ショートショート集

秋臣

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本心 ※R18

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ひびきさん、いい?」
「ん…」
「気持ちいい?」
「……」
「ねえ、声聞きたい…」
「こっち見て」
「好きって言って」
「響さん、好き…」
「響さん…響さん…」

俺に散々抱かれて体キツいはずなのに響さんはスッと起き上がり、
「シャワー浴びてくるね」とバスルームに消える。
響さんの温もりが残るベッドに一人残され、俺はいつも寂しくなる。

響さんは俺が通ってるジムのトレーナー。ゴリゴリの人が多い中、響さんはムキムキという感じではなく、筋肉はちゃんとついてるけどしなやかさもある怖くないいい体してる人。体だけではなく物腰も柔らかくてトレーナー=怖いと思ってたジム会員さんたちの固定観念を覆した彼の人気は高く、指名が絶えない人だ。

俺は指名したわけではなかったが、たまたま担当になってくれて指導してもらったのだが、とにかく褒め上手。ニコニコ穏やかな笑顔で褒められるとこの人にもっと褒められたい!と思って頑張ってしまう、よって結果が出る。こちらは体が締まって筋肉つくし、響さんの評価も上がるしwin-winだ。
そんな響さんは女性だけではなく男性にも人気で誘われてるところや手紙をもらってるところを何度か見たことがある。
他のジム会員さんと二人で飲みに行ってるのを見かけたこともある。

その度複雑でモヤモヤして嫌で嫌で仕方なくて、響さんに
「これ挙げられたら俺と食事に行ってもらえませんか?」と言ったら、
「絞ってるんでしょ?食べに行ったら無駄になるよ」と笑ってかわされたので、
「じゃあ、ご飯じゃなくてもいいです。デートしてください」とムキになると、ちょっと困った顔して、
「あと10kg増やそうか」とまたかわされた。
それでも諦めきれなくて何度も何度も誘い、+10kgをクリアした時、響さんは
「どこに行きたいの?」と初めて応じてくれた。やっと何度か一緒に出かけてることができるようになり、何度目かのデート(?)の時に付き合ってくださいと伝えた。
全く想定していなかったようでかなり驚いていたが、
「こんな8歳も年上のおじさんでいいの?」と笑ってOKしてくれた。

付き合ってくれてはいる、セックスもしてくれる。響さんを知れば知るほど響さんのことが更に好きになる。
響さんは俺のしたいようにしていいよと言う。でも響さんからこうしたいとか何かしたいと言われたことは一度もない。
年上だから年下の俺を気遣ってくれてるのかもしれないけど、響さんにもわがまま言ってほしい、俺を頼ってほしい、俺を求めてほしい、だって寂しいよ…

そんなことを思っていても響さんを前にすると穏やかな笑顔に絆され心地よくなってしまう、
落ち着く。
心は落ち着くけど体は疼く。
穏やかな性格と体格が男らしさと逞しさを兼ね備えていて、たまらない気持ちになる。要するにムラムラする。
誘えば応じてくれる、そして俺は響さんに溺れる。

でもなにも言ってくれないんだ。
喘ぎ声を聞いたことがない、気持ちいいと言ってくれない、こうしてほしい、ああしてほしいとか要望を言ったこともない。
響さん、ちゃんと俺で気持ちよくなってくれてるの?
イってはくれてるから気持ちよくなってくれてるとは思うけど、毎回不安なんだ。
なにより好きって言われていない…

そんな気持ちをずっと抱えたまま俺は誕生日を迎えた。
響さんはケーキとプレゼントを用意してくれた。プレゼントは財布だった。だいぶくたびれていたのを知ってたんだろうな。
嬉しくてすごく喜んだら、
一維かずいくんが喜んでくれてよかった」といつもの穏やかな笑顔を見せてくれる。
そんな響さんが愛おしくてたまらずキスした。
抱きたい、響さんは俺のものだ…
ベッドに押し倒す。
抱きしめ、何度もキスする。
いつものように響さんはなにも言わず受け入れてくれる。

まただ…
寂しい…
俺は響さんの胸に顔を押し付ける。
寂しくて涙が出る。
「どうした?」と優しく声をかけてくれる。

「…響さん、響さんは俺のこと嫌い?」
「え?」
「響さんは俺としても気持ちよくない?」
「……」
「本当は俺と付き合うの嫌?」
「……」

「…ほら、なにも言ってくれない。
それは肯定ってことだよね?
最初から俺だけなんだ、俺だけが好きで大好きで突っ走ってて…  」
もう涙が止められなかった。

「一維くん、そんなふうに思ってたの?」
呆れられてる…嫌われた…
もう変なこと言わないから嫌いにならないで、響さん、お願い…

「一維くん」
響さんが俺を呼ぶ。
全部ぶちまけちゃった、どんな顔すればいいのかわからない。
「不安にさせてたんだね、ごめん」と俺を抱きしめてくれる。
「ねえ、一維くん…今日は君の誕生日だけど俺のわがまま聞いてもらってもいいかな?」
「響さんのわがまま?」
どういうこと?


「一維、気持ちよくして…」

ブチッ!理性が吹っ飛ぶ音がはっきり聞こえた。
名前呼び捨て…気持ちよくして…
俺…もう…もう…

「一維、キスして?」

抑えられない。
響さんにキスする。
響さんが舌を絡めてくる、こんなの初めて…
ああ、気持ちいい、響さん、響さん、好き…
「ん、あ、一維…」
キスの間から響さんの甘い声が漏れる。
声…ああ…泣きそう

興奮が止まらなくて唇を首や胸元に這わせる。
「ん…あ、や…」と響さんから甘い声が漏れてイきそうになる。
おもむろに響さんが俺のモノを咥える。
え…嘘…
「響さん!ダメ、やめて!」
響さんは構わずしゃぶり続ける。
気持ちよすぎる…大好きな響さんが俺のモノを咥えてる…それだけでイきそうなのに、このテクなんだ?
めちゃくちゃ上手い…
誰にしてたの?
めちゃくちゃ嫉妬する。
あ……

イってしまった俺に響さんは自分のモノを握らせ
「俺のも気持ちよくしろよ」と煽る。
すぐ回復した俺のモノにゴムをつけると、
俺を抱き寄せ響さんはこう言った。
「優しくしないで…激しくして…」
響さん!?
響さんは俺に跨り、俺のモノを響さんのお尻に当てがうとゆっくり沈めていく。
ああ…ヤバい…
響さんも、
「んんっ…」と声を漏らす。
響さんがゆっくりと動く、ヤバい、イっちゃう…響さんが俺に抱きつき、キスをしながら腰を動かす。体全体じゃなくて腰だけを卑猥に動かすのがヤバい…あ、ああ、たまんない…
響さんは激しく、そして細やかに腰を動かし、
「ああ…奥、気持ちいい…一維…気持ちいい…」とキスしながら喘ぐ。
それだけでも死にそうなのに、
「一維、もっとしてえ…ああ…」と煽るから、体を入れ替え、響さんの腰を持ち上げ深く深く突く。
「ああっ!」
背中を大きく反らす。
パンパン!と大きく打ちつける。
「やあ…一維、もっと…あ、ん…ああっ…」
響さんが俺にしがみつく。
ああ、嬉しい…
響さんの中がキュウッと締まる。
「あ…気持ちいい…一維…気持ち…いい…」
もうダメ…もうイきそう…
更に響さんがしがみつく。
「ああ…一維…好き…一維…」
気持ちよさと嬉しさが爆発する。
「響さん…」
「一維…」
同時に俺たちはイった。


響さんは俺の胸に顔を埋めてしきりに恥ずかしがってる。

響さん、大人ぶりたかったんだって。
「一維、若いから嫌われたくなくて…」
かわいい…かわいいと思わせてくれる響さんがかわいくてたまらない。
そう言ったらまた真っ赤になっちゃった。
それがまたかわいいから揶揄ったら
「一維、黙れ」とキスされた。
響さん、あなたが好きです。











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