7 / 11
第一章
第6話
しおりを挟む
「なぁ、聞いてる?俺結構お前のこと心配してんだけど」
まずい。篠原の変貌ぶりに驚いて全く聞いてなかった。
「…え、えっと…あの、僕…」
「僕…なに?早く話してほしいんだけど」
苛ついているのだろうか、こめかみの血管が浮き上がっていて、いつものおおらかな笑顔はない。
…馬鹿正直に聞いてなかったなんて言ったら怒るだろうか。そもそも何で篠原にそんなこと言われないといけないんだ。きっと、仲間内でバカにするんだろ。怒りが湧き上がってきた。こういう人種はいつも、僕の話なんて聞かないでこうやって理不尽な理由をつけて怒りをぶつけてくる。いわゆるサンドバックなのだ。篠原はそういう奴らとは違うのかもしれない、数秒でもそう思ったことがある自分が憎たらしかった。
すぐにでも言い返したかった。「なんでそんなの話さなきゃいけないんだ」そう言えたら良かったのに。水谷のことや元々の自分のコミュ障も相まって、何も言えなかった。適当な理由をつけて早く終わらそう…
「えっと……朝、起きたら…体調、がその悪くて、」
遅刻した理由なんてこんなもんだろう。こんなこと聞いて、本当に何がしたいんだ。重苦しい雰囲気に耐えられず、恐る恐る篠原の顔色を伺うと…良かった、笑顔だ。
「くそ、くそっ!くそ!!くそ!!!」
何が起きたのか分からなかった。いきなり篠原が叫びながら僕の横の壁を何回も、何回も殴っているのだ。その様子に呆然としていると硬いコンクリートの壁を殴り続けている篠原の拳がいつのまにか血が滲んでいた。
「嘘ついてんじゃねぇよ!!なぁ、俺さ見たんだよ。内山が淳と学校遅刻してきたの。」
「……」
「内山、淳みたいなタイプ嫌いだろ?なんで一緒にいたんだよ。お前女好きなんじゃないのかよ。人の心弄んで楽しかったかよ!」
何も話してないのに黙々と意味がわからないことを話し続ける篠原が怖い。この場から逃げ出したいのに恐怖心で足がすくむ。
「そんなに俺のこと苦手だった?ほんと…全部無駄だったんだな」
僕を逃さないためかいつのまに目の前に来ていた篠原に壁に押し付けられていた。悪寒が、震えが止まらない。
さっき水谷のことを淳と呼んでいたし仲が良いのだろうか。もしかして、僕の貞操を奪って2人で面白がっていたのかそんなことも考えたが今の篠原の様子を見てグルとは思えなかった。
「なんで何も喋んないんだよ…嫌いになった?」
篠原の、顔が俺の顔に近づく。
あ、これ駄目だ。瞬時にそう思った。水谷との情事を思い出してしまう、あの熱を、あの快感を、あの地獄を。耐えようと思ったが無理だった。胃の底から這い上がってくる重い感覚に襲われた。昨日から何も食べていなかったせいか、せり上がってきたのは胃液のようなものだけだった。しばらくその場で立ち尽くす。手が震え、息が乱れる。騒ぎを聞きつけたのか同学年の生徒が俺たちの周りに集まっていた。
________ 終わりだ。見られた。陰口、いじめ、嫌なワードがどんどん頭の中に現れては消えていく。なんで俺はこんな目に。いつも、なんで。駆けつけた他クラスの先生や担任に連れられる。
後ろを振り返った時、篠原と目が合った気がした。
まずい。篠原の変貌ぶりに驚いて全く聞いてなかった。
「…え、えっと…あの、僕…」
「僕…なに?早く話してほしいんだけど」
苛ついているのだろうか、こめかみの血管が浮き上がっていて、いつものおおらかな笑顔はない。
…馬鹿正直に聞いてなかったなんて言ったら怒るだろうか。そもそも何で篠原にそんなこと言われないといけないんだ。きっと、仲間内でバカにするんだろ。怒りが湧き上がってきた。こういう人種はいつも、僕の話なんて聞かないでこうやって理不尽な理由をつけて怒りをぶつけてくる。いわゆるサンドバックなのだ。篠原はそういう奴らとは違うのかもしれない、数秒でもそう思ったことがある自分が憎たらしかった。
すぐにでも言い返したかった。「なんでそんなの話さなきゃいけないんだ」そう言えたら良かったのに。水谷のことや元々の自分のコミュ障も相まって、何も言えなかった。適当な理由をつけて早く終わらそう…
「えっと……朝、起きたら…体調、がその悪くて、」
遅刻した理由なんてこんなもんだろう。こんなこと聞いて、本当に何がしたいんだ。重苦しい雰囲気に耐えられず、恐る恐る篠原の顔色を伺うと…良かった、笑顔だ。
「くそ、くそっ!くそ!!くそ!!!」
何が起きたのか分からなかった。いきなり篠原が叫びながら僕の横の壁を何回も、何回も殴っているのだ。その様子に呆然としていると硬いコンクリートの壁を殴り続けている篠原の拳がいつのまにか血が滲んでいた。
「嘘ついてんじゃねぇよ!!なぁ、俺さ見たんだよ。内山が淳と学校遅刻してきたの。」
「……」
「内山、淳みたいなタイプ嫌いだろ?なんで一緒にいたんだよ。お前女好きなんじゃないのかよ。人の心弄んで楽しかったかよ!」
何も話してないのに黙々と意味がわからないことを話し続ける篠原が怖い。この場から逃げ出したいのに恐怖心で足がすくむ。
「そんなに俺のこと苦手だった?ほんと…全部無駄だったんだな」
僕を逃さないためかいつのまに目の前に来ていた篠原に壁に押し付けられていた。悪寒が、震えが止まらない。
さっき水谷のことを淳と呼んでいたし仲が良いのだろうか。もしかして、僕の貞操を奪って2人で面白がっていたのかそんなことも考えたが今の篠原の様子を見てグルとは思えなかった。
「なんで何も喋んないんだよ…嫌いになった?」
篠原の、顔が俺の顔に近づく。
あ、これ駄目だ。瞬時にそう思った。水谷との情事を思い出してしまう、あの熱を、あの快感を、あの地獄を。耐えようと思ったが無理だった。胃の底から這い上がってくる重い感覚に襲われた。昨日から何も食べていなかったせいか、せり上がってきたのは胃液のようなものだけだった。しばらくその場で立ち尽くす。手が震え、息が乱れる。騒ぎを聞きつけたのか同学年の生徒が俺たちの周りに集まっていた。
________ 終わりだ。見られた。陰口、いじめ、嫌なワードがどんどん頭の中に現れては消えていく。なんで俺はこんな目に。いつも、なんで。駆けつけた他クラスの先生や担任に連れられる。
後ろを振り返った時、篠原と目が合った気がした。
10
あなたにおすすめの小説
執着男に勤務先を特定された上に、なんなら後輩として入社して来られちゃった
パイ生地製作委員会
BL
【登場人物】
陰原 月夜(カゲハラ ツキヤ):受け
社会人として気丈に頑張っているが、恋愛面に関しては後ろ暗い過去を持つ。晴陽とは過去に高校で出会い、恋に落ちて付き合っていた。しかし、晴陽からの度重なる縛り付けが苦しくなり、大学入学を機に逃げ、遠距離を理由に自然消滅で晴陽と別れた。
太陽 晴陽(タイヨウ ハルヒ):攻め
明るく元気な性格で、周囲からの人気が高い。しかしその実、月夜との関係を大切にするあまり、執着してしまう面もある。大学卒業後、月夜と同じ会社に入社した。
【あらすじ】
晴陽と月夜は、高校時代に出会い、互いに深い愛情を育んだ。しかし、海が大学進学のため遠くに引っ越すことになり、二人の間には別れが訪れた。遠距離恋愛は困難を伴い、やがて二人は別れることを決断した。
それから数年後、月夜は大学を卒業し、有名企業に就職した。ある日、偶然の再会があった。晴陽が新入社員として月夜の勤務先を訪れ、再び二人の心は交わる。時間が経ち、お互いが成長し変わったことを認識しながらも、彼らの愛は再燃する。しかし、遠距離恋愛の過去の痛みが未だに彼らの心に影を落としていた。
更新報告用のX(Twitter)をフォローすると作品更新に早く気づけて便利です
X(旧Twitter): https://twitter.com/piedough_bl
制作秘話ブログ: https://piedough.fanbox.cc/
メッセージもらえると泣いて喜びます:https://marshmallow-qa.com/8wk9xo87onpix02?t=dlOeZc&utm_medium=url_text&utm_source=promotion
ヤリチン伯爵令息は年下わんこに囚われ首輪をつけられる
桃瀬さら
BL
「僕のモノになってください」
首輪を持った少年はレオンに首輪をつけた。
レオンは人に誇れるような人生を送ってはこなかった。だからといって、誰かに狙われるようないわれもない。
ストーカーに悩まされていたレある日、ローブを着た不審な人物に出会う。
逃げるローブの人物を追いかけていると、レオンは気絶させられ誘拐されてしまう。
マルセルと名乗った少年はレオンを閉じ込め、痛めつけるでもなくただ日々を過ごすだけ。
そんな毎日にいつしかレオンは安らぎを覚え、純粋なマルセルに毒されていく。
近づいては離れる猫のようなマルセル×囚われるレオン
普通の男の子がヤンデレや変態に愛されるだけの短編集、はじめました。
山田ハメ太郎
BL
タイトル通りです。
お話ごとに章分けしており、ひとつの章が大体1万文字以下のショート詰め合わせです。
サクッと読めますので、お好きなお話からどうぞ。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
お兄ちゃんができた!!
くものらくえん
BL
ある日お兄ちゃんができた悠は、そのかっこよさに胸を撃ち抜かれた。
お兄ちゃんは律といい、悠を過剰にかわいがる。
「悠くんはえらい子だね。」
「よしよ〜し。悠くん、いい子いい子♡」
「ふふ、かわいいね。」
律のお兄ちゃんな甘さに逃げたり、逃げられなかったりするあまあま義兄弟ラブコメ♡
「お兄ちゃん以外、見ないでね…♡」
ヤンデレ一途兄 律×人見知り純粋弟 悠の純愛ヤンデレラブ。
魔王の息子を育てることになった俺の話
お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。
「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」
現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません?
魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL
BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。
BL大賞エントリー中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる