ナイトメア・アーサー ~伝説たる使い魔の王と、ごく普通の女の子の、青春を謳歌し世界を知り運命に抗う学園生活七年間~

ウェルザンディー

文字の大きさ
223 / 247
第2章1節 魔法学園対抗戦/武術戦

第216話 飯を食らえば

しおりを挟む
<魔法学園対抗戦・武術戦
 十二日目 午後二時半>



「ぐぅ……!」
「ガゼル! しっかりしろ!」
「だ、まだ、行けっ……!」


 そう言って立ち上がったのも束の間、


「ぐはあっ!!」
「……!! ガゼル!!」

「う、ぐっ……ここまで、か……」
「おいシャゼム、お前も――」
「――」



 背後から討たれ、血を吐き倒れる。幸い一命は取り留めている。



 彼らを倒したのは黒い紋様が刻まれた鎧の生徒達だ。



「殲滅完了しました。ここのフラッグライトも制圧します」
「了解。それが終了したら北西に進軍。イズエルトの領土があるので制圧してください」
「ただちに」


 伝令を聞くと、生徒達は再び行軍を始める。





 司令本部にて、黙々と魔法具を操作する黒いブレザーの生徒達。彼らの仕事ぶりを見て、満足そうにほくそ笑む者一人。



「……所詮この程度。兄上でなくても我々には敵わない」


 ウィルバートは先程とは別の魔法具に手をかける。






「強いな……」
「ああ、劇的だな……」



 十二日目、武術戦の第五戦目はケルヴィンの圧倒的勝利で幕を閉じた。グレイスウィルは完膚なきまで叩きのめされ、イズエルトも何とか踏みとどまれた状態だった。


 アーサーとイザークは、ダレンを伴いながらその試合を観戦していたのである。



「噂には聞いている。何でもケルヴィンにはめちゃくちゃ強い指揮官がいるんだそうだ」
「……ウィルバート?」
「そうそうそいつそいつ。一年生にして生徒会長を務め、テストは全て満点。魔法も達者で向かう所敵なしだ」

「何というハイスペック……えっ? でも今の試合って、四年生の試合じゃ?」
「そいつは特例で全部の武術戦に参加していいことになってんだと。詳しいことは知らんが」
「何でそんな……」
「ケルヴィンだから、元老院からの圧力でもあるんじゃないか?」


 あそこは昔ながらの政治体制だし、と言いながらダレンは腕を伸ばして身体をほぐす。


 そこに歩み寄ってくる人物。大人が約二名だ。


「……あーあ。あいつら、見るも無残に負けちまって」
「ラニキにおやっさん! お疲れ様です!」



 ダレンは立ち上がり頭を下げる。それに続いて、アーサーとイザークも同様にした。


 そこにいたのはスウェット姿のおやっさん――大衆食堂カーセラムの店主と、ラニキ。特におやっさんは、アーサーとイザークの二人は初めて話すので、若干の緊張が走る。



「お疲れ様っすー。お二人も来ていたんですか」
「まあ普通に考えてみろ? カーセラムの客はほぼ学生だぞ? それが全部平原に行っちまったら、商売あがったりと思わんか?」
「確かにー」

「とはいえ一ヶ月弱休業ってんのも辛いんでな。カーセラム出張版もやってるんだ」
「へえ、そんなのが……」
「何ならお前らも来るか?」


 ラニキは親指で、中央広場の片隅に見える一軒の小屋を指す。


「まあ四年生が詰め寄せてきたら空けてもらうかもしれないが……そん時はそん時だ。とりあえず食ってけ」
「んじゃあお言葉に甘えて!」
「……まあ、こういうのもいいか」







 質素な木造の小屋。魔術で急設したであろうその小屋は、よく日光が入ってきて燦々としていた。

 普段のカーセラムは幾多の建物に挟まれた場所にあるため、それと比べて大分開放感がある。しかし雰囲気が変わったからと言って、提供する料理は変わりない為、充満する匂いは普段通り。

 そういったものが安心感を演出するのだ。




「俺がー、先輩の俺がー、ここは奢ってあげようかー!?」
「いえ、流石にそんなことは」
「お願いしやーす!!」
「毎度ー!!」
「……はぁ」


 気を取り直して、アーサーはメニュー表に目を遣る。イザークとダレンも一緒に目を通す。おやっさんもそこに立っていて、目力による圧力が凄い。


「大体一緒……あれ、鍋がない」
「鍋と魔術竈が必要だからな。持ってくるのにかさばるということでここではやってないんだ」
「でもドリアとかスープとかパスタはやってるみたいだ、まあ好きなの頼めよ?」


 お冷が通され、先ずは一口。


「……決めた。フレンチトーストベリーソース」
「おっしゃれ~。ボクはほうれん草グラタンで」
「俺はアラビアータかな~」
「あいよー。んじゃ、ちょっと待っててくれい」


 ちゃっちゃとメモを取って、おやっさんはその場を後にする。





「ん?」



 料理を待っていると入り口のベルが鳴り、中にいた客の目が彼に向けられる。

 何故なら、彼の着ている制服はグレイスウィルの物ではなかったからだ。



「あの人は……」
「マッカーソン! マッカーソンじゃないか!」




 すぐにダレンが立ち上がり、そして席に彼を迎え入れた。


 照れながら頭を掻く彼こそが、イズエルト魔法学園三年生のエース剣士である。




「いやあ……ダレンがこっちに行ったって聞いたから、やってきてみたんだ」
「そうかそうか! わざわざありがとうな!」

「……えっと、マッカーソンさん。お疲れ様です」
「お疲れ様です」


 ダレンの隣に座ったマッカーソンに、とりあえず頭を下げておくイザークとアーサー。


「誰こいつら」
「俺の後輩。最終日の試合に向けて現在訓練中だ」
「そう……まあ、頑張ってね」


 マッカーソンもメニュー表を手に取り、一通り眺める。翡翠色の髪が緩くたなびく。


「お前貴族だよな? こんな所の飯で満足できんのか?」
「正直物足りないけど、まあこれも勉強だよ」
「熱心なんだな!」
「別に……じゃあシチューで」


 すぐさま従業員が飛んできて、注文を取っていくまで約二分。


「全く、すぐに食事が飛んでくるわけではないんだな。これだから庶民の店は」
「こういう時は駄弁りながら待つんだぜ。それが庶民流だ」
「ふん……そうか」



 マッカーソンはお冷にスプーンを突っ込み、くるくるかき混ぜて氷の流れを見つめている。



「……マッカーソンさん」
「何?」
「その……先輩との戦い、お見事でした」
「ああそれ。ありがと」

「それで気になったんですけど、マッカーソンさんも中々の腕前だったじゃないですか。一体誰に教わったんだろうなあって」
「あー。それ、気になる?」



 ほんの僅かに、彼は嬉しそうな表情をした。そして友人とその後輩を前に語り出す。

 飯を交えて仲を深める。大衆食堂カーセラムのよくある光景だ。





「鬼面の一族って知ってるかな? まあ知らないだろうね、リーズンス島の住民の中でも一部しか知らない一族だから」
「でも何となく想像はつくぜ。キャルヴン家に仕えてきた一族とか、そんなんだろ?」

「正解。普段はリーズンス島の中のでもかなりの辺境に住んでいて、そこから出てくる時は鬼の面を被って姿を現す」
「鬼……って、オーガとは違うんですか?」
「一応オーガを模した物もあるらしい。でも大概は、濃くて気迫ある顔付きだ。その顔付きの生物が実在しているかは知らないけど」
「へぇ……」


 そこに料理が一つやってくる。アーサーのフレンチトーストだ。


「先食っていいぞ。温かいうちに食わんと食事に失礼だ」
「ではお先に」
「一口くれよ。貴族命令だ」
「いいですよ」


 ナイフとフォークで切り分け、小皿に取り寄せてからマッカーソンに渡す。


「むぐぅ……うん、まあこんなもんかな」
「美味いって顔に出てるぞ~?」
「うるさいなあ。で、話の続きだけど」
「マッカーソン先輩が剣術を教わった方が、その一族の方なんですよね?」
「そうだよ」



 過去を懐かしむように、髪を撫でながら話す。



「僕が小さい頃はかなり混乱しててさ。聖教会も介入してきて、兄弟で誰が次期当主になるか争って。いつ何時誰が殺しにかかってくるかわからないから、気も抜けない。それでいて僕は一番末っ子だったから、周りに振り回されることしかできなくて」
「……」


「そんな中で、あの人だけは僕に対して真摯に向き合ってくれた。この先生きていく為とかって言われて、剣術だけじゃなくって礼儀作法や文学、簡単な算術とかも教え込まれた。まあ大変な日々だったよ」



「そういう時の貴族って大体逃げ出していきそうなイメージだ」
「実際逃げたよ。でも何度逃げても必ず迎えに来てくれて、翌日には何も言わずに授業をしてくれた。そういうの見てたら……報いてやりたいって思うようになったんだ」


「……臣下の鑑っすねえ」
「そうだろ? そう思うだろ? 忠誠を尽くしてくれたあの人は、僕にとっての誇りだ。あの人の教えがあったからこそ、僕は皆と上手くやっていけてるんだ。あの人が、死んでしまった今でも……そう思っている」
「え……」
「……」


 そこまで言うと顔を俯けてしまうマッカーソン。


「君達リーズンス内戦――『大寒波』についてはどこまで知ってる?」




「授業で触れた程度です」
「ボクもっす」
「大勢の人が犠牲になった、としか」
「そう。じゃあざっくりと説明しておこう」



 最後の一かけらを飲み込む。それが彼にとって、決意を固める要因になったようだ。



「元々イズエルト諸島はウェンディゴ族が暮らしていた地域でね。異種族である故か迫害を受けやすく、帝国の支配がかなり強かった。トゥールの乱の後、リネスの町が独立してそれに倣おうとしても、糸口が掴めなかった程にね。そこに手を差し伸べてきたのが聖教会ってわけだ」


「聖教会のおかげで独立ができたと」
「ならばその流れで、国の方向性にもあれこれ口出しできそうだな」
「察しがいいね、その通り。ウェンディゴ族が国家を運営するなんて初めてのことだから、最初期は色々教えてもらっていたんだそうだ。そしてその名残は今でも続いている」



 アーサーとイザークは、去年訪れたアルーインの街並みを思い出す。やけに聖教会関連の建物が多かった理由が、今になって理解できた。



「完全に国家として成熟した近年でも、聖教会は口を出してきてね。反論しようとしても、誰のおかげでここまでやってこれたんだの一点張り。事実だから認めざるを得なくて、それが連中の横暴を許す結果になってしまった」
「横暴?」
「金だよ」



「……あいつら奉納金とか言って、信徒じゃない人々からも金を毟り取っていたんだ。そういった人々を救済するのにもまた金がかかって、イズエルトの財政はどこもかしこも火の車。それこそ、あの地域の万年雪が溶けそうな勢いでね」
「酷いっすね……」


 あの美しい雪景色の裏には、語り尽くせない穢れが潜んでいたのだ。


「場外の人間がどう思おうとも、連中にとっては蚊に刺された程度……いや、風に煽られた程度かな。とにかくどうでもいいんだよ。連中はどんどん搾取を進めていって、その極地があの暴動だ」



 程なくしてイザークのグラタン、ダレンのアラビアータが運ばれてきた。一口だけ食べて腹の虫を手懐けた後、また話が再開される。



「……確か、暴動があった年は寒波が酷くて、作物も畜産も壊滅的だったんだよな。それが引き金になったから、暴動も引っ括めて大寒波って呼ばれてる」
「ま、授業ならそこはやるよね。イズエルト建国史上最悪の寒波……殆どの住民は金や作物を納めることができず、自分達の暮らしだけで手一杯だった」


「そんな事情を鑑みずに、金を巻き上げようとしてキャルヴン家の騎士達を動員させたんだ。キャルヴン家は特に聖教会の影響が強くてね……言われたことには逆らえない状態だった」



 いつしかマッカーソンの表情には、悔しさが浮かんでいた。



「あいつら。現地の騎士達が動員されるとなると、一気に雲隠れしやがった。裏で糸を引いている癖に、レインズグラス家が見ていない所で参戦していた癖に……中立を装ってきやがった」

「結果あの暴動の後には、大勢の人々の死体と、踏み荒らされた土地と、そして踏ん反り返る聖教会だけが残された」



「……」
「当時の僕は家にいた。まだ十一歳だったから、前線には出ずに済んだ。でもそこに暴徒と化した人々が襲ってきてね。きっとキャルヴン家を潰せば、自分達への圧政も潰せると考えたんだろう。家が燃やされ、瓦礫に押し潰されそうになった時に……あの人は、僕を庇って」



 ここまで饒舌に言葉が出てきていたのに、初めて言葉が詰まった。



 ダレンが慰めるように、背中をさする。



「そうか……それは、辛かったな」
「……」

「でも、あの人は空から見守ってくれている。そう信じている。だから今回の試合も頑張れた。そうだろう?」
「……」

「大丈夫。きっとその思いは、空に届いているはずだ」


 そこに熱々のシチューが届く。最後の一品、マッカーソンの注文だ。


「おお、いい頃に。お前の分だぞ」
「ふん……」



 一口口に含み、しばし味わう。



「……僕はもっと美味しいシチューを知っている」
「料理人に作ってもらったやつとか?」
「いや……あの人と一緒に作ったものだ」


 湧き上がる湯気を、懐かしむように見つめる。


「さっきあの人は色んなことを教えてくれたって言ったろ。それは料理とか裁縫とかの家事で、加えて観劇も教えてくれた。未来のキャルヴン家、ひいてはイズエルトを担う者として、教養を得ていないといけないって言ってさ……」

「特に観劇に対しては、アルーインや魔法学園の図書館に保管されているやつ、片っ端から台本を持ってきてくれたよ」



「台本か?」
「そう。だから、その……実は僕、実際の観劇って、あんまり観たことなくてさ」



 声をどんどんすぼませていくマッカーソン。

 対照的に、ダレンがみるみるうちに元気になる。



「そうか! じゃあ俺頑張るわ!」
「……は?」


「お前、時間があったらグレイスウィルに来い! そこの演劇部が素晴らしい劇を魅せてくれるぞ! 一癖も二癖もある脚本、魔の趣向が凝らされた演出、見目麗しいヒロインになくてはならない悪役! そして主役の俺! きっと、お前の目にも適うはずだ!」
「……」



 照れ隠しにシチューをもう一口含むマッカーソン。



「そうか。じゃあ……考えとく」
「俺はいつでも待ってるぜ!」
「ちょっと、背中を叩くなよ……」




 親しげな先輩二人と、それを見つめる後輩二人。




「……二人のような仲というのは、素晴らしいものだな」



「オマエさー、いい加減バッチリ認めちゃえよ。ボクとオマエもそういう仲だろー!?」
「……っ」
「何照れてんだよもう!」


 イザークはアーサーの背中を叩いた後、メニュー表に手をかける。


「先輩、折角だからもっと頼みましょうよ。山盛りフィッシュアンドチップスで!」
「豪勢だなあ。代金は大丈夫なの?」
「そこの主役な先輩が奢ってくれるんで!」
「え、そんなこと言ったかなあ!?」
「言いましたよ。オレ、はっきりと覚えてますから」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

乙女ゲームは始まらない

みかん桜
恋愛
異世界転生した公爵令嬢のオリヴィア。 婚約者である王太子殿下の周囲に、乙女ゲームのヒロインを自称する女が現れた。 だが現実的なオリヴィアは慌てない。 現実の貴族社会は、物語のように優しくはないのだから。 これは、乙女ゲームが始まらなかった世界の話。 ※恋愛要素は背景程度です。

美人同僚のおまけとして異世界召喚された私、無能扱いされ王城から追い出される。私の才能を見出してくれた辺境伯様と一緒に田舎でのんびりスローライ

さら
恋愛
美人な同僚の“おまけ”として異世界に召喚された私。けれど、無能だと笑われ王城から追い出されてしまう――。 絶望していた私を拾ってくれたのは、冷徹と噂される辺境伯様でした。 荒れ果てた村で彼の隣に立ちながら、料理を作り、子供たちに針仕事を教え、少しずつ居場所を見つけていく私。 優しい言葉をかけてくれる領民たち、そして、時折見せる辺境伯様の微笑みに、胸がときめいていく……。 華やかな王都で「無能」と追放された女が、辺境で自分の価値を見つけ、誰よりも大切に愛される――。

唯一無二のマスタースキルで攻略する異世界譚~17歳に若返った俺が辿るもう一つの人生~

専攻有理
ファンタジー
31歳の事務員、椿井翼はある日信号無視の車に轢かれ、目が覚めると17歳の頃の肉体に戻った状態で異世界にいた。 ただ、導いてくれる女神などは現れず、なぜ自分が異世界にいるのかその理由もわからぬまま椿井はツヴァイという名前で異世界で出会った少女達と共にモンスター退治を始めることになった。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

僕に仕えるメイドは世界最強の英雄です1~またクビになったけど、親代わりのメイドが慰めてくれるので悲しくなんてない!!~

あきくん☆ひろくん
ファンタジー
仕事を失い、居場所をなくした青年。 彼に仕えるのは――世界を救った英雄たちだった。 剣も魔法も得意ではない主人公は、 最強のメイドたちに守られながら生きている。 だが彼自身は、 「守られるだけの存在」でいることを良しとしなかった。 自分にできることは何か。 この世界で、どう生きていくべきか。 最強の力を持つ者たちと、 何者でもない一人の青年。 その主従関係は、やがて世界の歪みと過去へと繋がっていく。 本作は、 圧倒的な安心感のある日常パートと、 必要なときには本格的に描かれる戦い、 そして「守られる側の成長」を軸にした 完結済み長編ファンタジーです。 シリーズ作品の一編ですが、本作単体でもお楽しみいただけます。 最後まで安心して、一気読みしていただければ幸いです。

『悪役令嬢』は始めません!

月親
恋愛
侯爵令嬢アデリシアは、日本から異世界転生を果たして十八年目になる。そんな折、ここ数年ほど抱いてきた自身への『悪役令嬢疑惑』が遂に確信に変わる出来事と遭遇した。 突き付けられた婚約破棄、別の女性と愛を語る元婚約者……前世で見かけたベタ過ぎる展開。それを前にアデリシアは、「これは悪役令嬢な自分が逆ざまぁする方の物語では」と判断。 と、そこでアデリシアはハッとする。今なら自分はフリー。よって、今まで想いを秘めてきた片想いの相手に告白できると。 アデリシアが想いを寄せているレンは平民だった。それも二十も年上で子持ちの元既婚者という、これから始まると思われる『悪役令嬢物語』の男主人公にはおよそ当て嵌まらないだろう人。だからレンに告白したアデリシアに在ったのは、ただ彼に気持ちを伝えたいという思いだけだった。 ところがレンから来た返事は、「今日から一ヶ月、僕と秘密の恋人になろう」というものだった。 そこでアデリシアは何故『一ヶ月』なのかに思い至る。アデリシアが暮らすローク王国は、婚約破棄をした者は一ヶ月、新たな婚約を結べない。それを逆手に取れば、確かにその間だけであるならレンと恋人になることが可能だと。 アデリシアはレンの提案に飛び付いた。 そして、こうなってしまったからには悪役令嬢の物語は始めないようにすると誓った。だってレンは男主人公ではないのだから。 そんなわけで、自分一人で立派にざまぁしてみせると決意したアデリシアだったのだが―― ※この作品は、『小説家になろう』様でも公開しています。

朔夜蒼紗の大学生活④~別れを惜しむ狼は鬼と対峙する~

折原さゆみ
キャラ文芸
朔夜蒼紗(さくやあおさ)はこの春、大学2年生となった。今年こそは、平和な日常を過ごしたいと意気込むが、彼女にそんな日常は訪れることはない。 「蒼紗さん、私のサークルに新しい子が入りました!」 「鬼崎美瑠(おにざきみる)です」 「蒼紗さん、僕も大学に入学することになりました、七尾(ななお)です!」 大学2年生となり、新入生が入学するのは当然だ。しかし、個性豊かな面々が蒼紗の周りに集まってくる。彼女と一緒に居る綾崎の所属するサークルに入った謎の新入生。蒼紗に興味を持っているようで。 さらには、春休みに出会った、九尾(きゅうび)の元眷属のケモミミ少年もなぜか、大学に通うことになっていた。 「紅犬史(くれないけんし)です。よろしくお願いします」 蒼紗がアルバイトをしている塾にも新しい生徒が入ってきた。この塾にも今年も興味深い生徒が入学してきて。 さらには、彼女の家に居候している狼貴(こうき)君と翼(つばさ)君を狙う輩も現れて。アルバイト先の上司、死神の車坂(くるまざか)の様子もおかしいようだ。 大学2年生になっても、彼女の日常は平穏とは言い難いが、今回はどのような騒動に巻き込まれるのだろうか。 朔夜蒼紗の大学生活4作目になります。引き続き、朔夜蒼紗たちをよろしくお願いします。

処理中です...