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兄貴に言われたこと全てが突き刺さった。
何も言い返せなかった。晃を不安にさせてたのは俺、それを兄貴に言われるまで、晃が兄貴に相談までしなければならないほど追い詰めてたことに気づけなかった。
自分のことしか考えられなかった、自分の欲だけ。あんなに晃のこと好きなはずなのに。
晃だけを好きなのに。
セックス=愛情だと思ってた。
誰にでも欲情するわけじゃない、晃だからだ。
それを俺は愛だと思ってた、いや今でもそれは思ってる。
でもそれだとセックスがなければ愛情は成立しないということになる。セックスがなければ晃はいらない?そんなわけないじゃないか。でも俺がこんな考え方してたら晃が不安になるのは当然だ。
晃がいてくれさえすればそれでいいのに。
それをどうしたら晃に伝えられる?
ちゃんと伝えたい、伝えなきゃ晃を失う。
俺は晃にLINEを送った。
「会いたい」
歩夢からそうLINEが来た。
広夢くんに会ったこと、言った方がいいのかな。
内緒のつもりじゃなかったけど、いい気はしないかもしれないし…。
そんなこと気にも止めてないかもしれない。
そう思うことが思い上がりなのかも…
あんまり深刻に考えないようにしよう、そう思い直して俺はLINEを返す。
「いつも会ってるじゃん 笑」
週明け、いつものところに晃はいた。
「おはよう、遅くない?」
「ごめん、寝坊した」
いろいろ考えててこのところあんまりよく眠れてない。
晃はいつもと変わらない、ように見える。
唐突に晃が話し出す。
「この前、広夢くんに会ったんだ」
「うん」
「話聞いてもらった」
「うん」
「それだけ」
「…うん」
どうするのが正解なんだろう。
晃を不安にさせないために、どうすれば…
晃の手を取り繋ぐ。
「え?え、ちょっと歩夢?人に見られるよ?」
「嫌か?」
「ちょっと嫌だ…」
「ごめん」
不安にさせたくないのに俺また間違えたかもしれない。
こういうことじゃないんだな、きっと。もっと晃に寄り添わないとダメなんだ。
晃を失わずに済むためにはどうすれば…
歩夢の顔色が良くない。クマが酷い。
寝坊したって言ってたけど、具合悪いのかもしれない。
「会いたい」ってLINEくれたのに
「いつも会ってるじゃん」そう返したのは良くなかったかな。
拒否してると思われたかな。
心配させたくなかったから広夢くんに会ったことを歩夢に伝えた。
でも歩夢は
「うん」としか言わない。
もしかして広夢くんから聞いたのかもしれない。
先に話しておいた方が良かったかな…嫌な思いさせた?それ以前に関心ないのかも…
そんなこと思っていたら、急に歩夢が手を繋いできた。
え?え、ちょっと、人に見られたら…
さすがに制服着た高校生の男2人が手を繋いでるのは…俺はちょっと恥ずかしい、無理だ…
だから嫌って言っちゃった。
歩夢、ごめんって謝ってる。
傷つけたよね、きっと歩夢だって勇気いったと思うのに、嫌なんて言っちゃった…。
俺たちなにかが少しずつおかしくなってる…
この日のバイトは店が混んでて忙しくてヘトヘトだった。
やっと帰れる…と店を出ると少し離れたところに歩夢が立ってた。
「え?歩夢?どうしたの?」
もう夜は冷え込む、いつから待ってた?
「晃終わるの待ってた」
「寒いのに、なんで?店に入って待てばいいのに」
「いいんだ」
冷え切った歩夢の顔を手で包む。すぐにその手の熱も吸い取られるくらい冷たい。
「風邪引くよ」
歩夢は薄く笑って
「帰ろう」と言った。
「どうしたの?なにかあった?」
歩夢らしくない。
「晃と少しでも一緒にいたいんだ」
「歩夢?」
「…不安にさせて悪かった…」
「え?」
「俺、晃がどこかに行っちゃいそうで怖いんだ…どこにもいかないで…」
「俺ここにいるよ?」
「抱きしめてもいいか?嫌なら言って」
歩夢がそっと俺を包む。
「晃が好きだ」
「…うん」
「晃、俺と付き合ってくれ」
歩夢が欲しい言葉をいくつもくれる、抱きしめてくれる。ドキドキしてる。
なのにどうして俺は怖くて仕方がないんだろう。
何も言い返せなかった。晃を不安にさせてたのは俺、それを兄貴に言われるまで、晃が兄貴に相談までしなければならないほど追い詰めてたことに気づけなかった。
自分のことしか考えられなかった、自分の欲だけ。あんなに晃のこと好きなはずなのに。
晃だけを好きなのに。
セックス=愛情だと思ってた。
誰にでも欲情するわけじゃない、晃だからだ。
それを俺は愛だと思ってた、いや今でもそれは思ってる。
でもそれだとセックスがなければ愛情は成立しないということになる。セックスがなければ晃はいらない?そんなわけないじゃないか。でも俺がこんな考え方してたら晃が不安になるのは当然だ。
晃がいてくれさえすればそれでいいのに。
それをどうしたら晃に伝えられる?
ちゃんと伝えたい、伝えなきゃ晃を失う。
俺は晃にLINEを送った。
「会いたい」
歩夢からそうLINEが来た。
広夢くんに会ったこと、言った方がいいのかな。
内緒のつもりじゃなかったけど、いい気はしないかもしれないし…。
そんなこと気にも止めてないかもしれない。
そう思うことが思い上がりなのかも…
あんまり深刻に考えないようにしよう、そう思い直して俺はLINEを返す。
「いつも会ってるじゃん 笑」
週明け、いつものところに晃はいた。
「おはよう、遅くない?」
「ごめん、寝坊した」
いろいろ考えててこのところあんまりよく眠れてない。
晃はいつもと変わらない、ように見える。
唐突に晃が話し出す。
「この前、広夢くんに会ったんだ」
「うん」
「話聞いてもらった」
「うん」
「それだけ」
「…うん」
どうするのが正解なんだろう。
晃を不安にさせないために、どうすれば…
晃の手を取り繋ぐ。
「え?え、ちょっと歩夢?人に見られるよ?」
「嫌か?」
「ちょっと嫌だ…」
「ごめん」
不安にさせたくないのに俺また間違えたかもしれない。
こういうことじゃないんだな、きっと。もっと晃に寄り添わないとダメなんだ。
晃を失わずに済むためにはどうすれば…
歩夢の顔色が良くない。クマが酷い。
寝坊したって言ってたけど、具合悪いのかもしれない。
「会いたい」ってLINEくれたのに
「いつも会ってるじゃん」そう返したのは良くなかったかな。
拒否してると思われたかな。
心配させたくなかったから広夢くんに会ったことを歩夢に伝えた。
でも歩夢は
「うん」としか言わない。
もしかして広夢くんから聞いたのかもしれない。
先に話しておいた方が良かったかな…嫌な思いさせた?それ以前に関心ないのかも…
そんなこと思っていたら、急に歩夢が手を繋いできた。
え?え、ちょっと、人に見られたら…
さすがに制服着た高校生の男2人が手を繋いでるのは…俺はちょっと恥ずかしい、無理だ…
だから嫌って言っちゃった。
歩夢、ごめんって謝ってる。
傷つけたよね、きっと歩夢だって勇気いったと思うのに、嫌なんて言っちゃった…。
俺たちなにかが少しずつおかしくなってる…
この日のバイトは店が混んでて忙しくてヘトヘトだった。
やっと帰れる…と店を出ると少し離れたところに歩夢が立ってた。
「え?歩夢?どうしたの?」
もう夜は冷え込む、いつから待ってた?
「晃終わるの待ってた」
「寒いのに、なんで?店に入って待てばいいのに」
「いいんだ」
冷え切った歩夢の顔を手で包む。すぐにその手の熱も吸い取られるくらい冷たい。
「風邪引くよ」
歩夢は薄く笑って
「帰ろう」と言った。
「どうしたの?なにかあった?」
歩夢らしくない。
「晃と少しでも一緒にいたいんだ」
「歩夢?」
「…不安にさせて悪かった…」
「え?」
「俺、晃がどこかに行っちゃいそうで怖いんだ…どこにもいかないで…」
「俺ここにいるよ?」
「抱きしめてもいいか?嫌なら言って」
歩夢がそっと俺を包む。
「晃が好きだ」
「…うん」
「晃、俺と付き合ってくれ」
歩夢が欲しい言葉をいくつもくれる、抱きしめてくれる。ドキドキしてる。
なのにどうして俺は怖くて仕方がないんだろう。
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