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久我の苦しみ
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店に行くと久我はもう来ていた。
「柊!」俺を見るなり駆け寄ろうとするのを槇さんが制する。
「ダメよ、それ以上近寄ったらこの席はなかったことにするわよ」
「…わかった」渋々座り直す久我。
一つ空けて俺もカウンターに座る。
「久しぶりだな、柊」
「…うん」
「元気だったか?心配してた」
「…うん」
「……」
「……」
久我が口火を切る。
「なんで俺の前からいなくなった?なんでY大に来なかった?電話もLINEも何度も連絡しても繋がらなかった。今までどこにいたんだ?ずっとずっと探してた、柊に会いたくてずっと…」
「……」
今俺の前で泣いている久我は、高3のあのライブ帰り、初めてキスをし、俺が付き合うことを承諾して泣いていた久我だった。
「でももうそんなことどうでもいい。
柊が俺の目の前にいる、それだけでいい」
カウンターチェアから降りると久我は俺を抱きしめた。
ママも槇さんも止めなかった。
今までずっと…何年も…
「卒業おめでとう」と言った日から俺は長い年月、久我を苦しめたことを知る。
「柊!」俺を見るなり駆け寄ろうとするのを槇さんが制する。
「ダメよ、それ以上近寄ったらこの席はなかったことにするわよ」
「…わかった」渋々座り直す久我。
一つ空けて俺もカウンターに座る。
「久しぶりだな、柊」
「…うん」
「元気だったか?心配してた」
「…うん」
「……」
「……」
久我が口火を切る。
「なんで俺の前からいなくなった?なんでY大に来なかった?電話もLINEも何度も連絡しても繋がらなかった。今までどこにいたんだ?ずっとずっと探してた、柊に会いたくてずっと…」
「……」
今俺の前で泣いている久我は、高3のあのライブ帰り、初めてキスをし、俺が付き合うことを承諾して泣いていた久我だった。
「でももうそんなことどうでもいい。
柊が俺の目の前にいる、それだけでいい」
カウンターチェアから降りると久我は俺を抱きしめた。
ママも槇さんも止めなかった。
今までずっと…何年も…
「卒業おめでとう」と言った日から俺は長い年月、久我を苦しめたことを知る。
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