もふもふ相棒と異世界で新生活!! 神の愛し子? そんなことは知りません!!

ありぽん

文字の大きさ
表紙へ
上 下
49 / 114
連載

182.今の状況(ムハンマド視点)

しおりを挟む
『それで、向こうは向こうで、今向かっている最中なんだな』

『ああ、先程連絡が』

『そうか、取り敢えずお前の妻と息子が無事で良かったが。それで今どうしているのだ?』

『別の避難場所に。様子を見てこちらに戻ってくるか決めると。それとは別に、先にある男を連れてくるらしい。奴等の仲間で、かなりの情報を持っているようだ。しっかりと分かってはいないが、どうも奴等の中でもかなり上の人間らしい。だが、すぐに話しを聞けるかどうか』

『何だ、どうした? ああ、アビアンナがやりすぎて口を聞けなくなったか? ならすぐにグッドフォローに治療させれば良いだろう』

『いや、確かにそうなんだが。奴は捕まる瞬間、自ら命を絶とうと。呪いを使ったと。が、それを無理やりアビアンナが止めてだな。それで命は取り留めたのだが、無理やり止めた反動か、気絶してから意識が戻らないと』

『呪いを無理やり止めたのか!?  ハハハッ! さすがアビアンナだ!』

『おい、笑い事ではないぞ。もし失敗していたらアビアンナが危なかったんだ。まぁ、流石というのはあっているが』

『はぁ、まったくアビアンナは。でだ、その意識の戻らない男を、何とか起こさないといけないが。呪いを強制的に止めたからな、止めたまでは良いが、目が覚めるかどうか』

『そっちは分かった。で、俺達はまだ会ったことはないが、『神の愛し子』の方は?』

『カナデの方は今、ウィバリーとイングラム達が追っている。本当ならすぐに私も追いかけたいところだが、今、ここを離れることはできないからな』

『まさか、人間や獣人達が、あれ程の力を持っているとは』

『フンッ、どうせ何かやってんだろう。本当に力のある奴は十数人ってところだ』

『それでも、奴等を率いている者。あれの実力は本物だろう。こちらも奴等を止めなければ、不味いことになる』

『チッ! まったく面倒くさい』

『…それのことについてだが、私に考えがある。が、もう少々時間をくれないか。うまく行けば、お前を向こうへ向かわせる事が出来るかもしれない』

『何だ? どういう事だ?』

『まだどうなるか分からないのだ。だから今は話せないが』

『分かった。お前がそう言うのなら』

『お、あっちが動いたみたいだな。俺が行ってくる、何かあれば連絡を』

『気をつけろよ』

『お前は加減を忘れて、自分に被害が及ぶ時があるからな』

『フンッ、俺を誰だと思ってんだ』

 アーチボルトが部屋から出て行った。それに続けてマリウスが様子を見てくると部屋を出ていき。

 その知らせが届いたのは、私がエンシェントドラゴンと戦い、そしてその後、森へと入って来た者達の中心人物、今回の事件に首謀者と思われる男との戦いが、止まっている時だった。

 アリアナが知らせに来てくれたのだが、それまでに気配で何となく、何が起こっているかは分かっていた。そしてアリアナの報告は、私が感じていたものそのままで。カナデ達がエンシェントドラゴンに攫われたと。そしてアビアンナとアリスター、他の面々は無事だと。

 これからはアビアンナとアリスター、ローズマリーは別の避難場所へ避難をし、そこで状況に合わせて動くこと、ウィバリー達はそのままカナデ達を追い、残りのメンバーはある男を連れてくるとの事だった。

 この男は先程、アーチボルト達と話していた通り、奴等の仲間で、かなりの情報を持っている、奴等の中でもかなり上の人間らしい。

 が、この男、アビアンナに捕まりそうになると、自害をするために呪いを自分にかけようとし。が、本来ならそれで完璧に死んでいたはずなのだが。アビアンナは無理やりにそれを止め、男が死ぬのを止めた。私でも止められるか分からない呪いをだ。

 どうやって止めたのか聞けば、その時アビアンナはカナデが攫われたと事を気配で感じ取り、かなりきていたと。あ~、そう、かなりキレていたのだ。そしてアリスターの事もあったからな、一気に怒りが。

 そんな時の男達の攻撃で、その男以外を一気にやり、男は動けないほどに。そして情報をこちらに渡さないように自害しようとしたところ、キレたアビアンナの、まさかの何十発というビンタで、無理やり呪いを払ったらしい。
 ビンタで? 思わず聞き返してしまったが、魔力を溜め、その状態で何度もビンタを。そして見事呪いを消したようだ。

 本来呪いに触れるのは、とても危険な行為だ。下手をしたら自分にも呪いがかかる可能性が。まったく、なんて無茶をしたのか。が、その影響で今は眠ってしまっているが、それでも男を生きて捕まえられたことは良いことだ。これで奴等の事について、何かが分かれば。

 私が相手をしていたあの首謀者と思われる男。そして男の側にいたもの達。奴等はかなりの力を持っており、ドラゴンの私達と、ほぼ同様の力で私達に向かって来た。そのためすぐにカナデ達の方へ向かおうとしていたが、まったくここから動くことはできず。そしてそれはアーチボルトやマリウスの方も同じで。
 
 しかしそんな奴等が、同等に戦っているにも関わらず、カナデが攫われてから少しして、何故か急に後ろへ引き。今は我々の里から少し離れた場所に集まっている。その間にアリアナが知らせを持って来て、アーチボルト達と今の状況と、これからの話し合いをしたのだ。

 マリウスは何か考えがあるようだからな。奴の報告次第だが、もし本当にすぐにカナデ達の方へ向かう事ができるのならば。今はウィバリーやイングラム達が追ってくれているが、なるべく私もそちらに行きたい。必ずカナデ達を取り戻すためにも。

 それにしてもあの首謀者のあの男。一体何が目的だ? 何故カナデを? カナデが『神の愛し子』と分かっているのか? もしそうならば、いつ『神の愛し子』とバレた? いや、『神の愛し子』はまったく関係なく、別の理由でカナデを捉えようと?

 わざわざエンシェントドラゴンに、自分の命を捧げて奴隷契約までして? 分からないことばかりだ。今から運ばれてくる男、この男から何か情報を聞き出せれば良いが。その前にまた戦いが再開されれば、尋問どころではなくなってしまう。

 何とかこの状況を脱しなければ。

しおりを挟む
表紙へ
感想 1,422

あなたにおすすめの小説

夢のテンプレ幼女転生、はじめました。 憧れののんびり冒険者生活を送ります

ういの
ファンタジー
旧題:テンプレ展開で幼女転生しました。憧れの冒険者になったので仲間たちとともにのんびり冒険したいとおもいます。 七瀬千那(ななせ ちな)28歳。トラックに轢かれ、気がついたら異世界の森の中でした。そこで出会った冒険者とともに森を抜け、最初の街で冒険者登録しました。新米冒険者(5歳)爆誕です!神様がくれた(と思われる)チート魔法を使ってお気楽冒険者生活のはじまりです!……ちょっと!神獣様!精霊王様!竜王様!私はのんびり冒険したいだけなので、目立つ行動はお控えください!! 初めての投稿で、完全に見切り発車です。自分が読みたい作品は読み切っちゃった!でももっと読みたい!じゃあ自分で書いちゃおう!っていうノリで書き始めました。 【5/22 書籍1巻発売中!】

もふもふが溢れる異世界で幸せ加護持ち生活!

ありぽん
ファンタジー
いつも『もふもふが溢れる異世界で幸せ加護持ち生活!』をご愛読いただき、ありがとうございます。 10月21日、『もふもち』コミカライズの配信がスタートしました!! 江戸はち先生に可愛いジョーディ達を描いていただきました。 先生、ありがとうございます。 今後とも小説のジョーディ達、そしてコミカライズのジョーディ達を、よろしくお願いいたします。       ********* 小学3年生の如月啓太は、病気により小学校に通えないまま、病院で息を引き取った。 次に気が付いたとき、啓太の前に女神さま現れて、啓太自身の話を聞くことに。 そして啓太は別の世界の、マカリスター侯爵家次男、ジョーディ・マカリスターとして転生することが決まる。 すくすくそだった啓太改めジョーディは1歳に。 そしてジョーディには友達がいっぱい。でも友達は友達でも、人間の友達ではありません。 ダークウルフの子供にホワイトキャットの子供に。何故か魔獣の友達だらけ。 そんなジョーディの毎日は、父(ラディス)母(ルリエット)長男(マイケル)、そしてお友達魔獣達と一緒に、騒がしくも楽しく過ぎていきます。

憧れのテイマーになれたけど、何で神獣ばっかりなの⁉

陣ノ内猫子
ファンタジー
 神様の使い魔を助けて死んでしまった主人公。  お詫びにと、ずっとなりたいと思っていたテイマーとなって、憧れの異世界へ行けることに。  チートな力と装備を神様からもらって、助けた使い魔を連れ、いざ異世界へGO! ーーーーーーーーー  これはボクっ子女子が織りなす、チートな冒険物語です。  ご都合主義、あるかもしれません。  一話一話が短いです。  週一回を目標に投稿したと思います。  面白い、続きが読みたいと思って頂けたら幸いです。  誤字脱字があれば教えてください。すぐに修正します。  感想を頂けると嬉しいです。(返事ができないこともあるかもしれません)  

異世界でチート無双! いやいや神の使いのミスによる、僕の相棒もふもふの成長物語

ありぽん
ファンタジー
ある異世界で生きるアーベル。アーベルにはある秘密があった。何故か彼は地球での記憶をそのままに転生していたのだ。 彼の地球での一生は、仕事ばかりで家族を顧みず、そのせいで彼の周りからは人が離れていき。最後は1人きりで寿命を終えるという寂しいもので。 そのため新たな人生は、家族のために生きようと誓い、そしてできるならばまったりと暮らしたいと思っていた。   そんなマーベルは5歳の誕生日を迎え、神からの贈り物を授かるために教会へ。しかし同じ歳の子供達が、さまざまな素晴らしい力を授かる中、何故かアーベルが授かった力はあまりにも弱く。 だがアーベルはまったく気にならなかった。何故なら授かった力は、彼にとっては素晴らしい物だったからだ。 その力を使い、家族にもふもふ魔獣達を迎え、充実した生活を送っていたアーベル。 しかし変化の時は突然訪れた。そしてその変化により、彼ともふもふ魔獣達の理想としている生活から徐々に離れ始め? これはアーベルの成長物語、いやいや彼のもふもふ達の成長物語である。

エリアスとドラゴンともふもふは、今日も元気に遊んでいます!?

ありぽん
ファンタジー
 アルフォート家の3男、エリアス・アルフォート3歳は、毎日楽しく屋敷の広い広い庭を、お友達のぷるちゃん(スライム)とウルちゃん(ホワイトウルフ)と一緒に走り回っておりました。  そして4歳の誕生日の日。この日は庭でエリアスの誕生日パーティーが開かれていました。その時何処からかエリアスの事を呼ぶ声が。その声を前に聞いた事があるエリアスは、声のする庭の奥へ、ぷるちゃんとウルちゃんと3人進んで行きます。そこでエリアス達を待っていたものは?  剣と魔法そしてもふもふの溢れる世界で、繰り広げられるエリアスの大冒険。周りを巻き込みながら、今日もエリアスはやらかします! *エリアス本人登場は2話からとなります。

もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」 授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。 途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。 ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。 駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。 しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。 毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。 翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。 使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった! 一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。 その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。 この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。 次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。 悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。 ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった! <第一部:疫病編> 一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24 二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29 三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31 四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4 五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8 六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11 七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

野草から始まる異世界スローライフ

深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。 私ーーエルバはスクスク育ち。 ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。 (このスキル使える)   エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。 エブリスタ様にて掲載中です。 表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。 プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。 物語は変わっておりません。 一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。 よろしくお願いします。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。