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218.黒いモヤモヤ人間じゃないモヤモヤ?

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 エンシェントドラゴンおじさんにアルフォンスさん、それからカーライルさんは、僕達からちょっと離れて話しを始めました。僕達は今出した荷物を、またカバンにしまい始めて。

 そうそう、片付ける前に僕のカバンに入っていた、クルクルのカバンの中身も確認しました。今見せたのは僕とフィルのカバンの中身だったから。
 もちろん僕のカバンは何も問題なかったから、クルクルのカバンの中身も、まったく問題なし。本当不思議なカバンだよね。

 それでね、話し合いに僕達は参加していなかったけど、やっぱり気になって、チラチラ見ながら片付けをしていた僕。その時ふと、話し合いをしているエンシェントドラゴンおじさん達じゃなくて、エンシェントドラゴンおじさんのしっぽに目がいった僕。

 何か見えた気がしたんだ。こう、黒っぽい物が。それで目を凝らして、しっかりとしっぽの先を見たら、微かにだけど、やっぱり黒いモヤモヤした物が、しっぽの先についているみたいで。ただ、僕の見間違いってこともあるから、すぐにフィルとクルクルに聞いてみる事に。
 だって黒いモヤモヤといえば、あの消える黒いモヤモヤ人間でしょう。きちんと確かめなくちゃ。

「にぇ、ありぇ、みえりゅ?」

『なになになの?』

『何見てる?』

「ちっぽのしゃき、くりょいもにゃもにゃ、ちゅいてりゅ?」

『くろいモヤモヤなの!?』

『黒いモヤモヤ、あいつらと一緒?』

『ボクのしっぽなの!?』

 待って待って、違う違う。フィルのしっぽじゃないよ。僕がそう言えば、フィルがホッとため息をついていました。

「ふぃりゅにょじゃにゃい、おじしゃんの」

『おじさんのしっぽなの? う~んなの』

『おじさんの近くに、あの黒い服の人達がいる?』

 今度はみんなで、エンシェントドラゴンおじさんのしっぽを確認。そうしたら僕の見間違いじゃなくて、2匹にも見えました。

「にぇ、くりょいもにゃもにゃ」

『くろいモヤモヤなの。でもまえにみたのとちがうなの』

『うん、とっても薄い色してる。それのに大きさが違う。黒いモヤモヤ人間は大きかった。でもおじさんのはしっぽの先だけ』

 そうだよね。人間だったら、もっと黒いモヤモヤが大きかったし、それに動きもあって。今の黒いモヤモヤは、エンシェントドラゴンおじさんのしっぽの先だけだもんね。

「ありぇ、みえにゃいひとじゃにゃい」

『うん、ちがうなの』

『何かな?』

「…あにょにぇ、ぼく、あにょくりょいもにゃもにゃ、きもちわりゅい。みえにゃいひちょより、きもちわりゅい」

『…ボクもなの。とってもきもちわるいなの』

『クルクルも。とっても気持ち悪いし、それに嫌な感じがする』

 フィルとクリクルが戦闘態勢を取ろうとしました。うん、これも僕だけじゃなかったよ。気持ち悪い感じと、嫌な感じね。本当に少しだけの黒いモヤモヤなのに、黒いモヤモヤ人間よりも、とっても気持ち悪い感じがして。

 僕達は頷き合うと、すぐにエンシェントドラゴンおじさんを呼びました。知らせなくちゃ、これ、絶対にダメなやつだもん。絶対にエンシェントドラゴンおじさんにとって、ダメなヤツだもん!!

「おじちゃ!!」

『おじさん、きいてなの!!』

『悪いのが付いてる!!』

『何だ、どうした? 片付けは終わったのか?』

「片付けが終わったのなら、他に何か入れたい物がないか確認して…」

「ちがう!! くろいもにゃもにゃ!」

『くろいモヤモヤなの!! わるいやつなの!!』

『おじさんのしっぽの先、早く見て!!』

 急な事だったからね、僕達の言い方も悪かったのがいけなかったけど。でも大事なことを短く、サッと伝えるには、この言い方になっちゃって。
 
 最初エンシェントドラゴンおじさん達は、僕達が荷物を入れ終わったのかと思っていたけど、なんとか僕達の言っていることを理解してくれて、全員がエンシェントドラゴンおじさんのしっぽを見ました。

『まさか!?』

「カーライル!! カナデ達の所へ!!」

「はっ!!」

 すぐにカーライルさんが僕達の所に。それからエンシェントドラゴンおじさんは、洞窟の広場の1番奥まで移動。アルフォンスさんは、周りに手をかざして何かを始めて。

 何が起こっているのか全く分からない僕達。ただみんなが動いている間に、エンシェントドラゴンおじさんのしっぽの黒いモヤモヤはさらに範囲を広げて。しっぽ全体から、足までに広がっちゃったんだ。

 みんなの慌て方。やっぱりあの黒いモヤモヤ、悪いヤツなの? 何とか消せない? そんなことを思っていると、カーライルさんに早くカバンに荷物をしまえって。カーライルさんが荷物をカバンにしまうのを手伝ってくれます。

 ただ手伝ってもらって申し訳なかったんだけど、僕はフィルとクルクルにすぐに武器をつけるように言いました。何かあった時には、クルクルが考えてくれた武器だよ。

 まだしまっていなかったから、すぐに手に取って、フィル達が武器をつける手伝いをします。それを見たカーライルさんが、そんなことより早く移動する用意をしろって。ダメ! これは大切なの!!

 僕は待ってって言って、最後、フィルのしっぽに武器をつけようとします。でもフィルが、これは僕の手首に付けてって。クルクルにもそう方が良いって言われて、僕は言われるまま、自分の手首につけようとしました。

 ただ慌てているからか、なかなかうまく付けられなくて。早く早く、しっかりと付けないと。と、その時でした。

『グアァァァァァァッ!!』

 全員で振り返ります。洞窟の中に、エンシェントドラゴンおじさんの叫び声が響きました。
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