霧晴れる時、君は

湊の仕事

シャワーを浴び、ベッドへ戻ったら悠馬はすぐにくうくうと寝てしまった。
翌日の朝食の時間は7時にお願いしたと悠馬から聞いていた。ルームサービスでの朝食付きプランなんだそう。
チェックアウトが10時だから妥当な時間だ。
でもな、お前絶対起きないだろ。
こう見えて悠馬はすこぶる寝起きが悪い。
寝てろと言えば多分一日中寝てられるタイプだ。
寝顔もかわいいから見てる分には全然飽きないんだけど、その日一日なにもできなくなるからいつも無理矢理起こす。
そもそもそんな寝起きの悪さで毎朝どうやって起きてるんだ？
そう思って前に悠馬のお母さんと冬馬に聞いたことがある。
「こっちが起きちゃうくらい目覚ましかけてるのに全っ然起きねえ」と冬馬が言えば、
「しっかりしてるように見えるのに、起きるのだけは本当にダメでねえ。毎朝起こしてるのよ、恥ずかしいわね」と悠馬のお母さんが嘆く。
やっぱり…

この分だと明日の朝も絶対起きない。
またタキシード着るわけにはいかないし、キャリーケースに入ってる着替えはシワがついてるだろうからアイロンかけたい。
下着は悠馬が用意してくれてた。
「ほら、お揃い！」と黒のパンツをくれた。
悠馬を起こすまでにある程度終わらせて、悠馬はギリギリまで寝かせよう。
スマホのアラームを6時にセットする。
俺が寝坊したら終わるな…
　
翌朝、無事6時に起きることができた。
案の定、悠馬はよく寝ていて全く起きる気配がない。かわいいなあ、寝顔眺めていたいけど、やることやらないと。
フロントに頼んでアイロンを借りようとしたら、アイロンがけでしたらこちらで承りますとのことだったのでお願いしたらルームサービスの時間までに届けてくれた。
アイロンをかける時間を考慮しての6時起きだったので急に手持ち無沙汰になってしまった。
昨夜悠馬にホテルの雰囲気を満喫しろと言われたことを思い出して、スイートを改めて探索する。
夜は夜景が煌びやかだったが、朝は海側の青が眩しい。水面がキラキラ朝日を受けて光ってる。綺麗だから悠馬にも見せようと起こしに行ったがあまりにもよく寝てるからもう少しだけ寝かせることにした。
あちこち探索してこの部屋がいくらしたのか考えてしまった。急に現実に戻ってしまう。
こんな無茶して…
でも悠馬のおかげで一生忘れない日になった。絶対に忘れない。
そして俺はあることを決めた。