誰かに愛されるなんて、あり得ないと思ってた

まる丸〜

文字の大きさ
上 下
99 / 100

恋人からの預かり物

しおりを挟む


「聞かせてくれ、白羽。お前の声を、もっと——」

「ゃ……っぁ、レ……あ、ぁあっ——ゃ……っ」

「お前の声は格別だ。俺だけに思いが伝わってきていたのも良かったが……こうして声を聞けるのは、やはりいい……」

「ぁ……っひァ……ぁ、ぁ、レ……レィゾ……さ、ぁァっ——」

「可愛らしい声だ。もっと声を聞かせてくれ。お前の声は愛らしく蠱惑的で……俺をこの上なく昂らせてくれる」

「ゃ……ぁ、ぁ、あぁっ……んっ……あァんっ……!」

「……っ……愛している……愛している……白羽——」

「っァ……レ……ぁ……すき……っ……あァ……っ……!!」

 嵐のような激しさで揺さぶられ、どこまでが自分の身体でどこからがレイゾンの身体なのかも、もうわからなくなる。
 本当に混じっているのかもしれない。
 繋がって、混じって、溶け合って。二人でぐちゃぐちゃになってしまいたい。

「白羽……俺はお前の騎士だ……俺を感じろ。もっと——もっと……っ……」

 レイゾンの息も荒い。
 滴る汗の香りは官能的で、彼の野性的な魅力を嫌というほど伝えてくる。
 埋められている肉はますます硬さを増し、繰り返し柔壁を穿っては白羽をますます淫らにさせる。

 激しく突き込まれるたび、抱えられている脚が不規則に跳ねる。
 閉じられない口の端から零れる雫が、顎を伝って首へと流れる。

 気持ちが良くてたまらない。けれどまだ達したくない。
 終わりたくない。離れたくない。もっともっとレイゾンを感じていたい。彼と繋がっていたい。

「ぁ……あ……レイゾ……さま……っ」

 なのに昂り続ける熱は止めようがない。
 二度三度と奥の奥まで灼熱の肉を叩きこまれると、うねるように暴れる欲望は奔流となって腰の奥からせりあがってくる。

「レィ……ぁ……すき、です……すき……っ……」

「……白羽……っ!」

 言葉にできないほどの情欲を感じさせる声とともにグッと奥まで捻じ込まれ、抱きしめられている身体が大きく撓る。
 激しく深く口づけられ、ただ一人の騎士に直接愛を吹き込まれ、全身が一気に熱を孕む。
 ぎゅっと瞑った目の奥で白い光が瞬き、頭の中まで白く染められていく。

「ァ……っあ、あ、ぁあァ……ッ……!」

 高い声と同時に、二人の身体の間で擦られていた白羽の性器から熱いものが迸る。
 少し遅れて、体奥にレイゾンの精が注がれた。

 二人分の鼓動の音。
 苦しいほどの抱擁に、白羽の瞳からは後から後から涙が零れる。

「レイゾンさま……わたしの……レイゾンさま……っ……」

 幸せにわななく唇でそう紡ぐと、勇ましく、しかし不愛想で無骨な騎士の貌に笑みが広がる。

「白羽……俺の……白羽……」

 そして囁かれた声は深く——優しく、どんな騎士のどんな声よりも甘く——。
 その夜、一人の騎士と一人の騏驥はいつまでも共に——一つであり続けた。 


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

さよならの合図は、

15
BL
君の声。

目標、それは

mahiro
BL
画面には、大好きな彼が今日も輝いている。それだけで幸せな気分になれるものだ。 今日も今日とて彼が歌っている曲を聴きながら大学に向かえば、友人から彼のライブがあるから一緒に行かないかと誘われ……?

ルームシェアは犬猿の仲で

凪玖海くみ
BL
几帳面なエリート会社員・望月涼介は同僚の結婚を機に家を失う。 新たな同居人として紹介されたのは、自由奔放なフリーター・桜庭陽太。 しかし、性格が正反対な二人の共同生活は予想通りトラブル続き⁉ 掃除、食事、ルール決め——ぶつかり合いながらも、少しずつ変化していく日常。 犬猿の仲なルームメイトが織りなす、ちょっと騒がしくて心地いい物語。

忘れ物

うりぼう
BL
記憶喪失もの 事故で記憶を失った真樹。 恋人である律は一番傍にいながらも自分が恋人だと言い出せない。 そんな中、真樹が昔から好きだった女性と付き合い始め…… というお話です。

代わりでいいから

氷魚彰人
BL
親に裏切られ、一人で生きていこうと決めた青年『護』の隣に引っ越してきたのは強面のおっさん『岩間』だった。 不定期に岩間に晩御飯を誘われるようになり、何時からかそれが護の楽しみとなっていくが……。 ハピエンですがちょっと暗い内容ですので、苦手な方、コメディ系の明るいお話しをお求めの方はお気を付け下さいませ。 他サイトに投稿した「隣のお節介」をタイトルを変え、手直ししたものになります。

俺の彼氏は俺の親友の事が好きらしい

15
BL
「だから、もういいよ」 俺とお前の約束。

紹介なんてされたくありません!

mahiro
BL
普通ならば「家族に紹介したい」と言われたら、嬉しいものなのだと思う。 けれど僕は男で目の前で平然と言ってのけたこの人物も男なわけで。 断りの言葉を言いかけた瞬間、来客を知らせるインターフォンが鳴り響き……?

別れの夜に

大島Q太
BL
不義理な恋人を待つことに疲れた青年が、その恋人との別れを決意する。しかし、その別れは思わぬ方向へ。

処理中です...