英雄の詩

銀河ミヤイ

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第一章「伝説の英雄」

第10話「密着!影野光輝の秘密24時!!(後編)」

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「どういう事か説明してケン、あの時……どうして私を置いて行ったの??」


 自身が三年前に名付けたあだ名を使ってアリスは、光輝に詰め寄る。二年前に起こった真相をどうしても知りたかったのだ。


「アリス……」


少し戸惑いを隠しながらも光輝は、彼女の名を呟いた。昔から呼んでいた名前だが、ケンと光輝は改めて違うのだと思わされた瞬間だった。


「ねぇ、教えてよ!……どうして?」

「それは……」


中々口に出せない光輝に対してアリスは、彼の頬を思いっきり叩いた。


「ケンは、私の英雄ヒーローだけど……光輝は違う!!」


そう言い残してアリスは勢いよく家を出て行った。騒ぎを駆けつけた玉宮姉妹は、状況が把握出来ずにいた。それは晴香も同じである。
 数時間後、光輝は落ち着いて過去のことを話した。勿論、それは国をも騒がすことになりかねないので記事にしないという条件付きだ。
果穂の事から始まり、アリスとの出会い、そして彼女を置いてサターン帝国に向かったこと……魔王軍との最終決戦のこと……隅々まで覚えてることをすべて話した。


「__じゃあ、君があの英雄なの?」

「はい、国王陛下にお願いして嘘の英雄をお願いしたんです。」


王子であるオルティメス・バルグーンが偽りの英雄になってくれた事で影野家にも静かな平和が取り戻された。


「兄さん、やっぱりバレてしまいましたね……」


リビングに場所を変えた光輝達は、深刻な顔をして本題に移った。玉宮姉妹は、「だからあの強さなのか」とすぐ納得してくれたが……魔王軍との戦争時一番多く光輝と共に過ごしていたアリスにとって受け入れられない事実だろう……。それに、アリスは一旦魔王軍の捕虜になりかけている。残党が彼女を捉えでもしたら……そう考えていた光輝は、いても居られなかった。


「とりあえず、アリスを探しに行こう!」


そう言って光輝は、アリスを探すために部屋を飛び出して行った。

















「勝手にキレて……馬鹿みたいに……」


 王都リンカーンへ向かうために庶民がよく利用する電車というのに乗ろうとして歩いていた。今、彼女の心は複雑だった。ケンが今も生きていることに少し嬉しかった。それは事実……、だが、光輝の隠そうとする態度がどうしても気に入らなかったのだ。


「彼にまだお礼すら言ってないのに……」


そう呟きながらアリスは、歩いていると前に立っている大柄の男にぶつかってしまった。


「あ、ごめんなさい……」

「おや?珍しいですね、こんな所に国王の娘がいるとはな……」


謝るもそんなことに気にせずに大柄の男は、そのままアリスの正体を小声で言い当てるとアリスの腹を不意打ちのように殴った。


「__うぅっ!!」


全身が痺れるように痛みが走ると殴られた場所を押さえながらアリスは、その場に倒れ込んだ。呼吸困難になると身動きが取れなくなった。


「フン、人間なんてこんなもんか……」


そう言うと大柄の男は、懐から取り出した首輪をアリスの首に無理矢理取り付けた。


「王女様は、Mなのかな~?束縛されたいらしい……」


次々と大柄な男達が集まってきたその数は10人……意識が遠のく中、アリスは、3年前の時を思い出した。まるで、魔王軍に連れていかれるようなそんな恐怖が彼女を襲う……。


__助けて……ケン……


最後にそう思うと彼女は意識を失ってしまった……























 光輝は、息を切らしながら既に街の中を6周していたが、アリスの行方不明のままだった。流石に限界を感じると瞬間移動テレポートを使い一旦自分の部屋へと戻ってきた。


「兄さん、王女様は?」

「いや、まだだ!晴香、を使うから少し離れてくれ。」


心配していた晴香にそう告げると光輝は、庭に移動すると魔法陣を3個作り始めた。


「これから何をするんですか?」


少し離れた場所から様子を見ていた玉宮姉妹は、これから何が起こるのか想像すらできなかった。香澄は、事情を知っている晴香に質問すると彼女の表情は、余裕の笑みが見られた。


「兄さんには、契約した使い魔が3体居ます。不死の鳥と呼ばれたフェニックス、天空の西方を守護する白虎、聖なる龍ドラゴンどれも神獣クラスの使い魔です。」


晴香の説明を聞くと二人は、言葉を失う程に驚いてしまった。使い魔を召喚するには大量の魔力を消費する中、光輝の力は、既に人並みを超えているとここで改めて理解したのだ。


「我が体内に眠る使い魔達よ、我が血を生贄に、今こそ、おおいなるねむりからめざめよ!」


呪文を詠唱すると右の親指を噛み、血を出すとそれぞれの魔法陣に垂らした。その血に反応するかのように魔法陣が眩い光放ち始めた。


「凄い光……」

「眩しすぎて直視できない……」


きよかと香澄がそれぞれ反応する中、三つの魔法陣から3体の影が現れた。


「いでよ!フェニックス、琥珀、ドラゴン!!」


光輝の声に反応するかのように影が晴れるとそこには、不死鳥フェニックスと天空の西方を守護する白虎、竜族の頂点に君臨する聖竜がそこにはいた。


「す、凄い……」

「神獣クラスが3体も居ると圧倒的ですね……」


姉妹揃ってリアクションしてる中、晴香は琥珀の所へ向かった。


「琥珀ちゃん、久しぶり!!」

「はい、晴香様。お久しぶりてす。」


琥珀は、昔使い魔にしようとした野蛮人たちの手によって瀕死になったところを光輝と晴香で助けたのがきっかけで光輝の使い魔になる決意をしたのだ。


「__で、親分……俺らを起こしたってことは魔王軍か?」


フェニックスが喋り始めると他の2体は表情をコロッとかえた。光輝は、黙ったままコクりと頷く。そして、懐から1枚の写真を取り出した。この前配られたクラス写真を提示するとアリスの場所をそっと指差した。


「今日は、まずアリスを探して欲しい。何か嫌な予感がするんだ。」


光輝は、そう言うと3体は、写真に顔を差し込んで成長したアリスの顔を見た。


「アリス様、だいぶお美しくなられて……。」

「確かにな……」

「分かりました、捜索はワシやフェニックスにお任せ下さい!」


そう言うとフェニックスとドラゴンは、大きな翼を羽ばたかせて庭から飛び去って行った。


「琥珀は、俺と一緒に地上だ!」

「はい!!」


そう言うと光輝は、コネクトを使い魔法陣を別の場所と繋げて金色に光る聖剣エクスカリバーを取り出して背中に背負うと右手を顔の前に持ってくると、そこで気を集中し始めた。黒色の気が集まるとそこで光輝の顔を覆うくらいの大きさの仮面を形成させた。


「晴香、行ってくる。」


白色をベースに黒い模様が入った仮面を着けた光輝が晴香にそう言い残してから琥珀を連れて再び街へ出た。























 数分後、琥珀を連れて走っているとフェニックスから念が光輝の元に送られてきた。


__アリスが大柄の男達によって拘束されている。



それを知った光輝は、琥珀と一緒に言われた場所へと向かった。そこへは3分くらいで着けたがアリスの姿は既になかった。光輝より少し遅れてからフェニックスやドラゴンが着いた。


「フェニックス、ここで合ってるのか?」


場所は、ヒューマロイドの中心部から少し外れたニュウジャーシティという小さな地区。王都へ繋がる電車通称国鉄が通っているヒューマロイド駅を通るにはこの地区を抜けなければならないのだが、あまりの人の居なさに焦りを感じた光輝は、再び辺りを見回してながらフェニックスに質問する。


「あぁ、少なくとも近くの建物に入るの見た。それに周りわ見回したが誰もいない。つまり、敵は大きいだけの男10人だけだ。」


フェニックスにそう言われると気合いを入れ直した光輝は、フェニックスとドラゴンを見た。久しぶりのこっちに召喚したのにこんな事になってしまって半分申し訳なく思っているが、そうも言ってられない光輝は、アリスを見つけ出すと決意した。


「__みんな、何としてもアリスを見つけて助け出す!……行くぞ!!」


光輝は、そう言うとフェニックスやドラゴンと別れて再びアリスを探しに琥珀と共に駆け出した。
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