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205.ラジオ体操と朝ごはんと食器

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「う~ん!!」

『ふわぁ~なの!』

『ぴよぉ~、朝の運動する』

 朝、何故か良い匂いで目を覚ました僕達。そして、エンシェントドラゴンおじさんと行動するようになってから、こんなにスッキリ目が覚めたのは久しぶりってくらいに、しっかりと起きた僕達は。

 エンシェントドラゴンおじさんに、もう少しでご飯だって言われたから。それまでの間、洞窟の入り口の前に立って朝日を浴びながら、朝の運動をする事に。入り口には昨日集まってきた、虫や鳥達ももちろん付いて来たよ。

 いっちにさんし、ごうろくしちはち。僕が少し前に、みんなにラジオ体操を教えたんだ。完璧に全部ってわけじゃないけど、分かるところだけね。

 これをフィルとクルクル、そしてアリスターがとっても気に入っちゃって。みんながしっかり起きられた日は、朝揃ってやっていたんだ。最初に僕達のラジオ体操を見たエセルバードさん達には、変な踊りをして、何をしているんだって言われたけど。

『お前達は、何故そんな変な踊りを、朝からやっているんだ?』

 ここでも同じ事を言われるなんて。エンシェントドラゴンおじさんが、僕達のラジオ体操を見て、エセルバードさん達と同じ事を言ってきました。
 何かに捧げるための踊りか、何かを召喚するための踊り、それからただ単に楽しむための踊り。踊りには色々理由があるらしんだけど、その踊りみたいだって。

 捧げる? 召喚? そんな凄いものじゃないよ。寝ていて固まっている体を、これから1日しっかり動かすための運動。

「こりぇ、うんど」

『うんど?』

『うんどうなの』

『うんど、うんどう、運動の事か』

『これやると、体が動くようになる。それからしっかり目が覚めていても、もっとバッチリ目が覚める。…でもそれはみんなバラバラ。カナデは運動してもいつも眠そう。フィルは時々眠そう』

『ふむ、確かにカナデはいつも朝、眠そうにしているな。運動か…、我にも教えてくれるか?』

 僕達の運動を見ていて、エンシェントドラゴンおじさんもやってみたくなったって。それに体が動くようになるって、クルクルが言った事にも興味が出たみたい。

 僕は順番にエンシェントドラゴンおじさんに、ラジオ体操を教えていきます。本当は人間の体の方が楽だと思うんだけど、それからそれをエンシェントドラゴンおじさんにも言ったんだけど。
 エンシェントドラゴンおじさんは、ドラゴンの姿でも出来るようにしたいからって、ドラゴンの姿のままラジオ体操をやる事に。

 まぁ、フィルもクルクルも魔獣だからね。みんなそれぞれできる姿勢も変わってくるわけで。僕の動きに近い動きをしている感じだから問題はなし。
 1つずつ、丁寧にエンシェントドラゴンおじさんに教えます。手はこうとか、その時の足はこうとか。

 それでエンシェントドラゴンおじさんは、僕が教えるどの体操もすぐにできちゃって。結局1回しか教えていないのに、その後通してやってみたら、完璧にできちゃいました。虫と鳥達は…。

 いや、鳥達はね、クルクルがやってるから、それを真似して一緒にやっていたけど。まさか虫まで足を動かしたり羽を動かしたり、一緒にラジオ体操をするとは思わなかったよ。
 虫ってこんな動きできるの? というか、人のマネをする? この世界の虫はこれが普通なのかな? あ~あ、屈伸運動まで。僕思わず拍手しちゃったよ。

 と、いうことで、みんなで並んでラジオ体操。いっちにさんし、ごうろくしちはち。にぃにさんし、ごうろくしちはち。

『ふむ、なるほど。体がほぐれるのと、確かに動きが良くなった気がするな。それに良い具合に体が温まった』

 と、エンシェントドラゴンおじさんが感想を言ったら。

「お前達は、何を朝から踊っているのだ」

 いつものあの言葉。いつの間にかアルフォンスさんが僕達の後ろに立っていました。それでジトッとした目で僕達を見ていたの。だからアルフォンスさんにもラジオ体操について説明。

 そして説明を聞いたアルフォンスさんも、ラジオ体操に興味を持ってね。アルフォンスさんにもラジオ体操を押せる事に。それでアルフォンスさんも、1回で覚えちゃったよ。
 最後にもう1度みんなで、並んでラジオ体操をしました。

「確かにこれは良いかもしれないな。もともと朝は、私もなるべく体を動かし、体を温めていたが、これならば1回やるだけでしっかりと体がほぐれ、体が動くようになり温まる。次回からはこれを使わせてもらおう」

 うんうん、そうして。ただ、僕達みたいに何回もやると、逆に体がお熱くなりすぎて、汗がダラダラになるから気をつけてね。最初に自分達でやって、エンシェントドラゴンおじさんにおしえて、揃ってみんなでやって。アルフォンスさんとも同じ事をしたから、僕達汗がダラダラだよ。

「よし、体もしっかりとしたところで、ご飯の準備ができている。さぁ、食べに行こう」

 アルフォンスさんにそう言われて、洞窟の奥まで移動すると、そこにはしっかりとした朝食が用意されていました。

 野菜のサンドイッチに、お肉が挟んであるサンドイッチ、それからスクランブルエッグみたいな物に、少しのサラダ。あとはフルーツのジュースに、ヨーグルトみたいな物まで用意してあったんだ。

 凄いのは朝ごはんだけじゃありません。料理が乗っているお皿。もちろんここに、いつもの陶器や石でできている食器はないけど、今料理はしっかりとお皿に乗っていて。

 何でできているか聞いたら、全部葉っぱでできているんだって。コップもね。しっかり葉っぱで編まれていて、下にソースや果物の汁が漏れるとか、絶対にないって。だからコップも心配なし。
 
 豪華な朝のご飯に、僕もフィルもクルクルも食べるよりも前に、じっと朝ごはんを見つめちゃったよ。

「ここにある食材と、私が朝焼いたパンで作った」

『アルフォンスは料理が得意だからな。そしてこういった食器を作るのも得意なのだ。昨日の夜、お前達が寝てから、我らはもう少し話しをしていたのだが、しっかりとしたご飯が必要だろう、それから食器も必要だろうと。話しをしながら作ってくれたのだ』

 話しをしながら、この完璧な食器を? そしてこの朝のご飯まで? 僕はフィルとクルクルを見ます。そうしたらフィル達も僕を見ていて。
 みんなで頷き合ったら、一斉にアルフォンスさんの所へ。そしてアルフォンスさんに抱きついて、大きな声でお礼を言いました。

「あがちょ!!」

『ありがとなの!!』

『ありがとう!!』

 虫も鳥達も、みんながアルフォンスさんの周りに集まって、たぶんありがとうとって、伝えています。

「………別に問題ない。さぁ、早く食べてしまうぞ。その後はまた話し合いだからな」

 こんなに凄い朝ご飯に食器、アルフォンスさん、本当にありがとう!!
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