23時に明かりを消して

秋臣

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晃の相談

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「歩夢の部屋、ちょっと久しぶりな感じする~」と呑気な声。
「お前、兄貴と何してたんだよ」声に怒りが混じる。
「ん?広夢くんは優しいよね」
「優しいってなんだよ!兄貴のこと好きなのか?」
「え?好き?好きだよ~」
なにヘラヘラしてんだ。
「だったら兄貴の部屋に戻れよ」
「もう話終わったから大丈夫」
「大丈夫ってなんだ!」
「話聞いてもらってた」
「嘘つけ!抱き合ってただろうが!」
「ああ、うん」ふくくくと笑ってる。

「晃、お前ちゃんと説明してやらねえと俺が歩夢に殺されるんだぞ」
ドアのところに兄貴が立ってた。
「うん、でも歩夢がめちゃくちゃ怒ってるからおかしくて」
おかしいってなんだ!
「あー待て、俺が説明するからひとまず落ち着け」

兄貴がドアを閉めるとベッドにドカッと座り話し始めた。
「晃な、彼女いるって言ってただろ?
まあそれなり付き合ってはいるみたいなんだけどな。彼女とヤった時になんか違ったらしいんだわ」
ヤったんだ…
俺はなんでだか物凄くショックを受けていた。
「気持ちいいは気持ちよかったんだろ?」
「うん」
よく兄貴にそんな話明け透けにできるな、お前。
「広夢くんにこんな話するの恥ずかしいけど、他に相談できる人いなくて…」
「前に俺の部屋で隣の喘ぎ声聞かせただろ?だからそういう話しても大丈夫かなって思ったんだと」
なるほど?
「女とだから当然晃が挿れる方になるよな?
なんかそこに違和感があるらしいぞ」
違和感?
「俺さ、もしかしたら女側っていうの?抱かれる側の方が好きなのかもって思っちゃって…」
晃?
「それって男が好きってことなのかな?俺わからなくなって広夢くんに聞いてみたんだよ。そしたら広夢くんが『俺にハグされたり、キスの真似事してドキドキしたら男が好きって可能性もあるかもな』って。じゃあ試してみるかって…」
「明かり消さないとさすがに恥ずかしいっていうから消したけど、そんなことしたらあいつ血相変えて飛び込んでくるぞって言ったら本当に来たから笑ったよ。
で、やってみたら思いの外、晃が可愛くてさ、つい気分が乗ってキスしちゃいそうになったんだよね」
なったんだよね、じゃねえよ!
「俺の方が男好きなんじゃね?って思っちゃった。あはははは!」
笑い事じゃねえって言ってんだよ!
「晃にどうよ?って聞いたら、ドキドキはしないって。でも歩夢とキスした時はめちゃくちゃドキドキしたって。
それって男が好きなんじゃなくて歩夢が好きなんだろ?って話じゃん。というかお前らキスしたの?」
え?
「まあそれなら俺も晃でドキドキしたし、こいつ可愛いって思ったから、俺は晃のこと好きってことになるな」
「渡さねえぞ」
「晃、渡さねえって言ってんぞ。どうする?」
「…歩夢がいい」
「俺、当て馬じゃねえのよ。なんなの?お前ら」
「もう出てけ」
「はいはい、当て馬さんは消えますよー」
兄貴は俺の部屋から出て行った。


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