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ガラスのかけら
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「壮祐くん、大丈夫かな…」
「大丈夫よ、壮祐くんも深影くんも信じてあげて」
ウトウトし始めた凛ちゃんを抱っこしながら公佳が言う。
「なあ、陽南ちゃん」
「うん?」
「深影が本気なのはわかるよな?」
「わかる」
「本気だからこそ真っ向からぶつからないとダメなんだよ」
「でも…」
「心配なのはわかる。今までのこと思うと居ても立っても居られないよな」
「うん…」
「ぶつからせてやってくれないか?
砕け散って跡形もなく粉々にされても、どんなに痛くても壊さなきゃいけない時があるんだよ」
「…そんなの辛い…」
「深影はさ、あんな調子のやつだから鋼のハートみたいに思われがちだけど、すごく繊細だしガラスのハートなんだよな、実は」
公佳が静かに頷き微笑む。
「お兄ちゃん、壊れちゃう?」
ふっ
「逆だな」
「え?」
「たとえ壊れても砕けたガラスのかけらを見て、『めっちゃ綺麗じゃね?』って言うよw」
ふっ
ふふ
陽南と公佳が笑い出す。
拓海も、
「深影さん、言いそうw」
と笑ってる。
「お兄ちゃんは強いね」
「強くて弱くていいやつだよ」
「はんちゃんはお兄ちゃん好き?」
「気持ち悪い言い方するなよw
でもまあ、好きだな。
あいつじゃなきゃ今こうして一緒に店やってないよ」
「私より好きなの?」
公佳が拗ねる。
「そういう意味じゃないって!」
「浮気だ」
「そうじゃねえ!」
「それなら公佳さんが好きなんですか?」
拓海が突っ込む。
「そうだよ、好きだよ!」
「ひゅ──っ!」
拓海がおどける。
「お前、何言わせるんだよ!」
「たまには言って欲しいですよね?公佳さん」
「拓海くんは女心がわかってて偉い!」
「いいなあ、惚気いいなあ」
陽南が羨ましがる。
「いつもいちゃついてるくせにまだ惚気たいのか?」
「うん!」
「うっわ…若いって怖い…」
「ねえねえ、はんちゃん、公佳さん」
「なあに?」
「なんだよ」
「お願いがあるんだけど…」
「金ならないぞ」
「そうねw」
「あのね、壮祐くんが仙台に行く前に一日デートするの」
「惚気てるし」
「違うの!あのね…あのね…」
「煮え切らねえな、はっきり言え」
「言わなくていいわよ、陽南ちゃん」
「え?」
「うちに泊まりに来ることにしようか」
公佳が微笑む。
「なんでわかるの?」
「私にもそういう時代がありました」
公佳が悪戯っぽく笑う。
「え?どういうこと?」
「輝くん、鈍いわね」
「どういうことですか?」
「拓海くんもわからないの?もう!
さっき褒めたのに」
「なによ?」
「お泊まりの口実!」
「あ…」
「なるほど…」
「公佳さん、めちゃくちゃ恥ずかしい…」
「そりゃあモゴモゴになるなあw」
はんちゃんが揶揄う。
「遠距離になっちゃうもんね、なかなか会えなくなっちゃうしね」
拓海が理解を示す。
「そういうことにしましょ、ね?」
「公佳さん、ありがとう」
「ふふっ」
「ところで公佳?」
「ん?」
「『私にもそういう時代がありました』ってどういうこと?大学ん時、一人暮らしだったよな?」
「え?知らない」
「とぼけんな!いつの話だよ!」
「知らなーい」
「おい!」
「知らなーい」
こっちはこっちで賑やかでやかましく、
その中でも動じず、すやすや眠る凛ちゃんが逞しかった。
「大丈夫よ、壮祐くんも深影くんも信じてあげて」
ウトウトし始めた凛ちゃんを抱っこしながら公佳が言う。
「なあ、陽南ちゃん」
「うん?」
「深影が本気なのはわかるよな?」
「わかる」
「本気だからこそ真っ向からぶつからないとダメなんだよ」
「でも…」
「心配なのはわかる。今までのこと思うと居ても立っても居られないよな」
「うん…」
「ぶつからせてやってくれないか?
砕け散って跡形もなく粉々にされても、どんなに痛くても壊さなきゃいけない時があるんだよ」
「…そんなの辛い…」
「深影はさ、あんな調子のやつだから鋼のハートみたいに思われがちだけど、すごく繊細だしガラスのハートなんだよな、実は」
公佳が静かに頷き微笑む。
「お兄ちゃん、壊れちゃう?」
ふっ
「逆だな」
「え?」
「たとえ壊れても砕けたガラスのかけらを見て、『めっちゃ綺麗じゃね?』って言うよw」
ふっ
ふふ
陽南と公佳が笑い出す。
拓海も、
「深影さん、言いそうw」
と笑ってる。
「お兄ちゃんは強いね」
「強くて弱くていいやつだよ」
「はんちゃんはお兄ちゃん好き?」
「気持ち悪い言い方するなよw
でもまあ、好きだな。
あいつじゃなきゃ今こうして一緒に店やってないよ」
「私より好きなの?」
公佳が拗ねる。
「そういう意味じゃないって!」
「浮気だ」
「そうじゃねえ!」
「それなら公佳さんが好きなんですか?」
拓海が突っ込む。
「そうだよ、好きだよ!」
「ひゅ──っ!」
拓海がおどける。
「お前、何言わせるんだよ!」
「たまには言って欲しいですよね?公佳さん」
「拓海くんは女心がわかってて偉い!」
「いいなあ、惚気いいなあ」
陽南が羨ましがる。
「いつもいちゃついてるくせにまだ惚気たいのか?」
「うん!」
「うっわ…若いって怖い…」
「ねえねえ、はんちゃん、公佳さん」
「なあに?」
「なんだよ」
「お願いがあるんだけど…」
「金ならないぞ」
「そうねw」
「あのね、壮祐くんが仙台に行く前に一日デートするの」
「惚気てるし」
「違うの!あのね…あのね…」
「煮え切らねえな、はっきり言え」
「言わなくていいわよ、陽南ちゃん」
「え?」
「うちに泊まりに来ることにしようか」
公佳が微笑む。
「なんでわかるの?」
「私にもそういう時代がありました」
公佳が悪戯っぽく笑う。
「え?どういうこと?」
「輝くん、鈍いわね」
「どういうことですか?」
「拓海くんもわからないの?もう!
さっき褒めたのに」
「なによ?」
「お泊まりの口実!」
「あ…」
「なるほど…」
「公佳さん、めちゃくちゃ恥ずかしい…」
「そりゃあモゴモゴになるなあw」
はんちゃんが揶揄う。
「遠距離になっちゃうもんね、なかなか会えなくなっちゃうしね」
拓海が理解を示す。
「そういうことにしましょ、ね?」
「公佳さん、ありがとう」
「ふふっ」
「ところで公佳?」
「ん?」
「『私にもそういう時代がありました』ってどういうこと?大学ん時、一人暮らしだったよな?」
「え?知らない」
「とぼけんな!いつの話だよ!」
「知らなーい」
「おい!」
「知らなーい」
こっちはこっちで賑やかでやかましく、
その中でも動じず、すやすや眠る凛ちゃんが逞しかった。
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