誰かに愛されるなんて、あり得ないと思ってた

まる丸〜

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口の中で…

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「⁈、ハロルド!まてっ、なんだ⁈」

「しー、レイ、じっとしてろ」

 じっと⁈じっとって言われてもっ!

「ひっ……」

 ぬるぬると、舌でしぼるように舐められる。

 ハロルドはベッドの上で、ぐるぐる巻いた掛け布団をクッションにして、壁に背を預けている。
 それで俺は、俺はそんなハロルドの身体をまたいで、壁に手を突いている。

「レイ、もっとこっち」

 ハロルドは右手で尻をつかんで、俺の身体を引き寄せた。

 嘘だろ、口で!

 俺の、くわえてる!

 何だこれ、何だこの状況っ。

 頭の中の混乱具合とは逆に、身体は快楽でしかない刺激に喜んでる。
 壁についてる手がブルブル震えて、力が入らない。

 ハロルドの舌が、根元から先端まで俺のを舐め上げ、口を離すかと思えば、またぐぷりと咥え込まれる。

「っあ、あー…」

 すぐに息が上がって、自分のじゃない、うわずった声が口から漏れる。

「っ、ん…ぅ」

 繰り返し口の中でしごかれてる。
 気持ち良すぎて、全身がふわふわしてきた。
 俺はもう、ほとんど壁に額を押し付けるみたいにして、やっと膝で立っている。

 ちゅうちゅうと、舐められながら吸われて、もう…このままじゃ達してしまう。

「あ、ハロルド、でるっ、から」

 くち、ハロルドのくち、汚してしまう。

「いやだ、ハロルドッ…」

 離す気もないハロルドの口から、何とか引き抜こうと身をよじる。

 身体の内側から突き上げてくる、射精欲と、絶対ダメだっていう自制心がせめぎ合う。

 ダメだダメだ、絶対ダメだ!

 必死に射精を耐える俺の身体に、唐突に感じた事のない快感が広がった。ペニスじゃない、もっともっと腹の深いトコロだ。

 びくんびくんと全身が痙攣して、チカチカと目の前がくらんで、俺の下半身から力が抜けた。

 へたり込む俺の身体。

 必然的に、ぬるん、とハロルドの口から俺のペニスが抜けた。

 あやうく包帯を巻いてるハロルドの脚に座りそうになって、踏ん張って耐える。

 うっすら血が滲む包帯を見て、一気に頭が冷えた。
 俺は、こんなケガしてるハロルドに、何をさせてるんだっ……!

 まだ震えてる脚をなんとか動かして、ハロルドの上から退いた。

 シーツに両手を付いて、深呼吸する。早く、早く落ち着いてくれ。

 それまでハロルドの中にあった、ペニスの先から、チョロリと白濁が流れたのを見て、情けなくなる。

 こんなのを、ハロルドの中に出す所だったなんて。
 あぁ、みっともなくて顔を上げられない。

「レイ?」

 語気の弱い、困ったようなハロルドの声が聞こえた。

「悪い、そんなに嫌だったのか…レイ。すっきりしたら眠れるかと思ったんだ。ごめんな」

 なんだよ、アンタが謝るなよ!

「なあ、泣くな」

「泣いてない!バカ!」

「だってお前…」

「うるさいな!アンタがっ…。アンタが、そんなケガしてんのに、俺の事ばっかり優先するから、それが嫌なんだよ!クソ!」

 しばしの沈黙を挟んで、ハロルドは自信なさげに口を開いた。

「レイ、もしかして、俺の心配してくれてんのか?」
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