23時に明かりを消して

秋臣

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謝らない

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晃に謝ろう。
このまま気まずいのは耐えられない。
とにかく謝るしかない。
そう思って晃にLINEすると、バイトが終わってからうちに来てくれることになった。
よかった、それさえも拒否されたら本当に終わりだと思ったから、ほんの少しだけ安心した。許してくれるかはわからないけど…

夜、階下で
「おばさん、こんばんは。歩夢いる?」と晃の声がした。
「あら?晃くん、こんな時間に歩夢と約束してたの?ご飯は食べた?用意するわよ」
「あ、大丈夫、バイト先で食べてきたから。遅くにごめんね」
「いいのよ、夏休みだしね、歩夢ー!晃くん来てるわよ!」
「わかってるよ、晃ー、上がってこいよ」
「なにその偉そうな態度!」
「うるせーな」

俺の部屋に行き、
「バイト終わりに来てもらって悪かったな」とちょっと緊張しながら言うと
「ふっ本当だよ、何様だよ」と晃が笑った。
少し空気が緩んだ気がした。
……
「晃、この前のことなんだけど…」
「うん」
「…悪かった、ごめん」頭を下げる。
「謝るなって歩夢が言ったんだろ?
だったら歩夢も謝るなよ」
「だって俺…あんなことお前に…」
晃の顔が見られない。
「俺さ、気持ちよかったんだよね」
「え?」
「歩夢は?気持ち良くなかった?」
「…めちゃくちゃ気持ちよかったです…」
「ふはっ!なんで敬語?」晃が笑い出す。
「いや…勢いでやっちゃったけど、あんなに気持ちいいとは思わなくて…」
「それな、誰かに触られるのってヤバいな」

「歩夢、俺さ、あれまたやりたい」
「え、え?」
「あの感覚忘れられなくて…」
晃?
「歩夢、してよ」
晃が俺をじっと見つめる。
ヤバい、ヤバい、ヤバい!
俺、さっき謝ったばかりだぞ?
そんな目で見るな、俺の理性が働いてくれない。
「やだ?」
あーっ!もう!
「今度は謝らねえぞ」
俺はそう言って晃にキスした。
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