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チャイナドレス
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文化祭は案が通りチャイナドレスを着ることになった。嫌だと言っても俺の意見なんて誰も聞いてない。もう諦めてる。
春樹と渉は毎回乗り気で今回も早々に着替えていたが、なかなかの気持ち悪さだ。
「この日ほど悠馬にジェラシー感じる日はない」と春樹が言うと、
「なんでそんなに似合うんだ?」と渉が自分と見比べて首を傾げる。
みんなはそのまま着ているが、俺はドレスの下にレギンスを履いている。
さっき湊くんがトレーニング用のレギンスを持ってきた。
「履け」
「香坂先輩…チャイナドレスはスリットが肝だから…」とクラスのみんなが言っても
「そのスリットから覗く悠馬の脚を他の奴らに見せろと言うのか?」と凄み、無理矢理俺に履かせた。
「スリットの醍醐味が全くない…」と嘆くクラスメイト。
店が開店してからずっと教室の隅のテーブルに湊くんは我妻先輩といる。
堂々たるストーカーだ。
「坂井くんも水口くんも似合ってるよ」と声をかけ二人を有頂天にさせてる。
女子は本来男装の予定だったのだが
「チャイナドレス着たい!」と言う意見が圧倒的で今回は女子も男子も全員チャイナドレスになったので、チャイナドレス喫茶が正しい。
元々女性の着る衣装なのでみんなとても似合っててかわいい。ヘアスタイルもお団子にしたり、片側に寄せちょっと色っぽくしてたり。
それを見て湊くんはデレデレしてる。
俺に虫がつかないように監視するなんて言ってたけど、それを楽しみに来てるんじゃないか。
ムカつく。
俺は裏でレギンスを脱ぐ。
そして女子にほんの少しヘアメイクしてもらう。
「かわいくなった?」
「いけるいける!めっちゃかわいい!」
よし!
湊くんのテーブルに注文を取りに行く。
我妻先輩が俺を見て、ニヤッと笑う。
察しのいい我妻先輩には俺の意図が伝わったらしい。
「蓮見くん、攻めてるねえ」
そう言った我妻先輩の声に振り返った湊くんに
「ご注文はお決まりですか?」と声をかける。
スリットは深くちょっと脚を上げるとかなり際どい。レギンスを履いてないから生脚だ。
「悠馬…レギンスは?」
「脱ぎました」
「なんで…」
「こちらの方がお好きなようなので」
そう言うと我妻先輩は爆笑。
「お前、デレデレしてんのバレてんぞ!」
「……」
「ご注文はいかがなさいますか?」
「…コーヒーお願いします…アイスで…」
「お仕置きですね?かしこまりました」
我妻先輩がヒーヒー笑ってる。
「お仕置き!?」
なぜか目を輝かせる湊くん。
「はい」
「お仕置きって?」
なぜワクワクしてるんだ、湊くん。
湊くんの目を真っ直ぐ見て、
「今日から一緒に帰りません、朝もです」
と、とびきりの笑顔を見せる。
「ちょっ ちょっと、ちょっと待って!
お願い、ごめん、ごめんなさい!」
我妻先輩は笑いすぎて声が出なくなってる。
「ご注文ありがとうございます、少々お待ちください」
生脚をたっぷり見せつける。途中、
「かわいい店員さん、写真撮らせて」
「名前教えて」
「連絡先聞いてもいい?」と声をかけられる。
すぐに湊くんが飛んできて
「この子はダメ!」と追い払う。
その湊くんに
「お客様困ります」と言って親指を下に向け俺は裏へと戻る。
湊くんはテーブルに突っ伏したまま動かなくなった。
笑いすぎてこちらも動けなくなった我妻先輩と共に。
お仕置きはその日の帰りだけ実行した。
湊くんはうちに来て、土下座せんばかりにずっとごめんなさいを繰り返している。
俺は内心笑いながら
「知らない。女の子が好きならそちらへどうぞ」と冷たく突き放す。
絶望した顔して俺を見る湊くん。
ちょっとだけかわいそうになってきたから、ほっぺをギュッとつねって
「よそ見してるといなくなっちゃうからね」
と言うと涙目で
「もうしません」と縋る。
「なに?湊くんなんかしたの?」と冬馬が聞く。
「浮気した」
「マジで!?最低じゃん」
「浮気じゃない!」
「女の子見てデレデレしてたでしょ?」
「…してません」
「いやいや、してたでしょ?」
「…ちょっとだけです」
「したんだw」冬馬が笑い出す。
そして言われる。
「湊くん、最低」
これ以上やると再起不能になりそうだから、この辺で許してあげるけど、今度やったら許さないからね。
春樹と渉は毎回乗り気で今回も早々に着替えていたが、なかなかの気持ち悪さだ。
「この日ほど悠馬にジェラシー感じる日はない」と春樹が言うと、
「なんでそんなに似合うんだ?」と渉が自分と見比べて首を傾げる。
みんなはそのまま着ているが、俺はドレスの下にレギンスを履いている。
さっき湊くんがトレーニング用のレギンスを持ってきた。
「履け」
「香坂先輩…チャイナドレスはスリットが肝だから…」とクラスのみんなが言っても
「そのスリットから覗く悠馬の脚を他の奴らに見せろと言うのか?」と凄み、無理矢理俺に履かせた。
「スリットの醍醐味が全くない…」と嘆くクラスメイト。
店が開店してからずっと教室の隅のテーブルに湊くんは我妻先輩といる。
堂々たるストーカーだ。
「坂井くんも水口くんも似合ってるよ」と声をかけ二人を有頂天にさせてる。
女子は本来男装の予定だったのだが
「チャイナドレス着たい!」と言う意見が圧倒的で今回は女子も男子も全員チャイナドレスになったので、チャイナドレス喫茶が正しい。
元々女性の着る衣装なのでみんなとても似合っててかわいい。ヘアスタイルもお団子にしたり、片側に寄せちょっと色っぽくしてたり。
それを見て湊くんはデレデレしてる。
俺に虫がつかないように監視するなんて言ってたけど、それを楽しみに来てるんじゃないか。
ムカつく。
俺は裏でレギンスを脱ぐ。
そして女子にほんの少しヘアメイクしてもらう。
「かわいくなった?」
「いけるいける!めっちゃかわいい!」
よし!
湊くんのテーブルに注文を取りに行く。
我妻先輩が俺を見て、ニヤッと笑う。
察しのいい我妻先輩には俺の意図が伝わったらしい。
「蓮見くん、攻めてるねえ」
そう言った我妻先輩の声に振り返った湊くんに
「ご注文はお決まりですか?」と声をかける。
スリットは深くちょっと脚を上げるとかなり際どい。レギンスを履いてないから生脚だ。
「悠馬…レギンスは?」
「脱ぎました」
「なんで…」
「こちらの方がお好きなようなので」
そう言うと我妻先輩は爆笑。
「お前、デレデレしてんのバレてんぞ!」
「……」
「ご注文はいかがなさいますか?」
「…コーヒーお願いします…アイスで…」
「お仕置きですね?かしこまりました」
我妻先輩がヒーヒー笑ってる。
「お仕置き!?」
なぜか目を輝かせる湊くん。
「はい」
「お仕置きって?」
なぜワクワクしてるんだ、湊くん。
湊くんの目を真っ直ぐ見て、
「今日から一緒に帰りません、朝もです」
と、とびきりの笑顔を見せる。
「ちょっ ちょっと、ちょっと待って!
お願い、ごめん、ごめんなさい!」
我妻先輩は笑いすぎて声が出なくなってる。
「ご注文ありがとうございます、少々お待ちください」
生脚をたっぷり見せつける。途中、
「かわいい店員さん、写真撮らせて」
「名前教えて」
「連絡先聞いてもいい?」と声をかけられる。
すぐに湊くんが飛んできて
「この子はダメ!」と追い払う。
その湊くんに
「お客様困ります」と言って親指を下に向け俺は裏へと戻る。
湊くんはテーブルに突っ伏したまま動かなくなった。
笑いすぎてこちらも動けなくなった我妻先輩と共に。
お仕置きはその日の帰りだけ実行した。
湊くんはうちに来て、土下座せんばかりにずっとごめんなさいを繰り返している。
俺は内心笑いながら
「知らない。女の子が好きならそちらへどうぞ」と冷たく突き放す。
絶望した顔して俺を見る湊くん。
ちょっとだけかわいそうになってきたから、ほっぺをギュッとつねって
「よそ見してるといなくなっちゃうからね」
と言うと涙目で
「もうしません」と縋る。
「なに?湊くんなんかしたの?」と冬馬が聞く。
「浮気した」
「マジで!?最低じゃん」
「浮気じゃない!」
「女の子見てデレデレしてたでしょ?」
「…してません」
「いやいや、してたでしょ?」
「…ちょっとだけです」
「したんだw」冬馬が笑い出す。
そして言われる。
「湊くん、最低」
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