霧晴れる時、君は

秋臣

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王子様

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翌朝起きると俺の腕の中に悠馬がいた。
静かに寝息を立てている。
朝から幸せすぎる、これがずっと続けばいいのに。
ずっと眺めてられる、愛おしさでいっぱいになる。
好きが止まらない、好きしか出てこない。
どれくらい時間が経ったのだろう、俺は悠馬の頭を撫でながらずっと寝顔を見ていた。
ようやく、ん?んん?と言いながら悠馬が起きた。
まだ半分も開いてない今にも閉じそうな瞼をなんとかこじ開け、視界に俺を捉えると
「…おはよう」と言って何故か頭を俺の胸にぐりぐりさせる。
ふっ
「なにしてんだ?」
「ん……」スースー言ってる、また寝た。
なんだ、このかわいい生き物は。
頬をつついて
「ほら、起きろ。飯食いに行くぞ」
「眠い」
「もう9時回ってるんだぞ、起きろ」
「いや」
「寝起き悪いな、お前w」
「王子様は王子様のキスで目覚めるんだって」  
そういうと薄目でチラッとこっちを見た。
叫びたい、無限にかわいいと叫びたい。
頬にチュッとし、
「お目覚めですか?」と聞くと
指で✕を作り起きない。
こいつ…
「寝すぎの王子様が全然起きないので、早起きの王子様は痺れを切らしてディープキスをして起こしました」
「え?」
俺は悠馬に宣言通りディープキスをした。
悠馬は無理矢理唇を離すとゲラゲラ笑う。
「そんなの反則じゃん!」
「お前が起きないからだろ?」
ふふっ
悠馬笑ってる。
歯を磨いて、顔洗って、食ってみたいって言ってた喫茶店のモーニング行こうぜ。
もう終わってるかもしれないけど。

モーニングは終わっていて悠馬はしょげていた。だって起きるの遅すぎだろ。
それでもちゃんと昼食に近い朝食を食べて家に戻る。帰りながら今日は何しようか?と考える。二日目はノープランだった。
なにも決めずにプラプラ出かけるのもいいんじゃないかとなり、出掛けることにする。
ここで俺はあることに気づいた。

「なあ、悠馬。今日何時に帰るんだ?」
「ん?帰らないよ?」
「え?」
「だって二泊って言ってたから、二泊してくるって言ってあるよ」
「今日も泊まってくれるのか?」
「帰った方がいい?もしかして今日は別の女の子連れ込むの?」
「怒るぞ」
俺はちょっとだけムッとして先に歩く。
悠馬が
「ごめん~怒らないで~」
と追ってくるのがかわいくて知らん振りしてると、足音が速くなり、いきなり背中に飛び乗ってきた。
「うわっ!」
「おんぶしろ、王子様だぞ」
背中から命令する。
「家まで走れ!」 
悠馬をおんぶしたまま走る。
重いけど嬉しい、こんなことできるのが嬉しくて楽しい。
「無茶言うな!」
30mくらいでギブアップした。
「死ぬわ」ゼーゼーする。
「家まであとちょっとなのに、筋肉は飾りですか?」と煽る。このやろう。
「じゃあ王子様交代な、次は俺をおんぶしろ」
と悠馬の背中に飛び乗る。
「うっわ!待って待って無理!無理だってば!重い!」
その場で潰れた。
二人で笑い転げる。
なにしてんだ、俺たち。
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