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驚愕の再会!
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裸同然の藤嶋奈緒子と頭を矢で射抜かれて死んでいる森山慎二の2人の姿に混乱している長谷部亮太達は、
「よう! 久しぶりだな!」
「あら。皆んな無事だったのね」
という聞き覚えのある声が森の中からきこえたので振り向くと、
「『快斗!? 莉央!?』」
現れたのは會澤快斗と宮間莉央の2人だった。
「お前ら生きてたのか!?」
「今まで何処にいたのよ!?」
快斗と莉央はマントの下にベスト(防弾ベスト?)みたいな物を着けていて、弓矢と槍で武装していた。腰には鞘に入った刃渡り40cmくらいのナイフ(マチェット=山刀?)をベルトに吊るしていた。
「っていうか、その格好は…?」
「も、もしかして…こ、これ…?」
恐る恐る訊ねた斎藤沙織に、
「おう。俺が殺した」
快斗は挨拶するみたいな軽い感じで答えた。
まるで、これまでに何人も殺してきたかのようなあっさりした口調に、沙織は久々の再会を喜ぶ前にゾッとしてしまった。
「ちょっと快斗。アンタこの馬鹿の頭を射抜いてるわよ」
「え!? マジかよ? あ~あ…矢を1本ダメにしちまったか。勿体無い事しちまったなぁ」
引き抜いた鏃が微妙に潰れてしまっているのを見て、快斗はガックリと肩を落とした。
人を…それも友達を殺してしまった事よりも、1本の矢を使えなくしてしまった事のほうが大事みたいな口ぶりだ。
「やっぱり元が釘の鏃だと直ぐにダメになっちまうな」
「アンタが首を狙ってればダメにしなくて済んだのよ?」
「だってさぁ。奈緒子が危なかったんだぞ? お前だって焦って狙いが逸れたかもしれないだろう?」
「それは、まあ…確かに」
「もしも間に合わなかった時の事を考えたら、矢の1本や2本くらい安いもんだろ?」
「まあ、ね」
慎二の頭から引き抜いた矢の鏃を新しい鏃に交換した快斗は、矢筒に入れた。
「奈っちゃん。怖い思いしたね?」
「莉央ちゃん…かった…怖かったよー!」
身体にマントを巻かれた奈緒子は、莉央の胸に顔を埋めて泣き出した。
あまりの怖さに泣くこともできなかったのだろう。
そんな奈緒子の頭を「もう大丈夫だからね」と優しく撫でる莉央はさっきとはまるで別人みたいだ。
「か、快斗」
「なんだ? 亮太」
「お前…その…慎二を殺したんだよな?」
「あん? それがどうかしたか?」
快斗の顔には後悔とか何とかの一切の色は浮かんでなかった。寧ろ、「当たり前だろ」みたいな表情をしていた。
ゴクっと唾を飲んだ亮太は思い切って聞いた。
「お前ら…初めてじゃないみたいだな?」
「人を殺すのが、か?」
「ああ。何人殺したんだ?」
「何人? さて…1、2、3、4…20人から先は数えてないから、正確な数は分かんないな」
亮太は怖さのあまり、ブルブルっと震えた。
今、目の前にいるのは本当に自分の知っている快斗なのか分からなくなった。
ここにいる皆んなは幼稚園からの幼馴染みだったのに、慎二の奴は奈緒子をレイプしようとするし、快斗は快斗で慎二を殺した事をなんとも思っていないようだ。
もう何が何だか分からなくなってしまった亮太はプチパニックに陥ってしまったみたいだ。
快斗は莉央と唇の動きで話し合った。
「(家に連れてくか?)」
「(そうね。よく見ると、皆んな痩せちゃってるわね。あんまりご飯を食べてないまたいね)」
「(見捨てるのは気が引けるからな)」
「(じゃあ、連れていくしかないわね)」
頷き合った2人は、
「この森の中に俺達の家がある」
「皆んなお腹が減ってるんじゃない? 皆んなが食べる分くらいは沢山あるから一緒に来ない? 歓迎するわよ?」
【食べ物が沢山ある】
ここ何日もマトモに食べてなかった3人にとって、その言葉は甘くて魅惑的な魔法の言葉にしか聞こえなかった。
気付けば3人揃って頷いていた。
「よう! 久しぶりだな!」
「あら。皆んな無事だったのね」
という聞き覚えのある声が森の中からきこえたので振り向くと、
「『快斗!? 莉央!?』」
現れたのは會澤快斗と宮間莉央の2人だった。
「お前ら生きてたのか!?」
「今まで何処にいたのよ!?」
快斗と莉央はマントの下にベスト(防弾ベスト?)みたいな物を着けていて、弓矢と槍で武装していた。腰には鞘に入った刃渡り40cmくらいのナイフ(マチェット=山刀?)をベルトに吊るしていた。
「っていうか、その格好は…?」
「も、もしかして…こ、これ…?」
恐る恐る訊ねた斎藤沙織に、
「おう。俺が殺した」
快斗は挨拶するみたいな軽い感じで答えた。
まるで、これまでに何人も殺してきたかのようなあっさりした口調に、沙織は久々の再会を喜ぶ前にゾッとしてしまった。
「ちょっと快斗。アンタこの馬鹿の頭を射抜いてるわよ」
「え!? マジかよ? あ~あ…矢を1本ダメにしちまったか。勿体無い事しちまったなぁ」
引き抜いた鏃が微妙に潰れてしまっているのを見て、快斗はガックリと肩を落とした。
人を…それも友達を殺してしまった事よりも、1本の矢を使えなくしてしまった事のほうが大事みたいな口ぶりだ。
「やっぱり元が釘の鏃だと直ぐにダメになっちまうな」
「アンタが首を狙ってればダメにしなくて済んだのよ?」
「だってさぁ。奈緒子が危なかったんだぞ? お前だって焦って狙いが逸れたかもしれないだろう?」
「それは、まあ…確かに」
「もしも間に合わなかった時の事を考えたら、矢の1本や2本くらい安いもんだろ?」
「まあ、ね」
慎二の頭から引き抜いた矢の鏃を新しい鏃に交換した快斗は、矢筒に入れた。
「奈っちゃん。怖い思いしたね?」
「莉央ちゃん…かった…怖かったよー!」
身体にマントを巻かれた奈緒子は、莉央の胸に顔を埋めて泣き出した。
あまりの怖さに泣くこともできなかったのだろう。
そんな奈緒子の頭を「もう大丈夫だからね」と優しく撫でる莉央はさっきとはまるで別人みたいだ。
「か、快斗」
「なんだ? 亮太」
「お前…その…慎二を殺したんだよな?」
「あん? それがどうかしたか?」
快斗の顔には後悔とか何とかの一切の色は浮かんでなかった。寧ろ、「当たり前だろ」みたいな表情をしていた。
ゴクっと唾を飲んだ亮太は思い切って聞いた。
「お前ら…初めてじゃないみたいだな?」
「人を殺すのが、か?」
「ああ。何人殺したんだ?」
「何人? さて…1、2、3、4…20人から先は数えてないから、正確な数は分かんないな」
亮太は怖さのあまり、ブルブルっと震えた。
今、目の前にいるのは本当に自分の知っている快斗なのか分からなくなった。
ここにいる皆んなは幼稚園からの幼馴染みだったのに、慎二の奴は奈緒子をレイプしようとするし、快斗は快斗で慎二を殺した事をなんとも思っていないようだ。
もう何が何だか分からなくなってしまった亮太はプチパニックに陥ってしまったみたいだ。
快斗は莉央と唇の動きで話し合った。
「(家に連れてくか?)」
「(そうね。よく見ると、皆んな痩せちゃってるわね。あんまりご飯を食べてないまたいね)」
「(見捨てるのは気が引けるからな)」
「(じゃあ、連れていくしかないわね)」
頷き合った2人は、
「この森の中に俺達の家がある」
「皆んなお腹が減ってるんじゃない? 皆んなが食べる分くらいは沢山あるから一緒に来ない? 歓迎するわよ?」
【食べ物が沢山ある】
ここ何日もマトモに食べてなかった3人にとって、その言葉は甘くて魅惑的な魔法の言葉にしか聞こえなかった。
気付けば3人揃って頷いていた。
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