕達に話しかけてきました。

『ダメだ…、近寄るんじゃない…』

「おじちゃ、だじょぶ!!」

『くるしいなの? このモヤモヤのせいなの?』

『誰かの攻撃? コースタスク達?』

『違う…。いや、同じようなものか…。何でも良い、今は我に近寄るな』

「こにょもにゃもにゃ、けしぇりゅ?」

『方法ある?』

『みんなでがんばってけすなの!』

『ダメだ…、これは消せない。しばらくこの状態が続く。お前達にも危険が及ぶ可能性がある。だから我には近づくな。なるべくアルフォンス達の近くに…、我は大丈夫だ…。ぐあぁぁぁ!』

 わわ!? どうしよう。エンシェントドラゴンおじさん、大丈夫だなんて言って、絶対の大丈夫じゃないでしょう。ダメだよ。僕達に何か出来ることない? 少しでもおじさんのく苦しみを取り除いてあげられるような何か。

「みんな下がるんだ! それはエンドラに与えられた罰なんだ! そしてそれが発動したということは、エンドラが強制的に戻る時が近づいたということ。とりあえず下がるんだ!」

 まだ倒れているアルフォンスさんがそう言いました。え? 罰? 何のこと? エンシェントドラゴンおじさんは何で罰を受けているの? というか急に罰?

 訳が分からす、その場に立ち尽くしちゃう僕達。そんな僕達にアルフォンスさんは分かりやすく、そしてなるべく簡潔に、今のエンシェントドラゴンおじさんの状況を教えてくれました。

 今のエンシェントドラゴンおじさんは、コースタスクの命令を聞かなかったから、そしてすぐにコースタスクの元へ戻らなかったから、奴隷契約違反で、罰を受けている状態なんだって。

 そういえば、話し始めた頃、奴隷契約の話しをしていた時に、奴隷の契約主は、奴隷に色々と制約をつけられるって、そんなこと言っていたよね。

 エンシェントドラゴンおじさんは、僕達を連れてこいって、コースタスクに言われて、僕達を攫いにきました。でも結局は僕達をコースタスクの元へが連れて行かずに、僕達に話しを聞いた後は、その後のことまで考えてくれて。

 そしてさっきまでの話し。奴隷は契約主の元へ絶対に帰るようになっているって。それが2日後くらいになるって。だから僕達は、これからアルフォンスさん達と一緒に、明日には移動することになって。

 でもなぜか、まだ時間があるはずなのに、それは起こりました。命令違反に対する罰と、強制的にコースタスクの元へ戻る魔法が、今いっきに発動した。それが今のエンシェントドラゴンおじさんの状態らしいです。

 命令違反に対する罰が、あの色々な気持ち悪い色のモヤモヤで、それががエンシェントドラゴンおじさんに苦しみを与え。下に浮き出た魔法陣が、奴隷契約をした時に使われた魔法陣で、もう少しするとその魔法陣が発動。発動するとエンシェントドラゴンおじさんはコースタスクの元へ戻ることに…。

 な、何で!? まだ時間はあるはずなんだよね。それに罰って。こんなに苦しませることが罰? いや、確かに命令違反に対する罰だから、苦しいものなんだろうけど。こんなに苦しめる必要ないじゃん!! 

「ばちゅ…」

『でも、おじさん、わるいことしてないなの』

『うん、クルクル達助けてくれた。それに昔も今も、悪いことしてない。罰おかしい』

「これが奴隷契約なのだ。とりあえずお前達は下がりなさい」

 と、その時でした。おじさんを包んでいるモヤモヤがもっと濃くなったんだ。
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