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第13話 めくるめくポプリの世界・前編
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ポプラーは村という名目ではあるが、何も知らない観光客が来れば、まず地方都市の規模であると誤認するだろう。人口は多いがギリギリ地方都市の定義に満たない数らしい。
ただしこの村にはポプリという観光資源がある。近年ますます脚光を浴びているジャンルなので、今後も人口は増えていくだろう。村から地方都市に昇格するのもそう遠くない話かもしれない。
宿に到着した時点では、時刻は午後一時を回った所。お昼時なので、ルチルとクレインはエネルギー補充から始めることに。
「お待たせしました~こちらパンケーキになりま~す」
「おお……!」
「す、すげえな……」
二人が入ったのは、テラス席のあるカフェ。そこで看板メニューとして売り出されていた、パンケーキを注文してみた。
到着したのはきめ細かくふわふわとしたパンケーキに、カリカリベーコンとチーズソースがじゅわっと乗っており、しかも焼き立てソーセージが3本もついている。
「わ、わー! 絵に残せるなら残しておきたいー!」
「目に焼きつけておけ。食うぞ」
「ちょっ、クレインったら感動が薄いー!」
男子と女子の食に対する認識の違いが明確になった所で、二人は食事を進める。
甘いものではなくがっつりした味つけの物なので、手を休めることなく食べることができた。
「は~……美味しいなあ。これぞ一流の技! って感じ!」
「でもこれが1150クローネだろ。たっけ~な~」
「それはあれだよ、観光地価格! この環境にお値段払ってるんだよ」
「おれは観光地なら、土産物に金落としてえな。行ったって実感沸くだろ?」
「一瞬でなくなってしまうからこそ、思い出に残るものだってあると思うのですよっ」
10分もする頃には完食。そしてルチルは、地図を持ち出して予定を立てる。
「まずお花の店には行くでしょ。小物のお店は気になるけど、これは後回しかな~。ポプリのメインはあくまでもお花や香りなのであって」
「……」
「……クレイン! 一緒に行くんだからね? 何か意見してくれてもいいのだけど!」
「んなこと言われたって……おれ関係ねえもん」
「香りを楽しむつったってよ~、おれそんなのどうでもいいし。たかだかインテリアなんだから、実用性がないじゃねえか」
ポプリのことを何一つ理解していないのに、全てを理解し切ったような、クレインの発言。
それを聞き逃さなかった男がいた。
「実用性がない!? 今貴様はポプリには実用性がないと言ったのかぁー!?」
「ぬぎゃーっ!?」
「あ、ジャッカルさんだ。お仕事ですか?」
「むむっ、貴様は『スプリング・ウインド・マジック・ガール』のルチルッ! 今俺は、この炎人のようなポプリを馬鹿にする男共に、宣伝活動を行っていたところさッ!」
「その呼び名やめてくださいって、恥ずかしいです~」
「こ、こんなのともルチルは知り合いなのか~!?」
クレインは頭の左右から拳を突き当てられ、ぐりぐりと押し込まれている。押し込んでいる男性は瓶底眼鏡が特徴的な、魔術師向けの幾何学模様が刻まれたローブを着用していた。
「クレイン、この人はジャッカルさんだよ。『セイズ協会』のホッドミーミル支部長」
「セイズぅ? ああ……」
「どういうリアクションだそれは!?」
「いやセイズ協会……ライヴァンの支部長も変人なもんで……」
「あぁ~ライヴァン支部長~~~??? 確かに彼奴は筋金入りの変人だ。俺が言うのだから間違いない」
「ジャッカルさんに変と言わせるなんて、どんな人なんだろ……」
セイズ協会は、レヴス・ラーシルにおける現象『魔法』を研究している組織。そこから派生した、魔法を組み込んだ道具『魔道具』の開発や管理、全ての根源であるルーンの解析など、その研究内容は枚挙に暇がない。
研究内容の多さの分だけ、人々の暮らしに多大なる貢献をしており、魔法についての悩みがあったらまずセイズ協会に行けと言われるほど。純粋に魔法の可能性だけを追い求めているので、特定の権力に媚びることもない。
セイズ協会は各地に活動の足掛かりとなる支部を設置しており、ホッドミーミルやライヴァンにも当然存在している。所属する魔術師は支部を拠点に活動を展開するのだ。
そして、このうちホッドミーミルで活動する魔術師を取りまとめているのが、先程登場したジャッカルという男。彼は魔道具研究を主力分野にしており、発明のためなら神にも逆らう気概を持つ変人であった。
「はいドーン!! 諸君!! 客だぞ!!」
「「「いらっしゃいませ~」」」
ここで会ったも何かの縁ということで、ルチルはジャッカルが活動拠点にしているという店に行ってみることに。そこはポプラーの村の中でも、類を見ないほどに大きい建物だった。
「わ、すごーい! 色んな商品が取り揃えてある!」
「元々村の中でも、総合店として有名だった所だ。そこを我々セイズ協会が交渉し、研究の拠点を増設させてもらったのだ!」
「研究って何を……もががっ!」
「その成果をこれから貴様に見せてやらぁー!!」
ジャッカルはクレインを引きずり、店の奥の方に連行していく。残されたルチルはごく自然に買い物へと移行していった。
「すみませーん、このお店のおすすめ教えてくださいなっ!」
「まあ、早速おすすめを聞いてくるなんて。その若さで通なんですね~」
「かわいいものには目がありませんのでー!」
「ふふっ、とっても素敵です。今はやっぱり春ですので、天然物の花が多く揃ってますねー」
店員の一人が、花の販売スペースにルチルを案内する。
そこには瓶に差してある花が勢揃い。ここから好きな花を取って購入するのだ。
「オイルも花に合わせた、フローラル系がおすすめです。材料も多く採取できるので、お値段も安めになってるんですよ~」
「確かに普段より30クローネぐらい安い……! よーしこれにしちゃおう」
自然とルチルの足は次の材料を見繕いに動いていく。そこは塩を販売しているスペースだ。
「塩も最近種類豊富ですよね~。どうやってそんな効能出すんだっていう……」
「セイズ協会の研究が進んでからは、効能がある塩も増えましたね~。今回はモイストタイプで作るんですか?」
「はい。普段はドライタイプで作っているんですけど、せっかく来たんだから記念に1本って思って……」
「あら~いいですね~! だとしたら効能がない普通のがいいですかね? 変に効能があると、入れられる植物に制限かかっちゃいますから」
「うーん、せっかく来たんだから、普段お目にかかれない塩を試してみたいんですよね。インフェルノソルト、噂には聞いていたんですが始めて見ました」
「ああ~最近話題ですよね。結局効能のある塩って、調味料としての需要も高いんですよ。そっちとの交渉が難しく入荷も大変で……うちでも最近入荷できたんですよ~」
「わ~貴重な塩だぁ~……しかも値段、よく見たらさっきのパンケーキよりも高い~……」
(……ドライ? モイスト?)
(何だ小僧、ちっとも話についていけていない顔しやがって。男として恥ずかしくないのか)
(いや……あんたには言われたくないけどな!?)
(いいか小僧、『ドライタイプ』ってのは完全に乾燥させた花を使うやつで、『モイストタイプ』ってのが半乾燥させた花と塩を使うやつだ。最低限これは覚えろ)
(なんでそんなにポプリに詳しいんだよ……?)
(研究対象を知らずに研究ができるかーッ!!!)
(うびゃー!! 殴るな、殴るなーっ!!)
「あー、大丈夫かなもう……」
「ジャッカルさんの餌食になってますね、彼。お知り合いですか?」
「一緒に旅行に来たんです。ポプリにすごく興味なかったんですけど、そこに目を付けられました」
「あらあら~。これを機にポプリの素晴らしさに目覚めるとい~ですわねぇ~」
店員達は話をしながら、浮ついた目でルチルを見ている。何かいかがわしい思惑を察知したルチルは、ちょっぴりだけお怒りモード。
「ちょっ……そんなんじゃないです! そんなんじゃないですから!!」
「ふふふ♪ じゃ、そういうことにしておきましょうか♪」
「も~っ……次! 見せてください! 瓶です!」
「はいはいお待ちください~」
ただしこの村にはポプリという観光資源がある。近年ますます脚光を浴びているジャンルなので、今後も人口は増えていくだろう。村から地方都市に昇格するのもそう遠くない話かもしれない。
宿に到着した時点では、時刻は午後一時を回った所。お昼時なので、ルチルとクレインはエネルギー補充から始めることに。
「お待たせしました~こちらパンケーキになりま~す」
「おお……!」
「す、すげえな……」
二人が入ったのは、テラス席のあるカフェ。そこで看板メニューとして売り出されていた、パンケーキを注文してみた。
到着したのはきめ細かくふわふわとしたパンケーキに、カリカリベーコンとチーズソースがじゅわっと乗っており、しかも焼き立てソーセージが3本もついている。
「わ、わー! 絵に残せるなら残しておきたいー!」
「目に焼きつけておけ。食うぞ」
「ちょっ、クレインったら感動が薄いー!」
男子と女子の食に対する認識の違いが明確になった所で、二人は食事を進める。
甘いものではなくがっつりした味つけの物なので、手を休めることなく食べることができた。
「は~……美味しいなあ。これぞ一流の技! って感じ!」
「でもこれが1150クローネだろ。たっけ~な~」
「それはあれだよ、観光地価格! この環境にお値段払ってるんだよ」
「おれは観光地なら、土産物に金落としてえな。行ったって実感沸くだろ?」
「一瞬でなくなってしまうからこそ、思い出に残るものだってあると思うのですよっ」
10分もする頃には完食。そしてルチルは、地図を持ち出して予定を立てる。
「まずお花の店には行くでしょ。小物のお店は気になるけど、これは後回しかな~。ポプリのメインはあくまでもお花や香りなのであって」
「……」
「……クレイン! 一緒に行くんだからね? 何か意見してくれてもいいのだけど!」
「んなこと言われたって……おれ関係ねえもん」
「香りを楽しむつったってよ~、おれそんなのどうでもいいし。たかだかインテリアなんだから、実用性がないじゃねえか」
ポプリのことを何一つ理解していないのに、全てを理解し切ったような、クレインの発言。
それを聞き逃さなかった男がいた。
「実用性がない!? 今貴様はポプリには実用性がないと言ったのかぁー!?」
「ぬぎゃーっ!?」
「あ、ジャッカルさんだ。お仕事ですか?」
「むむっ、貴様は『スプリング・ウインド・マジック・ガール』のルチルッ! 今俺は、この炎人のようなポプリを馬鹿にする男共に、宣伝活動を行っていたところさッ!」
「その呼び名やめてくださいって、恥ずかしいです~」
「こ、こんなのともルチルは知り合いなのか~!?」
クレインは頭の左右から拳を突き当てられ、ぐりぐりと押し込まれている。押し込んでいる男性は瓶底眼鏡が特徴的な、魔術師向けの幾何学模様が刻まれたローブを着用していた。
「クレイン、この人はジャッカルさんだよ。『セイズ協会』のホッドミーミル支部長」
「セイズぅ? ああ……」
「どういうリアクションだそれは!?」
「いやセイズ協会……ライヴァンの支部長も変人なもんで……」
「あぁ~ライヴァン支部長~~~??? 確かに彼奴は筋金入りの変人だ。俺が言うのだから間違いない」
「ジャッカルさんに変と言わせるなんて、どんな人なんだろ……」
セイズ協会は、レヴス・ラーシルにおける現象『魔法』を研究している組織。そこから派生した、魔法を組み込んだ道具『魔道具』の開発や管理、全ての根源であるルーンの解析など、その研究内容は枚挙に暇がない。
研究内容の多さの分だけ、人々の暮らしに多大なる貢献をしており、魔法についての悩みがあったらまずセイズ協会に行けと言われるほど。純粋に魔法の可能性だけを追い求めているので、特定の権力に媚びることもない。
セイズ協会は各地に活動の足掛かりとなる支部を設置しており、ホッドミーミルやライヴァンにも当然存在している。所属する魔術師は支部を拠点に活動を展開するのだ。
そして、このうちホッドミーミルで活動する魔術師を取りまとめているのが、先程登場したジャッカルという男。彼は魔道具研究を主力分野にしており、発明のためなら神にも逆らう気概を持つ変人であった。
「はいドーン!! 諸君!! 客だぞ!!」
「「「いらっしゃいませ~」」」
ここで会ったも何かの縁ということで、ルチルはジャッカルが活動拠点にしているという店に行ってみることに。そこはポプラーの村の中でも、類を見ないほどに大きい建物だった。
「わ、すごーい! 色んな商品が取り揃えてある!」
「元々村の中でも、総合店として有名だった所だ。そこを我々セイズ協会が交渉し、研究の拠点を増設させてもらったのだ!」
「研究って何を……もががっ!」
「その成果をこれから貴様に見せてやらぁー!!」
ジャッカルはクレインを引きずり、店の奥の方に連行していく。残されたルチルはごく自然に買い物へと移行していった。
「すみませーん、このお店のおすすめ教えてくださいなっ!」
「まあ、早速おすすめを聞いてくるなんて。その若さで通なんですね~」
「かわいいものには目がありませんのでー!」
「ふふっ、とっても素敵です。今はやっぱり春ですので、天然物の花が多く揃ってますねー」
店員の一人が、花の販売スペースにルチルを案内する。
そこには瓶に差してある花が勢揃い。ここから好きな花を取って購入するのだ。
「オイルも花に合わせた、フローラル系がおすすめです。材料も多く採取できるので、お値段も安めになってるんですよ~」
「確かに普段より30クローネぐらい安い……! よーしこれにしちゃおう」
自然とルチルの足は次の材料を見繕いに動いていく。そこは塩を販売しているスペースだ。
「塩も最近種類豊富ですよね~。どうやってそんな効能出すんだっていう……」
「セイズ協会の研究が進んでからは、効能がある塩も増えましたね~。今回はモイストタイプで作るんですか?」
「はい。普段はドライタイプで作っているんですけど、せっかく来たんだから記念に1本って思って……」
「あら~いいですね~! だとしたら効能がない普通のがいいですかね? 変に効能があると、入れられる植物に制限かかっちゃいますから」
「うーん、せっかく来たんだから、普段お目にかかれない塩を試してみたいんですよね。インフェルノソルト、噂には聞いていたんですが始めて見ました」
「ああ~最近話題ですよね。結局効能のある塩って、調味料としての需要も高いんですよ。そっちとの交渉が難しく入荷も大変で……うちでも最近入荷できたんですよ~」
「わ~貴重な塩だぁ~……しかも値段、よく見たらさっきのパンケーキよりも高い~……」
(……ドライ? モイスト?)
(何だ小僧、ちっとも話についていけていない顔しやがって。男として恥ずかしくないのか)
(いや……あんたには言われたくないけどな!?)
(いいか小僧、『ドライタイプ』ってのは完全に乾燥させた花を使うやつで、『モイストタイプ』ってのが半乾燥させた花と塩を使うやつだ。最低限これは覚えろ)
(なんでそんなにポプリに詳しいんだよ……?)
(研究対象を知らずに研究ができるかーッ!!!)
(うびゃー!! 殴るな、殴るなーっ!!)
「あー、大丈夫かなもう……」
「ジャッカルさんの餌食になってますね、彼。お知り合いですか?」
「一緒に旅行に来たんです。ポプリにすごく興味なかったんですけど、そこに目を付けられました」
「あらあら~。これを機にポプリの素晴らしさに目覚めるとい~ですわねぇ~」
店員達は話をしながら、浮ついた目でルチルを見ている。何かいかがわしい思惑を察知したルチルは、ちょっぴりだけお怒りモード。
「ちょっ……そんなんじゃないです! そんなんじゃないですから!!」
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