レンガの家

秋臣

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ザ・東京

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昼過ぎ、俺たちは東京タワーにいた。
GWに行けなかったところの一つだ。
「東京らしいところと言ったらここだよね」
とスカイツリーと迷ってこっちにした。
陽南が来たことなかったから東京タワーにしたのだ。

「でっかいねー!」
「見上げると圧巻だよな」
「私、東京タワーって赤だと思ってた、オレンジなんだね」
「赤に見えないこともないよな」
「ねえ、階段登って行くこともてきるみたい」
「陽南、この高さを舐めすぎwこの後動けなくなるからやめておけ」
「今度登ろうよ」
「やだ」
「えーやろうよ」
「やだ!ほら、行くよ」
階段を登りかねないからさっさとエレベーターに連れて行くことにする。

「うっわ!高い!」
陽南も俺も高いところは得意ではない。
それなのに高いところに来たがるのはなんでだろうな。

しかしここまで来たらあそこへ連れて行かないといけない。
「陽南、こっち」
「どこ行くの?」
陽南の手を取り、ある場所を目指す。
そこは人だかりができていた。
「なに?」
「ここ見て」


ガラスの床だ。

陽南が動かなくなる。
「…待って、無理、無理」
「大丈夫だよ、俺も苦手だし」
「苦手ならやめようよ!」
「せっかく来たんだからここいかないと」
「やだ!無理!」
「ほら、待ってる人いるから乗るよ」
「スカートだからパンツ見えちゃう」
「この高さで見えるわけないだろw」
「やだーっ!」
「はい、せーの!」
ガラスの床に乗る。
「怖い、怖い、怖い…」
固まって動けなくなった陽南に悲劇が襲う。
近くにいた小学生くらいの男の子たちがガラスに乗り飛び跳ねる。
「キャ──────ッ!!」
陽南が猛ダッシュで逃げる。
逃げ足速えw
どこまでいくんだよw

陽南はエレベーター前にいた。
「大丈夫?w」
「大丈夫じゃないっ!」
「ごめんてw」
「嫌い!」
「俺?ガラス?」
「両方!」
「あはははは!」
「笑い事じゃないから!」
「ごめんね、許して」
「ご飯、壮祐くんの奢りだからね」
「それで許してくれる?」
「お肉なら許す」
ふっ
「ご期待に添えるよう、尽力いたします」
「手繋いで」
「ん?」
「まだちょっと怖いのが残ってるから」
「くくく」
「本当に怖かった」
「ごめんな」

陽南は少し機嫌を直してお土産を見に行きたいと言う。
凛ちゃんに買いたいそうだ。
「叔母の気分」
と言っていたがなんとなくわかる。
凛ちゃんはかわいい。
まだ小さいから危なくないものがいいと言って、東京タワーオリジナルらしい、くまのぬいぐるみを買った。
輝哉さんと公佳さんには日本酒を、深影さんには東京タワーの模型を買った。
拓海さんには東京タワー色のキーホルダーにした。陽南が全部買おうとしてるから俺にも出させてと言って半分出した。

「陽南、これ買わない?」
「何買うの?」
「東京タワーのキーホルダー、お揃いにしようよ」
「うん!」
「拓海さんとも色違いのお揃いだけどw」
シルバーとゴールドがあったから、俺がシルバー、陽南がゴールドにした。
お揃いは初めてかも。

時間は午後3時。
次の目的地に移動する。

「次はどこに行くの?」
「ついてきて」

着いたのはホテルだ。
「ここ?」
「うん、チェックインしよう」
「ホテルの部屋とってあるの?」
「ダメだった?」
「ダメじゃないけど…」
「今更なんだけど、陽南は今日泊まれる?無理ならそれでいいんだ、ちゃんと遅くならないように送るから」
「あのね、それなんだけど」
「うん」
「公佳さんの家に泊まることになってるの」
「え?公佳さん?」
「うん、合格祝いしてもらった時に、公佳さんが察してくれて、うちに泊まることにすればいいからって言ってくれて…」
「え?陽南泊まる気でいてくれたの?」
「一日デートって言ってたからそうなのかなって…」
「俺と泊まってくれる?」
「うん、というか公佳さんの家に泊まるって言っちゃったから私帰れない…」
ふっ
「だから一緒に泊まってください、泊まってくれないとかっこ悪い…」
かわいいな。

よかった、安心した。
ここだけは陽南に確認しないで勝手に部屋を取っちゃったから断られても仕方ないと思ってた、
陽南と泊まれる、嬉しい。

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