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おまけ 1
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兄貴に彼氏ができた。
最初は仲のいい友達かなと思っていたんだけど、なんかちょっと雰囲気が違う。
なにがどこがと言われると説明できないんだけど、なんとなく違うんだよなあ。
その彼氏である湊くんはガタイが良くて凄く男らしい人。でも顔が精悍っていうの?とにかくイケメンの類だから、この人モテるだろうなって感じ。
その人が兄貴と付き合ってるの?マジか!って思うよ、普通に。
でもなぜか、男同士かよ、キモッ!とは思わなかったんだ、なんでだろう?
どういう経緯でこうなったのかは詳しく知らないけど、一つだけわかるのは湊くんが兄貴にベタ惚れだってこと。そんなの見てればわかる、デレデレだもん。
兄貴のどこがいいのか俺にはわからん。
顔はまあかわいいとは思うけど。
湊くんは弟の俺にも優しい。
彼氏の弟だから優しくしてくれてるのかなと思ってたけど、そういうのじゃなくて根が優しいんだと思う。
湊くんがうちに遊びに来るようになった頃、俺は中2でまさに反抗期真っ只中。
友達以外は全員敵だと思ってたし、それを信じて疑わなかった。
誰も悪くないのに家族に当たり散らしたりやりたい放題。
湊くんにもそんな態度を取ってた。
ある日、いつものようにお母さんや兄貴に自分でも理不尽だなと思いながらも抑えられなくて八つ当たりしてたら、湊くんに
「そのくらいにしとけ。あとで大事な人を傷つけたことに気づいても素直に謝れないだろ?」と諭された。
言われなくてもわかってるよ、そんなこと。
でもできないんだ、ほっとけよ。
「うるせえな」と突き放しても、
「俺も弟だからわかるよ。大抵のこと許してもらえちゃうから甘えちゃうんだよな。悪いって思っててもやっちゃう。俺もそうだから冬馬見てると自分見てるみたいなんだ」と怒るでもなくただ優しく言ってくれた。
思わず涙が溢れてしまったけど、お母さんや兄貴に見られたくない…かっこ悪い…
「泣きたいなら泣け、付いててやるから」と俺を連れてその場から離れてくれた。
その時この人デカい人だなって思ったんだ、男同士とかそんなことどうでもよくて、ただ兄貴が羨ましいって思った。
それからは少し気持ちが楽になった気がする。あの時湊くんに止めてもらってよかった。
俺は湊くんにめちゃくちゃ憧れるようになった。俺の理想の男像だ。
うちに遊びにくれば一緒に遊んでくれるし、いろんな話もしてくれる。
やたら懐く俺を邪険にせず構ってくれる湊くん、好きすぎる。
いつものように兄貴・湊くん・俺の並びで兄貴の部屋でテレビ見てたら、湊くんに
「なあ、冬馬」と話しかけられた。
「なに?」
「俺、悠馬にキスしたいんだけどしていい?」
「え?は?キス?」
「俺は別に冬馬がいてもいいんだけど、してもいい?」
「ちょっと!湊くん、なに言ってんの!」と兄貴が怒る。
「ええ~だってしたいんだもん」
と兄貴に迫り、今にも唇がくっつきそうになってる。
「わあー!ちょっと待って!出るから待って!」慌てて兄貴の部屋を出る。
ドアを閉めるとドキドキしてる。
そっか…湊くんは兄貴の彼氏だった。
俺の好きな湊くんの前に兄貴のだった…
なんか急に除け者にされた気がして凄く寂しくなる。
兄貴の部屋からは
「ちょっとやめて!離れて!」と兄貴が抵抗する声が漏れてくる。
ふっ
ちょっとおかしくなってきて笑っちゃう。
寂しくなったのがムカついたから邪魔してやる。
ドアをバン!と勢いよく開け、
「どんなキスするのか俺にも見せろ!」というと湊くんはゲラゲラ笑い出し、兄貴は
「冬馬、なに言ってんの!?」と怒ってる。
湊くんの独り占めは許さないよ、兄貴。
ざまあみろ。
最初は仲のいい友達かなと思っていたんだけど、なんかちょっと雰囲気が違う。
なにがどこがと言われると説明できないんだけど、なんとなく違うんだよなあ。
その彼氏である湊くんはガタイが良くて凄く男らしい人。でも顔が精悍っていうの?とにかくイケメンの類だから、この人モテるだろうなって感じ。
その人が兄貴と付き合ってるの?マジか!って思うよ、普通に。
でもなぜか、男同士かよ、キモッ!とは思わなかったんだ、なんでだろう?
どういう経緯でこうなったのかは詳しく知らないけど、一つだけわかるのは湊くんが兄貴にベタ惚れだってこと。そんなの見てればわかる、デレデレだもん。
兄貴のどこがいいのか俺にはわからん。
顔はまあかわいいとは思うけど。
湊くんは弟の俺にも優しい。
彼氏の弟だから優しくしてくれてるのかなと思ってたけど、そういうのじゃなくて根が優しいんだと思う。
湊くんがうちに遊びに来るようになった頃、俺は中2でまさに反抗期真っ只中。
友達以外は全員敵だと思ってたし、それを信じて疑わなかった。
誰も悪くないのに家族に当たり散らしたりやりたい放題。
湊くんにもそんな態度を取ってた。
ある日、いつものようにお母さんや兄貴に自分でも理不尽だなと思いながらも抑えられなくて八つ当たりしてたら、湊くんに
「そのくらいにしとけ。あとで大事な人を傷つけたことに気づいても素直に謝れないだろ?」と諭された。
言われなくてもわかってるよ、そんなこと。
でもできないんだ、ほっとけよ。
「うるせえな」と突き放しても、
「俺も弟だからわかるよ。大抵のこと許してもらえちゃうから甘えちゃうんだよな。悪いって思っててもやっちゃう。俺もそうだから冬馬見てると自分見てるみたいなんだ」と怒るでもなくただ優しく言ってくれた。
思わず涙が溢れてしまったけど、お母さんや兄貴に見られたくない…かっこ悪い…
「泣きたいなら泣け、付いててやるから」と俺を連れてその場から離れてくれた。
その時この人デカい人だなって思ったんだ、男同士とかそんなことどうでもよくて、ただ兄貴が羨ましいって思った。
それからは少し気持ちが楽になった気がする。あの時湊くんに止めてもらってよかった。
俺は湊くんにめちゃくちゃ憧れるようになった。俺の理想の男像だ。
うちに遊びにくれば一緒に遊んでくれるし、いろんな話もしてくれる。
やたら懐く俺を邪険にせず構ってくれる湊くん、好きすぎる。
いつものように兄貴・湊くん・俺の並びで兄貴の部屋でテレビ見てたら、湊くんに
「なあ、冬馬」と話しかけられた。
「なに?」
「俺、悠馬にキスしたいんだけどしていい?」
「え?は?キス?」
「俺は別に冬馬がいてもいいんだけど、してもいい?」
「ちょっと!湊くん、なに言ってんの!」と兄貴が怒る。
「ええ~だってしたいんだもん」
と兄貴に迫り、今にも唇がくっつきそうになってる。
「わあー!ちょっと待って!出るから待って!」慌てて兄貴の部屋を出る。
ドアを閉めるとドキドキしてる。
そっか…湊くんは兄貴の彼氏だった。
俺の好きな湊くんの前に兄貴のだった…
なんか急に除け者にされた気がして凄く寂しくなる。
兄貴の部屋からは
「ちょっとやめて!離れて!」と兄貴が抵抗する声が漏れてくる。
ふっ
ちょっとおかしくなってきて笑っちゃう。
寂しくなったのがムカついたから邪魔してやる。
ドアをバン!と勢いよく開け、
「どんなキスするのか俺にも見せろ!」というと湊くんはゲラゲラ笑い出し、兄貴は
「冬馬、なに言ってんの!?」と怒ってる。
湊くんの独り占めは許さないよ、兄貴。
ざまあみろ。
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