21 / 28
告白
しおりを挟む
ため息なんてついてたからか、終業時になると曇天から雨に変わり、本降りになっていた。駅まではそう遠くはないが走っても確実に濡れるくらいの雨だ。
傘もないし少し雨がおさまるまで待つしかないかなと外をぼんやり見ていたら、
「もし良かったら駅まで入って行きませんか?」と声をかけられた。
声の方を振り返ると山下さんだった。
「藤代さん傘ないみたいだったから…」と傘を差し出しながらいう。
いつ止むか分からない雨を待つのもどうしたものかと思っていたので、
「助かります」と山下さんの申し出に甘えることにした。
俺の方が背が高いので傘は俺が持ち、山下さんがなるべく濡れないようにする。
「すみません、少しだけ近づいてもいいですか?藤代さん、濡れちゃうので」と申し訳程度に近づく。
優しい子だな。
駅までは数分なのだがおかげでほぼ濡れずに済んだ。
「傘ありがとうございました、助かりました」と傘を手渡すと、少し迷って、でも意を決したように
「あの、お茶しませんか?」と山下さんが俺を見上げて言う。
そうだな、傘のお礼もしたいし。
「じゃあ、傘のお礼をさせてください」と近くのカフェに向かった。
1時間ほど山下さんとお茶している間に雨もだいぶ小降りになったようだ。
再度駅に向かい、改めて傘の礼を言って帰ろうとすると、袖を掴んで俺を引き留める。
「私、入社してからずっと藤代さんのことが好きです」と告げられた。
その必死に訴える姿はとてもかわいいなと思ったことは本音だ。でも……そう思いながら
そっと山下さんを包み込んだ。
俺ずるいかもしれない。
傘もないし少し雨がおさまるまで待つしかないかなと外をぼんやり見ていたら、
「もし良かったら駅まで入って行きませんか?」と声をかけられた。
声の方を振り返ると山下さんだった。
「藤代さん傘ないみたいだったから…」と傘を差し出しながらいう。
いつ止むか分からない雨を待つのもどうしたものかと思っていたので、
「助かります」と山下さんの申し出に甘えることにした。
俺の方が背が高いので傘は俺が持ち、山下さんがなるべく濡れないようにする。
「すみません、少しだけ近づいてもいいですか?藤代さん、濡れちゃうので」と申し訳程度に近づく。
優しい子だな。
駅までは数分なのだがおかげでほぼ濡れずに済んだ。
「傘ありがとうございました、助かりました」と傘を手渡すと、少し迷って、でも意を決したように
「あの、お茶しませんか?」と山下さんが俺を見上げて言う。
そうだな、傘のお礼もしたいし。
「じゃあ、傘のお礼をさせてください」と近くのカフェに向かった。
1時間ほど山下さんとお茶している間に雨もだいぶ小降りになったようだ。
再度駅に向かい、改めて傘の礼を言って帰ろうとすると、袖を掴んで俺を引き留める。
「私、入社してからずっと藤代さんのことが好きです」と告げられた。
その必死に訴える姿はとてもかわいいなと思ったことは本音だ。でも……そう思いながら
そっと山下さんを包み込んだ。
俺ずるいかもしれない。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
寮生活のイジメ【社会人版】
ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説
【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】
全四話
毎週日曜日の正午に一話ずつ公開
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
黄色い水仙を君に贈る
えんがわ
BL
──────────
「ねぇ、別れよっか……俺たち……。」
「ああ、そうだな」
「っ……ばいばい……」
俺は……ただっ……
「うわああああああああ!」
君に愛して欲しかっただけなのに……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる