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コンビニ
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22:50
深夜帯と呼ばれる時間帯に突入、今日はバイトくんが熱を出して休んだため、店長の俺一人だ。
客はちらほら来ているがいつもより少ない。
なんでだ?寒いからか?
そういえばおでんがよく売れてたっけ。
今客いないし後回しになってた商品補充しておこう。
ピロピロピローン!
そんなものだ、やろうと思うと客が来る。
いらっしゃいませー
入ってきたのは若い男の子二人、珍しくカゴを手にする。
買い出しか?
弁当のコーナーは素通り、ドリンクのコーナーへ。
水やエナドリを数本カゴに入れる。
スイーツコーナーを見てる。
ごめんね、今日はあんまり残ってないんだ。
茶髪くんがシュークリームを手にする。
「食べたいの?」と隣の黒髪くんが聞くと、
「買っていい?」と聞き返す。
「甘いもの好きだな」と黒髪くんが笑ってる。
仲良しかよ。
嬉しそうにしてる茶髪くんは突然
「あっ!」とデカい声を発する。
いかがなさいましたか?お客様。
「ティッシュ買うの忘れてた!」
「買っとけって言っただろ?」
「ごめん!すっかり忘れてた」
あーコンビニで買うと高いよねえ、少し先にドラッグストアあるよ。
「俺、ドラッグストア行ってくる!」といきなり飛び出していった。黒髪くん置き去り。
賑やかな子だね、茶髪くん。
しばらくすると茶髪くんは手ぶらでご帰還。
「閉まってた…」
そっか、あのドラッグストア0時までの営業時間が、最近23時に変更になったんだっけ。
「仕方ない、ここで買うか」
「ごめん…」
ごめんね、高くて。心で詫びる店長の俺。
「ねえ、パンツ売ってる!」
「買っとく?」
「そうだね、この前汚しちゃったしね」
汚しちゃったしね?
何そのワード。
パンツが汚れる?漏らしたの?
君たちまあまあの年齢だよね?
高校生か大学生くらいだよね?
漏らすか?
誰にでも秘密の一つや二つや三つや四つあるさ…
聞かなかったことにしてあげる。
この二人が店内にいる間に数人の客が来た。
やはり寒いのだろう、おでんや肉まんがよく出る。
明日も寒いみたいだからやはりホットメニューは増やしておこう。
忘れないようにレジ横にメモを貼っておく。
ん?あの二人どこ行った?姿が見えない。
店内のミラーを確認する、いた。
なにしてんだ?
嫌な予感がする、まさかな、やめてくれよ。
万引きは死活問題なんだぞ。
それに加えて通報だの保護者に連絡だの処理が面倒だし、エリアマネージャーに怒られる。
怒るなら俺じゃなく万引き犯に怒れよ。
で、君らは何してるんだ?
まさか本当に万引きじゃないよな?
ここは確かめるしかないのでそっと商品整理のフリして近づく。
日用品コーナーあたりでコソコソしてる。
なんだ?
しゃがみ込んで何かしてる。
「ねえ、やっぱり恥ずかしいからやめよ?」
「買わなきゃできねえだろ?」
「だからネットで買おうって言ったのに」
「家に届くじゃねえかよ、親が間違えて開けたらどうすんだ」
「そうだけどさ」
「そっちの方が恥ずかしいだろうが」
「じゃあ買ってきてよ」
「なんで俺?」
「主に使うのそっちじゃん」
「くっ…そうだけど…」
「そうだよ、使う人が買うのが当然じゃん!」
「ドヤってんじゃねえよ」
「じゃあいいよ、もうやらない」
「!!」
「カゴに入れたのだけ買って帰ろ」
「待て」
「なに?」
「ちょっと待て」
「帰るよ」
「買う」
「スケベ野郎」
「くそが」
えーと…これは間違いなくゴムですね。
聞こえちゃったんだけど、使うの君たち?
黒髪くんが使うのね。
二人はそういうことなのね。
…………
リアルで見たの初めて!
初めて男同士ってやつ見ちゃった!
うわーうわーうわー!なんかすげえ!
リアルぅ!
うほほ。
「3種類あるけどどれにする?」
「んー、これでいいんじゃね?」
「黒いパッケージのやつ?
え?でもこれLだよ?」
「そうだよ」
「うっそ!L?」
茶髪くんはいちいち声がデカいね。
デカいのは黒髪くんのLサイズチンコか。
お客様だけど、デカチンくそ野郎がっ!
自慢かよっ
「普通のだとキツイんだよ」
もういい、やめてくれ、勝手にこっちのダメージがデカい。
「つけ方間違えてんじゃないの?w」
「こんなものどうやって間違えるんだよ」
「さっきから聞いてると使ったことある言い方だよね?」
おっ、いいぞ!茶髪くん、いけ!反撃だ!
「……」
「なんで黙んのよ」
「……」
「おん?」
「男とは初めてなんだからいいだろ?」
「ふーん」
「過去は消せないから仕方ないだろ…」
「ふーん」
「拗ねるなよ」
黒髪くんが茶髪くんを抱き寄せて頭を撫で撫でしてる。
キャ──ッ!
茶髪くん、満更でもない顔してる。
「今は俺だけ?」
「うん」
「本当?」
「お前だけ」
俺、死んじゃう!
濃厚惚気が致死量に達しました。
もう見てられない、聞いてられない。
リア充の惚気キツい…
俺、泣いちゃいそうだよ…寂しくて。
干支を一巡半くらいしかしてなさそうな子たちがイチャイチャしてるのに、干支二巡目半の俺はなんでコンビニでそれを見させられてるのだろうか。
俺は知ってる、世の中不公平にしかできてない。
そんな二人がレジに来る。
さっきより距離近いな、君ら。
おでんよりも肉まんよりも湯気出てる気がする。
いらっしゃいませー
水、エナドリ、シュークリーム、パンツ、
ティッシュ、ゴムL、お買い上げ。
買い物連想ゲームで全員の答えがセックスにしかならないやつじゃん。
アチアチな二人に俺から一言。
「肉まんいかがですか?」
「いらないです」
あっそ
お幸せになんて言うと思ったか?言わねえよ!
ありがとうございましたー
深夜帯と呼ばれる時間帯に突入、今日はバイトくんが熱を出して休んだため、店長の俺一人だ。
客はちらほら来ているがいつもより少ない。
なんでだ?寒いからか?
そういえばおでんがよく売れてたっけ。
今客いないし後回しになってた商品補充しておこう。
ピロピロピローン!
そんなものだ、やろうと思うと客が来る。
いらっしゃいませー
入ってきたのは若い男の子二人、珍しくカゴを手にする。
買い出しか?
弁当のコーナーは素通り、ドリンクのコーナーへ。
水やエナドリを数本カゴに入れる。
スイーツコーナーを見てる。
ごめんね、今日はあんまり残ってないんだ。
茶髪くんがシュークリームを手にする。
「食べたいの?」と隣の黒髪くんが聞くと、
「買っていい?」と聞き返す。
「甘いもの好きだな」と黒髪くんが笑ってる。
仲良しかよ。
嬉しそうにしてる茶髪くんは突然
「あっ!」とデカい声を発する。
いかがなさいましたか?お客様。
「ティッシュ買うの忘れてた!」
「買っとけって言っただろ?」
「ごめん!すっかり忘れてた」
あーコンビニで買うと高いよねえ、少し先にドラッグストアあるよ。
「俺、ドラッグストア行ってくる!」といきなり飛び出していった。黒髪くん置き去り。
賑やかな子だね、茶髪くん。
しばらくすると茶髪くんは手ぶらでご帰還。
「閉まってた…」
そっか、あのドラッグストア0時までの営業時間が、最近23時に変更になったんだっけ。
「仕方ない、ここで買うか」
「ごめん…」
ごめんね、高くて。心で詫びる店長の俺。
「ねえ、パンツ売ってる!」
「買っとく?」
「そうだね、この前汚しちゃったしね」
汚しちゃったしね?
何そのワード。
パンツが汚れる?漏らしたの?
君たちまあまあの年齢だよね?
高校生か大学生くらいだよね?
漏らすか?
誰にでも秘密の一つや二つや三つや四つあるさ…
聞かなかったことにしてあげる。
この二人が店内にいる間に数人の客が来た。
やはり寒いのだろう、おでんや肉まんがよく出る。
明日も寒いみたいだからやはりホットメニューは増やしておこう。
忘れないようにレジ横にメモを貼っておく。
ん?あの二人どこ行った?姿が見えない。
店内のミラーを確認する、いた。
なにしてんだ?
嫌な予感がする、まさかな、やめてくれよ。
万引きは死活問題なんだぞ。
それに加えて通報だの保護者に連絡だの処理が面倒だし、エリアマネージャーに怒られる。
怒るなら俺じゃなく万引き犯に怒れよ。
で、君らは何してるんだ?
まさか本当に万引きじゃないよな?
ここは確かめるしかないのでそっと商品整理のフリして近づく。
日用品コーナーあたりでコソコソしてる。
なんだ?
しゃがみ込んで何かしてる。
「ねえ、やっぱり恥ずかしいからやめよ?」
「買わなきゃできねえだろ?」
「だからネットで買おうって言ったのに」
「家に届くじゃねえかよ、親が間違えて開けたらどうすんだ」
「そうだけどさ」
「そっちの方が恥ずかしいだろうが」
「じゃあ買ってきてよ」
「なんで俺?」
「主に使うのそっちじゃん」
「くっ…そうだけど…」
「そうだよ、使う人が買うのが当然じゃん!」
「ドヤってんじゃねえよ」
「じゃあいいよ、もうやらない」
「!!」
「カゴに入れたのだけ買って帰ろ」
「待て」
「なに?」
「ちょっと待て」
「帰るよ」
「買う」
「スケベ野郎」
「くそが」
えーと…これは間違いなくゴムですね。
聞こえちゃったんだけど、使うの君たち?
黒髪くんが使うのね。
二人はそういうことなのね。
…………
リアルで見たの初めて!
初めて男同士ってやつ見ちゃった!
うわーうわーうわー!なんかすげえ!
リアルぅ!
うほほ。
「3種類あるけどどれにする?」
「んー、これでいいんじゃね?」
「黒いパッケージのやつ?
え?でもこれLだよ?」
「そうだよ」
「うっそ!L?」
茶髪くんはいちいち声がデカいね。
デカいのは黒髪くんのLサイズチンコか。
お客様だけど、デカチンくそ野郎がっ!
自慢かよっ
「普通のだとキツイんだよ」
もういい、やめてくれ、勝手にこっちのダメージがデカい。
「つけ方間違えてんじゃないの?w」
「こんなものどうやって間違えるんだよ」
「さっきから聞いてると使ったことある言い方だよね?」
おっ、いいぞ!茶髪くん、いけ!反撃だ!
「……」
「なんで黙んのよ」
「……」
「おん?」
「男とは初めてなんだからいいだろ?」
「ふーん」
「過去は消せないから仕方ないだろ…」
「ふーん」
「拗ねるなよ」
黒髪くんが茶髪くんを抱き寄せて頭を撫で撫でしてる。
キャ──ッ!
茶髪くん、満更でもない顔してる。
「今は俺だけ?」
「うん」
「本当?」
「お前だけ」
俺、死んじゃう!
濃厚惚気が致死量に達しました。
もう見てられない、聞いてられない。
リア充の惚気キツい…
俺、泣いちゃいそうだよ…寂しくて。
干支を一巡半くらいしかしてなさそうな子たちがイチャイチャしてるのに、干支二巡目半の俺はなんでコンビニでそれを見させられてるのだろうか。
俺は知ってる、世の中不公平にしかできてない。
そんな二人がレジに来る。
さっきより距離近いな、君ら。
おでんよりも肉まんよりも湯気出てる気がする。
いらっしゃいませー
水、エナドリ、シュークリーム、パンツ、
ティッシュ、ゴムL、お買い上げ。
買い物連想ゲームで全員の答えがセックスにしかならないやつじゃん。
アチアチな二人に俺から一言。
「肉まんいかがですか?」
「いらないです」
あっそ
お幸せになんて言うと思ったか?言わねえよ!
ありがとうございましたー
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