誰かに愛されるなんて、あり得ないと思ってた

まる丸〜

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深夜の依頼

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 相手が誰なのかはすぐに分かった。
 クソッタレが直接連絡してきやがった。




「第二部隊のシンシア・ロードライドが拘束された。相手は引き渡しに相応しい物と交換だと言っている」

 いつもは班長がしてくる連絡を、士官がする時は、やっぱりそれくらいの緊急性があるのだ。

「わかった。シンシアを救出して来れば良いんだな?
 連れて行く隊員の選別は俺がする。輸送機のパイロットは、第二部隊に指名したい奴がいる。それも俺が連絡する。
 その許可が出ないなら、シンシアを生きて連れて帰る確約は出来ない」 

「お前に任せよう。拘束されている場所の詳細は、二時間以内に班長から連絡させる。アリスにはまだ情報は渡すな」

 シンシアとアリスは夫婦だ。
 それでも、情報共有出来ないとなると、シンシアの置かれている状況が、相当悪いのだろう。

「その部屋にいるネズミにもだ」

 はぁん⁈

「おい、ネズミ呼ばわりすんの止めろ。自分の部下を自分で侮辱するなよ」

 士官は、フン、と鼻で笑って電話を切った。
 あーもう、なんでこんな奴が出世してんだ。ガシガシ頭を掻いて、一つ溜息をつく。





 真っ暗な部屋の、レイが眠るベッドに腰掛ける。

 暗闇に目が慣れて、おだやかな表情で瞳を閉じているレイの顔が認識できた。



 レイ、また何日か離れる事になるな。
 少しは寂しいと思ってくれるか?





 俺は欲求に抗えずに、眠るレイの唇に触れるだけのキスをする。

 静かな寝息が乱れないのを確認して安心した。どうやら起こさずに済んだ様だ。

 名残惜しいが、今は時間がない。
 任務を終えて戻ってくれば、レイとはまた触れ合える。

 自分にそう言い聞かせて体を起こす。



 そして、シンシア救出に関するタスクをこなす為にそおっと部屋を出た。















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