23時に明かりを消して

秋臣

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兄貴と恵茉ちゃん

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晃には妹、俺には兄貴がいる。
晃の妹の恵茉ちゃんはまだ小学生、ちまちましててかわいい。慣れるとすごく懐いてくれるけど、人見知りだから時間がかかる。
さすがに俺には懐いてくれていて
「歩夢くんがお兄ちゃんだったら良かったのに」とかかわいいこと言ってくれるから嬉しい。
「お兄ちゃんも優しいから好きだけど、歩夢くんもお兄ちゃんにしてあげてもいいよ」
うん、なるなる。かわいいなあ。
「こんなウザい兄貴いらない」と晃は吐き捨てる。遠慮すんな晃。

一方、うちの兄貴はというと、俺と世界線が違うのでは?と思うくらい、頭も要領も良く、おまけにモテる。
男友達といるより女といる方が多いんじゃないかってくらいモテる。
兄貴はその頭と要領の良さを遺憾なく発揮すべく、両親に国公立大に受かることを条件に一人暮らしを要求した。学資保険積立てるし、お前たち兄弟2人が私大に行けるように蓄えはしてるから行きたいところがあるなら、私大でもいいんだぞと言われていたが、兄は自らその条件を課した。
兄貴の頭ならやれないことはないと思ってはいたが、合格のみならず更に上をいった。成績優秀者で学費免除までもぎ取った。これには両親も反対する材料が何一つ無く、兄の一人暮らしを了承。元々反対していたわけではないが寂しさはあったんだと思う。でもやってのけるところが凄いと素直に感心するし尊敬する。
こうして大学進学と同時に兄貴は家を出た。
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