霧晴れる時、君は

秋臣

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昼休み、簡素に
「蓮見です」とだけ送信した。
すると5分もしないうちに周りが騒がしくなる。
「なになに?」
「なんでここにいるの?」
という黄色い声に混じり、
「やめろって!落ち着けよ!」という声も聞こえる。
なんだ?と思っていたら教室に香坂先輩が飛び込んできた。
「LINEしてくれた!マジ嬉しい!」とハグされる。キャ──ッ!とウオ──ッ!といろんな色の声が混じる。
は?なに?ハグ?なんで?は?え?はあ?
完全に無になった俺に
「湊、お前セクハラだぞ!離れろ!」と先輩の友達が引き離してくれた。
「だって蓮見くんLINEしてくれたから…」
「名乗っただけだろ?マジでやめてやれよ。蓮見くん、ごめんね、こいつ暴走して止まらねえんだわ。とりあえず湊、お前は落ち着け。蓮見くん、ちょっと話せる?」
「あ、はい」
「お前教室戻ってろ」と香坂先輩を教室からぐいぐい追い出す。
「ごめん、蓮見くん、いい?」と俺を廊下の隅の方へ連れていく。

「ごめんね、湊があんなんで」となぜか先輩が謝る。
「いえ、えーと…」
「ああ、俺、我妻大成です」
「我妻先輩が謝ることじゃないです」
「うん、そうなんだけどね。あのさ蓮見くんは迷惑してると思うんだよ、多分。でもあいつ本気っぽくてね」
「はあ」
「ちょっとこれ見てくれる?」とスマホの画面を見せられた。

「一緒に帰った♡」
「嬉しい」
「マジかわいい」
「すげー好き」
「どうしよう」
「どうしたらいい?」
「なんで振替休日あるの?早く火曜日になれ」
「蓮見くんに会いたい」
「好き」
「好きすぎる」
「連絡先教えたけど何も反応ない」
「嫌われた?」
「どうしよう」
「泣く」
「俺泣く」
「好きなの伝わってない?」
「もっと好きって言った方がいいよね?」
「どうすればいい?」
「ねえ」
「ちょっと」
「助けて」
「我妻?」
「おーい」
「我妻!」
「俺どうすればいいの?」
「好きなのに」
「嫌われちゃった…」
「ねえってば」
「我妻…」
「助けて」
「マジ助けて」
……
……
……
……

なにこれ…
「キショいでしょ?土曜の夜からずっとこれ」
我妻先輩がうんざりした顔してる。
「ずっとこんな調子でさ。今朝も駅で待ってたみたいだけど約束してた?
「いいえ、駅に着いたらいました」
「やっぱり。なんで強引なことするかなあ、あいつ。一緒に登校した!ってめちゃくちゃ喜んでたけど待ち伏せしてただけかよ」
「……」
「でね、昼休みに飯食ってたらいきなり立ち上がって走り出したからどうした?って聞いたら『蓮見くんからLINEきた!』って…
で、この有り様」
「……」
「迷惑かけてるのは分かってる、申し訳ない。だけどふざけてるんじゃないと思うんだ、そういう奴じゃない。というか湊がここまで取り乱してるの見るの俺も初めてで戸惑ってるんだけどさ。蓮見くんのこと揶揄ってるとかじゃなくて多分本気で好きなんだと思う。だからそこだけは分かってやってくれないかな。あんまり目に余るようなら俺に言って、できる限り止めるから」
「あの、男同士で付き合うってなんですか?
俺よくわからないんです。香坂先輩が悪い人じゃないのはなんとなくわかります」
「そっか、そうだよな。そりゃそうだ。
あいつそういうのわかってんのかな?」
「知らないです」
「そのあたり聞いてみるよ」
「はい…あの我妻先輩…」
「ん?」
「これなんとかなりませんか?」
スマホの画面を見せる。

「蓮見くん!」
「ハグしちゃった」
「いい匂い」
「柔らかい」
「かわいいかわいい」
「好き!めっちゃ好き!」
「大好きすぎる」
「今日一緒に帰れる?」
「どう?」
「待ってていい?」
「先帰らないで…」
「待ってて」
「待ってる」
「一緒に帰ろう」
「ダメ?」
「いい?」
「待ってるね」
……
……

我妻先輩が頭を抱えてる。
「本当にごめん、ちょっとぶん殴ってくるわ」と言って我妻先輩は戻っていった。


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