23時に明かりを消して

秋臣

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楽しめ

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兄貴の部屋に置いていかれた形になった俺と晃は訳が分からず呆然としていた。
「歩夢、俺全然わからないんだけど」
「いや、俺もわからない」
「どうすればいいの?」
「とりあえずテレビかDVDでも観るか」
「その前にコンビニ行かない?風呂入るにしても下着とか歯ブラシもないし」
「そうだな」
23時に明かりを消せということはその時間に寝ろということか。
そうなるとあまり時間がないので晃と近くのコンビニに行き、兄貴が置いていってくれたお金で必要なものを買う。
兄貴の部屋に戻ると22時半だったので交代でシャワーを浴び、訳がわからぬまま寝る支度をする。ベッドを晃に譲り、俺は床でタオルケットの予備をクローゼットから引っ張り出してきて使うことにした。
時間はもうすぐ23時。
「晃、消すぞ」
「広夢くん、なんだったんだろう」
「とりあえず言われた通りしてみるしかねえな」
そう言って明かりを消した。

5分ほど経つ、23時はとっくに回っている。
「なんなんだ?別になにもないんだけど」
「そういえば広夢くん、寝ろとは言ってなかったよね?」
言われてみればそうだ。
明かりを消せとは言ったが寝ろとは言ってなかった。
「ねえ、広夢くん霊感とかないよね?」
「あ…あるかも」
昔からあそこにいるとか、◯◯には行くな、引っ張られるぞとか言ってた。
「マジで?怪奇現象とか俺無理なんだけど」晃が怯える。俺だって嫌だ。

なんなんだよ、強引に連れてきておいてなにがしたいんだよ。熱帯夜の暑さも相まってイライラが募る。

その時だった。

「ん…あ、いやあ…」

え…?
思わず晃を見ると、晃も俺を見て目を見開いている。

「や…ダメ…ん…」
「あ、あん…」

兄貴の言ってた
「楽しめ」
その意味がわかった。
悩ましい喘ぎ声は隣の部屋から聞こえてくる。
ヤってる!

「歩夢…これって…」
「ヤってるよな?」

「…あっああ…いやあ…あん…あ…ん…」
パンパン!と何かを打ち付ける音も聞こえる。
「…あーやべ…」
「んん…あっあ…もう…あ…ダメ…あっ」

晃の部屋で観たAVの比じゃない。
映像は見えていないのに生の声と臨場感にチンコがもうヤバい。
ふと晃を見ると、暗がりで項垂れてる姿がぼんやり見える。
「晃、俺ちょっとヤバい…」
「俺も…ヤバいかも…」
俺は晃のいるベッドに行くと晃にキスした。
興奮し過ぎておかしくなりそうだ。
いや、もうおかしくなってる。現に晃にキスしてる。
「お前…なにして…」
抵抗する晃を押さえて強引にキスを続ける。
「やめろ…ん…!」
晃に俺のものを握らせる。既にガチガチだ。
俺も晃のものを握る。
「やめろ、もうヤバいって…」完勃ち。
下着の中に手を入れ直接触る。
「うわっ歩夢、やめろ…」
俺のものと晃のものを擦り合わせる。めちゃくちゃ気持ちいい。なんだこれ、たまんねえ、イキそう。
「晃…気持ち良くない?」
「……気持ちいい…」
そのまま俺たちは味わったことのない快感に抗うことなく果てた。

シャワーを浴び直し、再度眠りにつく。
眠れない。
でも何を言っていいのかわからず、悶々としながら朝を迎えた。
晃が起きた気配で目を覚ますと、晃が
「歩夢…ごめん」とベッドで正座して謝る。
「なんで謝るんだよ」
「だってあんなこと…」
「手出したのは俺だよ、俺が悪い」
「……」
「……」
俺たちは兄貴の帰りを待たずに電車で帰ることにした。
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