もふもふ相棒と異世界で新生活!! 神の愛し子? そんなことは知りません!!

ありぽん

文字の大きさ
上 下
89 / 114
連載

220.突然の発動

しおりを挟む
 出入り口も塞がれちゃって、アルフォンスさんもカーライルさんも、まだしっかり動けないし。そんな中エンシェントドラゴンおじさんは、変なモヤモヤに包まれて、とっても苦しんでいて。

 どうしよう、今動けるのは僕達だけ。僕達に何か出来ることある? うん、そうだよ! ただ突っ立っているだけじゃ、少しでも何か出来ることがあるか調べなくちゃ! まずはもう1度周りの確認から。

 だってあの見えない敵、気配がしっかり分かるアルフォンスさん達でも、ムハンマドさん達みたいに気付けなかったら? エンシェントドラゴンおじさんはそれどころじゃないだろうし。ならしっかり僕達が確認しないと。

「みにゃ、まわりをもかい、かくにん! てきがいにゃいか、ちっかりみりゅ! まじゅはしょりぇかりゃ!」

『了解!』

『りょうかいなの!!』

 僕はエンシェントドラゴンおじさんの周りを、フィルはアルフォンスさん達の周りを。そしてクルクルはそれ以外を、手分けして確認します。見逃さないように、端から端まで。ちょっと移動して、エンシェントドラゴの後ろも確認して。

 確認が終わって元の位置に戻ると、フィルとクルクルも戻ってきて、やっぱり敵はいなかったって。うん、とりあえずは安心かな? 安心? 色々起こって、素手の安心じゃないけど。でも次の行動をしないとね。

 クルクルが確認してきてくれるって、すぐのアルフォンスさん達の所へ。そして何か話した後、アルフォンスさんがまだ話している最中に、僕達の所へ戻ってきたクルクル。
 やっぱりアルフォンスさんの怪我が酷いみたい。今カーライルさんが、回復魔法を使っているけど、カーライルさんも怪我をしているから、上手く回復魔法が使えないみたいで。

『まだまだ、時間がかかるかも』

「わかっちゃ!」

『ほかにもまだ、なにかおはなししてるなの』

『危ないから、アルフォンス達の後ろに隠れてろって。でも今は隠れるよりも、色々調べないとダメ。隠れるのは後で』

「しょ、まじゅはしらべりゅ!」

 よし、次はエンシェントドラゴンおじさんの方だ。苦しいから話せないかな? でももし話せるようなら、こうなった原因を教えてもらえれば、僕達に何か出来るかもしれないし。

 僕達はそっと、エンシェントドラゴンおじさんに近づきます。とりあえずおじさんを覆っているモヤモヤが、届かないところまでね。
 でも、近寄っている時でした。エンシェントドラゴンおじさんが叫んだ後、深呼吸をして、僕達に話しかけてきました。

『ダメだ…、近寄るんじゃない…』

「おじちゃ、だじょぶ!!」

『くるしいなの? このモヤモヤのせいなの?』

『誰かの攻撃? コースタスク達?』

『違う…。いや、同じようなものか…。何でも良い、今は我に近寄るな』

「こにょもにゃもにゃ、けしぇりゅ?」

『方法ある?』

『みんなでがんばってけすなの!』

『ダメだ…、これは消せない。しばらくこの状態が続く。お前達にも危険が及ぶ可能性がある。だから我には近づくな。なるべくアルフォンス達の近くに…、我は大丈夫だ…。ぐあぁぁぁ!』

 わわ!? どうしよう。エンシェントドラゴンおじさん、大丈夫だなんて言って、絶対の大丈夫じゃないでしょう。ダメだよ。僕達に何か出来ることない? 少しでもおじさんのく苦しみを取り除いてあげられるような何か。

「みんな下がるんだ! それはエンドラに与えられた罰なんだ! そしてそれが発動したということは、エンドラが強制的に戻る時が近づいたということ。とりあえず下がるんだ!」

 まだ倒れているアルフォンスさんがそう言いました。え? 罰? 何のこと? エンシェントドラゴンおじさんは何で罰を受けているの? というか急に罰?

 訳が分からす、その場に立ち尽くしちゃう僕達。そんな僕達にアルフォンスさんは分かりやすく、そしてなるべく簡潔に、今のエンシェントドラゴンおじさんの状況を教えてくれました。

 今のエンシェントドラゴンおじさんは、コースタスクの命令を聞かなかったから、そしてすぐにコースタスクの元へ戻らなかったから、奴隷契約違反で、罰を受けている状態なんだって。

 そういえば、話し始めた頃、奴隷契約の話しをしていた時に、奴隷の契約主は、奴隷に色々と制約をつけられるって、そんなこと言っていたよね。

 エンシェントドラゴンおじさんは、僕達を連れてこいって、コースタスクに言われて、僕達を攫いにきました。でも結局は僕達をコースタスクの元へが連れて行かずに、僕達に話しを聞いた後は、その後のことまで考えてくれて。

 そしてさっきまでの話し。奴隷は契約主の元へ絶対に帰るようになっているって。それが2日後くらいになるって。だから僕達は、これからアルフォンスさん達と一緒に、明日には移動することになって。

 でもなぜか、まだ時間があるはずなのに、それは起こりました。命令違反に対する罰と、強制的にコースタスクの元へ戻る魔法が、今いっきに発動した。それが今のエンシェントドラゴンおじさんの状態らしいです。

 命令違反に対する罰が、あの色々な気持ち悪い色のモヤモヤで、それががエンシェントドラゴンおじさんに苦しみを与え。下に浮き出た魔法陣が、奴隷契約をした時に使われた魔法陣で、もう少しするとその魔法陣が発動。発動するとエンシェントドラゴンおじさんはコースタスクの元へ戻ることに…。

 な、何で!? まだ時間はあるはずなんだよね。それに罰って。こんなに苦しませることが罰? いや、確かに命令違反に対する罰だから、苦しいものなんだろうけど。こんなに苦しめる必要ないじゃん!! 

「ばちゅ…」

『でも、おじさん、わるいことしてないなの』

『うん、クルクル達助けてくれた。それに昔も今も、悪いことしてない。罰おかしい』

「これが奴隷契約なのだ。とりあえずお前達は下がりなさい」

 と、その時でした。おじさんを包んでいるモヤモヤがもっと濃くなったんだ。
しおりを挟む
感想 1,422

あなたにおすすめの小説

夢のテンプレ幼女転生、はじめました。 憧れののんびり冒険者生活を送ります

ういの
ファンタジー
旧題:テンプレ展開で幼女転生しました。憧れの冒険者になったので仲間たちとともにのんびり冒険したいとおもいます。 七瀬千那(ななせ ちな)28歳。トラックに轢かれ、気がついたら異世界の森の中でした。そこで出会った冒険者とともに森を抜け、最初の街で冒険者登録しました。新米冒険者(5歳)爆誕です!神様がくれた(と思われる)チート魔法を使ってお気楽冒険者生活のはじまりです!……ちょっと!神獣様!精霊王様!竜王様!私はのんびり冒険したいだけなので、目立つ行動はお控えください!! 初めての投稿で、完全に見切り発車です。自分が読みたい作品は読み切っちゃった!でももっと読みたい!じゃあ自分で書いちゃおう!っていうノリで書き始めました。 【5/22 書籍1巻発売中!】

我が家に子犬がやって来た!

もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。 アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。 だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。 この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。 ※全102話で完結済。 ★『小説家になろう』でも読めます★

聖女の私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。

重田いの
ファンタジー
聖女である私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。 あのお、私はともかくお父さんがいなくなるのは国としてマズイと思うのですが……。 よくある聖女追放ものです。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

大聖女の姉と大聖者の兄の元に生まれた良くも悪くも普通の姫君、二人の絞りカスだと影で嘲笑されていたが実は一番神に祝福された存在だと発覚する。

下菊みこと
ファンタジー
絞りカスと言われて傷付き続けた姫君、それでも姉と兄が好きらしい。 ティモールとマルタは父王に詰め寄られる。結界と祝福が弱まっていると。しかしそれは当然だった。本当に神から愛されているのは、大聖女のマルタでも大聖者のティモールでもなく、平凡な妹リリィなのだから。 小説家になろう様でも投稿しています。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

【完結】離縁されたので実家には戻らずに自由にさせて貰います!

山葵
恋愛
「キリア、俺と離縁してくれ。ライラの御腹には俺の子が居る。産まれてくる子を庶子としたくない。お前に子供が授からなかったのも悪いのだ。慰謝料は払うから、離婚届にサインをして出て行ってくれ!」 夫のカイロは、自分の横にライラさんを座らせ、向かいに座る私に離婚届を差し出した。

国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。

樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。 ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。 国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。 「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。