106 / 247
第1章2節 学園生活/慣れてきた二学期
第103話 アーサーの休日・後編
しおりを挟む
『このようにして人からの信頼を得た私だが、その認識を実感するようになった出来事がある。暴君ウォーティガンの討伐であった』
『暴君と呼ばれているが、実際に圧政を敷いて国を支配しているわけではない。ウォーティガンは普通の蛮族だ。ただ大勢の手下を従え、酒池肉林に明け暮れ、何の罪もない人々から彼が通行するのを恐れられている様が、暴力的な君主に似ているということだ』
『そのような暴君が、私の住んでいる村の付近を通った。当然奴は略奪を目的とし、両親を含めた村人は酷く震え上がり、死人の如く息を潜めることに努めた。だが私は、何故死人の真似事をしなければならないのか、我々はここに生きているのにと、周囲からの懇願も退けて奴に立ち向かった』
『とはいえ私は奴に対する怒りと憎しみが有り余ってしまって、武器も持たずに走り出してしまった。しかも音を聞き付けたウォーティガンが私を追い詰める。あわやと思ったその時、私を追い詰めていたもう一つの要因、巨大な岩の頂上に剣が刺さっているのを見つけた』
『私はウォーティガンの攻撃を躱しながらそれを回収し、そうして引き抜いた剣で立ち向かった。武器を手にしてしまえば差は決定的、奴は流れの蛮族で私は幼い頃から武芸を修めてきた熟練者だ。年の功なぞ先達の叡智の前では無惨に吹き飛ぶ』
『こうして私はウォーティガンを討伐し、村の人々から喝采を受けた。大層心地良いものであったが、それ以上に湧き上がってくるもの――岩から抜いた剣の持つ意志とでも言うべきだろうか。私はこの剣を手にした者として、世界を成り立たせる運命というものの、行く先を見届けなければという使命に駆られていた――』
「使命……か」
呟いた後紅茶を飲む。時々木から落ちる橙色の芽吹きに目を向けながら、優雅に読書をするなんて、とても贅沢な時間だ。
加えて膝には可愛らしい犬、カヴァスが寝転がっている。この犬が伝説の騎士王に仕えた忠犬だと知ったら、人々はどんな反応をするだろうか。
「ワン?」
「……」
アーサーは『ユーサー・ペンドラゴンの旅路』を読む時、時折本を閉じて表紙を見つめる。読み進める度に言葉にできない想いが身を過って、それを落ち着ける為の作業とでも言おうか。
「金髪に紅い目か……」
この物語の主役、ユーサーが自分に似ているというのが一番影響が大きい部分だろう。主に見た目が。
冒険を繰り広げているというのも共通点――伝説に謡われている騎士王と比較した場合、ではあるが。だがどこからともなく出現した騎士王と、完全に出自がはっきりとしているユーサーである。
ある意味対極にあると、彼自身が強く感じていた。
「あんたは……」
「あんたは、オレの何だと言うんだろうな」
そろそろ紅茶もスコーンもなくなる間際だったので、本を片付けて帰る準備を行う。
本を仕舞おうと鞄をごそごそ漁る。だがその際、何かに手が当たった。
「っ……」
「ワワン?」
「……これだな。忘れていた」
そうぼやきながら取り出したのは、あのアヴァロン村の倉庫で見つけた、古い紙束の数々であった。崩れ落ちないように密閉性の高い袋に入れていたのを、一冊慎重に取り出す。
「ワオ~ン」
「部屋に出したらエリスに見つかるかもしれないと思ったんだ。それでずっとここに……」
状態を悪くしないようにぱらぱらと頁を捲る。書かれている内容は見つけた時と一切変わっていないし、そして一向に理解できない。
この紙束のことを知った所で、それが必ず役に立つという保証はない。
だがその根拠のない確信が、余計にアーサーの興味を誘っていた。それ故にずっと鞄に隠しておいたし、どうにかして解読できないかと考えていたのである。
「……」
次の目的地が決まった瞬間であった。
「……あいつは確か生徒会だったか」
「ワン!」
一方のハンスは生徒会の面々に混じって、書類を作成する作業に追われていた。
「はぁ……」
「ほらほらルミナス君。手が止まってますよ。君が止まると作業効率が落ちます」
「……前から思ってたけど、何だよルミナス君って」
「寛雅たる女神の血族の所属だからルミナス君です。さあさあ、休憩まであと十五分もありますよ」
「くそがぁ……」
ハンスの背中をヒヨリンが嘴でつつく。その隣ではヴィクトールも黙々と作業をしている。
「それにしても……何だよ選挙って。何で生徒会長を投票なんかで選ばねえといけねえんだよ。んなもんやりたい奴にやらせりゃいいんだよ」
「貴様のようなエルフ以外を見下すような奴が代表になられたら困るからだ」
「ああ?」
立候補生徒の似顔絵、生徒からの進言、普段の生活の様子など。十数枚の紙を順番通りに挟み、最後に粘着剤で貼り付ける。これを約千部程作成しないといけない。
「無意味だろどう考えても。民主主義? だっけ? 王侯貴族が主流になってるこの世界では投票なんて意味ないだろ」
「それは違うな。上層部だけに政治を任せていた結果、帝国は崩壊した……新時代になった今だからこそ、人々の意見を深く聞くことが求められているんだ」
「あーはいはいそーですかあ」
ハンスは二つ返事をして扉の外を見遣る。
「……ん?」
すると扉の向こう側に、金髪紅目の見知った顔が立ち尽くしていた。
「……すっみませ~ん! 知り合いが来てるんで、ぼくそっちに行きますね~!」
「貴様っ……!?」
ヴィクトールが止める間もなく、ハンスは生徒会室を出ていってしまう。
「全く。いくら作業から逃げたいからと言って、嘘が酷いですね」
「……いえ、嘘ではありません。本当に来てます」
「えぇ……」
ノーラの呆れた声を背に、ヴィクトールもハンスに続いていった。
「――」
「……」
「ああそうですね、君達は逃走犯の主君に代わって仕事をしてください。そして帰ってきたらとっちめてやりましょう」
シャドウはヴィクトールと同様の姿になった後、ノーラに向けて親指を上げてみせる。シルフィはその隣に納まった。
「やあやあ助かったよ。きみのお陰であの狭っ苦しい部屋から抜け出すことができた」
「……あんたか」
「え、何その目付き。ぼくじゃ不満かよくそが」
「最近あんたに引っ付いてるあいつに用がある」
「へえ、あの七三眼鏡に用事ある感じなの。まあいいけど」
「……俺に用事だと?」
扉の近くで話していたハンスの後ろから、ヴィクトールが現れる。
「ああ。用事と言っても完全に私用なんだが」
「……」
「今時間はあるか。ないなら別に構わないが」
「そうだな。今は生徒会長選挙の資料を……」
「いや! 今すっごい暇!! だから話聞いてあげるよ!!!」
「ぐお……っ!?」
ハンスは一転して目を輝かせながら、ヴィクトールの首を左腕で締め上げる。
「それでどこで話そうか! 教室行く!?」
「あ、ああ……そうだな、教室に……いや、あまり生徒会室から離れるのは申し訳ないな」
「それなら今五階だし、屋上に行こう!! 行こう行こう!!!」
「……はぁ」
身の毛がよだつような変わりようで、ハンスはヴィクトールを連れたまま階段を昇っていく。アーサーもそれについて行くしかなくなった。
『暴君と呼ばれているが、実際に圧政を敷いて国を支配しているわけではない。ウォーティガンは普通の蛮族だ。ただ大勢の手下を従え、酒池肉林に明け暮れ、何の罪もない人々から彼が通行するのを恐れられている様が、暴力的な君主に似ているということだ』
『そのような暴君が、私の住んでいる村の付近を通った。当然奴は略奪を目的とし、両親を含めた村人は酷く震え上がり、死人の如く息を潜めることに努めた。だが私は、何故死人の真似事をしなければならないのか、我々はここに生きているのにと、周囲からの懇願も退けて奴に立ち向かった』
『とはいえ私は奴に対する怒りと憎しみが有り余ってしまって、武器も持たずに走り出してしまった。しかも音を聞き付けたウォーティガンが私を追い詰める。あわやと思ったその時、私を追い詰めていたもう一つの要因、巨大な岩の頂上に剣が刺さっているのを見つけた』
『私はウォーティガンの攻撃を躱しながらそれを回収し、そうして引き抜いた剣で立ち向かった。武器を手にしてしまえば差は決定的、奴は流れの蛮族で私は幼い頃から武芸を修めてきた熟練者だ。年の功なぞ先達の叡智の前では無惨に吹き飛ぶ』
『こうして私はウォーティガンを討伐し、村の人々から喝采を受けた。大層心地良いものであったが、それ以上に湧き上がってくるもの――岩から抜いた剣の持つ意志とでも言うべきだろうか。私はこの剣を手にした者として、世界を成り立たせる運命というものの、行く先を見届けなければという使命に駆られていた――』
「使命……か」
呟いた後紅茶を飲む。時々木から落ちる橙色の芽吹きに目を向けながら、優雅に読書をするなんて、とても贅沢な時間だ。
加えて膝には可愛らしい犬、カヴァスが寝転がっている。この犬が伝説の騎士王に仕えた忠犬だと知ったら、人々はどんな反応をするだろうか。
「ワン?」
「……」
アーサーは『ユーサー・ペンドラゴンの旅路』を読む時、時折本を閉じて表紙を見つめる。読み進める度に言葉にできない想いが身を過って、それを落ち着ける為の作業とでも言おうか。
「金髪に紅い目か……」
この物語の主役、ユーサーが自分に似ているというのが一番影響が大きい部分だろう。主に見た目が。
冒険を繰り広げているというのも共通点――伝説に謡われている騎士王と比較した場合、ではあるが。だがどこからともなく出現した騎士王と、完全に出自がはっきりとしているユーサーである。
ある意味対極にあると、彼自身が強く感じていた。
「あんたは……」
「あんたは、オレの何だと言うんだろうな」
そろそろ紅茶もスコーンもなくなる間際だったので、本を片付けて帰る準備を行う。
本を仕舞おうと鞄をごそごそ漁る。だがその際、何かに手が当たった。
「っ……」
「ワワン?」
「……これだな。忘れていた」
そうぼやきながら取り出したのは、あのアヴァロン村の倉庫で見つけた、古い紙束の数々であった。崩れ落ちないように密閉性の高い袋に入れていたのを、一冊慎重に取り出す。
「ワオ~ン」
「部屋に出したらエリスに見つかるかもしれないと思ったんだ。それでずっとここに……」
状態を悪くしないようにぱらぱらと頁を捲る。書かれている内容は見つけた時と一切変わっていないし、そして一向に理解できない。
この紙束のことを知った所で、それが必ず役に立つという保証はない。
だがその根拠のない確信が、余計にアーサーの興味を誘っていた。それ故にずっと鞄に隠しておいたし、どうにかして解読できないかと考えていたのである。
「……」
次の目的地が決まった瞬間であった。
「……あいつは確か生徒会だったか」
「ワン!」
一方のハンスは生徒会の面々に混じって、書類を作成する作業に追われていた。
「はぁ……」
「ほらほらルミナス君。手が止まってますよ。君が止まると作業効率が落ちます」
「……前から思ってたけど、何だよルミナス君って」
「寛雅たる女神の血族の所属だからルミナス君です。さあさあ、休憩まであと十五分もありますよ」
「くそがぁ……」
ハンスの背中をヒヨリンが嘴でつつく。その隣ではヴィクトールも黙々と作業をしている。
「それにしても……何だよ選挙って。何で生徒会長を投票なんかで選ばねえといけねえんだよ。んなもんやりたい奴にやらせりゃいいんだよ」
「貴様のようなエルフ以外を見下すような奴が代表になられたら困るからだ」
「ああ?」
立候補生徒の似顔絵、生徒からの進言、普段の生活の様子など。十数枚の紙を順番通りに挟み、最後に粘着剤で貼り付ける。これを約千部程作成しないといけない。
「無意味だろどう考えても。民主主義? だっけ? 王侯貴族が主流になってるこの世界では投票なんて意味ないだろ」
「それは違うな。上層部だけに政治を任せていた結果、帝国は崩壊した……新時代になった今だからこそ、人々の意見を深く聞くことが求められているんだ」
「あーはいはいそーですかあ」
ハンスは二つ返事をして扉の外を見遣る。
「……ん?」
すると扉の向こう側に、金髪紅目の見知った顔が立ち尽くしていた。
「……すっみませ~ん! 知り合いが来てるんで、ぼくそっちに行きますね~!」
「貴様っ……!?」
ヴィクトールが止める間もなく、ハンスは生徒会室を出ていってしまう。
「全く。いくら作業から逃げたいからと言って、嘘が酷いですね」
「……いえ、嘘ではありません。本当に来てます」
「えぇ……」
ノーラの呆れた声を背に、ヴィクトールもハンスに続いていった。
「――」
「……」
「ああそうですね、君達は逃走犯の主君に代わって仕事をしてください。そして帰ってきたらとっちめてやりましょう」
シャドウはヴィクトールと同様の姿になった後、ノーラに向けて親指を上げてみせる。シルフィはその隣に納まった。
「やあやあ助かったよ。きみのお陰であの狭っ苦しい部屋から抜け出すことができた」
「……あんたか」
「え、何その目付き。ぼくじゃ不満かよくそが」
「最近あんたに引っ付いてるあいつに用がある」
「へえ、あの七三眼鏡に用事ある感じなの。まあいいけど」
「……俺に用事だと?」
扉の近くで話していたハンスの後ろから、ヴィクトールが現れる。
「ああ。用事と言っても完全に私用なんだが」
「……」
「今時間はあるか。ないなら別に構わないが」
「そうだな。今は生徒会長選挙の資料を……」
「いや! 今すっごい暇!! だから話聞いてあげるよ!!!」
「ぐお……っ!?」
ハンスは一転して目を輝かせながら、ヴィクトールの首を左腕で締め上げる。
「それでどこで話そうか! 教室行く!?」
「あ、ああ……そうだな、教室に……いや、あまり生徒会室から離れるのは申し訳ないな」
「それなら今五階だし、屋上に行こう!! 行こう行こう!!!」
「……はぁ」
身の毛がよだつような変わりようで、ハンスはヴィクトールを連れたまま階段を昇っていく。アーサーもそれについて行くしかなくなった。
0
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
悪役令嬢の取り巻きBから追放された私は自由気ままに生きたいと思います。
水垣するめ
恋愛
ここはセントリア学園。
貴族から平民まで、様々な身分の人間が通う学園。
その中でもカーストのトップに位置しているマーガレット・エドワーズ公爵令嬢の取り巻きBをしているごく普通な私は。
──推しを見つけた。
主人公エマ・ホワイトは公爵令嬢のマーガレットの取り巻きをしていた。
マーガレットは王子であるルークと婚約していたが、ルークは同じ公爵令嬢のクレア・アワードに好意を寄せていた。
エマはマーガレットの取り巻きとして暮らす毎日を送っていた。
しかしある日、マーガレットの恋敵であるクレアの秘密を知ってしまう。
それは『美少女として知られるクレアが実は女装した男性である』というものだった。
秘密を知られたクレアはエマと共に行動するようになり…?
※「小説家になろう」でも先行掲載しています。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
私はただ自由に空を飛びたいだけなのに!
hennmiasako
ファンタジー
異世界の田舎の孤児院でごく普通の平民の孤児の女の子として生きていたルリエラは、5歳のときに木から落ちて頭を打ち前世の記憶を見てしまった。
ルリエラの前世の彼女は日本人で、病弱でベッドから降りて自由に動き回る事すら出来ず、ただ窓の向こうの空ばかりの見ていた。そんな彼女の願いは「自由に空を飛びたい」だった。でも、魔法も超能力も無い世界ではそんな願いは叶わず、彼女は事故で転落死した。
魔法も超能力も無い世界だけど、それに似た「理術」という不思議な能力が存在する世界。専門知識が必要だけど、前世の彼女の記憶を使って、独学で「理術」を使い、空を自由に飛ぶ夢を叶えようと人知れず努力することにしたルリエラ。
ただの個人的な趣味として空を自由に飛びたいだけなのに、なぜかいろいろと問題が発生して、なかなか自由に空を飛べない主人公が空を自由に飛ぶためにいろいろがんばるお話です。
工芸職人《クラフトマン》はセカンドライフを謳歌する
鈴木竜一
ファンタジー
旧題:工芸職人《クラフトマン》はセカンドライフを謳歌する~ブラック商会をクビになったので独立したら、なぜか超一流の常連さんたちが集まってきました~
【お知らせ】
このたび、本作の書籍化が正式に決定いたしました。
発売は今月(6月)下旬!
詳細は近況ボードにて!
超絶ブラックな労働環境のバーネット商会に所属する工芸職人《クラフトマン》のウィルムは、過労死寸前のところで日本の社畜リーマンだった前世の記憶がよみがえる。その直後、ウィルムは商会の代表からクビを宣告され、石や木片という簡単な素材から付与効果付きの武器やアイテムを生みだせる彼のクラフトスキルを頼りにしてくれる常連の顧客(各分野における超一流たち)のすべてをバカ息子であるラストンに引き継がせると言いだした。どうせ逆らったところで無駄だと悟ったウィルムは、退職金代わりに隠し持っていた激レアアイテムを持ちだし、常連客たちへ退職報告と引き継ぎの挨拶を済ませてから、自由気ままに生きようと隣国であるメルキス王国へと旅立つ。
ウィルムはこれまでのコネクションを駆使し、田舎にある森の中で工房を開くと、そこで畑を耕したり、家畜を飼育したり、川で釣りをしたり、時には町へ行ってクラフトスキルを使って作ったアイテムを売ったりして静かに暮らそうと計画していたのだ。
一方、ウィルムの常連客たちは突然の退職が代表の私情で行われたことと、その後の不誠実な対応、さらには後任であるラストンの無能さに激怒。大貴族、Sランク冒険者パーティーのリーダー、秘境に暮らす希少獣人族集落の長、世界的に有名な鍛冶職人――などなど、有力な顧客はすべて商会との契約を打ち切り、ウィルムをサポートするため次々と森にある彼の工房へと集結する。やがて、そこには多くの人々が移住し、最強クラスの有名人たちが集う村が完成していったのだった。
所詮は他人事と言われたので他人になります!婚約者も親友も見捨てることにした私は好きに生きます!
ユウ
恋愛
辺境伯爵令嬢のリーゼロッテは幼馴染と婚約者に悩まされてきた。
幼馴染で親友であるアグネスは侯爵令嬢であり王太子殿下の婚約者ということもあり幼少期から王命によりサポートを頼まれていた。
婚約者である伯爵家の令息は従妹であるアグネスを大事にするあまり、婚約者であるサリオンも優先するのはアグネスだった。
王太子妃になるアグネスを優先することを了承ていたし、大事な友人と婚約者を愛していたし、尊敬もしていた。
しかしその関係に亀裂が生じたのは一人の女子生徒によるものだった。
貴族でもない平民の少女が特待生としてに入り王太子殿下と懇意だったことでアグネスはきつく当たり、婚約者も同調したのだが、相手は平民の少女。
遠回しに二人を注意するも‥
「所詮あなたは他人だもの!」
「部外者がしゃしゃりでるな!」
十年以上も尽くしてきた二人の心のない言葉に愛想を尽かしたのだ。
「所詮私は他人でしかないので本当の赤の他人になりましょう」
関係を断ったリーゼロッテは国を出て隣国で生きていくことを決めたのだが…
一方リーゼロッテが学園から姿を消したことで二人は王家からも責められ、孤立してしまうのだった。
なんとか学園に連れ戻そうと試みるのだが…
クマちゃんと森の街の冒険者とものづくり ~転生赤ちゃんクマちゃんのもふもふ溺愛スローライフ~
猫野コロ
ファンタジー
転生したもこもこは動揺を隠し、震える肉球をなめ――思わず一言呟いた。
「クマちゃん……」と。
猫のような、クマのぬいぐるみの赤ちゃんのような――とにかく愛くるしいクマちゃんと、謎の生き物クマちゃんを拾ってしまった面倒見の良い冒険者達のお話。
犬に頭をくわえられ運ばれていたクマちゃんは、かっこいい冒険者のお兄さん達に助けられ、恩返しをしたいと考えた。
冷たそうに見えるが行動は優しい、過保護な最強冒険者の青年ルークに甘やかされながら、冒険者ギルドの皆の助けになるものを作ろうと日々頑張っている。
一生懸命ではあるが、常識はあまりない。生活力は家猫くらい。
甘えっこで寂しがり屋。異世界転生だが何も覚えていないクマちゃんが、アイテム無双する日はくるのだろうか?
時々森の街で起こる不思議な事件は赤ちゃんクマちゃんが可愛い肉球で何でも解決!
最高に愛らしいクマちゃんと、癖の強い冒険者達の愛と癒しと仲良しな日常の物語。
【かんたんな説明:良い声のイケメン達と錬金系ゲームと料理と転生もふもふクマちゃんを混ぜたようなお話。クマちゃん以外は全員男性】
【物語の主成分:甘々・溺愛・愛され・日常・温泉・お料理・お菓子作り・スローライフ・ちびっこ子猫系クマちゃん・良い声・イケボ・イケメン・イケオジ・ややチート・可愛さ最強・ややコメディ・ハッピーエンド!】
《カクヨム、ノベルアップ+、なろう、ノベマ!にも掲載中です》
こじらせ中年の深夜の異世界転生飯テロ探訪記
陰陽@2作品コミカライズと書籍化準備中
ファンタジー
※コミカライズ進行中。
なんか気が付いたら目の前に神様がいた。
異世界に転生させる相手を間違えたらしい。
元の世界に戻れないと謝罪を受けたが、
代わりにどんなものでも手に入るスキルと、
どんな食材かを理解するスキルと、
まだ見ぬレシピを知るスキルの、
3つの力を付与された。
うまい飯さえ食えればそれでいい。
なんか世界の危機らしいが、俺には関係ない。
今日も楽しくぼっち飯。
──の筈が、飯にありつこうとする奴らが集まってきて、なんだか騒がしい。
やかましい。
食わせてやるから、黙って俺の飯を食え。
貰った体が、どうやら勇者様に与える筈のものだったことが分かってきたが、俺には戦う能力なんてないし、そのつもりもない。
前世同様、野菜を育てて、たまに狩猟をして、釣りを楽しんでのんびり暮らす。
最近は精霊の子株を我が子として、親バカ育児奮闘中。
更新頻度……深夜に突然うまいものが食いたくなったら。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる