28 / 30
第28話 夜明けにただいま
しおりを挟む
「はーいっ。皆様おはようございまーす」
「「「おはようございまーす」」」
ここはローゼンの町にある宅配物集積所。飛空艇が飛んでいけるように、天井に造られた大穴が名物。
現在時刻は朝8時。それぞれ出勤してきた配達員達を前に、局長オーガスタが朝礼をしている。
「さて今日は4月13日……いやー早いもので4月も2週間過ぎようとしてますね。新しい生活に皆様慣れましたでしょうか。僕は新しいも何もないのでいつも通りです、はい」
「で、仕事内容も特に変わりません。新人さんは宅配物の分け方を頑張ってください。新しい交渉が飛び込んできたら、それはベテランが対応しますんで。自分で対応できないと判断したら、即座に上に回す! これを徹底してください」
「ではこんなもんで朝礼を終わりに、ッ」
配達員達は皆あっけに取られた。何故なら、オーガスタが突然潰されたからである。
彼は天井の穴の真下で話をしていたのだが――そこから落ちてきた少女のクッションとなって、正面から倒れ込んだのである。
「……ぷはあ~。ああ、ここは集積所……やっと、やっと帰ってこれた……!」
「そ、その声はルチルちゃん……!?」
「あ、おはようございますオーガスタさん」
座っている下から声がしたので、ルチルは下を向く。オーガスタがいたのでとりあえず挨拶はしておいた。
しかし挨拶をしただけで、今自分は何をすべきかまでは、あまりにも眠すぎて気が回らなかった。
「あ~、ねっむ~……つかれたぁ……」
「ちょっ、ルチルちゃん!? 髪色普段より薄くなってない!? ルーン欠乏の症状じゃない!?」
「ふえ?」
配達員の一人にそう言われ、ルチルは自分の髪をつまんで眺める。
だがこちらも、色味を確認しただけでまた倒れてしまった。オーガスタに寄りかかるようにして、思いっ切り背面を逸らす。
「ルチルちゃーん!! あなた旅行に行ってたはずよねー!? 一体何があったらルーン欠乏症で天井から落っこちてくるのー!?」
「すぴ~、すぴ~……」
「こんな短時間で寝るとは……相当疲れてますね、こりゃあ」
「ひ、控室で寝かせてあげてぇ~……僕もうきついよぉ~……!!!」
「了解しました局長。担架を持ってくるので少々お待ちくださいね」
「ねえそれは一体どんなギャグなのぉ!?」
朝8時に出勤した配達員が、仕事を終えるのは夕方17時。その間ルチルはずっと控室で眠り、起きたかと思えばご飯だったりトイレに行ったりして過ごした。
「いや~お見苦しい所を見せてしまいました」
「見る分にはよかったけど、僕の腰はクライマックスだよ……」
「ごめんなさいオーガスタさん」
他の配達員が続々退勤していく中、ルチルはオーガスタと話をしている。
「しかし睡眠不足とか疲れならまだしも……ルーン欠乏って。一体何があったの?」
「えーと、南のヤルンヴィド超えた辺りから……ローゼンまで。魔法で空飛んで帰ってきました」
「ぶっ!?」
オーガスタは飲んでいたコーヒーを若干噴き出す。そしてルチルを見つめた。
「え、ええっ、ヤルンヴィド超え~!? そんな距離をぶっ飛んできたのぉ~!?」
「はい、飛んできました。なんかやれそうだったので。気分で」
「気分で飛べるもんなのぉ!?」
「飛べるもんですけど、ルーン欠乏にはなります」
「そりゃそうだよね!! はあ~っ、そうかそうか……」
オーガスタは他にも聞きたいことがあったが、これ以上は口にしないことにした。
というのもあらゆる心配事は、全てこの質問に集約されるからである。
「ルチルちゃん……帰りが空だったことはこの際置いておいて。旅行は楽しかったかい?」
「はい! とっても、とっても、とーっても楽しかったです!」
「そうかそうか……」
眩しい笑顔だった。それこそ最後に見たのは3年前、最近は仕事に忙殺されてめっきりしなくなった、心からの笑顔。
「その話、ニーナさんにもしてあげるんだよ。あとノワールさんとか、ソフィア様とかにも。皆気になっているだろうからね……ルチルが旅行で何を見てきたのか」
「そうします! あっでも……休暇は1ヶ月とか言っていたのに、2週間で帰ってきちゃった」
「いいよ、残り2週間はのんびりしな~。本当にルチルちゃんは仕事詰めだったからさ、いい機会だと思って休みなさい。あと休んでいる人が急に出るとか言うと、調整する人が大変だから」
「これが大人の事情ってやつですか……! では、遠慮なく休ませていただきます!」
「うんうん。でも暇だったら集積所来てもいいからね。それじゃ、今日の所はさよならってことで!」
「お疲れ様でしたーっ!」
ルチルは大きな声でオーガスタに叫ぶと、夕日に照らされる道を小走りで帰っていった。
「……」
「……変わったなあ。本当に何かあったんだろうな。今の君は、とてもいい笑顔をしている……」
そしてルチルは自分の家へと帰ってきた。特にためらうこともせず、扉を開け放つ。
「ただいま!」
わかってはいたが、その言葉に返事をする人は、この家には存在しない。
でもどうしてだろうか。ルチルの耳には、『おかえり』という声がかすかに聞こえてきた。
しかもその声は昨日別れたばかりの、あの男の子のものだったのだ。
「……」
ルチルはリビングの方を見遣る。2週間前には、あそこで一緒にカルパッチョを食べた子がいる。
自分の数倍の量を一気に食べる。話では聞いていたが、実際見ると驚くことばかり。
男の子とはそういう生き物だった。そして実際に、接触する機会を得たのだ。
一緒にポプリを作って、パンケーキを食べて、船に乗って、時々ケンカもしたり戦闘もしたり。
でも最後はお互いに笑顔で帰ってこれた。お別れもちゃんとできた、いい旅行だった――
「……よし。明日実行しよう」
残された期間はあと2週間。その間に、あることをしようと、ルチルは心に決めた。
「ぐえ……ふらふらするぅ~」
とりあえずお風呂にでも入ろうと動いたら、めまいがして態勢をちょっと崩す。
「うーんルーン欠乏症恐るべし……! 明日はだめだな。ちょっと休憩して、元気になったらにしよう!」
そして数日後。
ルチルは片手にアップルパイの入った袋を手に、空を飛んでいた。
「ふんふんふーん……らんらんっ♪」
鼻歌を歌ってご機嫌に。今日もいい晴れ空で、邪魔する者は何もいない。
いつもと同じ空なのに、なんだかとても大切に思えてくる。
「空も大地も、何もかもが変わってない。わたしが命を懸けた大冒険をしてきたなんて、ちっとも知らないんだ」
たった2週間離れていただけなのに、住んでいる地域のありがたみを実感することになるとは、ルチルですらも予想外だった。
「そしてあの場所も……まさか、まさか誰も立ち入っていないとは思うけど」
ルチルが訪れたのは、ローゼンの町より南西方向、ポプラーの村とほぼ横並びにある山。
『ブレデリン』と呼ばれるその山は、ホッドミーミル大陸の中で最も標高が高い。頂上から見る景色は非常に美しく、加えて登山道も自然豊か。歩いているととても楽しいので、ホッドミーミルを代表する観光名所となっている。
そしてこの山を語るに欠かせないのが、立地である。頂上から3分の2ほどは大陸側に開かれているが、残りは海に面している。山の『裏側』とでも呼べる場所だ。
海から登ろうとしても絶壁が待ち受けているので、表から回り込まないといけない。ところが回り込もうにも、傾斜が激しく草木が生い茂っているので、生半可な実力では途中で力尽きてしまう。
いつしか人々の思考は、表側でも十分なのだからわざわざ裏側に行く必要はないということになり、登山道も開拓されない秘境となっていった。どうしてもそこに行きたいのなら、登山道を通らずに行ける手段の確保が必要。
それこそ、『風を操り空を飛んでいける』なんて魔法は、まさにぴったりな力なのだ。
「とうちゃーく! ふう……」
ルチルは地面に降り立った。この場所こそが、ブレデリン山の裏側である。
着いて早々、思いっ切り深呼吸。森林の香りを胸いっぱいに満たす。
裏側にはとても美しい湖が広がっており、その周囲に森林を主体とした生態系が広がっている。登山道でも十分な美しさだが、ここに訪れてしまったらもう満足はできない。
「『ルティカ湖』……今日もとってもきれい……」
名前こそついているが、この湖を訪れる者なんて、今ではもっぱらルチルだけだ。
「……」
吸い込まれそうになる気持ちを押さえて、ルチルは歩き出す。
「……」
「……こんにちは! ううん……久しぶり? 久しぶりだね、だって3年ぶりだもん!」
「最近お仕事が忙しくて……でもね、今日はお休みを取ってきたの! ねえ、『お母さん』!」
アップルパイの袋を手に、ぎこちない笑顔を見せるルチルが話しかけていたのは。
湖のほとりに造られた『お墓』であった。
「「「おはようございまーす」」」
ここはローゼンの町にある宅配物集積所。飛空艇が飛んでいけるように、天井に造られた大穴が名物。
現在時刻は朝8時。それぞれ出勤してきた配達員達を前に、局長オーガスタが朝礼をしている。
「さて今日は4月13日……いやー早いもので4月も2週間過ぎようとしてますね。新しい生活に皆様慣れましたでしょうか。僕は新しいも何もないのでいつも通りです、はい」
「で、仕事内容も特に変わりません。新人さんは宅配物の分け方を頑張ってください。新しい交渉が飛び込んできたら、それはベテランが対応しますんで。自分で対応できないと判断したら、即座に上に回す! これを徹底してください」
「ではこんなもんで朝礼を終わりに、ッ」
配達員達は皆あっけに取られた。何故なら、オーガスタが突然潰されたからである。
彼は天井の穴の真下で話をしていたのだが――そこから落ちてきた少女のクッションとなって、正面から倒れ込んだのである。
「……ぷはあ~。ああ、ここは集積所……やっと、やっと帰ってこれた……!」
「そ、その声はルチルちゃん……!?」
「あ、おはようございますオーガスタさん」
座っている下から声がしたので、ルチルは下を向く。オーガスタがいたのでとりあえず挨拶はしておいた。
しかし挨拶をしただけで、今自分は何をすべきかまでは、あまりにも眠すぎて気が回らなかった。
「あ~、ねっむ~……つかれたぁ……」
「ちょっ、ルチルちゃん!? 髪色普段より薄くなってない!? ルーン欠乏の症状じゃない!?」
「ふえ?」
配達員の一人にそう言われ、ルチルは自分の髪をつまんで眺める。
だがこちらも、色味を確認しただけでまた倒れてしまった。オーガスタに寄りかかるようにして、思いっ切り背面を逸らす。
「ルチルちゃーん!! あなた旅行に行ってたはずよねー!? 一体何があったらルーン欠乏症で天井から落っこちてくるのー!?」
「すぴ~、すぴ~……」
「こんな短時間で寝るとは……相当疲れてますね、こりゃあ」
「ひ、控室で寝かせてあげてぇ~……僕もうきついよぉ~……!!!」
「了解しました局長。担架を持ってくるので少々お待ちくださいね」
「ねえそれは一体どんなギャグなのぉ!?」
朝8時に出勤した配達員が、仕事を終えるのは夕方17時。その間ルチルはずっと控室で眠り、起きたかと思えばご飯だったりトイレに行ったりして過ごした。
「いや~お見苦しい所を見せてしまいました」
「見る分にはよかったけど、僕の腰はクライマックスだよ……」
「ごめんなさいオーガスタさん」
他の配達員が続々退勤していく中、ルチルはオーガスタと話をしている。
「しかし睡眠不足とか疲れならまだしも……ルーン欠乏って。一体何があったの?」
「えーと、南のヤルンヴィド超えた辺りから……ローゼンまで。魔法で空飛んで帰ってきました」
「ぶっ!?」
オーガスタは飲んでいたコーヒーを若干噴き出す。そしてルチルを見つめた。
「え、ええっ、ヤルンヴィド超え~!? そんな距離をぶっ飛んできたのぉ~!?」
「はい、飛んできました。なんかやれそうだったので。気分で」
「気分で飛べるもんなのぉ!?」
「飛べるもんですけど、ルーン欠乏にはなります」
「そりゃそうだよね!! はあ~っ、そうかそうか……」
オーガスタは他にも聞きたいことがあったが、これ以上は口にしないことにした。
というのもあらゆる心配事は、全てこの質問に集約されるからである。
「ルチルちゃん……帰りが空だったことはこの際置いておいて。旅行は楽しかったかい?」
「はい! とっても、とっても、とーっても楽しかったです!」
「そうかそうか……」
眩しい笑顔だった。それこそ最後に見たのは3年前、最近は仕事に忙殺されてめっきりしなくなった、心からの笑顔。
「その話、ニーナさんにもしてあげるんだよ。あとノワールさんとか、ソフィア様とかにも。皆気になっているだろうからね……ルチルが旅行で何を見てきたのか」
「そうします! あっでも……休暇は1ヶ月とか言っていたのに、2週間で帰ってきちゃった」
「いいよ、残り2週間はのんびりしな~。本当にルチルちゃんは仕事詰めだったからさ、いい機会だと思って休みなさい。あと休んでいる人が急に出るとか言うと、調整する人が大変だから」
「これが大人の事情ってやつですか……! では、遠慮なく休ませていただきます!」
「うんうん。でも暇だったら集積所来てもいいからね。それじゃ、今日の所はさよならってことで!」
「お疲れ様でしたーっ!」
ルチルは大きな声でオーガスタに叫ぶと、夕日に照らされる道を小走りで帰っていった。
「……」
「……変わったなあ。本当に何かあったんだろうな。今の君は、とてもいい笑顔をしている……」
そしてルチルは自分の家へと帰ってきた。特にためらうこともせず、扉を開け放つ。
「ただいま!」
わかってはいたが、その言葉に返事をする人は、この家には存在しない。
でもどうしてだろうか。ルチルの耳には、『おかえり』という声がかすかに聞こえてきた。
しかもその声は昨日別れたばかりの、あの男の子のものだったのだ。
「……」
ルチルはリビングの方を見遣る。2週間前には、あそこで一緒にカルパッチョを食べた子がいる。
自分の数倍の量を一気に食べる。話では聞いていたが、実際見ると驚くことばかり。
男の子とはそういう生き物だった。そして実際に、接触する機会を得たのだ。
一緒にポプリを作って、パンケーキを食べて、船に乗って、時々ケンカもしたり戦闘もしたり。
でも最後はお互いに笑顔で帰ってこれた。お別れもちゃんとできた、いい旅行だった――
「……よし。明日実行しよう」
残された期間はあと2週間。その間に、あることをしようと、ルチルは心に決めた。
「ぐえ……ふらふらするぅ~」
とりあえずお風呂にでも入ろうと動いたら、めまいがして態勢をちょっと崩す。
「うーんルーン欠乏症恐るべし……! 明日はだめだな。ちょっと休憩して、元気になったらにしよう!」
そして数日後。
ルチルは片手にアップルパイの入った袋を手に、空を飛んでいた。
「ふんふんふーん……らんらんっ♪」
鼻歌を歌ってご機嫌に。今日もいい晴れ空で、邪魔する者は何もいない。
いつもと同じ空なのに、なんだかとても大切に思えてくる。
「空も大地も、何もかもが変わってない。わたしが命を懸けた大冒険をしてきたなんて、ちっとも知らないんだ」
たった2週間離れていただけなのに、住んでいる地域のありがたみを実感することになるとは、ルチルですらも予想外だった。
「そしてあの場所も……まさか、まさか誰も立ち入っていないとは思うけど」
ルチルが訪れたのは、ローゼンの町より南西方向、ポプラーの村とほぼ横並びにある山。
『ブレデリン』と呼ばれるその山は、ホッドミーミル大陸の中で最も標高が高い。頂上から見る景色は非常に美しく、加えて登山道も自然豊か。歩いているととても楽しいので、ホッドミーミルを代表する観光名所となっている。
そしてこの山を語るに欠かせないのが、立地である。頂上から3分の2ほどは大陸側に開かれているが、残りは海に面している。山の『裏側』とでも呼べる場所だ。
海から登ろうとしても絶壁が待ち受けているので、表から回り込まないといけない。ところが回り込もうにも、傾斜が激しく草木が生い茂っているので、生半可な実力では途中で力尽きてしまう。
いつしか人々の思考は、表側でも十分なのだからわざわざ裏側に行く必要はないということになり、登山道も開拓されない秘境となっていった。どうしてもそこに行きたいのなら、登山道を通らずに行ける手段の確保が必要。
それこそ、『風を操り空を飛んでいける』なんて魔法は、まさにぴったりな力なのだ。
「とうちゃーく! ふう……」
ルチルは地面に降り立った。この場所こそが、ブレデリン山の裏側である。
着いて早々、思いっ切り深呼吸。森林の香りを胸いっぱいに満たす。
裏側にはとても美しい湖が広がっており、その周囲に森林を主体とした生態系が広がっている。登山道でも十分な美しさだが、ここに訪れてしまったらもう満足はできない。
「『ルティカ湖』……今日もとってもきれい……」
名前こそついているが、この湖を訪れる者なんて、今ではもっぱらルチルだけだ。
「……」
吸い込まれそうになる気持ちを押さえて、ルチルは歩き出す。
「……」
「……こんにちは! ううん……久しぶり? 久しぶりだね、だって3年ぶりだもん!」
「最近お仕事が忙しくて……でもね、今日はお休みを取ってきたの! ねえ、『お母さん』!」
アップルパイの袋を手に、ぎこちない笑顔を見せるルチルが話しかけていたのは。
湖のほとりに造られた『お墓』であった。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
リュッ君と僕と
時波ハルカ
児童書・童話
“僕”が目を覚ますと、
そこは見覚えのない、寂れた神社だった。
ボロボロの大きな鳥居のふもとに寝かされていた“僕”は、
自分の名前も、ママとパパの名前も、住んでいたところも、
すっかり忘れてしまっていた。
迷子になった“僕”が泣きながら参道を歩いていると、
崩れかけた拝殿のほうから突然、“僕”に呼びかける声がした。
その声のほうを振り向くと…。
見知らぬ何処かに迷い込んだ、まだ小さな男の子が、
不思議な相方と一緒に協力して、
小さな冒険をするお話です。

村から追い出された変わり者の僕は、なぜかみんなの人気者になりました~異種族わちゃわちゃ冒険ものがたり~
めーぷる
児童書・童話
グラム村で変わり者扱いされていた少年フィロは村長の家で小間使いとして、生まれてから10年間馬小屋で暮らしてきた。フィロには生き物たちの言葉が分かるという不思議な力があった。そのせいで同年代の子どもたちにも仲良くしてもらえず、友達は森で助けた赤い鳥のポイと馬小屋の馬と村で飼われている鶏くらいだ。
いつもと変わらない日々を送っていたフィロだったが、ある日村に黒くて大きなドラゴンがやってくる。ドラゴンは怒り村人たちでは歯が立たない。石を投げつけて何とか追い返そうとするが、必死に何かを訴えている.
気になったフィロが村長に申し出てドラゴンの話を聞くと、ドラゴンの巣を荒らした者が村にいることが分かる。ドラゴンは知らぬふりをする村人たちの態度に怒り、炎を噴いて暴れまわる。フィロの必死の説得に漸く耳を傾けて大人しくなるドラゴンだったが、フィロとドラゴンを見た村人たちは、フィロこそドラゴンを招き入れた張本人であり実は魔物の生まれ変わりだったのだと決めつけてフィロを村を追い出してしまう。
途方に暮れるフィロを見たドラゴンは、フィロに謝ってくるのだがその姿がみるみる美しい黒髪の女性へと変化して……。
「ドラゴンがお姉さんになった?」
「フィロ、これから私と一緒に旅をしよう」
変わり者の少年フィロと異種族の仲間たちが繰り広げる、自分探しと人助けの冒険ものがたり。
・毎日7時投稿予定です。間に合わない場合は別の時間や次の日になる場合もあります。
悪魔さまの言うとおり~わたし、執事になります⁉︎~
橘花やよい
児童書・童話
女子中学生・リリイが、入学することになったのは、お嬢さま学校。でもそこは「悪魔」の学校で、「執事として入学してちょうだい」……って、どういうことなの⁉待ち構えるのは、きれいでいじわるな悪魔たち!
友情と魔法と、胸キュンもありの学園ファンタジー。
第2回きずな児童書大賞参加作です。
宝石店の魔法使い~吸血鬼と赤い石~
橘花やよい
児童書・童話
宝石店の娘・ルリは、赤い瞳の少年が持っていた赤い宝石を、間違えてお客様に売ってしまった。
しかも、その少年は吸血鬼。石がないと人を襲う「吸血衝動」を抑えられないらしく、「石を返せ」と迫られる。お仕事史上、最大の大ピンチ!
だけどレオは、なにかを隠しているようで……?
そのうえ、宝石が盗まれたり、襲われたりと、騒動に巻き込まれていく。
魔法ファンタジー×ときめき×お仕事小説!
「第1回きずな児童書大賞」特別賞をいただきました。
見習い錬金術士ミミリの冒険の記録〜討伐も採集もお任せください!ご依頼達成の報酬は、情報でお願いできますか?〜
うさみち
児童書・童話
【見習い錬金術士とうさぎのぬいぐるみたちが描く、スパイス混じりのゆるふわ冒険!情報収集のために、お仕事のご依頼も承ります!】
「……襲われてる! 助けなきゃ!」
錬成アイテムの採集作業中に訪れた、モンスターに襲われている少年との突然の出会い。
人里離れた山陵の中で、慎ましやかに暮らしていた見習い錬金術士ミミリと彼女の家族、機械人形(オートマタ)とうさぎのぬいぐるみ。彼女たちの運命は、少年との出会いで大きく動き出す。
「俺は、ある人たちから頼まれて預かり物を渡すためにここに来たんだ」
少年から渡された物は、いくつかの錬成アイテムと一枚の手紙。
「……この手紙、私宛てなの?」
少年との出会いをキッカケに、ミミリはある人、あるアイテムを探すために冒険を始めることに。
――冒険の舞台は、まだ見ぬ世界へ。
新たな地で、右も左もわからないミミリたちの人探し。その方法は……。
「討伐、採集何でもします!ご依頼達成の報酬は、情報でお願いできますか?」
見習い錬金術士ミミリの冒険の記録は、今、ここから綴られ始める。
《この小説の見どころ》
①可愛いらしい登場人物
見習い錬金術士のゆるふわ少女×しっかり者だけど寂しがり屋の凄腕美少女剣士の機械人形(オートマタ)×ツンデレ魔法使いのうさぎのぬいぐるみ×コシヌカシの少年⁉︎
②ほのぼのほんわか世界観
可愛いらしいに囲まれ、ゆったり流れる物語。読了後、「ほわっとした気持ち」になってもらいたいをコンセプトに。
③時々スパイスきいてます!
ゆるふわの中に時折現れるスパイシーな展開。そして時々ミステリー。
④魅力ある錬成アイテム
錬金術士の醍醐味!それは錬成アイテムにあり。魅力あるアイテムを活用して冒険していきます。
◾️第3章完結!現在第4章執筆中です。
◾️この小説は小説家になろう、カクヨムでも連載しています。
◾️作者以外による小説の無断転載を禁止しています。
◾️挿絵はなんでも書いちゃうヨギリ酔客様からご寄贈いただいたものです。
忠犬ハジッコ
SoftCareer
児童書・童話
もうすぐ天寿を全うするはずだった老犬ハジッコでしたが、飼い主である高校生・澄子の魂が、偶然出会った付喪神(つくもがみ)の「夜桜」に抜き去られてしまいます。
「夜桜」と戦い力尽きたハジッコの魂は、犬の転生神によって、抜け殻になってしまった澄子の身体に転生し、奪われた澄子の魂を取り戻すべく、仲間達の力を借りながら奮闘努力する……というお話です。
※今まで、オトナ向けの小説ばかり書いておりましたが、
今回は中学生位を読者対象と想定してチャレンジしてみました。
お楽しみいただければうれしいです。
空の話をしよう
源燕め
児童書・童話
「空の話をしよう」
そう言って、美しい白い羽を持つ羽人(はねひと)は、自分を助けた男の子に、空の話をした。
人は、空を飛ぶために、飛空艇を作り上げた。
生まれながらに羽を持つ羽人と人間の物語がはじまる。
オオカミ少女と呼ばないで
柳律斗
児童書・童話
「大神くんの頭、オオカミみたいな耳、生えてる……?」 その一言が、私をオオカミ少女にした。
空気を読むことが少し苦手なさくら。人気者の男子、大神くんと接点を持つようになって以降、クラスの女子に目をつけられてしまう。そんな中、あるできごとをきっかけに「空気の色」が見えるように――
表紙画像はノーコピーライトガール様よりお借りしました。ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる