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182.今の状況(ムハンマド視点)
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『それで、向こうは向こうで、今向かっている最中なんだな』
『ああ、先程連絡が』
『そうか、取り敢えずお前の妻と息子が無事で良かったが。それで今どうしているのだ?』
『別の避難場所に。様子を見てこちらに戻ってくるか決めると。それとは別に、先にある男を連れてくるらしい。奴等の仲間で、かなりの情報を持っているようだ。しっかりと分かってはいないが、どうも奴等の中でもかなり上の人間らしい。だが、すぐに話しを聞けるかどうか』
『何だ、どうした? ああ、アビアンナがやりすぎて口を聞けなくなったか? ならすぐにグッドフォローに治療させれば良いだろう』
『いや、確かにそうなんだが。奴は捕まる瞬間、自ら命を絶とうと。呪いを使ったと。が、それを無理やりアビアンナが止めてだな。それで命は取り留めたのだが、無理やり止めた反動か、気絶してから意識が戻らないと』
『呪いを無理やり止めたのか!? ハハハッ! さすがアビアンナだ!』
『おい、笑い事ではないぞ。もし失敗していたらアビアンナが危なかったんだ。まぁ、流石というのはあっているが』
『はぁ、まったくアビアンナは。でだ、その意識の戻らない男を、何とか起こさないといけないが。呪いを強制的に止めたからな、止めたまでは良いが、目が覚めるかどうか』
『そっちは分かった。で、俺達はまだ会ったことはないが、『神の愛し子』の方は?』
『カナデの方は今、ウィバリーとイングラム達が追っている。本当ならすぐに私も追いかけたいところだが、今、ここを離れることはできないからな』
『まさか、人間や獣人達が、あれ程の力を持っているとは』
『フンッ、どうせ何かやってんだろう。本当に力のある奴は十数人ってところだ』
『それでも、奴等を率いている者。あれの実力は本物だろう。こちらも奴等を止めなければ、不味いことになる』
『チッ! まったく面倒くさい』
『…それのことについてだが、私に考えがある。が、もう少々時間をくれないか。うまく行けば、お前を向こうへ向かわせる事が出来るかもしれない』
『何だ? どういう事だ?』
『まだどうなるか分からないのだ。だから今は話せないが』
『分かった。お前がそう言うのなら』
『お、あっちが動いたみたいだな。俺が行ってくる、何かあれば連絡を』
『気をつけろよ』
『お前は加減を忘れて、自分に被害が及ぶ時があるからな』
『フンッ、俺を誰だと思ってんだ』
アーチボルトが部屋から出て行った。それに続けてマリウスが様子を見てくると部屋を出ていき。
その知らせが届いたのは、私がエンシェントドラゴンと戦い、そしてその後、森へと入って来た者達の中心人物、今回の事件に首謀者と思われる男との戦いが、止まっている時だった。
アリアナが知らせに来てくれたのだが、それまでに気配で何となく、何が起こっているかは分かっていた。そしてアリアナの報告は、私が感じていたものそのままで。カナデ達がエンシェントドラゴンに攫われたと。そしてアビアンナとアリスター、他の面々は無事だと。
これからはアビアンナとアリスター、ローズマリーは別の避難場所へ避難をし、そこで状況に合わせて動くこと、ウィバリー達はそのままカナデ達を追い、残りのメンバーはある男を連れてくるとの事だった。
この男は先程、アーチボルト達と話していた通り、奴等の仲間で、かなりの情報を持っている、奴等の中でもかなり上の人間らしい。
が、この男、アビアンナに捕まりそうになると、自害をするために呪いを自分にかけようとし。が、本来ならそれで完璧に死んでいたはずなのだが。アビアンナは無理やりにそれを止め、男が死ぬのを止めた。私でも止められるか分からない呪いをだ。
どうやって止めたのか聞けば、その時アビアンナはカナデが攫われたと事を気配で感じ取り、かなりきていたと。あ~、そう、かなりキレていたのだ。そしてアリスターの事もあったからな、一気に怒りが。
そんな時の男達の攻撃で、その男以外を一気にやり、男は動けないほどに。そして情報をこちらに渡さないように自害しようとしたところ、キレたアビアンナの、まさかの何十発というビンタで、無理やり呪いを払ったらしい。
ビンタで? 思わず聞き返してしまったが、魔力を溜め、その状態で何度もビンタを。そして見事呪いを消したようだ。
本来呪いに触れるのは、とても危険な行為だ。下手をしたら自分にも呪いがかかる可能性が。まったく、なんて無茶をしたのか。が、その影響で今は眠ってしまっているが、それでも男を生きて捕まえられたことは良いことだ。これで奴等の事について、何かが分かれば。
私が相手をしていたあの首謀者と思われる男。そして男の側にいたもの達。奴等はかなりの力を持っており、ドラゴンの私達と、ほぼ同様の力で私達に向かって来た。そのためすぐにカナデ達の方へ向かおうとしていたが、まったくここから動くことはできず。そしてそれはアーチボルトやマリウスの方も同じで。
しかしそんな奴等が、同等に戦っているにも関わらず、カナデが攫われてから少しして、何故か急に後ろへ引き。今は我々の里から少し離れた場所に集まっている。その間にアリアナが知らせを持って来て、アーチボルト達と今の状況と、これからの話し合いをしたのだ。
マリウスは何か考えがあるようだからな。奴の報告次第だが、もし本当にすぐにカナデ達の方へ向かう事ができるのならば。今はウィバリーやイングラム達が追ってくれているが、なるべく私もそちらに行きたい。必ずカナデ達を取り戻すためにも。
それにしてもあの首謀者のあの男。一体何が目的だ? 何故カナデを? カナデが『神の愛し子』と分かっているのか? もしそうならば、いつ『神の愛し子』とバレた? いや、『神の愛し子』はまったく関係なく、別の理由でカナデを捉えようと?
わざわざエンシェントドラゴンに、自分の命を捧げて奴隷契約までして? 分からないことばかりだ。今から運ばれてくる男、この男から何か情報を聞き出せれば良いが。その前にまた戦いが再開されれば、尋問どころではなくなってしまう。
何とかこの状況を脱しなければ。
『ああ、先程連絡が』
『そうか、取り敢えずお前の妻と息子が無事で良かったが。それで今どうしているのだ?』
『別の避難場所に。様子を見てこちらに戻ってくるか決めると。それとは別に、先にある男を連れてくるらしい。奴等の仲間で、かなりの情報を持っているようだ。しっかりと分かってはいないが、どうも奴等の中でもかなり上の人間らしい。だが、すぐに話しを聞けるかどうか』
『何だ、どうした? ああ、アビアンナがやりすぎて口を聞けなくなったか? ならすぐにグッドフォローに治療させれば良いだろう』
『いや、確かにそうなんだが。奴は捕まる瞬間、自ら命を絶とうと。呪いを使ったと。が、それを無理やりアビアンナが止めてだな。それで命は取り留めたのだが、無理やり止めた反動か、気絶してから意識が戻らないと』
『呪いを無理やり止めたのか!? ハハハッ! さすがアビアンナだ!』
『おい、笑い事ではないぞ。もし失敗していたらアビアンナが危なかったんだ。まぁ、流石というのはあっているが』
『はぁ、まったくアビアンナは。でだ、その意識の戻らない男を、何とか起こさないといけないが。呪いを強制的に止めたからな、止めたまでは良いが、目が覚めるかどうか』
『そっちは分かった。で、俺達はまだ会ったことはないが、『神の愛し子』の方は?』
『カナデの方は今、ウィバリーとイングラム達が追っている。本当ならすぐに私も追いかけたいところだが、今、ここを離れることはできないからな』
『まさか、人間や獣人達が、あれ程の力を持っているとは』
『フンッ、どうせ何かやってんだろう。本当に力のある奴は十数人ってところだ』
『それでも、奴等を率いている者。あれの実力は本物だろう。こちらも奴等を止めなければ、不味いことになる』
『チッ! まったく面倒くさい』
『…それのことについてだが、私に考えがある。が、もう少々時間をくれないか。うまく行けば、お前を向こうへ向かわせる事が出来るかもしれない』
『何だ? どういう事だ?』
『まだどうなるか分からないのだ。だから今は話せないが』
『分かった。お前がそう言うのなら』
『お、あっちが動いたみたいだな。俺が行ってくる、何かあれば連絡を』
『気をつけろよ』
『お前は加減を忘れて、自分に被害が及ぶ時があるからな』
『フンッ、俺を誰だと思ってんだ』
アーチボルトが部屋から出て行った。それに続けてマリウスが様子を見てくると部屋を出ていき。
その知らせが届いたのは、私がエンシェントドラゴンと戦い、そしてその後、森へと入って来た者達の中心人物、今回の事件に首謀者と思われる男との戦いが、止まっている時だった。
アリアナが知らせに来てくれたのだが、それまでに気配で何となく、何が起こっているかは分かっていた。そしてアリアナの報告は、私が感じていたものそのままで。カナデ達がエンシェントドラゴンに攫われたと。そしてアビアンナとアリスター、他の面々は無事だと。
これからはアビアンナとアリスター、ローズマリーは別の避難場所へ避難をし、そこで状況に合わせて動くこと、ウィバリー達はそのままカナデ達を追い、残りのメンバーはある男を連れてくるとの事だった。
この男は先程、アーチボルト達と話していた通り、奴等の仲間で、かなりの情報を持っている、奴等の中でもかなり上の人間らしい。
が、この男、アビアンナに捕まりそうになると、自害をするために呪いを自分にかけようとし。が、本来ならそれで完璧に死んでいたはずなのだが。アビアンナは無理やりにそれを止め、男が死ぬのを止めた。私でも止められるか分からない呪いをだ。
どうやって止めたのか聞けば、その時アビアンナはカナデが攫われたと事を気配で感じ取り、かなりきていたと。あ~、そう、かなりキレていたのだ。そしてアリスターの事もあったからな、一気に怒りが。
そんな時の男達の攻撃で、その男以外を一気にやり、男は動けないほどに。そして情報をこちらに渡さないように自害しようとしたところ、キレたアビアンナの、まさかの何十発というビンタで、無理やり呪いを払ったらしい。
ビンタで? 思わず聞き返してしまったが、魔力を溜め、その状態で何度もビンタを。そして見事呪いを消したようだ。
本来呪いに触れるのは、とても危険な行為だ。下手をしたら自分にも呪いがかかる可能性が。まったく、なんて無茶をしたのか。が、その影響で今は眠ってしまっているが、それでも男を生きて捕まえられたことは良いことだ。これで奴等の事について、何かが分かれば。
私が相手をしていたあの首謀者と思われる男。そして男の側にいたもの達。奴等はかなりの力を持っており、ドラゴンの私達と、ほぼ同様の力で私達に向かって来た。そのためすぐにカナデ達の方へ向かおうとしていたが、まったくここから動くことはできず。そしてそれはアーチボルトやマリウスの方も同じで。
しかしそんな奴等が、同等に戦っているにも関わらず、カナデが攫われてから少しして、何故か急に後ろへ引き。今は我々の里から少し離れた場所に集まっている。その間にアリアナが知らせを持って来て、アーチボルト達と今の状況と、これからの話し合いをしたのだ。
マリウスは何か考えがあるようだからな。奴の報告次第だが、もし本当にすぐにカナデ達の方へ向かう事ができるのならば。今はウィバリーやイングラム達が追ってくれているが、なるべく私もそちらに行きたい。必ずカナデ達を取り戻すためにも。
それにしてもあの首謀者のあの男。一体何が目的だ? 何故カナデを? カナデが『神の愛し子』と分かっているのか? もしそうならば、いつ『神の愛し子』とバレた? いや、『神の愛し子』はまったく関係なく、別の理由でカナデを捉えようと?
わざわざエンシェントドラゴンに、自分の命を捧げて奴隷契約までして? 分からないことばかりだ。今から運ばれてくる男、この男から何か情報を聞き出せれば良いが。その前にまた戦いが再開されれば、尋問どころではなくなってしまう。
何とかこの状況を脱しなければ。
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