もふもふ相棒と異世界で新生活!! 神の愛し子？ そんなことは知りません!!

連載

２１４．２〜３日後のエンシェントドラゴンおじさん

『ボク、ここ好き。外の虫や小鳥も好き。だからここでみんな待ってても良い。カナデとフィルは？』

『ボクもなの！　ボクもここでまつの、だいじょぶなの！』

「うん、ぼくも、ここでまちゅ。だいじょぶ」

『確かに何もなければ大丈夫なのだが』

「お前達、話しを聞いていたか？　というか、昨日の話しをきちんと覚えているか？　多分私がくる前にも話していたと思うが」

　昨日の話し？　もちろんちゃんと覚えているし、ちゃんと話しの内容も分かっていたつもりだよ。まぁ、難しい魔法の話しとか、コースタスク達の詳しい話しとか、ところどころ難しい話しは分かっていないけど。でも一応は、ちゃんと理解しているつもり。

　フィルは…、半分分かっていて半分分かっていないかな？　僕が気づかなかったのもダメだったけど、封印のこと分かっていないしね。ただ大事な部分は分かっていると思うんだ。

　クルクルは、もしかしたら僕よりも、しっかりと話しの内容を理解しているかも。なにしろ僕達の中で、１番しっかりのお兄さんはクルクルだからね。元々この世界の魔獣だけど、それを抜きにしても、やっぱりしっかり者のクルクル。
　僕達の防護や武器を考えてくれて、いつもしっかりと意見を言って。…本当の年齢だったら僕の方が全然上なのに。こんな僕ですみません。

　って、そうじゃなくて、いや、それについては、僕のしっかり具合については、色々このごたごたが終わってから考えるとして。話しはきちんと聞いていたつもり。うん。

「おはなち、きいてちゃ。おぼえちぇりゅ」

『ボクもなの！　わかんないこともあるけど、おはなしきてたなの！』

『ボクもしっかり聞いてた。うん、しっかり。大事なことだから』

『ならば我とコースタスクの奴隷契約の話しも、ちゃんと覚えているな。それと関係があるのだ』

　それはもちろん！　エンシェントドラゴンおじさんに無理やり奴隷契約をして、そして昔もだったけど、今も苦しめているコースタスク。
　しかも簡単に奴隷契約をなくすことはできないんでしょう？　だからアルフォンスさんが、奴隷契約を解除する方法を見つけてくれるって。

　でも、その奴隷契約がどうしたの？　どうしてここから移動するのと、奴隷契約が関係あるの？

『我は今、その奴隷契約主のコースタスクの命令を、無視して行動している状態だ。詳しく話せば…』

　今のエンシェントドラゴンおじさんは、コースタスクの命令を無視している状態で、本当だったら僕を攫ってたら、すぐにコースタスクの所へ戻らないといけませんでした。
　でもエンシェントドラゴンおじさんは、僕と話しをしたいってことで、ここまで連れてきて。そしてゆっくりと話しをすることができて。

　ただ、ゆっくり話しはできたけど、今こうして話している間も、エンシェントドラゴンおじさんは命令違反をしている状態です。今の状態ってね、エンシェントドラゴンおじさんだからできる状態なんだって。

　普通の人、力がそんなのない人は、奴隷契約をしている状態で命令違反なんて、簡単にできなくて。奴隷契約主に命令されれば、絶対にその命令に従います。もし命令違反をすれば…。

　命令違反をした瞬間に罰が与えられます。その罰は奴隷契約の種類にも、そして奴隷契約主が決めた罰にもよるんだけど。奴隷の首輪がしまって、首を絞められて苦しんだり、雷を体に流されたりと。色々ね、かなり苦しい罰が与えられるの。

　でも時々エンシェントドラゴンおじさんをみたいに、強い人が奴隷になると、命令に抵抗できることが。それは力が強ければ強いほど抵抗ができて。
　だからエンシェントドラゴンおじさんは、僕達をすぐにコースタスクの所へ連れて行かずに、こうしてここまでくることができました。

　ただ、ずっと抵抗することは…。結局はその抵抗もできなくなって、エンシェントドラゴンおじさんはコースタスクの元へ帰ることに。その時は抵抗ができずに、戻ることしかできないんだって。
　そしてもちろん、罰も与えられて。おじさんの場合の罰も、かなり苦しいみたい。罰を受けながら、コースタスクの元へ戻る。それがどんなに嫌でもね。

　それがあの２～３日って事につながってくるんだ。エンシェントドラゴンおじさんが抵抗できる時間が、あと2～３日なんだって。その日数が過ぎれば、エンシェントドラゴンおじさんはコースタスクの元へ戻る事に。

　それもただ戻るだけじゃないんだよ。命令は今も継続状態だからね。近くに僕達がいれば？　僕達を連れて、コースタスクの元へ戻る事になるでしょう？
　そうならないように、エンシェントドラゴンおじさんは、命令に抵抗できるうちに、僕達を自分から離そうとしていました。

　僕達を連れ帰らなかったら、それも命令違反になって罰を受ける事になるけど。それでも今の状態で、もし僕達をコースタスクの元へ連れていけば、次のコースタスクが何をすることか。それは絶対に避けたいって。
　だからエンシェントドラゴンおじさんが意識を保っていられるうちに、僕達がアルフォンスさんと逃げられれば。

　そして僕達が何処へ逃げたか、エンシェンドラゴンおじさんにも分からなければ。コースタスクがまた僕を捕まえようとしても、僕を見つけるのに時間がかかるって事で。その間のまたまた僕達は何処かへ隠れる、そうすればどんどん時間を稼ぐことができます。

「隠れる場所は私が用意する。もちろんエンドラも知らない場所だ」

　エンシェントドラゴンおじさんと別れたら、僕達はアルフォンスさんに連れて行ってもらって、別の隠れる場所へ。
　そこはエンシェントドラゴンおじさんも知らない場所。もしコースタスに答えろって命令されても、分からないものは答えることができなくて、それは命令違反にはならないからおじさんも罰を受けなくてすみます。

『だから我と別れた後の面倒は、アルフォンスに頼んだのだ。お前達を守るためにな』