自由を知らない籠の鳥は淡く甘い夢を見る

秋臣

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監禁②

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「昨日はそのまま寝てしまったからシャワーを浴びようか」
「嫌だ…帰りたい…これを外してください」
「うん、足枷ね、シャワーするには邪魔だね」
「外して…」
「行こうか」
「……」

バスルームで足枷を外す。
「はい、外したよ」
「…外してくれるのですか?」
「だって服脱げないし、シャワー浴びられないだろ?」
「…ありがとう」
もう既に感覚が麻痺し始めている。

「ほら、好きにしていいよ」
「……」

きっと彼は足枷を外してもらったことに戸惑いを感じているはずだ。
あれだけ外して欲しいと言っていたのに、いざ外してもらうと戸惑ってしまう。
帰りたいと呪文のようにひたすらそればかりを唱えていた伊純くんは、
「…シャワーを浴びさせてもらってもいいですか?」
と俺に問う。
「どうぞ、君の好きにしていいんだよ」
そう答えるとほんの少しだけ強張った笑みを見せた。

彼がシャワーを浴びる。
浴槽には湯も張ってある。

俺はその様子をバスルームのドアを開け眺める。

「あの…見られていると恥ずかしいのでドア閉めてもらえないでしょうか…」
「そんな勿体無いことできないよ。
夢にまで見た伊純くんの裸だもの、もっと見せて」
背中を向けてしまった。

俺は服のまま中へ入る。
シャワーは出しっぱなしで全身ずぶ濡れになる。
後ろを向いてしまった伊純くんをそっと後ろから抱きしめる。
「俺が洗ってあげる」
「いえ、あの…自分でできます…」
「遠慮しないで…」

小刻みに震える伊純くんが愛おしくて仕方がない。
シャワーを止め、ボディソープを手につける。
泡立て、たっぷりの泡で彼の背中を手で撫でる。
ビクン!と反応する。
「やだ、やだ…触らないで…」
「伊純くんの肌、すごく綺麗だね…
すべすべしてる…」

背中から腕、首も泡でたっぷりにする。
「こっち向いて?前も洗おうね」
俯いてしまっている。
ゆっくり体を反転させる。
これは予想外…
背中を触った時にも少し感じていたが、
俺が想像していた体とは違った。
かわいらしい伊純くんの雰囲気とは若干異なる、筋肉がついた体だ。

「へえ、鍛えてるの?」
「筋肉がつきやすくて…」
言われてみたら背も低くないし、顔と雰囲気がとても柔らかいから小動物のように感じてしまうが、店でも重いものを平気で持っていたりしていた。

ギャップ。
いい意味で裏切られた。

胸を泡で撫でる。
筋肉がついてると言ってもうっすら腹が割れているソフトなものだ。
決して柔らかさを失っていない。
胸に触れるとビクッと震える。
いい反応をする。
執拗に胸に触れる。
その手を掴んで
「もういいです…」
と止める。
「どうして?まだ全部洗えてないよ?」

肌がうっすらピンク色に染まり始める。
「続けるよ」
腕を上げさせ、脇を撫でる。
くすぐったいのか、少し身を捩る。
ああ…いいなあ。

首からまた胸を撫でる。柔らかさが残る胸に固いものがある。
「ピンク色でかわいいね」
両手でクリクリしながら洗う。
「あ…」
「ん?どうしたの?」
「……」
「ここ?洗い足りない?」
クリクリ。
「んっ…」
少し息遣いが荒くなっている。

「やめて…店長…やだ…」
「そうだね、他も洗わないとね」
スルッと胸を撫でていた手を他に移す。

小さなお尻は形が良く、その下には長い脚がある。
いいなあ、とてもいい…
前は…
なかなかの存在感を持つモノを携えている。

使ったことあるのかな…
嫌だな。

まず脚全体を綺麗に洗う。
足の指までもかわいらしく思える。

後回しにしていたお尻に手を伸ばす。
小ぶりだが胸と同じで硬すぎず柔らかさが残る弾力のあるお尻だ。
その弾力を確かめるように下からぐいっと撫でる。
何度も何度も撫でてしまう。
弾力が重力に逆らうもほんのちょっとだけ負けて反発する。
その時のぷるんとした感触が唆る。
しかし、どこもかしこも滑らかですべすべだ。
肌荒れなど全くない。
体毛も不自然に全くないというわけではなく、必要なところにはちゃんと存在し、それは綺麗に整えられている。
体の隅々まで気を遣ってケアしているようだ。
素晴らしい!

割れ目に指を這わせる。
ピクン!
「そこはいいです…」
這わせる指を制する。
「ここで終わりなんだよ?もう少しだから、ね?」
スルスルと指を埋める。
しっとりした窪みを見つけた。

「ダメです!」
さすがに言葉が強くなる。
彼の大事なところは彼自身に洗ってもらおう。
そこに触れるのは今ここでではない。
「終わった?洗い流そうか」
深追いはしない。
引き際は大事だ。

ボディソープを洗い流す。
その後、シャンプーもする。
サラサラの柔らかい髪、真っ黒ではないダークブラウンの髪。
全てを洗い終え、
「伊純くんはゆっくりお湯に入って体を休めて」
そう伊純くんに言うと俺は先にバスルームを出た。

10分ほどすると伊純くんがバスルームから出てきた。

「体拭こうね」
ふかふかのバスタオルで体を拭く。
滑らかな肌は更に滑らかになり、柔らかさも増しているようにさえ感じる。
体と髪を拭き、用意していた下着と服に着替えさせる。
「これは…」
「君がよく着ているブランドのルームウェアだよ。サイズもそれで大丈夫なはずなんだ、少し大きめの方が好きだよね?」
「……」

髪にドライヤーをかけ乾かす。
伊純くんからいい香りがする。

「はい、終わったよ」
「あの…ありがとうございました…」
「どういたしまして」
俺が笑うと伊純くんも微笑んでくれる。
そうせざるを得ないと諦めにも似た笑顔だが。


突然、伊純くんがハッとした顔をする。
「そういえば、僕のスマホとかリュックが無い…」
「ああ、俺が預かってるよ」
「返してもらえますか?」
「ん?今必要ないよね?ここにいるんだから」
「僕、バイトに行かないと…」
「ダメだよ」
「え?」
「君、今日はシフト入ってないよね?」
「……」
「俺は有給取ってる、本部から店長代理が来る手筈になっているんだ。この日のためにずっと休みを取らずに頑張ったんだよ」

「店長、あの…」
「沖田祥人」
「え?」
「ねえ、ここでは店長はやめない?
名前で呼んでよ」
「名前…」
「苗字でもいいし名前でもいいし、どちらでも伊純くんの好きにどうぞ」
「…沖田さん」
「んー、本当は祥人が良かったけど、まあいいか」
「沖田さん、さっき僕に自由だよって言いましたよね?好きにしていいよって…
帰りたいんです…」
「うん、言ったね。言ったけどバスルームでの話だから…」
そう言いながら伊純の脚に足枷をつける。

「どうして…」
「言ったでしょ?君とずっと一緒にいたいって」
「そんなことできるわけがないじゃないですか!」
初めて声を荒げた。
「とうして?できるよ。君がここにいればいいだけの話だろ?」

「もう嫌だ…帰らせて…」
「どうすれば許してくれるの?」
「お願いだから助けて…」

涙を溢しながらまた伊純くんは呪文のように唱え始めた。

そう、それは魔法の言葉。
俺をゾクゾクさせる魅惑の言葉。
涙はそんな君を飾るアクセサリー。
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