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住宅展示場
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翌朝、目が覚める。
いつ寝たのか覚えていない、今の時間は午前7時過ぎ。
陽南は…よく寝ている。
下着姿だと風邪ひいてしまうから、俺のTシャツを着せてある。
寒くないかな、冷えてないかな。
8時くらいには起こそうか、女の子だから支度もあるだろうし、起きてすぐチェックアウトは厳しいだろう。
それにしても陽南はよく寝る。
すやすや寝ている姿は凛ちゃんと同じだな。
この寝顔もちゃんと覚えておこう、
目を閉じたらすぐに陽南を思い出せるように。
陽南とこうしてゆっくり会えるのは今日が最後だ。
短い時間なら会えるかもしれないし、見送りにも来てくれると言ってくれてるけど、現実から目を背けてばかりもいられない。
自分で選んだ道を信じろ、貫け。
陽南が待ってると言ってくれたから、
頑張れと言ってくれたから、俺はちゃんと頑張る。
陽南との約束だから。
安心しきっている寝顔に俺は誓う。
そろそろ起こすか。
「陽南、朝だよ」
「ん…」
起きない。
「ほら、支度しないと」
「うん…」
「おはよう、陽南」
「おはよう…」
さわさわ、もみもみ
「エロ下着見せて」
「…え?ちょっと、なに?」
「この透け具合がエロい…最高…」
「触らないで!なんでホック外すの!?」
「最高…」
「壮祐くんのバカ!」
陽南がバスルームに逃げた。
陽南がシャワーから戻る。
「この下着二度とつけない」
「なんで?すごくエロくてかわいいのに」
「壮祐くんがダメになる」
ふっ
「それは確かにそうw」
「もう触ったらダメ」
「キスならいい?」
「…キスならいい」
ちゅっ
「支度するね」
「俺もシャワー浴びてくるよ」
チェックアウトする。
ファミレスで遅めの朝食を取る。
夕方くらいにBothに土産を届けに行くことにして、それまでどうしようかと陽南とあてもなく歩く。
特に何をしようと決めてはいなかった。
その時思うまま動けばいいかなと思っていた。
このあたりはあまり馴染みがない。
しばらく話しながら歩いていると急に雰囲気が変わった。
住宅展示場だった。
家族連れが結構来ている。
俺は思わずレンガを探す。
やっぱりないよな。
「壮祐くん、レンガ探してた?」
「うん、よくわかったね」
「あれは違うの?」
陽南が一軒の立派な家を指差す。
「あれはタイルだね」
「タイルとレンガは違うの?」
「うん、違うよ。あの家のはレンガ調のタイル。よく見るとわかるよ」
「へえ」
「お客様、お詳しいですね」
スーツを着た一人の男性に声をかけられた。
この展示場の人らしい。
「レンガがお好みですか?」
「はい、好きです」
思わず答えてしまった。
「こういったところではなかなか見かけませんよね?レンガ造りですと一つ一つ職人が丁寧に積んで仕上げます。そのコストを鑑みると定期的に建て替えなければならない展示場では見かけないと思います」
「そっか、手間が掛かるもんね」
陽南が納得する。
男性はにっこり笑う。
「でもレンガを好まれる方は多いんですよ。
ですので少しお手軽にその感じを出せるレンガ調タイルは人気です」
そうだよな。
「建てられないことはないのですか?」
「はい、可能です。耐震性が弱いと思われがちですが、今は技術も進歩して寧ろ耐震を考えるなら最適とも言えるくらいです」
「本当ですか!」
俺は嬉しくなる。
父に言われた呪いのような言葉、耐震性の弱さが覆ったのだ。
「壮祐くん、耐震性あるって!」
俺が嬉しそうに笑ったのを陽南は見逃さなかった。
「耐震性は向上しましたが、やはり建てる際のコストは高いです」
「そこはやはり高いんですね」
「ですが、その後のメンテナンスが必要ないのと耐久性に優れているので、どこに重きを置くかで考え方は変わると思いますね」
ワクワクが止まらない。
「壮祐くん、嬉しそう」
陽南が俺を見て笑ってる。
だって本当に嬉しいんだよ、家を建てるなんて今は全く考えられないけど、レンガの家を建てられる可能性はゼロではない、それが嬉しいんだ。
いつ寝たのか覚えていない、今の時間は午前7時過ぎ。
陽南は…よく寝ている。
下着姿だと風邪ひいてしまうから、俺のTシャツを着せてある。
寒くないかな、冷えてないかな。
8時くらいには起こそうか、女の子だから支度もあるだろうし、起きてすぐチェックアウトは厳しいだろう。
それにしても陽南はよく寝る。
すやすや寝ている姿は凛ちゃんと同じだな。
この寝顔もちゃんと覚えておこう、
目を閉じたらすぐに陽南を思い出せるように。
陽南とこうしてゆっくり会えるのは今日が最後だ。
短い時間なら会えるかもしれないし、見送りにも来てくれると言ってくれてるけど、現実から目を背けてばかりもいられない。
自分で選んだ道を信じろ、貫け。
陽南が待ってると言ってくれたから、
頑張れと言ってくれたから、俺はちゃんと頑張る。
陽南との約束だから。
安心しきっている寝顔に俺は誓う。
そろそろ起こすか。
「陽南、朝だよ」
「ん…」
起きない。
「ほら、支度しないと」
「うん…」
「おはよう、陽南」
「おはよう…」
さわさわ、もみもみ
「エロ下着見せて」
「…え?ちょっと、なに?」
「この透け具合がエロい…最高…」
「触らないで!なんでホック外すの!?」
「最高…」
「壮祐くんのバカ!」
陽南がバスルームに逃げた。
陽南がシャワーから戻る。
「この下着二度とつけない」
「なんで?すごくエロくてかわいいのに」
「壮祐くんがダメになる」
ふっ
「それは確かにそうw」
「もう触ったらダメ」
「キスならいい?」
「…キスならいい」
ちゅっ
「支度するね」
「俺もシャワー浴びてくるよ」
チェックアウトする。
ファミレスで遅めの朝食を取る。
夕方くらいにBothに土産を届けに行くことにして、それまでどうしようかと陽南とあてもなく歩く。
特に何をしようと決めてはいなかった。
その時思うまま動けばいいかなと思っていた。
このあたりはあまり馴染みがない。
しばらく話しながら歩いていると急に雰囲気が変わった。
住宅展示場だった。
家族連れが結構来ている。
俺は思わずレンガを探す。
やっぱりないよな。
「壮祐くん、レンガ探してた?」
「うん、よくわかったね」
「あれは違うの?」
陽南が一軒の立派な家を指差す。
「あれはタイルだね」
「タイルとレンガは違うの?」
「うん、違うよ。あの家のはレンガ調のタイル。よく見るとわかるよ」
「へえ」
「お客様、お詳しいですね」
スーツを着た一人の男性に声をかけられた。
この展示場の人らしい。
「レンガがお好みですか?」
「はい、好きです」
思わず答えてしまった。
「こういったところではなかなか見かけませんよね?レンガ造りですと一つ一つ職人が丁寧に積んで仕上げます。そのコストを鑑みると定期的に建て替えなければならない展示場では見かけないと思います」
「そっか、手間が掛かるもんね」
陽南が納得する。
男性はにっこり笑う。
「でもレンガを好まれる方は多いんですよ。
ですので少しお手軽にその感じを出せるレンガ調タイルは人気です」
そうだよな。
「建てられないことはないのですか?」
「はい、可能です。耐震性が弱いと思われがちですが、今は技術も進歩して寧ろ耐震を考えるなら最適とも言えるくらいです」
「本当ですか!」
俺は嬉しくなる。
父に言われた呪いのような言葉、耐震性の弱さが覆ったのだ。
「壮祐くん、耐震性あるって!」
俺が嬉しそうに笑ったのを陽南は見逃さなかった。
「耐震性は向上しましたが、やはり建てる際のコストは高いです」
「そこはやはり高いんですね」
「ですが、その後のメンテナンスが必要ないのと耐久性に優れているので、どこに重きを置くかで考え方は変わると思いますね」
ワクワクが止まらない。
「壮祐くん、嬉しそう」
陽南が俺を見て笑ってる。
だって本当に嬉しいんだよ、家を建てるなんて今は全く考えられないけど、レンガの家を建てられる可能性はゼロではない、それが嬉しいんだ。
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