霧晴れる時、君は

秋臣

文字の大きさ
上 下
55 / 107

変貌

しおりを挟む
気が重かった。
どの面下げて…
でも三日も学校に来てないなんて…
食事もまともに摂ってないなんて…
俺のせいだ。
推薦のこともあるから学校には行ってもらわないといけないし、食事も…
その責任くらい負わなくちゃいけないと湊くんの家に向かった。
インターホンを押す。するとすぐに湊くんのお母さんが出てきた。
「ああ、悠馬くん!先生から連絡あって悠馬くんが来てくれるって」
「湊くんは…」
「部屋から出てこないし全然食べてくれないの。かろうじて水分は摂ってくれてるみたいなんだけど…
なに言っても返事ないし、学校にも行こうとしないの…もうどうしたらいいか…」湊くんのお母さん、かなり疲弊している。
「あの…会えますか?」
「会ってやってくれる?」
「はい」

湊くんの部屋の前に立つ。
なんて声をかければいいんだろう…
ドアをノックする。
「…湊くん」
中でガタッと音がする。
ドアが勢いよく開く。
窓を閉め切った暑く暗い部屋の中から湊くんが飛び出してきた。
「悠馬っ!?」
そこにいたのは俺の知ってる湊くんじゃなかった。
何キロ体重が落ちたのか、かなりげっそりしている。無精髭もそのままだし、髪もボサボサだ。
「湊くん、あの…」
「悠馬、俺…俺…」
泣き崩れる湊くんに耐えきれなくなりドアを閉めてしまった。
俺はここに来てなにを言うつもりだったのか。
学校に来い?俺にそんなこと言う権利ない。
俺はその場にいることさえも耐えられなくて階段を降りた。
「どう?」と聞く湊くんのお母さんに首を振って答える。
「そう…悠馬くんでもダメなのね…」

そこへ愛莉さんが帰ってきた。
「湊どう?なにか食べた?」と心配しながらリビングへ入ってきて、俺を見て、突然泣き出した。
「悠馬くん…ごめんなさい…」
声をあげて泣く愛莉さんに驚き、泣き止むのを待った。
そして愛莉さんは静かに話し始めた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

同僚に密室に連れ込まれてイケナイ状況です

暗黒神ゼブラ
BL
今日僕は同僚にごはんに誘われました

理香は俺のカノジョじゃねえ

中屋沙鳥
BL
篠原亮は料理が得意な高校3年生。受験生なのに卒業後に兄の周と結婚する予定の遠山理香に料理を教えてやらなければならなくなった。弁当を作ってやったり一緒に帰ったり…理香が18歳になるまではなぜか兄のカノジョだということはみんなに内緒にしなければならない。そのため友だちでイケメンの櫻井和樹やチャラ男の大宮司から亮が理香と付き合ってるんじゃないかと疑われてしまうことに。そうこうしているうちに和樹の様子がおかしくなって?口の悪い高校生男子の学生ライフ/男女CPあります。

真・身体検査

RIKUTO
BL
とある男子高校生の身体検査。 特別に選出されたS君は保健室でどんな検査を受けるのだろうか?

隣の親父

むちむちボディ
BL
隣に住んでいる中年親父との出来事です。

柔道部

むちむちボディ
BL
とある高校の柔道部で起こる秘め事について書いてみます。

初体験

nano ひにゃ
BL
23才性体験ゼロの好一朗が、友人のすすめで年上で優しい男と付き合い始める。

溺愛執事と誓いのキスを

水無瀬雨音
BL
日本有数の大企業の社長の息子である周防。大学進学を機に、一般人の生活を勉強するため一人暮らしを始めるがそれは建前で、実際は惹かれていることに気づいた世話係の流伽から距離をおくためだった。それなのに一人暮らしのアパートに流伽が押し掛けてきたことで二人での生活が始まり……。 ふじょっしーのコンテストに参加しています。

年上の恋人は優しい上司

木野葉ゆる
BL
小さな賃貸専門の不動産屋さんに勤める俺の恋人は、年上で優しい上司。 仕事のこととか、日常のこととか、デートのこととか、日記代わりに綴るSS連作。 基本は受け視点(一人称)です。 一日一花BL企画 参加作品も含まれています。 表紙は松下リサ様(@risa_m1012)に描いて頂きました!!ありがとうございます!!!! 完結済みにいたしました。 6月13日、同人誌を発売しました。

処理中です...