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彼女の2回目のプロポーズは
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「ひどすぎるわ! ありえない!」
クレアの話を聞き終えた妖艶な貴婦人は、護国卿への非難の声を上げた。彼女の体はわなわなと震え、それに合わせて彼女の華やかな赤銅色の髪も揺れる。どうやら相当怒っているようだ。
「しーっ。ルゼ姉様、大きな声を出すとリリが起きてしまうわ」
「ごめんなさい、ついうっかり」
クレアが窘めると、『ルゼ姉様』ことルゼ・アレット・フーベルマンは素直に小声で詫びながら、部屋の長椅子でくうくうと寝息を立て始めたリリアンネに向けて気遣う視線を送った。
レディ・ルゼは気性こそ激しいが情に厚い女性だ。そんな彼女に泣きつきたいと思って悩みを打ち明けたのだが――外から見るとフレッドの行動は『ひどすぎる』ものなのだろうか。
クレアは浮かない顔のままで首を傾げた。
今日、クレアはリーフェフット邸を訪ねていた。
リリアンネ誘拐未遂事件の後にエフェリーネから届いた手紙には、自分の事情に巻き込んだことへの詫びと、娘を守ったことへの礼、それから『しばらく会えない』という旨が書かれていた。
怖い目に遭ったリリアンネは、外出することも両親から離れることも怖がるようになってしまった。『今は娘についていたいから直接出向いて謝ることも淑女教育もできなくて申し訳ない』と知らされれば、それは仕方ないがリリアンネは大丈夫なのかと別の心配が湧いてくる。
エフェリーネの友人であるルゼと一緒にリーフェフット邸を訪ねる予定を立てた時には、まさかクレアまで心配事を持ち込む側になるとは夢にも思わなかった。
「私が悪いんです。フレッドに心配以外の気持ちがないの、ちゃんと考えたら分かったのに。私、一緒にいられるのが嬉しくて、ずっとこのまま私につきっきりでいてくれればいいって思って……」
「それの何が悪いの?」
「えっ?」
フレッドが悪く言われたような気がして弁解すると、ルゼは猫のような大きな瞳をぱちくりと瞬かせた。
「夫婦なのに。一緒にいたい、彼の一番になりたい、って思うことがどうして悪いの?」
政略結婚なのに自然に相手に恋をしたということは、むしろ歓迎すべき素敵なことではないのか。
ルゼの言葉を聞いて、クレアは言葉に詰まった。――そう言われるとそうかもしれない。では、自分は何が引っかかったのだろう。
「私のために時間を割いたら、そのぶんフレッドの仕事にも迷惑がかかるから」
「そんなの知らないわ、スケジュールの調整も彼の仕事のうちよ。あなたは自分の希望を伝えただけ。無理だったら彼が断るでしょう」
「え……」
それもまた一般論としては正しいが、彼女が言うと洒落にならない。ルゼは、彼女の歓心を買うためなら家宝や親の形見でも差し出す者がいそうなほど妖艶な美女だからだ。世が世なら『欲しいとねだったらくれたから』という理由で国の一つでも手に入れて『傾国の美女』と呼ばれていたかもしれない。
だが、残念なことにクレアは微笑みひとつで自分の望み通りに他人を動かせるような美女ではないのだ。それどころか『女』ですらないのかもしれない。
「で、でもっ! フレッドは私のことをまだまだ子どもだって言ってて、なのに私っ、子どもなのに、フレッドのこと好きになっちゃった……っ」
『年頃になった王女は子を産まねばならない』とか『政略結婚なのに恋が芽生えてよかった』とか、そんな『常識』や『一般論』をどれだけ並べてみたところで意味が無い。
「フレッドは、子どもに恋なんかしないのにっ!」
――フレッドは、クレアのことを絶対に好きにならない。
問題は、ただその一点に尽きるのだ。
フレッドの『子ども好き』とは性的な意味ではなく、むしろその対極にある庇護欲のことを言うのだと、あれだけ気の無いそぶりをされれば嫌でも伝わる。
「こんなにも可愛らしいレディの恋心を蔑ろにする鈍感男なんて捨ててしまえば、と言いたいところだけれど――あなたは彼じゃないとダメなのね」
うんうん、と腕組みをして頷いたルゼは、とっておきの秘策を授けるように言う。いかにも恋愛の達人然とした彼女のアドバイスなら、とクレアの期待は高まった。
「これは、わたくしが夫に仕掛けて返り討ち……ごほんっ、大いに二人で盛り上がった方法なのだけれど」
「おお」
「ここは直球勝負よ、護国卿を押し倒してしまえば――!」
「今すぐ攻めるのは悪手だと思うわ」
冷静な声が割って入った。
母から離れようとしないリリアンネを長椅子で寝かしつけていたエフェリーネは、クレアの話にも意識を割いていたらしい。
「どういう意味? エフィ、護国卿の味方をする気なの?」
「まさか」
恩があるから幸せになってほしいとは思うけれど。
エフェリーネは呟くと、クレアに向き直った。
「クレア。あなたと彼は二年も前から夫婦だし、あなたはこれからもっと大人になる。大人になれば、あなたたちに子を儲けるよう求める……強いる声は増えるでしょう。焦らなくても、その声の後押しを待って本当の夫婦になるという考えもあるわ」
確かにそれは常識的で堅実な安全策に聞こえる。
だが、クレアには懸念があった。――常識人ではないフレッドにそんな策が通用するのか?
「大人になる、って、いつ? 私はいつまで待てば……っ!? それに、フレッドは周りの言うことを素直に聞くかしら」
「まず聞かないでしょうね。彼のことだから、何年、何十年経とうが何かと理由をつけて躱すかもしれない」
「そんなっ!」
「だから、彼自身に心から『参りました、クレアは大人です』って認めさせないと意味が無いのよ」
「そんなのどうやって……?」
「やっぱり押し倒す?」
眉を下げたクレアとルゼが顔を見合わせるのを見て、エフェリーネは美しく微笑んだ。
「いいえ。警戒心が強いウサギはすぐに巣穴に隠れてしまうの。狩るなら、気づかれないようにじわじわと追い込んで、一撃で仕留めないと」
今って狩りの話をしていたかしら、という指摘を許さないほどの凄みを添えて。
☆
「フレッド。この間は泣いて困らせてごめんなさい」
その夜、帰宅したクレアが切り出すと、フレッドはほっとした顔をした。あれからぎこちないやりとりしか出来ていないことを彼も気にしていたのだろう。
「あらたまってどうしたの。この間も言ったけど君は悪くない」
「いいえ。私もよく考えて気づいたの。たぶん気づかないうちに、あなたのことを気遣えるくらい、私の心は元気になっていたのよ。だから、家で仕事をするのは終わりにしてほしいの」
「え……?」
「出勤した方があなたの仕事は捗るでしょう?」
「微々たる差だよ。君はそんなこと気にしなくていいって」
「少しでも差があるなら、『護国卿』は最善を尽くすべきだわ。……私、脇目も振らず仕事をしているあなたが好き。そのあなたの足を私が引っ張っているなんて耐えられない」
彼の真剣な顔が好き。それは確かに嘘ではないけれど、仕事になんて構わずにいつまでも自分の傍にいてほしいのも本当だ。
だからクレアの言葉は自然と、皮肉というには毒が無く、全てが本心というには寂しげなものになった。
「もちろんとても寂しいけれど、頑張って我慢するから」
これまでに培った全ての知識と技能を投じて演じろ。
健気に彼のことを想う――彼の罪悪感を煽る少女を。
狙い通り、フレッドはわずかに眉根を寄せた。
「言葉にされると、我ながら本当にクズ野郎だな。そんな男のことが好き? ああ、『仕事人として憧れる』とかだよね……?」
「『好き』には『好き』以外の意味があるの?」
「無いと思うよ」
即座にごまかすフレッドは、やはりクレアが自分に恋心を向けることを望んでいないのだろう。
そんなことは分かっている。問いつめれば彼の警戒が強まって今後に支障をきたすことも分かるから、深追いはしないでおこう。彼に真正面から突きつけるのは『今』じゃない。
「でも、夜は怖い夢を見るから……一緒に寝て?」
「今まで通りってことだよね? もちろんいいけど」
「本当? 嬉しい!」
「おっと」
クレアはフレッドに抱きついた。
無邪気を装ったのもあるけれど、本心から嬉しかった。罪悪感を煽られて負い目を感じた彼はきっと、クレアの懇願を無下にはできないだろう。
彼が『可哀想な子ども』しか傍に寄せないというのなら、その特権を手放す気はない。至近距離からじわじわと彼の心の中まで攻め入るだけだ。
「私がいつ魘されて飛び起きてもいいように、これから先も――ずっとね」
今に見ていて、旦那さま。
必ずあなたを仕留めてみせるから。
クレアは、決意と欲をひた隠した愛らしい笑みを浮かべてみせた。
クレアの話を聞き終えた妖艶な貴婦人は、護国卿への非難の声を上げた。彼女の体はわなわなと震え、それに合わせて彼女の華やかな赤銅色の髪も揺れる。どうやら相当怒っているようだ。
「しーっ。ルゼ姉様、大きな声を出すとリリが起きてしまうわ」
「ごめんなさい、ついうっかり」
クレアが窘めると、『ルゼ姉様』ことルゼ・アレット・フーベルマンは素直に小声で詫びながら、部屋の長椅子でくうくうと寝息を立て始めたリリアンネに向けて気遣う視線を送った。
レディ・ルゼは気性こそ激しいが情に厚い女性だ。そんな彼女に泣きつきたいと思って悩みを打ち明けたのだが――外から見るとフレッドの行動は『ひどすぎる』ものなのだろうか。
クレアは浮かない顔のままで首を傾げた。
今日、クレアはリーフェフット邸を訪ねていた。
リリアンネ誘拐未遂事件の後にエフェリーネから届いた手紙には、自分の事情に巻き込んだことへの詫びと、娘を守ったことへの礼、それから『しばらく会えない』という旨が書かれていた。
怖い目に遭ったリリアンネは、外出することも両親から離れることも怖がるようになってしまった。『今は娘についていたいから直接出向いて謝ることも淑女教育もできなくて申し訳ない』と知らされれば、それは仕方ないがリリアンネは大丈夫なのかと別の心配が湧いてくる。
エフェリーネの友人であるルゼと一緒にリーフェフット邸を訪ねる予定を立てた時には、まさかクレアまで心配事を持ち込む側になるとは夢にも思わなかった。
「私が悪いんです。フレッドに心配以外の気持ちがないの、ちゃんと考えたら分かったのに。私、一緒にいられるのが嬉しくて、ずっとこのまま私につきっきりでいてくれればいいって思って……」
「それの何が悪いの?」
「えっ?」
フレッドが悪く言われたような気がして弁解すると、ルゼは猫のような大きな瞳をぱちくりと瞬かせた。
「夫婦なのに。一緒にいたい、彼の一番になりたい、って思うことがどうして悪いの?」
政略結婚なのに自然に相手に恋をしたということは、むしろ歓迎すべき素敵なことではないのか。
ルゼの言葉を聞いて、クレアは言葉に詰まった。――そう言われるとそうかもしれない。では、自分は何が引っかかったのだろう。
「私のために時間を割いたら、そのぶんフレッドの仕事にも迷惑がかかるから」
「そんなの知らないわ、スケジュールの調整も彼の仕事のうちよ。あなたは自分の希望を伝えただけ。無理だったら彼が断るでしょう」
「え……」
それもまた一般論としては正しいが、彼女が言うと洒落にならない。ルゼは、彼女の歓心を買うためなら家宝や親の形見でも差し出す者がいそうなほど妖艶な美女だからだ。世が世なら『欲しいとねだったらくれたから』という理由で国の一つでも手に入れて『傾国の美女』と呼ばれていたかもしれない。
だが、残念なことにクレアは微笑みひとつで自分の望み通りに他人を動かせるような美女ではないのだ。それどころか『女』ですらないのかもしれない。
「で、でもっ! フレッドは私のことをまだまだ子どもだって言ってて、なのに私っ、子どもなのに、フレッドのこと好きになっちゃった……っ」
『年頃になった王女は子を産まねばならない』とか『政略結婚なのに恋が芽生えてよかった』とか、そんな『常識』や『一般論』をどれだけ並べてみたところで意味が無い。
「フレッドは、子どもに恋なんかしないのにっ!」
――フレッドは、クレアのことを絶対に好きにならない。
問題は、ただその一点に尽きるのだ。
フレッドの『子ども好き』とは性的な意味ではなく、むしろその対極にある庇護欲のことを言うのだと、あれだけ気の無いそぶりをされれば嫌でも伝わる。
「こんなにも可愛らしいレディの恋心を蔑ろにする鈍感男なんて捨ててしまえば、と言いたいところだけれど――あなたは彼じゃないとダメなのね」
うんうん、と腕組みをして頷いたルゼは、とっておきの秘策を授けるように言う。いかにも恋愛の達人然とした彼女のアドバイスなら、とクレアの期待は高まった。
「これは、わたくしが夫に仕掛けて返り討ち……ごほんっ、大いに二人で盛り上がった方法なのだけれど」
「おお」
「ここは直球勝負よ、護国卿を押し倒してしまえば――!」
「今すぐ攻めるのは悪手だと思うわ」
冷静な声が割って入った。
母から離れようとしないリリアンネを長椅子で寝かしつけていたエフェリーネは、クレアの話にも意識を割いていたらしい。
「どういう意味? エフィ、護国卿の味方をする気なの?」
「まさか」
恩があるから幸せになってほしいとは思うけれど。
エフェリーネは呟くと、クレアに向き直った。
「クレア。あなたと彼は二年も前から夫婦だし、あなたはこれからもっと大人になる。大人になれば、あなたたちに子を儲けるよう求める……強いる声は増えるでしょう。焦らなくても、その声の後押しを待って本当の夫婦になるという考えもあるわ」
確かにそれは常識的で堅実な安全策に聞こえる。
だが、クレアには懸念があった。――常識人ではないフレッドにそんな策が通用するのか?
「大人になる、って、いつ? 私はいつまで待てば……っ!? それに、フレッドは周りの言うことを素直に聞くかしら」
「まず聞かないでしょうね。彼のことだから、何年、何十年経とうが何かと理由をつけて躱すかもしれない」
「そんなっ!」
「だから、彼自身に心から『参りました、クレアは大人です』って認めさせないと意味が無いのよ」
「そんなのどうやって……?」
「やっぱり押し倒す?」
眉を下げたクレアとルゼが顔を見合わせるのを見て、エフェリーネは美しく微笑んだ。
「いいえ。警戒心が強いウサギはすぐに巣穴に隠れてしまうの。狩るなら、気づかれないようにじわじわと追い込んで、一撃で仕留めないと」
今って狩りの話をしていたかしら、という指摘を許さないほどの凄みを添えて。
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「フレッド。この間は泣いて困らせてごめんなさい」
その夜、帰宅したクレアが切り出すと、フレッドはほっとした顔をした。あれからぎこちないやりとりしか出来ていないことを彼も気にしていたのだろう。
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「いいえ。私もよく考えて気づいたの。たぶん気づかないうちに、あなたのことを気遣えるくらい、私の心は元気になっていたのよ。だから、家で仕事をするのは終わりにしてほしいの」
「え……?」
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「少しでも差があるなら、『護国卿』は最善を尽くすべきだわ。……私、脇目も振らず仕事をしているあなたが好き。そのあなたの足を私が引っ張っているなんて耐えられない」
彼の真剣な顔が好き。それは確かに嘘ではないけれど、仕事になんて構わずにいつまでも自分の傍にいてほしいのも本当だ。
だからクレアの言葉は自然と、皮肉というには毒が無く、全てが本心というには寂しげなものになった。
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狙い通り、フレッドはわずかに眉根を寄せた。
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「『好き』には『好き』以外の意味があるの?」
「無いと思うよ」
即座にごまかすフレッドは、やはりクレアが自分に恋心を向けることを望んでいないのだろう。
そんなことは分かっている。問いつめれば彼の警戒が強まって今後に支障をきたすことも分かるから、深追いはしないでおこう。彼に真正面から突きつけるのは『今』じゃない。
「でも、夜は怖い夢を見るから……一緒に寝て?」
「今まで通りってことだよね? もちろんいいけど」
「本当? 嬉しい!」
「おっと」
クレアはフレッドに抱きついた。
無邪気を装ったのもあるけれど、本心から嬉しかった。罪悪感を煽られて負い目を感じた彼はきっと、クレアの懇願を無下にはできないだろう。
彼が『可哀想な子ども』しか傍に寄せないというのなら、その特権を手放す気はない。至近距離からじわじわと彼の心の中まで攻め入るだけだ。
「私がいつ魘されて飛び起きてもいいように、これから先も――ずっとね」
今に見ていて、旦那さま。
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