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久しぶりのデート
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「壮祐くんの家に迎えに行ってもいい?」
デートの約束をした時、陽南にそう言われた。
「お家の人に会うのはGWにしたいから、家の近くのコンビニで待つね」
なにか意味があるのかと思ったら、
彼氏を迎えに行くというのをやってみたかっただけだった。なんだそりゃ?w
「いいの、そういう小さいことも楽しいんだから」
陽南が迎えに来るのは朝8時。
今日は一日ずっと陽南といると決めて、朝早くから会うことにした。
こんなに朝早いとまだどこも開いていない。
「駅二つ分って歩けると思う?」
「歩いてみる?」
まだ朝の空気が残る中を二人で歩く。
なにか特別なことがあるわけではない、
ただ二人で話をしながら手を繋いで歩く。
それだけなのにどうしてこんなに楽しいんだろう。
立ち止まって休んだり、ベンチ見つけて座って話したり、寄り道しながら歩いたら二時間くらい経っていた。
「陽南、どこに行きたいの?」
「ここ真っ直ぐ行くと大通りに出るから、そうしたら分かるよ」
少し歩くと大通りに出た。
あ、なるほど。
そこには俺と陽南がバイトしていたナックがあった。
「久しぶりだなあ」
「でしょ?私も辞めてから来てなかったから、少し早いけどお昼はここにしない?お腹空いたし」
「賛成」
まだ昼には早いので店は空いていた。
「いらっしゃいませー!ご注文お決まりの方、お伺いいたします…って壮祐くんと陽南さん!?」
そのレジにいたのは尚希だった。
私語禁止だから慌てて声を潜める。
「久しぶり!」
「尚希くん、元気?」
「注文して!そうすれば話せるから」
尚希が小声で必死になる。
「それじゃ…ナックダブルバーガーのAセットでドリンクはコーラ、氷無しで、サイドはポテト。揚げたてで塩かけないでください。バーガーはチーズ追加、ピクルス抜き、ケチャップ多めで、箱じゃなくてペーパーでお願いします。
それとは別で今の注文を全て抜いたAセットをください、それから…」
「待って待って!ちょっと待って、ええ!?」
尚希がパニクってる。
陽南と爆笑してしまった。
「ごめん、ごめん、嘘だからw揶揄っちゃったw
普通にナックダブルバーガーのAセットを二つ、コーラとアイスティーでお願いしますw」
「ちょっとやめてよー!」
「あははは!」
「全て抜いたセットって何?普通のセットじゃん!紛らわしいってば!」
笑いが止まらない。
本当にかわいい後輩なんだよなあ。
尚希の声に店長が気づく。
「え?ええ!?今永くんと葦原さん?
いやあ、久しぶりだね!」
「おはようございます、ご無沙汰してます」
「お久しぶりです」
「受験生だったよね?あ、聞いたらまずい?」
「いえ、大丈夫です、二人とも合格しました」
「本当!二人とも良かったねえ、それじゃまたうちでバイトしてよ」
「俺、仙台なんです」
「ずいぶん遠いね、葦原さんは?」
「私はこっちです」
「バイト待ってるよ」
「考えておきますw」
「壮祐くん、仙台なんですか?」
「うん」
「遠い!陽南さん、寂しがっちゃうじゃないですか!」
「そうなの、寂しいの」
「ほらあ、ちゃんとフォローしてあげてくださいね」
「うん、わかったよ」
「俺、仙台に遊び行ってもいいですか?牛タン食いたい」
「なんだよ、それw」
「壮祐くんの家に泊めてください」
「ちゃっかりしてんなあ、落ち着いたら連絡するよ」
「やった!」
「牛タンは割り勘だぞ」
「マジか…」
尚希の遊びの誘いが社交辞令だったことは一度もない。
本当に遊ぶ時はちゃんと遊ぶ。
だから仙台へも絶対来るだろうな、楽しみだ。
空いていたこともあり、少し長居してしまった。
帰りがけ、店長に挨拶するとナックのギフトカードをくれた。
「いつでも来てね」
「はい、ありがとうございます」
「壮祐くん、陽南さん、またね!」
尚希が手を振ってる。
「またね!」
さあ、次の目的地に行こうか。
デートの約束をした時、陽南にそう言われた。
「お家の人に会うのはGWにしたいから、家の近くのコンビニで待つね」
なにか意味があるのかと思ったら、
彼氏を迎えに行くというのをやってみたかっただけだった。なんだそりゃ?w
「いいの、そういう小さいことも楽しいんだから」
陽南が迎えに来るのは朝8時。
今日は一日ずっと陽南といると決めて、朝早くから会うことにした。
こんなに朝早いとまだどこも開いていない。
「駅二つ分って歩けると思う?」
「歩いてみる?」
まだ朝の空気が残る中を二人で歩く。
なにか特別なことがあるわけではない、
ただ二人で話をしながら手を繋いで歩く。
それだけなのにどうしてこんなに楽しいんだろう。
立ち止まって休んだり、ベンチ見つけて座って話したり、寄り道しながら歩いたら二時間くらい経っていた。
「陽南、どこに行きたいの?」
「ここ真っ直ぐ行くと大通りに出るから、そうしたら分かるよ」
少し歩くと大通りに出た。
あ、なるほど。
そこには俺と陽南がバイトしていたナックがあった。
「久しぶりだなあ」
「でしょ?私も辞めてから来てなかったから、少し早いけどお昼はここにしない?お腹空いたし」
「賛成」
まだ昼には早いので店は空いていた。
「いらっしゃいませー!ご注文お決まりの方、お伺いいたします…って壮祐くんと陽南さん!?」
そのレジにいたのは尚希だった。
私語禁止だから慌てて声を潜める。
「久しぶり!」
「尚希くん、元気?」
「注文して!そうすれば話せるから」
尚希が小声で必死になる。
「それじゃ…ナックダブルバーガーのAセットでドリンクはコーラ、氷無しで、サイドはポテト。揚げたてで塩かけないでください。バーガーはチーズ追加、ピクルス抜き、ケチャップ多めで、箱じゃなくてペーパーでお願いします。
それとは別で今の注文を全て抜いたAセットをください、それから…」
「待って待って!ちょっと待って、ええ!?」
尚希がパニクってる。
陽南と爆笑してしまった。
「ごめん、ごめん、嘘だからw揶揄っちゃったw
普通にナックダブルバーガーのAセットを二つ、コーラとアイスティーでお願いしますw」
「ちょっとやめてよー!」
「あははは!」
「全て抜いたセットって何?普通のセットじゃん!紛らわしいってば!」
笑いが止まらない。
本当にかわいい後輩なんだよなあ。
尚希の声に店長が気づく。
「え?ええ!?今永くんと葦原さん?
いやあ、久しぶりだね!」
「おはようございます、ご無沙汰してます」
「お久しぶりです」
「受験生だったよね?あ、聞いたらまずい?」
「いえ、大丈夫です、二人とも合格しました」
「本当!二人とも良かったねえ、それじゃまたうちでバイトしてよ」
「俺、仙台なんです」
「ずいぶん遠いね、葦原さんは?」
「私はこっちです」
「バイト待ってるよ」
「考えておきますw」
「壮祐くん、仙台なんですか?」
「うん」
「遠い!陽南さん、寂しがっちゃうじゃないですか!」
「そうなの、寂しいの」
「ほらあ、ちゃんとフォローしてあげてくださいね」
「うん、わかったよ」
「俺、仙台に遊び行ってもいいですか?牛タン食いたい」
「なんだよ、それw」
「壮祐くんの家に泊めてください」
「ちゃっかりしてんなあ、落ち着いたら連絡するよ」
「やった!」
「牛タンは割り勘だぞ」
「マジか…」
尚希の遊びの誘いが社交辞令だったことは一度もない。
本当に遊ぶ時はちゃんと遊ぶ。
だから仙台へも絶対来るだろうな、楽しみだ。
空いていたこともあり、少し長居してしまった。
帰りがけ、店長に挨拶するとナックのギフトカードをくれた。
「いつでも来てね」
「はい、ありがとうございます」
「壮祐くん、陽南さん、またね!」
尚希が手を振ってる。
「またね!」
さあ、次の目的地に行こうか。
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