レンガの家

秋臣

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「こんばんは、お邪魔します…」
「陽南、誰もいないよw」
「あ、そっか。でも人様のお家だから」
「どうぞ」
「お邪魔します」

もうすっかり夜になっていた。
夕食は東京駅近くで済ませてきた。

「俺の部屋行く?」
「うん…」
俺の部屋に連れて行く。
「あは!壮祐くんの部屋に来たって感じがする」
「どういう意味?」
「壮祐くんの匂いがするから」

ぐいっと陽南を抱き寄せる。
「陽南が来てくれて嬉しい」
「うん…」
「今日一日、ずっと我慢してた」
「え?」
「ずっと陽南にキスしたかった」
「そんなこと考えてたの?ちゃんとデート楽しんでよ」
「もっと楽しませたい…」
「やだ…」
陽南が離れる。

ダメ、離さない。
陽南をギュッと抱きしめる。
「壮祐くん、苦しいよ…」
「ねえ、陽南、聞いてくれる?」
「なに?」
陽南をそっとベッドに座らせる。
「陽南に話しておきたいことがある」
「…なに?嫌なこと?」
陽南の表情が曇る。
「大学のこと」
「大学?」
「陽南は志望校決めた?」
「うん。私、グランドスタッフになりたいの」
「空港の?」
「そう」
「初めて聞いた」
「初めて言ったw口に出したら後戻りできない気がして、ちょっと怖かった」
「そっか、そうだよな」
「とにかく英語できないと話にならないから英語頑張らないと」
「CAじゃないんだね」
「うん。人が出発する所と帰ってくる所でお手伝いしたい。行ってらっしゃいって送り出したい、お帰りなさいって迎えたい」
「それじゃ東京の大学?」
「うん」

陽南の手を握る。
「壮祐くんは違うの?」
「俺、仙台の大学に行きたいんだ」
「え…」
「受かればの話だけど」
「なんでそんな遠い所なの…」
「新しい素材とか材料を生み出す研究をしたい」
「材料?」
「そう、材料工学っていうんだ」
「そこの大学じゃないとダメなの?東京じゃダメなの?」
「できないことはないよ、ただ仙台の大学がその世界では研究が盛んで有名なんだ」
「離れちゃうの?」
「できれば行きたい」
「やだ…」
陽南が涙をポロポロこぼす。

「そろそろ本腰入れないとダメかなって思うから5月いっぱいでバイト辞める予定なんだ」
「聞いてない…」
「この前店長に打診したばかりだから」
「……」
「俺、頑張りたいんだ」
「応援したいけど、離れるの嫌…」
「それは俺も同じだよ」
「私、どうしたらいい?」
「俺が合格したら、会いに来てくれる?」
「落ちちゃえ」
「こら、縁起でもないこと言うなw」
「だって…」
陽南が泣き止まない。

「俺は離れても大丈夫だと思ってる、
自信ある」
「私は怖い」
「陽南?」
「離れるの怖い」
「陽南?」
「壮祐くんがそばにいてくれないと息できない、頑張れない」
繋いだ手に陽南の涙が落ちる。

「俺を好きでいることは頑張れない?
陽南浮気しちゃうの?」
「浮気なんてしない!壮祐くんを好きでいることは頑張らなくてもできるけど、寂しいの嫌…壮祐くんがそばにいないのは嫌…」
「俺を信じて、俺は勉強しに行くんだよ?
新しい恋人を作りに行くんじゃないよ?
作るのは新しい材料だよ」

「ふっ…上手いこと言ったつもり?」
「我ながら上出来w」
「私のこと覚えていられる?忘れない?」
「うん、だから今のうちに陽南をいっぱい俺に覚えさせて」
「誘い方が下手w」
「うるさいな」

もう限界。

陽南にキスする。
「や…壮祐くん…」
苦しがって逃れようとする。
でも離さない。
「たくさん歩いたから汗かいてるし…シャワー浴びさせて…」
「そのままの陽南がいい」
「でも…や…」
陽南をベッドに寝かせる。
「陽南、大好き」
「うん…」
「言って?」
「好き…」
そう言ってくれる唇をまたキスで塞ぐ。
陽南の全部が欲しい。

「絶対会いに来て、会いに来てくれなかったら私が押しかける」
「俺が会いに行く、陽南と少しでも一緒にいたい」
ふっ
ふふっ
「受かったらの話な」
「落ちちゃえ」
「また言ったな」
もう喋らせない。

少し汗ばんでる素肌を合わせる。
陽南は挿れてもあまり感じないと言う。
挿れるときつくてそれが痛いと感じてしまうようだ。
初めてセックスした後、陽南は謝った。
「気持ちいい反応ができなくてごめんなさい」
と。
そんなこと謝るな、謝ることじゃない。
俺ががっついてしまうせいで陽南に痛い思いをさせてしまう。
つい興奮して無我夢中になってしまう俺が悪い。
他の部分ではちゃんと感じてくれてる。
大きくはないが形のいい胸はいつも反応いいし、体に触れると甘くなってしまう声を必死で我慢しているのが本当にかわいくて好きなんだ。

「私にも壮祐くんをいっぱい覚えさせたい」
そんなかわいいことを言って、今日はいつも我慢している声が時折漏れる。
堪らない…
ピクンと震える陽南の体が気持ちを昂らせる。

ゴムを着け、ゆっくり挿れていく。
陽南が、
「壮祐くん…」
と俺に縋る。
耳元で熱い息を吐く。
「あ…ダメ…あん…」
少し反応が違う。
「痛くない?」
「うん…痛くない…」
「動いていい?」
「多分、大丈夫…」
ゆっくりゆっくり動く。
陽南の中は熱くて柔らかくてそこにいるだけで蕩けそう。
ちょっと動くとイキそうになる。

「あ…壮祐くん、ああ…いやあ…」
腰を浮かせ、よがる陽南。
「気持ちいい?」
「あん…あ…ん…」
陽南がよがると中がギュッと締まる、
俺のを締め付けてくる。
気持ち良すぎて保たない…
大きく動く。
「あ…あ…んんっ…」
そんなかわいい声出さないで…無理…
「ごめん…もう無理…」
陽南の中で果てる。

「ごめん、早くてごめん」
「壮祐くん」
「ん?」
「…今日、痛くなかった」
「本当?」
「うん…」
陽南がギュッと抱きつく。
「…もっと壮祐くんを覚えさせて」
ヤバい…
このおねだりはヤバい…
「いいの?」
コクンと頷く陽南。

俺は止まれなかった。
陽南が愛おしくて、
陽南の全部を覚えておきたくて、
陽南に覚えていて欲しくて、
好きで好きで堪らないのをわかって欲しくて…
何度も二人で繋がった。

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