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終章
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――後年スヘンデルの辺境部には二つの伝説が残った。
一つは『子どもを喰らう黒き魔女』の伝説。森の奥深くまで入らないようにと子を戒める親たちの口で語られたそれは、民俗学者ヴェーメル兄弟が編纂した『童話大全』に採られたことによりスヘンデル全土に知られる童話となった。
もう一つは『病の匂いを追う旅人』の伝説である。男女二人連れの旅人の関係は夫婦とも姉弟とも師弟とも、はたまた産神と死神の比喩であるとも言われ、実在すら判然としない。
ひとつ確かに言えることがあるとするなら、先述した『童話大全』の初版にのみ記載がある『イェルチェ』と『ブランカ』の名は、彼らの志に倣わんとする者によって設立された病院及び付属医学校の名として今も残るということだけである。
一つは『子どもを喰らう黒き魔女』の伝説。森の奥深くまで入らないようにと子を戒める親たちの口で語られたそれは、民俗学者ヴェーメル兄弟が編纂した『童話大全』に採られたことによりスヘンデル全土に知られる童話となった。
もう一つは『病の匂いを追う旅人』の伝説である。男女二人連れの旅人の関係は夫婦とも姉弟とも師弟とも、はたまた産神と死神の比喩であるとも言われ、実在すら判然としない。
ひとつ確かに言えることがあるとするなら、先述した『童話大全』の初版にのみ記載がある『イェルチェ』と『ブランカ』の名は、彼らの志に倣わんとする者によって設立された病院及び付属医学校の名として今も残るということだけである。
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